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タイムゾーン藤井2 【ちょろいんさん】

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一年間だけ高校生に戻った藤井。
あれから一週間経つが相変わらず友人はできていない。

クラスではチラチラとこちらを窺う奴もいるのだが、近寄って話かけてくる者はいなかった。
そいつらを目つき悪く睨み返すと、あわてて顔をそむけるのだ。

なんか…
やっぱり孤立してます。

ぼっちって…人が多いほど強烈に孤独を感じるものなのだなぁと沁沁思う。

見かけは若くなっても脳が若返るわけではないから、中身は30半ばのおっさんだ。
演歌のBGMでも流してもらえりゃ、背中で語れる人生紙風船。

昼休みに1人机でパンを食うのも侘しすぎるので、屋上に行ってみることにした。

煙草も吸いてぇし…。

もちろん、未成年が吸っていいわけはないのだが、つい癖でポケットからするっと出してしまいそうで怖い。

被験者の条件項目の中には、「問題を起こさないことを第一とする」と定められている。
停学にでもなったら、ガガントスである。

藤井は階段をあがって、比較的新しい塗料で塗られた鉄扉を押し開けた。
鍵がかかってるかもと思ったのだが、あっさりと開いて拍子抜けをした。

「ふぅ〜うんむぅ…」

大きく伸びをして7月の空気を吸い込む。

梅雨はまだ開けてはいないが、中休みといったところで四日ぶりの晴天である。

2Mほどの高さの金網で四方を囲まれているが、開放感はある。

誰もいないのがありがたい。
どうせ孤独なら一人のほうが精神的にもいい。

所詮、俺はおっさんだし、ガキどもの中で群れてよろしくなんざもうできねーのかな。

ポケットからインディゴのクールを取り出して煙草を一本取り出して火をつけた。
慣れた手つきで吸口をくわえて灯をつける仕草がさまになっている。
当然のこと所作だけみれば立派なおっさんである。
藤井はすっかり高校生であることを忘れてしまっていた。

無理からぬことであるが、身に付いた習慣というのは身体の一部になっている。
無意識の所作にも、藤井のこれまで生きてきた時間が現れてくるのだ。

遠方の景色を見渡しながら、ふぅと煙を吐き出した。

もの想いにふけっていると、扉がぎぃっと開く音がした。

「あーーっ!!!あなたっ!!!」


頭に響くキンキン声。

振り向くと、長い黒髪の女子がすごい形相で藤井を睨んでいた。

やばっ;

一瞬、煙草を隠そうとしたのだが、言い訳できない現行犯。

これは…まずい;


黒髪女子は、ツカツカと歩いてきて、藤井を指差した。

「ついに馬脚を現したわね!この不良」

「は?」

「とぼけても無駄無駄無駄ぁ!編入初日からず〜〜〜っと目をつけてたのよ。あなたの素行をね」

「あ、え、ええっと…。これはその…だな」


煙草の火を簡易灰皿に押しつけて消しながら、言い訳を考えていた藤井だったが、うまい言い逃れができようはずもない。

まさか自分は、実は中年のおっさんで〜とか言えるはずもないし、信じてもらえるわけもない。


女子は鬼の首を取ったかのごとく、腕組みをしながら目を光らせる。

「ふふん。あなた最初に見た時から、これあかん奴だわと思っていたわ。その目つき、そして妙にだるそうな動き。変に着崩した身なり。どれをとっても不良以外の何者でもないわ!」


なんだこのメスガキ…。

藤井は下手をすると、自分の娘ほどの女子に言いたい放題言われてちょっとカチンときた。

「あのな…。俺をお前らガキと一緒にすんなよ」

「は?自分だって子どもじゃない。子どもが大人ぶっても全然かっこ良くなんか見えないんだから」

「だからよ…。本当は俺はお前らとは…って、まぁ、いいや。言ったって無駄か。とにかく出来心だ。見逃せや」


藤井はこれ以上話しても無駄だと悟り、屋上から離れようとした。

「はぁー!?待ちなさいよ!風紀委員長である私が校内での喫煙を見逃せるはずもないでしょ。職員室に一緒に来てもらうから!」

そう言うと、目の前に立ちふさがって通せんぼをした。

「風紀委員長?あんた三年生か」

「光栄学園三年A組 風紀委員長纏 望。学園の規律を正し風紀を守る風紀委員長よ」

よくよく見ると言動はきついが、可愛い顔をしている。
こぶりだが、形のよさそうな胸とギャップのあるロリフェイス。

背は160cmもないようだが、まだ汚されていない潔癖さが挙措に現れている。
藤井はここで、おっさんの意地の悪さを出した。

「あんた処女だろ」

「…は?」

「処女だから鋼鉄のような横にも縦にも曲がらないお固い考えになるんだよ。規律より彼氏でも作ったほうが青春は楽しいぞ」

「なっ…なっ…なにを…!?」

可哀想に。
纏と名乗る風紀委員長の女子は顔を真っ赤にして身体を震わせている。

恥辱の言葉に、一人の乙女が汚されている。

藤井は知っていた。
こーいう女は結構ちょろいと。

真っすぐで信念を持った若者ほど、折れた時には脆弱だ。
特に若い娘はそれが顕著である。
邪教やダメ男に嵌るパターンがまさにこれ。

追い打ちをかけるように藤井は続ける。

「あんた無理してるのがバレバレなんだよ。薄っぺらい正義振りかざしても社会は変わらんぜ。

纏は顔を真っ赤にしながら、無言で涙目になっている。
目だけはしっかりと藤井を射抜くように憎悪を溜めていた。

やべ。やりすぎたかな…。
さすがにちとこれはまずいか。

藤井が声をかけようとすると、纏はうつむきながら背を向けて扉へと走って消えた。

頭を掻きながら、やっちまったと後悔した。

「ま…いっか」

藤井は俺の高校生活も終わったなとあきらめた。

しかし…自由に思えたあの頃だったが、いざ戻ってみると未成年の枠に閉じ込められて、既製服を着せられた傀儡のようだ。
学生も楽じゃないし、未成年は未成年で大変なんだなと改めて思う。

大人でもない、かといって子どもでない高校生。

藤井は屋上から出ると、教室に向かいながらスマホの画面をいじくり始めた。
トラブル時のサポート対応ヘルプデスクである。
緊急時にしかかけるなと言われたが、今がその緊急時である。

登録してある番号を押そうとした時に、不意に強い力で肩を掴まれた。

「お前、編入生の藤井だな?」

振り向くと、見上げるほどにでかい男子が藤井を見下ろしている。

でかい…。2m近くあるんじゃねえのか。
藤井も180cm近くあるので決して小さいほうではないのだが、とにかくでかい。

角刈りに筋肉質の身体。見るからに何らかのスポーツをやっているものだろう。
というか、高校生の風貌ではない。一瞬教師かと思ったが、制服を着ているし間違いなくここの生徒だろう。
高校生とは思えない低く渋い声で言う。

「ちょっと顔を貸してもらえるか」

「いやです」

藤井は即答して逃げ出した。

逃げる時の藤井の瞬発力は、ウサイン・ボルトに匹敵する。
リアルの高校時代は、ばっくれの藤井とあだ名がついていた。

取り残された長身の男子は、見事なまでの藤井のばっくれに、あっけに取られて動けなかった。

「逃げられたか…。だが、あきらめんぞ」


藤井は全力で逃げながら、何とも言えぬ背中におぞけが走るのを覚えていた。


【続く】




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テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

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No title

>いのきさん
土曜の飲み会でタツヲから「いのきさんと話した」と聞いた!
猫が夜暴れ回って寝不足で疲弊しているタツヲをよろしくお願いします!

藤井さんは振り逃げも得意♪


藤井駿河守は安時野猪木に手を振った。

安時野猪木は藤井駿河守を見失った…

No title

逃げるにしかず!暑いよ藤井さん!

No title

黒田三十八計!
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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