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藤井伝3

)


藤井さんは有頂天だった。
そりゃもう天にも昇る気持ちさシェケナベイベェ。
横に並んで話しかけられるたびに、くるくる回って腰が抜けそうになっている(精神世界)

端から見ると美女と野獣どころか、ヤクザが若い愛人を連れて歩いてるとしか見えないのが悲しい。
しかし彼女は気にもかけないで、笑いかけてくる。

ほんまええ子や;ぐっすん。

「ここじゃあなんだから…どこか茶店にでも…」

とりあえず藤井さんがリードする。

「はい」

大きなお目目をパチパチさせて、まさに天使の如く微笑み彼女。

藤井さんは目を合わすことができずに、ずんずんと前を歩く。
早足なので彼女はちょっと駆け足だ。

それに気づいた藤井さん。

「あっ、わりぃ…。歩くのが早かったかな」

「い、いえ…。でも男の人って歩くの早いんですねぇ」

「いや俺がいつもの調子で歩いちまって…。なにせ女と出歩くなんて初めてだから…」

「あたしも男子とこうやって出かけるなんて初めてなんです。だからどうしていいか…よくわからなくて」

「意外だな、あんたみてぇな可愛い子が…。つきあった男とかいねぇのかい?」

「いえ…彼氏とか全然」


「うほっ」
↑藤井さんの心の声

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↑現在の藤井さんの精神世界


ウ・ホ・ッ・じ・ゃ・ね・え・よ

とは天の声。
何をイチャイチャしてやがるんだと俺怒る。

二人はなかなかいい感じ。くそぅくそぅ、うんこー。
そんな俺の憤りを感じつつ涙涙のアフリカちんぽ。
万年女日照りで枯れそうだ。あたしゃ入れ歯で歯が立たない。

俺の魂の慟哭なんざ藤井さんには届かないんだよなこんちきしょう。
羽化登仙の桃源郷で桃を盗む悟空の如く顔がだらしなく緩みきっている。


二人はレトロな門構えの茶店に入る。
薄暗い店内でカウンターで人相の悪い髭面のマスターが藤井さんを睨む。

「なんでぇ藤井か。まーだ生きてやがったのか…」

「相変わらずひでぇな。そう簡単にゃくたばらねえよ」

「おめぇらみてぇなハングレのガキどもが、このへんで悪さばっかしやがるから、店がちっとも繁盛しねぇ。早くくたばってくれよまじで」

「はいはい…。そうやって客に悪態つくのをやめりゃあ繁盛するのよ」

「抜かせ糞ガキ。誰が客だ誰が…って…」


藤井さんの後からついて来た恵美を見て驚いた。

マスターは、背を向けて隣にいたバイトのウェイターとひそひそと何やら話しだした。

「おい…、何年だ。何年くらう」

「そうですねぇ…未成年の誘拐と監禁で3本はくらうんじゃないすか」

「とりあえず警察に電話か、それか興奮させないように説得するか…」


その話を聞き耳たてて聞いてる藤井さん。
拳を握って身体を震わせる。

「うわっ!!」

さすがのマスターもその形相に一瞬ひるむ。

ぜーーんぶ聞こえてんだよバカヤロウ!




二人は奥の席に座ってコーヒーを頼んだ。
マスターとウェイターが親指を立てて応援しているふりをしているのが超うざい。

「…ったく、ゴメンな変人ばっかで。ここのマスターは腕はいいのにあの通りでよ。いっつも客と喧嘩ばっかしてっから客が少ねぇんだここ」

「クスクス…。いえ、藤井さんのお知り合いって楽しい人が多いんですね」

「楽しい?馬鹿ばっかさ。力の加減ができねぇ奴らばっかでよ。俺も人こた言えないけどよ」

「純粋なんですよきっと」

「純粋ねぇ…。はっはっ、悪いことばっか考えてるってことでは純粋かもな」


なんだよ藤井さん。ちゃんと普通に会話しできてんじゃん。
心配して損しちゃったぜ。オラやだもうやだ。


それから二人は、趣味や学校のことやらで盛り上がったのさ。

「そういや…俺の携帯を教えてくれたクラスメートって、恵子さんの友達かい?」

「あっ…いいえ。彼女とはあまりお話もしたことなくて。どちらかというと派手目な人だし」

「えっ、そうなのか。じゃぁいきなり驚いたんじゃないの」

「ええ…。彼女…安田さんはどちらかと言うと、わたしみたいなタイプは苦手のようだし。いきなりメモを渡されて驚きました」

「そりゃあ…。すまんかった。俺のダチが変に気をきかせちまってな…。そのぅ…あんとき電話くれって言ってたから…」


藤井さんは真っ赤になりながら言葉をちぎりながら話す。

「わたしも、いきなり電話とか失礼って思ったんですけど…どうしてもあの時のお礼をちゃんと言いたくて。本当にありがとうございました」


頭をぺこりと下げると可愛いつむじが見えて、しなやかな黒髪の一本一本が鈍いタングステンの光源に照らされて宝石のように反射している。

かっ、可愛い。

「い、いや、ほんと俺なんもしてねぇし」

「いえ、きちんとお礼をしておかなくてはけじめがつきませんし」

「えっ?けじめ?」


恵美の言葉とともに敷居で区切られた隣の席でガタッと立ち上がる音がした。

学ランをきた3人の男が藤井さん達を取り囲む。

「なんだぁ…てめぇらは」

藤井さんはすごみをきかせて威嚇するが3人は動じず、うっすらと嫌な笑いを浮かべている。
みかけは普通の学制で頭髪などもさらさらのストレートヘア。
見かけは不良という感じではない。

しかしその目は侮蔑と悪意に満ちている。
藤井さんが最もきらう目つきだった。

その中の眼鏡をかけた秀才っぽい一人が口を開いた。

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「安全確認?なんのことだ一体…」


意味不明な言葉に藤井さんが困惑していると、秀才眼鏡は恵美の側に寄り添うように立った。

「副会長、お疲れさまです」

同時に他の二人も恵美に向かってかしずくようにお辞儀をする。

恵美はまるで女王のように優雅に頷いた。


「けっ、恵美さん、こりゃあどういう…」

藤井さんはわけがわからない。
さっきまで天使のように微笑んでいた恵美が一変している。

「藤井さん…。あなたは去年、聖林高校の3年を一人病院送りにしたことを覚えてるかしら?」

「去年…。あぁ…確か帰り道の女子中学生を襲おうとしてぶっとばした奴は覚えてる」

「ぬけぬけと…。しかも兄さんが強姦未遂などと嘘をならべて陥れ、あまつさえ病院送りにするまで殴る蹴るのひどいことを…!この、けだもの!!」

「なっ!?俺は嘘は言ってねぇ!それに殴ったのは顔と腹に一発ずつだぞ。てか、あんた長女だったんじゃ…」

「うるさいっ!あんたみたいな不良の言うことなんざ信じられるもんか!!兄は兄でも義兄よ腹違いの。可哀想にあれから兄は強姦魔のレッテルを張られて廃人のように引きこもってしまった…」

「……」

「ずっと近づく機会を狙っていたのだけれど、チャンスが作れなくて不良の吹きだまりをうろうろしていたら、はからずも敵に助けられるとは、これも運命って奴かしらね」


藤井さんは頭の中がぐるぐる山手線のように回っている。
さきほどまでの幸せな時間はどこいった。

「じゃそれが目的で俺に近づいて…。あ…まさかアントキもグルってことか!?」

「ああ…あのチャラい男。あいつの父親はあたしのパパの系列会社で働く三下でね。クビをちらつかせて脅したら、快く協力してくれたわよ」

「ぐっ……!?」

なんと唯一の親友だと思っていた奴にも裏切られた藤井さん。
天使だと思っていた初恋の相手がこんなビッチじゃ浮かばれない。
気の毒な藤井さん。可哀想な藤井さん。
つーか、ざまぁあああああああ!!!


「さぁ一緒に来てもらうわよ。そしてあんたのずたずたになった姿を兄さんに見せて立ち直ってもらうのだから」

「…女をレイプするような屑が立ち直ってどうしようってんだ」

「まだそんな嘘を…。兄さんは頭がよくて優しくて女子の憧れだったのよ!そんなことするわけないだろぉっ!!」

「盲愛ってやつか…。兄弟揃って救えねぇ…」

「くっ;だまれこのっ!!」


恵美は冷めてしまったコーヒーの中身を藤井さんにぶちまけた。
アントキが貸してくれたスーツが台無しだったが、もうどうでもいい。

藤井さんは静かに立って入口に歩いていく。

「ここじゃぁ…店が壊れる。表に出よう…」

怖いほどに落ち着いた口調にすごみが出ている。
側近の3人もさすがに緊張した面持ちで身構えた。



「マスター…ちょっくら出てくるわ。あとで金払いにくっから」

「けっ…。ほんとにてめぇは女運がねぇなぁ」


苦笑いをしながら、呆れた様子で藤井さんを見送ると、側近の一人が迷惑料だといって2万円を置いていった。

「最近のガキは金持ってやがるなぁ…。やる気なくなったし店しめてパチンコでもいこっと」


マスターも屑だった件。


藤井さんと恵美達は町から少し離れた空き地に着いた。

「藤井!この三人はね、こう見えても空手、ボクシング、柔道部のインハイ候補よ。あんたがぎたぎたにされて土下座あするまで絶対に許さないから」

「……」


恵美の罵倒を無言で受ける藤井さん。
哀しそうな目をして静かに立っている。

「お前たち!いきなさい。藤井を倒したら私を好きにしていいわよ」

「うすっ!」

3人とも学ランんを脱いで、シャツ一枚となっている。
なるほど、いい体格をしている。学ランの上からはわからなかったが、明らかに戦う筋肉を有した身体だ。
見るからに強そうである。

「けやぁああっつ!!」


空手使いとおぼしき短髪の男が、するどい気合いとともに蹴りを放ってきた。

上段回し蹴り。
膝をコンパクトに折りたたみ、鋭角に上から振り下ろされる蹴りで従来の空手の直線的な動きではない。

藤井さんは、それを手前に受け流すが、身体を回転させながら、すかさず二の撃が藤井さんの後頭部を襲ってくる。
すっと身を屈めてそれも受け流す。

次はするどい突きだ。遠慮のない腰の入った連撃で、顔面を容赦なく襲う。
明らかにフルコンタクト、それもスーパーセーフをつけて鍛錬をしているものの動きだ。
目標の先を打ち抜くようにして拳を突き出していく。
普通に顔面をうちぬける空手家はそうはいない。
空手家の拳は凶器だからだ。
下手をすれば相手を死に至らしめることもある攻撃を躊躇なくだせる奴は強い。
これは試合ではなく死合だった。

藤井さんは相手の攻撃を受け流したり交わしたりして、自らは攻撃をしかけない。
空手家の男は少し息が荒くなっている。
そうこうしているうちに、とうとうへばってへたりこんでしまった。

藤井さんは一撃もダメージを受けていない。
空手家もダメージをくらっていないのだが、藤井さんとの力量の違いを悟ってしまったようだ。
明らかに気力が萎えている。
さすが藤井園瞑流の相伝者だ。すげえよ藤井さん。

恵美は逆上しながら空手家に向かって罵詈雑言を履いた。

「なっ;なにやってるの全国で準優勝したくせに、こんな不良も倒せないの!この役立たずのインポ野郎!!」


百年の恋も冷める恵美の豹変ぶりだ。
あの可愛いお口からよもやそんな下品な言葉がでてこようとは…。

「もうやめようぜ…。意味ねえだろこんなこと」

「なっ、なになになに?何かっこつけちゃってんの眉無し海坊主のくせに!きめーんだよ、あからさまにあたしに欲情してたくせに!強姦したのはお前でしょ!それを兄さんに罪をなすりつけて…」

「…俺ぁ、真実を言っただけだ。信じるか信じねえかは勝手だがな」

「もういいわ。後藤、百田!お前ら二人がかりでやっておしまい!」


「あいっ!」

「了解しましたお嬢様」

秀才眼鏡が眼鏡を外してワンツーをしている。
ボクシングか…。

あとは柔道ってことだな。

さっきの秀才眼鏡とつるっぱげの肉だるまが同時に襲いかかって来た。

眼鏡は距離を取りながら左ジャブを放ってきた。
スタンダードな構えから察するに…
インファイターではなくアウトボクシングを主体とするタイプだろう。
距離を取りながら、ポイントを稼いでカウンターでダウンを狙う。

一発一発の重みはないが、それでも喧嘩をした場合一番厄介なタイプがこれだ。
ダメージがちくとくとたまり、一発ノックアウトより危険度が高い。
なぶり殺しという言葉があるが、リンチをする場合には最も最適なスタイルである。
無駄のない動きから、獲物を確実に追いつめるようなボクシング。
この蛇のようなめつきをした眼鏡にはまさしくぴったりだった。

眼鏡がトントンと身体を浮かせながらリズムをとると、話しかけて来た。


「なぁ君。実は僕は喧嘩はしたくないんだよ」

「へぇ、気があうな。俺もだよ。これ以上無駄な体力は使いたくねえんだ」

「勘違いしてもらっては困るな。僕は君を一方的にリンチしたいって言いたいのさ」


シュッシュッと弾丸のようなジャブが藤井さんの右の顔面を狙ってくる。
ボクシングの怖いところは、熟練者のパンチは素人では軌道がほとんど見えないということである。
フックなどは空間からまるでいきなり現れたかのごとく感じるだろう。
喧嘩においてボクシングの怖さは、その見えない軌道との戦いになる。

もちろん藤井さんには通用しないけどね。やっちゃえ藤井さん。


「しゅっうう!!」

いきなりハゲがタックルしてきた。
寝技に持ち込み間接をとる動きだ。

柔道は投げより関節技が怖い。引く力が尋常ではないので懐に身体を預けてしまったら終わりだ。
浴びせ倒しなども屋外で最悪頭を打って絶命に至る場合もある。
元々が戦国時代に組伏して石に打ち付けるところが始まりという柔道。
血なまぐさい殺人技も無限にあり底がしれない。
グレイシー柔術も、前田光世が錬磨しぬいた殺人術を今のような競技体系に変化させて、研鑽の結果今のような洗練されたものにしたのだろう。

と、どうでもいい蘊蓄はここまでにしておいて、めんどいので途中のやりとりは割愛するね。


はげが左脇にまわりこんだところで、藤井さんに肘がハゲの首に突き刺さる。

「ぐえっつ;;」

もんどり打ってハゲ倒れる。口から泡を吹いている。

「こっ、このやろぅあ!!」


眼鏡が身体を揺らしながら、顔からボディにワンツーを放って来た。
高度なコンビネーションブローだ。

しかしそれを藤井さんはパーリングではねのけて、背中を見せる。
馬鹿にされたと思った眼鏡は髪の毛を逆立てて怒り狂った。

「くそがぁああ!!!!!屑野郎がなめてんじゃねえぇえ」

藤井さんめがけて渾身の一撃が放たれる。
くらったらさすがにやゔぁいぞこれは。

ドカッ!!

「ぐっ;あぁ…」

ウラケン。
藤井さんの見事なウラケンが眼鏡の顎を捉えていた。

裏のケンちゃんじゃないよ。
裏拳だよ。

眼鏡はふらふらと踊りを踊るような格好でばたりと倒れた。



「後藤まで…あ、あなた一体何者なの;」


藤井さんの全身から湯気のような煙が見えている。
さすがの恵美も怯えて後ずさっていた。


恵美にゆっくりと近づく藤井さん。
怯えながら涙目で首を振る恵美。

「いやっ…いやこないで!こないでよぉ!!」

泣きじゃくる恵美の肩を抑えて睨む藤井さん。
おいおい、まさかやっちゃうきじゃないだろな。
それはさすがに外道だゾ!


「な、何する気;;やめて離して;」

「……」


藤井さんは、恵子の胸をぐわっと掴んで顔を鼻先まで近づけた。

「い、痛い;やめて…お願い;」

そして吐き出すよう言ったのさ。


「俺は藤井さんだ。さんをつけろよでこ助女」


そう言って、強引にキスをした。
もちろん舌までいれていた。

んぐんぐと長いこと口を吸っていた。

それを見ていた空手家はボッキして前屈みになっていた。

藤井さんはようやく恵美の身体から離れたけど、恵美は呆然として目がうつろ。

う〜〜ン;これはちょっとした犯罪だぞ藤井さん。


「じゃあな」


捨てるような台詞を残して立ち去る藤井さん。
手に残るおっぱいの感触を確かめながら立ちさる姿に漢を見たよ。

初恋破れて山河あり。
しかし男には自分の美学がある。
例えるなら空を翔るひとすじの流れ星。

寂しさこらえて一人行く。
我らの藤井さんここにあり。


数日後──

アントキが東京に引っ越していった。
あれ以来アントキからは連絡はない。


その代わり─

「おーほっほほほ!藤井さん、今日こそ返事をしてもらうわよ!」


藤井さんの男気にまじぼれした恵美が学校に押し掛けて来ている。

実は恵美は超ド級のメンヘラ女で、兄への愛が藤井さんにスライドして狂気とも言える求愛を夜討ち朝駆けで迫ってくる。
兄が歪んで廃人と化したのも、実は恵みの過剰な求愛のせいであったのだ。
伝説の藤井さんの恋の結末はまだ終わらないのである。

ではきりがいいのでこのへんで。

【終】
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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No title

>いのきさん
藤井たんをこれからもよろしくね!

>藤井さん
釣りと花街が実装されたら復帰するよ!

No title

凸さん長文書くなら早く復帰して!w

これは龍馬伝を超える名作の悪寒…

藤井さんを襲おうったって、そうはいか内臓!
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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