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桜の木の下には…



生命が芽吹き躍動を始める春。
手も足も冬の冷えた鎖から解放されて、心身も胎動を始める春。
春を愛する人は 心清き人。
心清きかどうかは知らないが、藤井駿河守は春が好きである。
下ネタも好きだが桜も好き。それが藤井駿河守という男であった。


並木通りに桜が咲いている。
藤井はそれを横目で眺めながらスマホの2chの実況版スレッドを眺めていた。
首をかしげながら歩く様はまるで鳩のようで傍から見ていると非常に滑稽だ。
最近では事故も多発して社会現象ともなっている。
さすがにそろそろ首がくたびれたらしくスマホをポケットにしまった。

ちょっとの散歩のつもりだったが、思いのほか遠くに来てしまったと藤井は苦笑いをする。
ぽかぽか陽気に春の風。
春は何もなくてもウキウキと気分が高揚してくる。
だからちょっとのつもりで散歩にでた。
出立ちは上掛けのジャージに半ズボンに草履といった軽装だ。

見てくれはどう見ても怪しいおっさんで、こんな格好で子どもに声をかけたら一発で通報されるレベルだろう。
「ぶひぶひ。おじちゃんと遊ばない?」
こんな輩も沸いて出てくる春うらら。
しかし、そんなことすら気にならないほどの長閑な陽気。
それに春はちょっとおかしい人も出てくるので問題ないのだろう(問題だよ)

柔らかく靡く風に桜の花びらが散っていく。
来週にはもうあらかた散っていくのだろう。

圧倒的に咲き誇る桜の回廊まっただ中にいるこの景観。
舞えよ桜よ一睡の夢。
藤井はまるで御伽草子の中に迷い込んだような錯覚の中にいた。

それほどこの桜陣は素晴らしく美しい。
観るものの心を不安にさせるほどに色艶やかだ。

見渡すと、そこかしこでシートを広げて酒宴をしている人びとがいる。

すると、前方よりこちらに向かってくる人影がある。

友人の凸であった。右手に一升瓶を持って左手に紙コップを持っている。

「よう藤井さん。今日は艦コレやってないのかい」

そう言って一升瓶を持ち上げて「やるかい?」と笑った。

「今日はここの桜は満開だからね。艦コレよりも風情だよ」

藤井は、そう言って一番枝振りのよさげな桜の木の下へ行こうと促す。

「違いねえ。桜を愛でるのは生きてる実感を味わうことさ。酒もまたしかり」

凸は紙コップになみなみと酒を注いで藤井さんに渡す。
続いて自分の分もなみなみと注いで作る。

「乾杯!」

紙コップを合わせてぐっと喉に流し込む。

「つまみを持ってくりゃよかったな」

凸がそう言うと、藤井はにやりと笑って舌を出す。

「へへぇ。そこはぬかりはないよ。もうすぐ来るころだ」

「ほ?誰か来るのかい」

「マソだよ。あいつにいつもLINEでエロ画像を送ってくるだけだから、たまにはつまみでも持って花見に来いと言っておいたんだ」

「LINEでエロ画像か。マソらしいな。そういえば痔瘻の手術はしたのかね」

「さぁて…。とにかくあいつは彼女ができたそうだから、毎晩オッタチーノで励んでいるみたいだよ」

「そりゃまた。若いっていいねぇ。性春だねぇ。赤玉出るまで頑張りそうだな」

「彼女の体が持てばいいけどね。何せマソの体力はFF8のオメガウェポンクラスだからね」

「あれ相当体力あるだろう…。女は干涸びちまうんじゃねえかそれ」

「一晩中あの大筒に突かれまくったら、たまらんだろうねえ」

「そういえば…マソの奴、以前にSEXはリズムだとか吹聴していたっけな」

「リズム?」

「うむ。奴はSEXする時には必ずある歌を脳内演奏しながら事を成すといっていたんだ」

「へぇ、そりゃまた酔狂な。どんな歌だろう」

「たしか…お猿のカゴヤとか言ってたな」

「お猿の?エッサ エッサ エッサホイ サッサお猿のかごやだ ホイサッサー って言うあれ?」

「おぅそれよ。そのリズムが一番のれるんだそうだ」

「 最後のホイサッサーで「いく!」とかたまんないなそれ」

「俺はジョジョの「オラオラオラオラ」とかにしとけとアドバイスしといたんだ」

「途中で女に「やれやれだぜ」とか言われたらチンコ萎えるねそれ」

「想像したら吹いたwww」

「まったくだwwwwww」


藤井と凸は大声を挙げて笑い出した。

桜の花は今が華よと一斉に咲き誇っている。
どこかで遠く嫋々と笛の音が聴こえる。

酒にひとひらの花びらが落ちた。
構わずにそれを一緒に飲む。
桃色の雪がうねるように周囲に降り注ぐさまは、まるで桃花源記に記された彼の地に思える。

顔を赤くした凸の後ろに立つ人影があった。

「ちぃーっす。凸しゃあん、出来上がってるっすねえ」

「おぅマソか。元気そうだな」

「元気元気ぃ〜。精力体力てぃんぽまるだしげんきっしゅ〜しゅっぽんしゅっぽん!」

「相変わらずだな…マソ。ところで、つまみは?」

藤井がそう聞くと、マソは片手にさげた買物袋を前に差し出した。

「酒のつまみと言えばこれ!北陸金沢、北珍、のどぐろの浜焼、どじょうの蒲焼!」

マソのつまみはどれも金沢の一級珍味である。
思わぬ御馳走に藤井と凸はおおいに喜んでマソを上座に座らせた。


「ま、飲みねぇ」

そう言って凸は紙コップに酒を注いでマソに渡した。

マソは酒をちろっと舌でなめてから一気にあおった。

「うみゃあ!」注:うめぇ

「マソ、お前それ静岡方面の方言だぞ」

「そう言えば藤井さんと凸さんは静岡出身ですよねん」

「ああ。といっても、俺の出自は高千穂だけどな」

「高千穂遙!クラッシャージョー!っすか」

「俺は運び屋サムシリーズが一番好きだったな」

そんな他愛ない掛け合いで酒はすすむ。

1時間ほどすると、少し雲が出てきて空模様が怪しい。
風も少し冷たくなってきている。

「ありゃ?こりゃ降るかな」

空を見上げながら赤ら顔の藤井は掌を出して天から雫が落ちてこないかを確かめる。

「秋の空と同様に春の天気も頼りねえなぁ。いいところで水を差しやがって」

凸が悪態をつくとマソも続いてさえずり始めた。

「まったくっすねぇ。雨が降っちゃあせっかくの花見も台無し玉なしパチンカスっすねえ」

マソがお得意のラップのような歌詞の韻を踏む。
マソは一時期はバンドをやっていて、金沢のDアッシュと呼ばれていたとかいないとか。

突然、木の根元を差して凸が言う。

「知ってるか?桜の木の下には死体が埋まっているんだ」

「梶井っすね。檸檬とかしゅきっす」

「読んだことないなあ俺」

「なーんか怪しい雲行きだよなあ。まるでこのあたりだけ結界が張られたようだぞ」

「そういや何か変っすねえ。さっきまでの花見客もいないっす」

「化かされたか?妖怪とかに」

「まさか…ねえ」

確かにさっきまでの景観とはうって変わって花びらは舞っていないし、まだ午後の2時だというのに
なにやら辺りは薄暗い。

3人が訝しんでいると、そこへ声をかけてきたものがある。


「もし…」


二人連れの女だ。

一方は背が高く、一方は幼女のように背が低い。
しかしどちらもどえらい別嬪であった。

人か?

そう藤井は思ったが、美人に人種は関係ない。
こんなペッピンならご飯3杯は軽い。
しかもそれが爆乳ならなおさらだ。

背の高い方はうりざね顔で目元は涼しく、後ろにまとめた黒髪がたおやかになびいて美しい。
スタイルはこれまたボッキュッボンのごっくんボディ(死語)。
桜花月水─佇まいはまるで人とは思えぬような妖しさがある。

小さいほうは、丸顔の童顔だが目は多少きつく、亜麻色の髪を片方で縛って肩に流している。
小柄だが出るとこは出て何とも言えない色気を漂わせている。

二人はそれぞれ色の違う有栖川錦の文様の着物を纏っている。
小さい方の女は両手に傘を数本持って口を一文字につぐんでいた。
何やら怒っている表情にも見てとれる。

そんなことは仔細構わず、3人はためいきともとれる「ほぅ」と感嘆の声をあげた。
そりゃこんな美人二人が目の前にいたら男なら誰でもそうなるだろう。
マソは飛びかからんばかりに喜んで二人の前に進み出た。

「まじうけるぅー!超傘なんすけどぉー」

覗きこむように傘を見ながらはしゃぐマソだったが、女の怯えた目に気がつくと頭を掻きながら「ちょりーっす」
と頭を下げた。

「てかマソ、超傘ってなんやねん。傘超えとるやんけ」

すかさず藤井が関西弁でつっこみを入れると、マソは照れたように鼻の頭を擦った。

凸が背の高いほうに声をかけた。

「なんだい、傘売りかい姉さんたちは」

背の高い女は静かにこくりと頷いた。

「はい。そろそろ入り用かと思いこうして傘を売っております」

どえらい色っぽい女だなと凸は思った。
つーかやりてぇ。
素直にそう思った。
さすがに親父は欲望をオブラートに包まない。
歳をとるということは、ひとつひとつ純粋さを蝕んでいく。
それがおっさんという生き物だ。

「こんなところで傘売りとは酔狂だなあ。でも、こんな美人さんが売ってる傘なら1000円でも買っちゃうよ俺」

藤井はそう言いながら、小さいほうの女に笑いかけた。

小さい方の女は表情を変えずに掌を広げて5本の指をだした。

「こみこみで5万円」

「ぶほぉっ!!」

藤井は思わず飲みかけの酒を吹き出してむせた。

転がるような鈴のような声と相まってどえらいぼったくり値段が飛び出した。


「ごっ、ごまん〜〜!?」

3人は腰を抜かす程にたまげた。

「傘に5万とかPS4が変えちまう値段だぞ」

凸は馬鹿馬鹿しいといった風にかぶりを振った。
マソが何かを理解したように手を打った。

「なるほどっしゅ!傘を買ったらこのネーサン達もついてくるという新手の風俗っしゅね!」

それを聞いた背の高い女の顔にわずかな歪みが生じた。

「おだまりなさいチンカス野郎。我らを愚弄すると祖チンを切り落として犬に食わせますよ」

女は、変わらないにこやかな顔とやわらかい口調で、斬りつけるような毒を吐き出した。
さすがのマソもこれには絶句して青ざめた。
笑いながら人を斬るとはまさにこれ。
憤怒を表に出し烈火の如く怒るより、氷のような冷徹な刃のほうが時には底知れぬ恐ろしさがある。

金玉が縮み上がったマソはすっかり萎縮してしまった。
藤井は女の啖呵に口をあんぐりとあけてぽかーんとしていた。

「こみこみで5万。如何ですかこの傘」

女は小さい女から傘を一本取り上げると、広げて肩に乗せながらくるくると柄を回した。
傘は貝遊びの柄で美しいからかさだった。
傘を回しながらくるっと回ってしなを作ったその姿別世界。
まさに天女の所為である。
傘も確かに1000円やそこらで買えるような代物ではなく相当な逸品に見えた。

「おいおい。おっかねえ姉さんだな。いいものだろうけど、とにかくたけぇしいらねえよ。降り始めるにはまだ少し間があるだろうしな」

それでも、凸が払いのけるような仕草で断ると、女は哀しげな表情で凸にすり寄ってきた。

「そこを何とか…。一本でいいんですけど」

凸は吐息がかかるくらいに近い女の表情に情欲がたぎりそうだった。
唇がほんのり桃色に光っている。
豊かな胸のふくらみが腕にあたる。
うわっ、まじで押し倒してぇ。しかし金は…ない。
ない袖はふれないのが貧乏人である。凸は神保町界隈で空き缶拾いで生計を立てている乞食同然の暮らしをしていた。
金がないときは知人にたかる。そんな社会のくずである。
しかし、くずでもプライドはあった。やり逃げとかは己のポリシーが許さない。

「い、いや、持ち合わせもねえし。それに傘に5万出すなら川崎で2輪車やったほうがましだぜ」

「お願いします。一本だけ…」

「ああ?買わねえよー。ってかあめーんだよ!そんなたけぇー傘買えっかよふつー」

「どうしてもダメですか」

「やだよ!甘いよ!!(ぷげら)」

凸はおどけながら舌を出して断った。

「どうしても?」

「あ〜もういい加減しつけぇな。買えねぇったら買えねえんだよ」

さすがにうんざりしてきたので凸は立ち上がってもうお開きにしようと藤井とマソに促した。

すると─

女は口をつり上げて恐ろしい形相になった。

「よくも恥をかかせてくれましたね。呪ってやる!はぁっ!」

女は鋭い呼気を吐くと凸の顔に掌を当てて白い光を放った。

「ぐぇっ」

凸が声をあげると同時に姿が掻き消えていた。
女達の姿も消えて、淀んでいた天気も元の陽気に戻っている。
藤井とマソは狐につままれたように桜の木の下で一時ほど呆然としていた。

桜の木の幹に2匹の蜘蛛がいた。
大きいのと小さいのが2匹。
よりそうように亡骸となって死んでいた。

「なんだったんだあれ」

「さぁあー?ところで凸しゃんはどこへ消えたんすかね」

「凸さん…まさか」


マソと藤井が辺りを探すと、一枚のカードが落ちていた。

「なんだこれ…」

マソはそれを拾いあげると、体を震わせながらぶぎゃあああと悲鳴をあげだした。

「こっ、これは!!」


dfsbtdnyrmyrsne5

カード化されてしまっていた。

藤井は空を見上げながらぼそりと言った。

「さ~て…帰るか」

「う〜す…」


帰りすがらに二人は居酒屋でまた飲んだ。

もちろん

カード化された凸のことなんざすっかり忘れていたのは言うまでもない。


【おしまい】

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テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

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非公開コメント

No title

ゲームは引退したつもりはないですがずっとしていないですw
そっち方面の出張あれば連絡するね(ノ´∀`*)

No title

>斬さん
ほんと久しぶり!こっち来たら声かけてねw

No title

(´・ω・`)
お久しぶり(ノ´∀`*)
|彡サッ

No title

>烈風さん
中目は近いし散歩がてら寄らせてもらいますよ!
バスキアのポートレートも非常に興味深いですね
お知らせありがとうございます!

バスキア

凸さん
中目黒で、写真家の坂野豊さんの個展が4/15までやってるんですが、そこで若かりし頃のバスキアのポートレートがあります。
仕事帰りにでもご覧になってみてください。
僕が20年近くお世話になっているカメラマンの個展なので、よろしければ、是非に!
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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