スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

戦国BAR 参ノ陣 【中二病のボーダ】



わたしは甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。

人生の黄昏という回廊に立って、成り行きを見守るだけの語り部。
少年はみんな明日の勇者。
全てのプレイヤー達がペガサスのように羽ばたくことを願って。




私は疲れていた。
何に疲れているのかって、先ほどから目の前にいる妙な客の対応にである。

ロールプレイ(役割演技)という言葉は実はかなり幅が広い意味合いが含まれている。
もちろん、我々もネットゲーム内においては、ロールプレイをしながら各故人のパーソナリティを差別化しているわけだ。

ペルソナを使ってユーザーの導線効果をモデル化して定義づけるのもある意味ロールプレイと言える。

目の前にいる客は、明らかにこの世界において、リアルを切り離してまっとうにロールプレイをしているプレイヤーだ。

しかし…これは…。


その客は初顔だった。

黒いローブで顔を覆い、スツールに腰掛けるといきなり意味不明な注文をする。


「くっくっくっ…マスター。我は叡智の書を拝借すべく漆黒の堕天使ダーク・インフェルノを所望する」

「えっ…?ダーク・インフェルノ…ですか?」

「遥か彼方の世界において……不可視世界の混沌に飲み込まれるのか。未来を視ることを許されたダーク・インフェルノを。言うまでもなく、それは我の過大選定であった如くだな」

「……あの…よく意味が(苦笑」

「ダーク・インフェルノ。メィトゥス・ノナを完全暗黒物質クロスヴィールシとも囁く。下賎の輩は黒ビールとも呼ぶ…」

「……黒ビールですね。かしこまりました」


なんだ一体こいつは。

顔はローブで見えないが、声のトーン、体つきから言って女性のようだが。

それにしても中二病とは伊集院光もうまい言葉を考えついたものだな。
確かに中学2年のころは、リングに懸けろやガンダムの台詞を友達と言い合いしながら遊んでいた記憶がある。
不思議なことにすごく鮮明に覚えているものだ。
あの頃は子どもって言われるのが、悔しい年頃だったっけ。


難しい言葉を使って、暗喩や韻を踏めばかっこいいと思っていたあの頃。
ラップをやる奴なんぞもある意味ずっと中二病じゃないのか。

黒ビールをグラスに注いで出すと、その客はローブをたくしあげて顔を見せた。

女…いや男だ。

緩くウエーブのかかった金髪に琥珀色の瞳。切れ長な目に形の良い鼻。
世間でいう美少年といったところだ。
恐ろしく綺麗な青年だった。

日常において、一般生活者はそうそう美麗な人には出くわさない。
モデルなどスポットライトを浴びて、その場にいるからこそ輝きを放ち、各種媒体に映えるように創りだしているものだ。稀に例外的な人もいるが、そんなのは万人に一人いるかいないかである。
そんな場にいなければ、まず見ただけでため息のでるような人間には出会えない。
その場で創りだされる雰囲気も加味されて、そのほとんどが麗人たりえるのだ。

その万人に一人が目の前にいる。
バラが似合う男は1万人に一人だというがまさにそれだった。

三浦がこの場にいれば卒倒するレベルであろう。

美青年はビールをひと口飲むと、グラスの表面についた水滴を指で拭き取りながらつぶやいた。


「いよいよ辿り着く…闇の眷属たる忌まわしき者が。叙事詩にあるコクーンの積み上げた地位の終焉とともに…」

私は聞かないふりをした。
つきあってられない。

間違いなくこいつの頭は、びっくるするほどユートピアに辿り着いてるようだが…。
顔は美しいが、頭は残念な奴らしい。

というか、そもそもこいつ未成年じゃね?
酒を出していいのか私…と、思ったが、考えてみればここはゲームの世界だった。
だからまぁいいよね。テヘペロ。

とにかく、こちらから話しかけるのはやめておこう。
それでなくても最近寝不足だしな。

このようなロールプレイもありっちゃありなんだが、ものには限度っちゅうもんがあるぜよ。

そう言えば…私も信オンをやり始めた頃、調子に乗って野良徒党で侍言葉を使ってたなぁ。
「かたじけない」とか「拙者は〜」とか。

うわぁぁああ!!こっぱずかすぃ〜〜〜;あれでどん引きされて止めたんだっけな。
今思い出しても身をよじるほど恥ずかしい。
いい年したおっさんが調子に乗るとろくなこたぁないわ。

ともかく…こいつはそっとしておこう。
触らぬ神になんとやらだ。

こいつはこれから中二君と呼んでやろう。
どうせ、キラキラネームばりの ギアス・ルシルフルとかエルフェンリートとか言うネームだろう。
聞くのもだるい。

中二君はしばらく黙ってグラスを傾けていたが、時折私に語りかけるでもなくつぶやいている。
要するにRPに酔っているのだ。

たまに私を見ながら、つぶやきを投げかけてくる。
その度に私はあいづちを打つのだが、正直だるい。

さすがにこのような客の対応は疲れる。

しかし…物憂げな横顔を見ると、やはり男の私が見てもほれぼれするほど美しい。
私はホモではないが、男でも美しいものは美しいわけで、それは性別とか超越した賛美だ。
年頃の娘が近くにいたら、さぞやと思わんばかりである。

…口を開かなければね…。


「マスター」

中二君が口を開いた。

「はい?」


流れるような金髪を掻き揚げながら、私を見る。
中二のくせに妙に色気があるのが小面憎い。

フッと鼻で笑うと、ビール代をカウンターテーブルに置いて、また意味不明な言葉で語る。

「ふふ…。時を経ずして2つの針が示すデスティニアだ。神を喰らい、最強になった私は我が魂の帰する場所に帰らなければ…そう神が定めたのならば存在しえぬ。まさに美味であった」


これは多分…ごちそうさまと言っているのだろうか。
私は困惑しながらも軽い会釈で応えた。

ダァアアーーーン!!!


中二君が腰をあげた瞬間、ドアが破れんばかりの悲鳴をあげながら開いた。


「こんただとこで油うっとうとか、ぬしゃ!!」


怒鳴りながら、けたたましく入って来た恰幅の良いおばさんが、中二君の耳を引っ張り上げる。

「な、なにをする;人類の運命は未だ体内に水分を蓄えているはず…いや、むしろ………それが神に定められた限界だが。…これは…クリスタルの輝きは闇のオプティマ…」

「こん、ごんたくれ!クリスタルだのオプティマだの、そんただわけわからんことさ言いおって!ほら、さっさと帰って風呂掃除するだよ!!」

「て、いてててっ;かーちゃん、痛いよ痛い;わかった、わかったから…」


中二君は、おばさんに引っ張られて帰っていった。

私は台風のような出来事にあっけにとられてしまい、しばらく声がだせなかったが、堪えきれずに大笑いをした。

「ったく、あの中二小僧だきゃぁ…w。何がクロスヴィールシだよ(爆笑。馬鹿がw」


ジャイアンがかーちゃんに怒られるシーンまんまじゃねぇか。
RPも親にかかっちゃ形無しだ。

あの姿を思い出すと、するめのように可笑しさが染み出してくる。
まったく…、中二病もほどほどにと言うことだな。

ん…!ちょっと待てよ…。

私はある考えが頭に浮かんだ。



深夜になり、客も引けて来た頃、古い馴染みの西武門さんが来た。

「凸さん、ハイサイ!」

「めんそーれ!しばらくぶりだね西さん」

「ほんとしばらくですねぇ」

「俺も沖縄とかでのんびりしたいとこだよ」

「いつでもいらしてください!面倒は見ませんけど(笑」

「おい、ひでぇな(笑」

「冗談ですよ。じゃあ、まずは黒ビールを…」


その注文に私は、チッチッチッと人差し指を出して、お決まりのメトロノームの所作をする。

メニューを見せて、一番上に書かれた文字を指差す。

「クロスヴィールシね。かしこまりました」


まったく。中二病もほどほどに、だな。


【終】
スポンサーサイト

テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

コメントの投稿

非公開コメント

No title

中二君のオカン、、、わったーオカンが突撃してきたのかと思ったwwww
裏口から逃げるよ逃げるwwww
ジュゴンの肉、、、美味いらしいんすよ、、、w
辺野古じゃ貴重な肉らしいっす、、、今度食わせてくれる店探しに行こうと思います!

No title

>いのきさん
母なる神の召喚獣を従えるサク=テキアビリティすげぇ…クク……フハハ……!
http://racing-lagoon.info/nomu/translate.php
↑ここで変換した結果w

母ちゃんの索敵能力すげぇ!
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ
リンク
最新コメント
ブログ内検索
RSSフィード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。