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信怨

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信怨。

強い恨みを抱いて晒されたプレイヤーの呪い。
それは、晒されたプレイヤーが現役時代に接していた場所に蓄積され、「業」となる。
その呪いに触れたプレイヤーは理性を失い、新たな晒しが生まれる。


×月×日。那古屋交易前。


「みさおさん」

交易屋の前で人待ちをしていた藤川みさおは、背後から声をかけられてさっと身構えた。
見ると、見慣れた髭面がそこにある。


「あら…凸さん。こんにちは…ってもう飲んでる!」

日もまだ高いのに、赤ら顔で上機嫌な凸をみてあきれ顔で罵る。

「いやぁ。こんな天気のいい日に飲まないって手はないよ」

声を高くして嗤いながら、ふらふらと近づいてくる。

「ちょっと!やめてよ。大声だしてみっともない」

「あ〜〜?」

みさおが周囲を憚って咎めるのだが、凸は毛ほども気にすることもない。

「お高くとまるこたぁねぇだろう。織田会議の暴れん坊がよ。へっへっヘっ…」

酒のいきおいもあって、物言いが伝法調になっている。
酒色に焼けた、へばりつく笑みが生活の荒みぐあいを物語っている。

みさおはいつもの調子で癇癪を起こしかけたが、ふっとため息をつきながらそれを受け流した。
酔っぱらいと争っても益はないと頭を冷やしたのだ。

「とにかく、あたしはここで人を待ってるんです。もう、どこか行ってくださいな」

そう云って、ぷいとそっぽを向いた。

「安くないねぇ。これかい?えっ?」

人差し指を軽く曲げて、いい人との逢い引きかとからかった。
いよいよ足はふらついて、大虎一歩手前である。

みさおは汚物を見るような嫌悪を顔一杯に現して手をぱたぱたと払う。

「違いますよ。いいから向こうへ云ってくださいな。おお、お酒臭い。嫌だ嫌だ」

「ちぇっ。昔はもう少しノリがよくなかったかい。みさおさんも、つまんねぇお上品プレイヤーになっちまったもんだ」

「昔は昔今は今、ですよ。大概の人は変わらないままでいられる事なんてないんです。凸さんも真っ昼間っからお酒をくらってないで献策ぐらいしたらどうなんです」

「はっ!検索なら毎日してるぜ。こう見えてもネットサーフィンの達人さ」

「字が違うし…。それにいまだにネットサーフィンとか云ってる時点で…。まぁ、いいから早くどこか行ってくださいよ。私は大事な用があるんですから」

みさおがそっぽを向いたままそう云うと、凸も絡むのを諦めて押し黙った。
恨めしそうな目つきでみさおにまたぞろ絡んでくるかと思いきや

「…ふーん。そうかい。邪魔したなぁ」

凸はぶつくさと文句を言いながら、踵を返すと右手をひらひらと上げながら繁華街へと消えていった。

その後姿をみさおは侮蔑の眼差しで見送った。

「あの人も昔はあんなんじゃなかったのに…」

ためいきまじりでこぼすが、ひゅうと吹く5月の爽やかな風が皮肉なくらいに気持ちがいい。
堕ちていくひとりの人間をものの哀れで囲うのは、なんだか非道な気がするがしょうがない。
すべては己自身のせいだからである。

凸が消えてから間もなく、1人の神主がみさおの肩を叩いて来た。

「やぁ」

振り向くとそこに奴がいた。

そう、真紅伝説の怪童。藤井駿河守である。

満面の笑顔を溜めながら、首をビートたけしのように回している。

「遅い!」

みさおは口を尖らせて拳を振り上げた。
もとより本気で怒ってはいない。


藤井は悪びれもせずに嗤いながら両手をあわせて拝むように腰を曲げた。

「いやぁ、ごめんごめん。実は「それでも世界は美しい」の再録を見ていて遅くなってしまった。先週はお休みだったし;」

「む!…それなら許すしかないわね」


みさおがそう云って、かぶりを振りながら拳をおろす。

藤井も冗談だとわかっているので、舌をぺろっと出しておちゃらける。


しかし、次の瞬間一点険しい顔になり、ささやくような小声でみさおに問いかける。

「で、早速本題なんだが…あの噂は本当かい?」

「まじ…らしいわよ。真実と書いてマジ」

「…まことしやかな都市伝説の類いだなぁ。気味が悪い…」

「あたしだって半信半疑なんだけど…。でも、この世には解明できない不可解な事象はいくらでもあるしね」

「呪怨ならぬ信怨…か。猫ちゃんとか出てきそうだ」

「そんな可愛いものだったらいいんだけどねぇ…」


半年程前からプレイヤーの間で妙な噂が立ち始めた。

夜中の2時にある場所に1人で行くと、必ず妙な画面にノイズが流れて
「晒」の文字が画面いっぱいに浮き上がるという。

それを見たプレイヤーは必ず音信不通になりインしなくなる。

あるケースで、リアルの知人がインしなくなったプレイヤーが心配で自宅に連絡してみると、ゲーム中に昏倒して意識不明の重体で入院していたと家族の人から聞いた。

そんな事件が十数件あるらしい。

ある時から、誰かが晒されたものの怨念だと言いだした。
それもひどい晒されかたをして、ノイローゼになって辞めていったプレイヤーの怨みの思念が、その場所に溜まっているのだと噂が広まっていった。

晒しは便所の落書きである。
私怨、怨嗟、捏造、冗談、からかい、ネタ、暴露、自虐、少しだけ真実。

晒され方にも色々ある。

敵対国だから晒される。
目だち過ぎてるから晒される。
廃人から晒される。
装備がすごいから晒される。
装備がしょぼいから晒される。
ぼったくっているから晒される。
暴言吐きまくりゆえに晒される。
効率厨、特化を縛るから晒される。
リア美だから晒される。
童貞だから晒される。
エロいから晒される。
etc.

理由はいくらでもある。まさに無尽蔵。
しかし、あらぬ捏造をされて身に覚えのないことで晒されて傷ついたプレイヤーは数多い。
逆にネタとして楽しめる余裕を持てるプレイヤーは意にも介さないが、大概のパンピーは己の風評はとても気になるものだ。

それ故に、晒されて怨念を残しながら消えていったプレイヤーは数多いだろう。
そんな負のエネルギーがゲーム内に溜まっているとしても、誰が否定できよう。

みさおが、その噂を気にしだしたのは、織田の友人の高崎が最近インしなくなったからである。
高崎は一週間前に、その場所に行ってみると云って消息を経った。

その場所から対話を夜中の2時にもらっている。
そのときは、何と云う事もなく、もう寝ると言って落ちたはずだが…。

みさおが藤井に相談したのは、このまことしやかな噂の真相をつきとめるために助っ人としてついて来てもらうためであった。


「で…今日いくのかね」

藤井は怪訝そうな顔でみさおを窺う。

「そう…ね。今日しかないわね。噂によるとその場所に2時きっかり立っていると何かが起こるらしいよ」

「何か…って何だろう。嫌だなぁ;」

「藤井さんって見かけはヤクザみたいなのに、からっきし意気地がないのねぇ。だらしない」

「怖いものは怖いのよ」

「あなた男でしょ!こーいう時ぐらい気概を見せなさいよ」


藤井は幽霊といったオカルトの類いには弱い。
ホラー映画は好きだが、リアルで遭遇するのは御免だった。

「そんで、その場所って…どこなのよ?」

藤井が問うと、みさおは言葉を一瞬詰まらせて震えだした。


「恐ろしいところよ…。とっても恐ろしいところ…。暗くて寒くて陰鬱で」

「え?信にそんなとこあったっけか」

「あるわ。古からプレイヤーに忘れ去られた土地…。呪われた土地」

「S・キングのセイラムズ・ロットかい!」

「その場所は…」


みさおが口を開こうとした瞬間、けたたましい爆音が鳴り響いた。


「うわっ!!」

「きゃぁ><」


あたりが爆煙に包まれて、みさおと藤井は地面につっぷした。

藤井は起き上がると、まだ倒れているみさおにかけよった。

「おい!みさおさん。大丈夫か、おい!!」

みさおはまだ気を失っている。

藤井はありったけの声を振り絞って呼びかける。

「おい、みさおさん。しっかりしろ!おい、おばさん!ばばぁ!!」

ガコンッ!

「べぇっしっ!」

一瞬、藤井の顔が、カエルのようにひしゃげたかと思うと、後方に2間ほど吹っ飛んでいた。
みさおの鉄拳が藤井の顔面を殴打していたのだ。

"クラッシュ・ザ・みさおトルネード”

みさおの究極の必殺技である。


「どさくさにまぎれて何を云ってんのよ!このガスたれがぁ!!」

藤井は向かいの壁際まで吹っ飛ばされて気を失っていた。


「なんなのよもう…。あー、着物が泥だらけ…。ん?」

立ち上がって埃を払いながら辺りを見渡すと、足下に一枚の紙が落ちていた。

「これは…」

紙を開いてみると、こう書かれている。

あの場所にはいくな。でないと大いなる災いがその身に起こる

みさおはそのメッセージを見てガクガクと震えだした。
そして思った。

このメッセージを書いたのは何者だろう。
巨大な悪意が背後に蠢いている気がする。


みさおは空を見上げてつぶやいた。

「そんなことより、急激にお腹が空いてきたなぁ…」

みさおは最近、孤独のグルメに嵌っていた。

「今のわたしの胃が求めているものは…なんだろう。中華?和食?それとも…」

悩んでいると

向かいの茶屋の昇りに<だんご>と書いてあるのが見えた。

「お団子にしよう!そうしよう」

みさおは、足をはずませて茶屋に向かっていった。
謎の手紙や藤井のことなどもう頭にもない。
藤井はいまだ気絶したままでうつ伏せに転がっていた。

しかし、そのひしゃげた顔は心なしか安らかに見えたのであった。


【続く】

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テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

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No title

>いのきさん
それは寝落ちじゃあるまいかw

>藤井さん
黒歴史すぎるw

>かずは
でんがく!でんがく!
味噌でんがく!

>みさおん
神主のイメージは人それぞれ持ってるからなぁ
ちなみに巫女はやはり軍神お茶屋しかイメージがないw

No title

王道みたらしもすてがたいが 季節でよもぎだんごだな!
神主っていうと周防さんしか思い浮かばないw

みたらし!みたらし!

No title

(((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル
呪が蓄積された場所、甲府両替所での凸さんが何時もねっころがっていた場所!
邪魔とか晒されていた場所だw

信onやってれば毎晩気絶するんだよね。これが原因だったか。
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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