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信怨6

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ラーメン屋についた。

内裏通りを抜けた大橋の袂にぽつんと赤く提灯が浮いている。


「あそこだよ」

藤井はそう云って指を差した。

「おぅ〜!」

トニーは目を輝かせて感嘆の声をあげる。
屋台ラーメンをこの時代に食えるとは。
なんてデタラメな設定だろうと思ったが、そこは不問にした。あえてね。

4人も腰掛ければ満席の小さな屋台である。
客は1人。左隅で餃子を肴にビールを飲んでいる。

「らっしゃーい!おや、藤井さん」

藤井はこの屋台の常連で三日に一度は顔を出している。

「どう?繁盛してる?」

そう言いながら奥の客とひとつ席をあけて座った。
トニーは右端に座って、メニューを眺めている。

「さっぱりだぁねぇ。最近、大通りにパスタとかいう南蛮麺の店ができてみんなそっちに行っちまう」

「南蛮麺か。まだ食ったことねぇなあ」

「なんでも、ほら、タッチャマソとかいう南蛮商人が外国で買い付けて来た小麦で作るそうだよ。調理法も豊富だそうだが」

「ふん。パスタだがタスポだが知らねえけど、ラーメンに敵う汁もんなんざこの世にねえさ!」


藤井はいまいましそうに鼻を鳴らして嘘ぶいた。
ラーメン道を極めようとする藤井にとっては、異国の麺類など眼中にないのだろう。
ラーメンを食することは、藤井にとっては、生きることそのものである。
もしこの世にラーメンがなくなったら…。もうこの世に未練はないと考えている。

「へへっ。そう云ってくれるのは藤井さんだけさね。で、何にする?」

「そうだな…。今日は…」

屋台の柱に貼付けられたメニューを見ながら、しばし考える。

チャーシュー麺…。いや、ワンタン麺にしようか…。

藤井の思案をよそにトニーは真ん中のメニューを指差して注文する。

「豚骨ラーメン、バリカタ、玉子付きクダサーイ!」

「あいよ!豚骨ラーメン、バリカタ、玉子付ね!」


しまったぁ!!と藤井は思った。

その手があったか…。
しかしトニーと同じものをそのまま注文するのは…あまりに芸がないし、何より常連客のプライドが許さない。
通は通なりに注文にも素人とは差をつけなければ。

「おやっさん、俺はいつものあれをくれ」

「ん?おぅ、あれかい」

「うむ。あれだ」


主人は、一瞬怪訝な顔をしたが、すぐに合点がいったという顔で準備を始めた。

トニーが屈託のない笑顔で藤井に問いかけてきた。

「フジーさんは、ここの常連なのデスカー」

「まぁな。尾張に来てからまだ1年だが、週に三日は通ってる」

「ホホー。さすがラーメン通でヤンスネー」

「自慢じゃないが、ラーメンのことなら俺にまかせときな」

「楽しみデース」

「おっと!あと、おやっさん、ビールくれビール。生2丁」

「あいよー」


主人がサーバーに慣れた手つきでジョッキを斜めにかざす。

「はい、生ビールお待ち!」

霜のついた冷えたジョッキにクリームのような泡が吹きこぼれる。
二人はその泡ごと喉の奥に流し込む。

ぐいっと一気に流し込むと、顔を見合せて笑いだした。

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「おいおい…;冗談はやめてくれよ藤井さん。れっきとしたビールだぜそりゃ」

「はっは…。悪い悪い。ジョークだよほんのジョーク」

藤井は口の泡を手で拭き取りながら主人に謝った。

「ソーですヨー。ジャストジョーク!アメリカンジョークデース。ソーリーソーリー!」

トニーも続いて謝罪をしながらも、悪びれずにはしゃいでいる。

すると左の奥で無言で酒を啜っていた客が、いきなり大声をあげた。


「いい加減にしとくれ!」

女の声だ。よく通る高い声でまだ若い。
フードをかぶっていて顔は見えない。

驚いた藤井とトニーは一瞬固まった。


女はフードを取ると、藤井達にゆっくりと睨みつける。

髪が短いので男かと見誤りそうだったが、やはり女である。
目はきつめだが、かなりの美人だ。
しかし、今は怒りで凄惨なすごみを醸し出している。
美人なだけによけい迫力があった。

「静かに酒飲んで浸ってりゃ、天下太平ばりのばか騒ぎで気分が台無しだわよ!ぎゃあすか騒ぐんなら白木屋か天狗でもいっといでな」

けたたましく、まくしたてられて二人は唖然として女の口上を聞いていた。
藤川みさおの普段の罵声も可愛く思えるほどのいきおいだ。
女の目が腫れている。泣いていたようだ。

ははーん。
さては失恋して1人ラーメン屋で酒を飲んでいたのか。

しかしラーメン屋で失恋酒とは渋すぎだろと藤井はクスりと笑う。

「何がおかしいんだい!どいつもイタリアもあたしを馬鹿にしてぇ!」

どうやらかなり酔っているようだ。

「おいおい、ねーさん。他の客に絡むのはやめてくんな」

主人がぴしゃりと注意を促すと、女は急にぐにゃっと力なくカウンターに伏した。

「…きっしょう…。なんだよ…そんなに若いのが偉いのかい…」

トニーは見かねて声をかける。

「オゥ〜、マドモアゼル。何か辛いことアッタノデスカー?ワタシ達に話してみてクダサーイ。話すと楽にナレマスーヨー。刑事さんもイッテマース」

「トニーさん…。そりゃ犯人の取り調べだろ」


藤井がすかさず突っ込みを入れる。

そうこうしてるうちに注文のラーメンが来た。

「はいよ、豚骨ラーメンバリカタ玉子ね。藤井さんはいつものね」

カウンターに出されたラーメン。
何ともいい匂いで美味そうだ。

「まぁ、まずはこれを食ってから話を聞こうじゃないか」

割り箸を割って食べようとした時、藤井はある異変に気がついた。

「こっ、これは…」

藤井があれと言ったのは、この店の裏メニュー。激辛ラーメンである。
しかも30倍辛い豆板醤を使用した激辛ラーメンだ。
普通の人ならまじで致死量に近い。しかし藤井は辛いものが大好きだった。
これを汗だくで食べるのが最高に美味いのである。

しかし…

今夜のそれは今までのものと違う。
なにかがちゅがう…。

なんだそらっ!というぐらいに違うのである。

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唐辛子が立体オブジェのように麺の上で主張をしている。

いかに…いかに俺が辛いものが好きだといっても、こりゃ限度があるで…。
これまともに食ったら死ぬんじゃなかろうか。いや死ぬだろこれ。
まさに地獄ラーメンだ。一口食っただけでも舌がちぎれるだろうな…。

ちらっと主人をみると、にやりと笑って親指を突き出している。
自信作らしい。余計なことすんじゃねーよ、おっさん;

そうか。

この前来た時に、もうちょっと厳しい味にして欲しいかなと煽ったのがまずかったか…。
余計な事をいっちまった;反省しても覆水盆にかえらず。

トニーの前で啖呵を切った手前引くにひけない。
一応、これでも、戦国のもののふである。
箱根八里は馬でも越すが。越すに越されぬ大井川。
関係ないけどマソさんきゅー。

藤井はトニーを見た。
美味そうに豚骨ラーメンに舌鼓を打っている。

女を見ると、なんと藤井の様子をじ〜っと見ている。


「げっ;」

大きな晴れた腫れた瞳でこちらを窺っている。
格好をつけた手前、これは食えないでは済まされない。
なにより女の前で端を晒すのは死んでも御免だった。

絶対絶命…。

藤井は崖っぷちに追い込まれていた。

ふいに藤井は武田の朋輩、僧兵タツヲのことを思い出していた。
タツヲさん…猫を飼うそうだけど、名前はふーちゃんとかいいな。
外出して帰ってきて玄関で子猫が出迎えていたら「ただいまにゃ〜ん」とか言うんだろうな。
子猫を飼う人は例外なくみなそうなるものだ。
などとまったく関係ないことを考えていた。


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たかがラーメン。
されどラーメン。


「フジーさん。ドウシタデスカー?フフフ…」

トニーが意味有りげに笑顔を向けてくる。
事情を察しているような嫌な笑顔だった。

「ぐぬぬ…;」

殴りたい、この笑顔。

さぁどうする藤井。
あえて冥府魔道の道を貫くか。

プライドをとるか、それとも身体の安否とるのか。
今、藤井の決意が試される。

ところで、東尋坊はどうなったのかと言うと、それはまぁ…来週あたりになんとか。

まずはラーメンですよ。
そして本田の動きがやばいんですよ。

このままで大丈夫か日本代表!

【続く】

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テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

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No title

>いのきさん
CoCo壱懐かしいw最近行ってないなぁ
俺は辛いのはちょっと苦手なのでそんなん聞いてるだけで死ねるw

かつてCoCo壱番屋でカレー1300gを20分で完食したらタダというサービスを8分で食したことがある。次の週、「量の次は辛さを極める!」と意気込んで10辛を注文。ガムシロップを大量に入れたアイスミルクを片手に何とか完食。次の日から3日間40℃の熱出して寝込んでしまった。激辛はまさに地獄凸!

No title

>高崎さん
人それぞれに至高のラーメンは存在するよね。
しかし思い出補正もあるから、その当時の味が変わらないまま味わえるかというとそうでもないという。
昔、田舎に帰った時によく行ってたラーメン屋が潰れてたのはショックだった。
川越に行くなら…今でしょ!交通費は出せませんw

>藤井さん
最近さっぱり派!タツヲは合戦でトンカチやってるとか言ってたけど、もうさっぱり意味がわからないw

No title

さっぱり7割こってり3割くらいの順番で食べたい!
タツヲさんらしき僧兵を倒したw

No title

こないだからのラーメンネタで

川越で働いてたときによく行ってたラーメン屋を思い出して

めちゃくちゃ行きたくなったw

凸さん交通費ちょうだいwww
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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