スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

信怨8 最終回

xc gnytnyrs


藤川みさおの屋敷である。

みさおは、藤井と共通の知人である織田の運営役員、高崎の失踪の謎を探るために、東尋坊に行く決意をした。
巷で噂の怪現象でプレイヤーは晒しに取り憑かれると言う。

しかし1人で行かないと現象は起こらないらしく、藤井に傀儡の術をかけて囮にした。
藤井の屍を乗り越えて己の保身を保ったのである。

みさおは、そんなことはおかまいなしに大人買いしたコミックスを読んでいた。
大きな欠伸をひとつしおながら壁時計を見ると、既に丑三の刻である。

「ふぁ…。もうこんな時間かぁ…。そろそろ術が効いて藤井さんも動き出す時間ね」

人ごとのようにつぶやきながら、敷いてある布団にもぐりこんだ。

「もう寝よ。おやすみなさい…くぴぴ…」

なんと、みさおはそのまま気持ちよく寝てしまった。
そして朝まで水底の石のように瞼を開ける事はなかった。


一歩、藤井は口の中を何度も冷水で冷やしていた。
唇が辛さのあまりに、ぽってりと腫れ上がっている。

鏡を見ながら、己の顔を眺めて顔をしかめる。

「だめだこりゃ!」

やけになって、いかりや長介の真似をしてみたが、あまり面白くない。

トニーが、「似てネェー」と声を上げる。
とにかく腫れがひくまで時間がかかるだろう。


「かかーし…フジーさん、顔がカワッタネー」

「ああ…。これじゃまるでアナゴさんかK-1武蔵だ…」

「マー、前とクラベテモ、大したチガイないから気をオトサンデー」

「うるせぇよ!人ごとだと思いやがって…。糞!屋台の親父も調子に乗ってあんな殺人ラーメンをだしやがって…」

「屋台マスター感心してマーシタ。あんなん全部食うナンテ狂ッテルーって。HAHAHA!ユー、クレイジーね」

「なっ…じゃあ出すなよ糞親父!おかげで三途の川の向こう岸が見えたぜまったく…」

藤井はぶつぶつと鏡を見ながらタラコのような唇をさすったり引っ張ったりしている。


「風呂入ってくるわ」

藤井は鏡から離れて箪笥からタオルを取り出して肩にかけた。

「言ってラッサーイ。あとでワターシも入るのでオナニーは外でヤッテクダサーイネ」

「するかっ!」


ドカドカと廊下を歩きながら風呂場に入って福を脱ぐ。

両肩に黒く渦巻きのような呪印が刻まれている。
おそらくこれが、みさおのかけた呪であろう。

「くそぅ、CIAめ!」

みさおは別にCIAでもFBIでもないのだが、蔑称として使ってみた。
なんとなくかっこいいのが癪にさわる。

とにかく、呪が解けない限りみさおの傀儡になるしかない。

おおかた、無意識に東尋坊に向かわせる呪であろうことはわかっている。
そこで、何が起ころうとみさおは高みの見物だ。

藤井は解呪薬を持っていない。
そもそも、この類いの呪はステータス異常のものではないから、解呪薬では解けないのである。

身体を洗ってぬるくした湯につかると、少し落ち着いた。

東尋坊か…。残留思念の渦巻くネットスラムみたいなものなのか。
とにかく、みさおに連絡して呪を解いてもらおう。
今日は体調が悪いし、何より唇が腫れてるし…。

身体は唐辛子の影響でやけに火照る。

うとうとしていると、急に目の前が真っ暗になった。
藤井の目から意思の光が失われる。
ブラックアウトした意識下の中で、藤井はもがいていた。
まるで捕獲された魚のように。


気がつくと─

藤井は東尋坊の青龍出現ポイントの岬に立っていた。
オメガのウォッチを見ると、午前2時。
丑三つの刻である。

なんと風呂場から既に東尋坊へ移動していたのだ。


「いやぁああああああああぁぁぁああああ!!!!」


藤井は恐怖で悲鳴をあげた。

すぐにログアウトしようとするがコマンドがきかない。

「うぇっ;どうなってんだこりゃ」

何回もログアウトを試みるが、アバターはうんともすんとも言わず。

狼狽した藤井の横に青龍が出現した。

クリックもしていないのに青龍が語りかけてくる。

「力がほしいか?」

はい いいえ

ジャバウォック!?

藤井の意思とは関係なくアバターがうなずいて、カーソルを はい にあわせた。

「おい!なんだこれ、勝手に…」


叫んだ瞬間に、モニター画面に 晒 という赤い文字がランダムに高速で表示された。
画面を晒の文字が覆い尽くして浸食していく。

藤井はその様子を硬直して見守っていた。
金縛りにあったように動けないのだ。

画面が全て真っ赤に塗りつぶされて、プチュンと表示が切り替わる。

「げぇーーーっ!」

思わず立ち上がって叫んでしまった。

dvsdgjnfutl,yg


モニターに映し出されたその画像 
この前、ゴミ出しで揉めた近所のババアの写真だった。


続いて2chのスレッドが表示される。


近所のうざいガキがどうしようもない スレ15

1 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! mailto:sage [2008/01/22(火) 02:19:26 ID:BB/4A6d4k]
おいっす!相変わらず近所のガキがうぜーんだけど。まじでいわしたいわ。

2 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! mailto:sage [2008/01/22(火) 02:19:26 ID:OW/3n9o90]
>>1
おつ

3 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! mailto:sage [2008/01/22(火) 02:25:24 ID:DxXzvtam0]
>>1
1って80近いバーちゃんだろ?元気だな。今日も頼むぜ!

4 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! mailto:sage [2008/01/22(火) 02:35:36 ID:unsXTH1w0]
そのうざいガキの名前教えれ。俺が簀巻きにしてやんよ!


藤井は強烈な怒りに目がくらみそうだった。

「あのババァー!人をちゃっかり晒してんじゃねーよ!DQNどもに家特定されたらどうすんだよー」

藤井と、この老婆は普段からあれやこれやで揉めていた。
その仕返しをこんなところで…。
80過ぎて2chの晒しでスレ立てか。まったくおめでたい。
っていうか15もスレ立ってるのかよ!ふざけんな。
ありゃあと20年は生きるだろう。
てか、あんなんで晒されるとかねーわ。まったく現代は恐ろしいインターネッツだぜ。

しかし、なんでこんな画像が信で出てくるのだろう。

まさか、あのババァ、信オンをやっていたのだろうか。
そしてそれは俺の周りにいる誰かになりすまして…。

まさか、この一連の事件はババァの仕業か。
しかし、だったら俺だけを狙えばいいはずだが。

そういや…前にババァとこの前揉めた時、燃えるゴミの中に信関連のものがあったのかもしれない。
それを探られて…。
とにかく…一回ログアウトしてから…。

その時、ピンポーンと呼鈴が鳴った。

藤井は凍り付くような旋律を背中に感じた。
ぴーんときた。ぴーんと。

「こんな…時間に…」

椅子からよろよろと立ち上がると、ドアの除き穴からドア向こうを見た。
誰もいない。

恐る恐るドアを開けてみた。

「えっ?」

なんと自分が目の前に立っている。

その夜から藤井もまた消息を経った。

そして藤井が消えた晩から三日後に、老婆も亡くなっていた。
生前の老婆の遺品に、死んだ息子がやっていた信オンのスターターパックが発見された。
PCは息子のものだったようで、亡くなってからもそのアドレスやIDはそのまま使用されていた。

みさおは、藤井の失踪を機にこの事件から手を引いた。
単純に恐ろしくなったのだ。
それ以来、めっきりと大人しくなっていった。

しかし最近になり、急に晒しにみさおのネタが目立つようになる。
内容は、とりとめのない不明なものだったが、トリップが必ず: F・アルミン・Sになっていた。

歴史の表舞台からこつ然と姿を消した藤井。
ババァの晒しの念に引きずり込まれていったのだろうか。
それはいまだに不明である。

失踪直前までいたトニーこと、あんときのいのきは、髪を染めていまや貿易会社のCEOにまでなっていた。後にこう語っている。

cxvdsfngfdxms

今でもたまに夜中の2時の東尋坊の青龍口で、男の呻き声が聞こえたり、
PCがいきなりシャットダウンする怪現象が起こると言う。
晒しの怨念は、未来永劫、浄化されることなくその場所に溜まっていくのだろう。


東尋坊近くの浜辺。空缶を拾っていた凸は、雪の残る海を眺めながらつぶやく。

「藤井さんて…呪怨のトシオに似てたよな」

誰に語りかけるでもなくボソッと声に出す。
小さくなった背中を丸めながら、雪に残る足跡を確かめるように歩き去っていった。

人を呪わば穴二つ。晒し晒されポップルメイル。
明日は我が身かソーサリアン。
ロードモナーク黄金伝説ほーやれほ。

お後がよろしいようで。

【おちまい】

スポンサーサイト

テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

コメントの投稿

非公開コメント

No title

>藤井さん
わらたww

>いのきさん
藤井さんって、ほんとはネット上の仮想人格かもしれないというオチ!

訂正:↑ではなく↓でした(/o\)

↑のコメントは小説に出てた、最近見かけられるというみさおさんの晒しか!?藤井さんジゴフミまでさまよって来たのね…成仏しますように(>_<)

No title

みさおさんに世界はそれでも美しいが放送時間遅くて見れないらしいので
内容を教えようか?と言った瞬間、コミックスを買っていたらしくすべての話をされた件
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ
リンク
最新コメント
ブログ内検索
RSSフィード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。