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果てしないオンラインゲームの情けない物語に生きる藤井さんと僕らの黄昏




オンライン・ゲームにおいて肝心なことは、寛容であることとようやくわかった。

まず許す。
ここから出発しないとネットライフは楽しくならない。

甚だ上から目線の物言いに聞こえるかもしれないが、顔が見えないのだからしょうがない。
スカイプなどでパーティプレイをする人も多いのだが、やはり文字でのやりとりがまだまだ圧倒的に多い。

そんなことを周囲に言いまくっていたら、藤井駿河守はいつしか「下町のキリスト」と呼ばれるようになった。
いつも機嫌がよくニコニコしている。

罵声を浴びせられようが、嫌みを言われようが、いじられてネタにされようがいつもニコニコ笑っている。
藤井はとことん人を許している。いや許しているように見えた。
馬鹿になれと昔の人は言う。
馬鹿になれる人は本当はすごい人だとよく言われるが、本当の馬鹿だったらこれはさすがに困る。
藤井駿河守はそのへんのバランスをうまく保っている。
しかし目は決して笑っていない。
機嫌がいい人ほど裏があり腹黒いものだ。
その笑みに何かしら狂気に似た威圧感を周囲が感じていたのは確かである。


藤井は「信長の野望オンライン」の世界において壮大な計画を画策していた。

その名も「ノブワン計画」だ。

信長の野望オンラインの世界で、公式アイドルグループを作ることである。
今の信オンは過疎化が止まらず運営も青息吐息。
課金者が減る一方だから、企画はあっても稟議に通らずアップデートも使い回しのおためごかし。
悪循環の負のスパライラルに陥っている。

それもこれも改悪なその場しのぎのアプデを繰り返して来た報いだ。

藤井はこの状況をなんとか打破したかった。

昔の信オンはシンプルだが夢があった。
各鯖それぞれに華があり、廃人と呼ばれる有名プレイヤー、つまりスターがいた。
スターに憧れるのは凡人の必定。
そして目標でもある。

しかしそんなスターも今はない。

あるスターは、イザナミの撃破徒党が1徒党しか存在していない時に、ようやく火雷を倒してイザナミまで辿り着き、あと数劇でイザナミ撃破という時に、母親からPS2の電源を抜かれてそのまま帰らぬ人となった。
最後の言葉が「ちょっw」である。
彼はまだ高校生だったらしく、それによってもうやる気がなくなったのだと噂で聞いた。

様々な事情でめまぐるしく人が入れ替わるオンライン・ゲーム。
やはりスターがいないのはどこか侘しい。
我々のような平凡なプレイヤーが渇望する廃人の中の廃人。
それは夢と希望とチートとRMTを教えてくれる貴重な存在だ。

しかし…
願ってもスターは生まれない。
欲してもヒーローは姿を見せることはない。

それが今の信オンの現状だ。

ではどうするか。
藤井は考えた。考えて考えて考え抜いた。
「下町のキリスト」は考えた。

ちなみに「下町のナポレオン」は1969年の「誓いの旗(チェッカー)」で、既に使われていたフレーズ。
これ豆ね。ながやす巧が描いてるけど非常に面白いので読んでみるべし。

とにかく全プレイヤーに夢を与えたい。
藤井は考え抜いたすえ、毛が相当抜けた。

アイドルだ。
今やちまた巷にあふれているアイドル。

AKB、モモクロ、乃木坂、モー娘、初音ミク、アイマス、ラブライブ、ウェイクアップG…etc

アイドルは世界を救う。
いやアイドルで世界を救うのだ。癒すのだ。
いわんや、若さと可愛さゆえの歌と踊りは最強の武器である。

藤井は信オンのメシアになろうと思った。

この時点で藤井は既にぶっ壊れていた。
邪教に嵌った信者のごとく純粋であり凶悪。
そうなると怖いものは何もない。

藤井は次々とめぼしい女性プレイヤーを口説いて、最強のアイドルグループを作る地盤を固めていった。
一見、合理性に乏しい発想と行動も藤井には関係がない。

信じる心が力になる。
まさにマジックナイト・レイアースのキャッチコピーさながらに、己の教義に従って動く。

そもそも藤井は昔ナチズムに傾倒していた男なので、障害になるものはすべて抹殺して排除する。
「下町のキリスト」の真実の顔は恐るべき独裁者であり過激派だった。


半年後─

全鯖のアイドル志望の女性達を集めて集会を開いた。
場所は甲府のイタ飯屋である。

長いテーブルには、女性6人と向かい合って男性が3人座っている。

男性は、藤井を含む真紅の種馬タッチャマソ、紺碧の赤い弾丸アントキのイノキ。
今回のノブワン計画の協力者である。
それぞれに各鯖に散ってもらい希望者を募ったり口説いて勧誘したり。

その甲斐もあって、そうそうたる面子が顔を揃えた。

真紅からは、永遠のダークヒロイン 織田の会議クラッシャー 藤川みさお

乱世からは、自称女子大生 お嫁さんにしたい候補No,1 乱世アイドル にゃる子

山吹からは、妖艶なるチャットで童貞プレイヤーを魅了し続ける謎の家事手伝い 冴羽 麗子

紺碧からは、1000年に1人の逸材 S体質なツンデレ女子高生 たま子

萌黄からは、奇跡の巨乳主婦 天然ボケとまろやかな性格でパフパフされたい 神代 小巻


各鯖では知らないものはいないというほどの有名人が出揃った。


マソが興奮しながら目をみはる。

「すげぇ…。各鯖のトップアイドルがこうして顔を揃えるなんて」

藤井は口を歪めて邪悪な笑みを浮かべた。相変わらず破顔で笑みは絶やさないが目が笑っていない。

「アイドルってぇのは、湧いて出るもんじゃない。創りあげるのさ。人意的作為的に」

「これは…見てるだけで、イ、イキそうだ;」

「発射するのはまだ早い。これからだ我々のノブワン計画は。それに商品に手を付けたらチンポをぶった切るからね」

「へい…;」


アントキのイノキが、横でそれを聞きながら冷や汗をかいていた。

同じ紺碧出身のアイドルたま子とは既にいい仲になってしまっている。
バレたら殺される。何とか隠し通さないと。
たま子は実は女子高生などではない。そもそもラノベじゃあるまいしそんなファンタジーがそうそうあるわけがない。
埼玉のスーパーマーケットの店員だった。まぁそれはどうでもいい。
とにかく、たま子がアイドルとしてやっていくには、男の影は邪魔だ。
アイドルはセックスをしないと信じ込んでいる奴らには、まさにタブーの醜聞になってしまう。

「いのきさん、どうした?すごい汗だが」

藤井がそう声をかけると、あわててかぶりをふる。

「い、いやぁ、マソさんと同じく綺麗どころばかりで壮観だなぁと…」

「ふっ…さすがに各鯖のトップリア美を集めたからね。天下の影に女あり。女を制するものは世界を制す!だよ」

「でもさ…。真紅はあの人でよかったんですか?」

「ああ、みさおっち?まぁ…他にも候補がいたけどいいんじゃない?本人がやりたがってたし、一応知名度はあるし」

「真紅のレベルは高いっすねえ。色んな意味で」


タッチャマソが妙にモジモジしながら厠へ言ってくると席を立った。

「抜いてくるのか」

藤井がすかさず釘を刺した。

マソは赤面しながらも、コクリと頷いて親指をつきだした。

「ほんとに馬鹿なんだなお前は」

藤井は呆れながらも優しく笑った。


テーブルには豪勢な料理や飲みものが用意されている。
女性達はそれぞれに歓談をしながら、食事を楽しんでいた。

マソがすっきりした顔で帰ってくると、藤井はようやく口を開く。


「あー、どうもねー。本日はお忙しいなかこうして集まって頂いてありがとうございます」


抑揚のない口調でしゃべる姿は既にいっぱしのプロデューサーだ。


「さて…本日集まって頂いたのは他でもない。皆さん既におわかりかと思いますが、信オンの現状は年々厳しいものとなっております」

それぞれの女性は口に食事を運ぶのをやめてかしこまって聞いている。
たま子は、アントキのイノキに軽くウィンクしたが、イノキはそれを無視した。

「えー…、面倒な前置きははしょります。結論だけ言います。ノブワン・プロジェクト。あなた方に公式認定アイドルグループになって頂きたい」

その瞬間、女性達の間に感嘆の声が漏れた。


「公式認定って…運営に認めさせるってことかしら?」

山吹の妖艶なる家事手伝い 冴羽 麗子が科をつくりながら聞いた。


「すぐにとはいきませんがね。運営側も得心のいく実績が必要になりますし」

「うふん…。面白そうじゃない」

麗子の台詞にはいちいち艶がある。マソは聞いてるだけで勃ちそうになってきた。

「はぁーい、はぁーい!」

乱世の嫁さん候補1位のにゃる子が手を挙げた。

「どうぞ、にゃる子さん」

藤井が掌を差し出して促す。

「ええっとぉ〜〜、それってどんなメリットがあるのでございましょうかぁ?」

にゃる子が無邪気に聞いてきた。
が、至って当然の疑問だ。もちろんメリットの有無、もしくは明確化はプレイヤーにとって重要なファクターである。


「メリットは数えきれないほど。まず、自己の虚栄心の充足。そしてキモオタプレイヤーからの賛美、運営側からの特別待遇、報奨金、メジャーデビューも視野にいれると莫大な経済効果が見込まれるはずです」


静かに聞いていた藤川みさおが一言

「うさんくさっ!」


その言葉に藤井は素早く対応する。

「おや、みさおさん。また会議クラッシャーですか」

「胡散臭い者をうさん臭いと言ったまでだけど」

「だまれ!ビッチクラフトワークス!!」

「うわぁ、つまんないギャグ。藤井さん、また顎を砕かれて断食したいのかしら。あなたの顎はもうウルフ金串のようにガラスのチンなのよ?」

「チンでもチンポでもどっちでもいい。いいからしゃぶれよビッチ!」


これが下町のキリストと言われて崇められてきた男だろうか。
もう藤井は以前の藤井ではなく、完全に己の野望に呑み込まれている。

さすがに雰囲気が険悪になってきたので、アントキのイノキが仲裁に入る。

「ま、まぁまぁお二人とも。天下を取りたいということだったら目的は同じでしょう。それに、みさおさんもトップアイドルに認定されたら織田家にもいいイメージアピールになるのではないですか?」

「それはまぁ…そうだけど」

「とにかく…ここはひとつ手を組んで天下取りに乗り出しましょう。これだけの面子が組めば怖いものなしですよ」


藤井もひとつ咳払いをして襟を正す。

すると、今まで黙っていた萌黄の巨乳主婦、神代 小巻が口を開く。

「ぽわわ〜ん、あのーアイドルといっても何をすればいいのかしらん」

何とも気が抜ける口調で、場の雰囲気が柔らかなマシュマロの中にいるように変わった。
これが若妻の威力か!

マソはそう思って舌を巻く。
天然主婦のぬるい空気は、緊迫感を削ぐが安心感を与えるものでもあった。

藤井は質問に対してカッと目を見開いて答えた。

「ライブですよライブ。ライブをやりましょう」

「ライブ!?」

全員が同時に声をあげる。


「ノブワン最初のステージは、やはり最初に天下を取った真紅武田の躑躅ヶ崎館でやることにしましょう」

藤川みさおが悔しそうに顔を歪ませた。

織田の天下を信じていた藤川にとってこれほどの屈辱はない。
しかし事実は事実である。目を背けることはできない。

藤井は藤川の怨嗟の眼差しを一笑して話を続けた。

「ライブ、各鯖での広報活動、支援者募集などをやって頂きます」

「支援者?」

たま子が口を挟む。

「つまりは…ファンということですね。そしてファンクラブの会員には一ヶ月一万貫の会費を支払ってもらいます。もちろんファン限定特典のインセンティブを設けます」

「へぇ…なんかすっごーい」

大きな目をくりくりさせて、たま子は驚く。

アントキのイノキがそんな、たま子の様子を見てニヤニヤしていた。

たま子はそれに気がついて、すぐさまツンデレブリを発揮する。

「べ、別に驚いたわけじゃないんだからね!そっ、それよりこのグループのリーダーは誰にするのよ?」


「リーダー?」

5人は同時に顔を見合せた。リーダー。つまりはグループの中心となるセンターである。
藤井が目を光らせながら、ある一点を指差す。

「えっ!?」

声をあげたのは、巨乳主婦 神代 小巻だ。

「彼女にセンターをやってもらいます」

「ええっーーーっ!」

神代 小巻はビックリして姫に近い叫声をあげた。たゆんたゆんなおっぱいをめっちゃ揺らしている。
マソはそれを見て「すげぇ…」と生唾を呑み込んだ。

「だって一番おっぱい大きいしさぁ(笑」

神代 小巻をのぞく5人の娘は「なぁるほど、納得…」と手を打った。

藤井はそう言いきると、煙草をに火をつけて煙をゆっくりと吐き出した。
煙草をくゆらせながら満足そうな笑みがこぼれている。


「さて、と。じゃぁ始めに…」

ガツンッ

「できるわけねーだろっ!!」

言い終わるか言い終わらんかの刹那に、藤井の頭頂部に稲妻のような閃光と痛みが走った。

5人の娘の怒りの鉄拳をまともにくらいそのまま昏倒した藤井は、出血多量で病院に運ばれた。
しかし、運ばれた先が間違って泌尿器科だった。
さらに形成外科に移送され包茎手術までしてしまったのだが、
頭の出血は止まらず心肺停止してしまった。

藤井は死んでしまった。
夢半ばで倒れた藤井。
コモエスタ藤井。アロハオエ藤井。さようなら藤井アスタロエゴ。

その後、マソとイノキは甲府の片隅に「藤井塚」を作った。

結局、ノブワン計画は砂上の楼閣であり、夢物語はついえた。
信オンアイドル計画で天下を狙った藤井。
哀しき愛戦士藤井。


後年、「藤井塚」に祈りをかけるとトップアイドルになれるという。
藤井も墓の下からアイドルを夢見る乙女達を応援しているのかもしれない。


もちろん

tanakla


ですよね。

おちまい。
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テーマ : オンラインゲーム
ジャンル : オンラインゲーム

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No title

>藤井さん
藤井さんがアイドルグループ作ってくれたら復帰する!

>佐渡さん
華も欲しいし艶も欲しかった!
というか俺のピークは初期のイザナミ突破ぐらいだねえ

>みさおん
音頭とってちょんまげ!

No title

オンゲー最強のモテキャラは男が操作の女キャラではあるまいか
あらあら 私にできないきゅん><
ちょっとw週末お花見でもしようよw

No title

信にもっと華が欲しいねぇ。

No title

イノキさんわらたw

凸さん帰参者でアイテム貰っといたほうがいいよ!
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