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突発的なオンライン物語 僧兵居酒屋物語



沈む夕日にほーほけきょ。
暮れる甲府に灯が灯る。
帳が降りて表通りは慎ましくも少しだけ煌びやかに彩られる。

交易屋の親父が伸びをしながら、仕事の終わりを告げていた。
その向かいに僧兵居酒屋はある。

暖簾に「往生」と書いてある。
意味はよくわからないが、察するに往生するまで飲めということかもしれない。

龍尾凶助。
知人からはタツヲと呼ばれる僧兵くずれの男がその店をやっている。

タツヲは既に僧兵をやめている。やめてこの店をだした。
炭を掘りまくって腰を痛めて戦闘ができなくなった。
もう僧兵としての動きはできず、やれることと言えば踊り念仏と暴れん坊ぐらい。

タツヲは袈裟を脱いで、坊主をやめた。
脱サラである。

悔しい気持ちはある。やり残したこともあった。
しかし意外に清々しい思いだった。

もう、「極楽改だけよろ」とか言われなくてもすむ。
そして炭山で青だし一か月放置で頬を涙で濡らすこともないのだ。

タツヲは貯めた金で間取りは小さいが表通りに店も出せた。
ここから第二の人生を始めよう。
タツヲはそう決心したのである。

でもちょっと寂しいので猫を飼うことにした。
知人の番の猫から生まれたのを一匹ひきとった。

名をひたぎと名付ける。以来、ひたぎはタツヲの唯一の家族となる。
客もひたぎを可愛がりマスコットとなっていた。
寝る時にはいつも傍らにいて、就寝する時には「おやすみにゃん♡」と声をかけていた。
猫を飼ったことのある小生でも猫言葉を使っていたのでよくわかる。
それにしてもきもい。いいおっさんが猫語とか人に見られたら自殺ものである。

さてブランニューへビーズがかかる狭い店内。
仕込みをやりながらいそいそと動かす手が止まる。

客だ。

「らっしゃいー」

夕刻になると、暖簾をくぐって常連客が来る。


「ち〜〜っす」

「なんだ、お前か」

ちゃらい挨拶をして入ってきた若い衆。
鍛冶屋のカタソバと言う馴染みだ。

戦場では2垢で僧兵さくらと言う上杉側では忌み嫌われた通り名を持つ。
レスキルの達人であった。

何かとタツヲを兄貴のように慕っている。
タツヲも多少疎ましくは感じつつも、弟のように懇意にしていた。


「タツヲさん、今日何がおすすめ?」

「んー、今日は僧兵の炭火焼きの炙り肉とぶりの極楽煮だな」

「じゃそれちょーだい。後、酒ね」

「あいよー」

手際よく味噌をつけた肉を置いて内輪で扇ぎ、片方でブリ煮が入った鍋に火をつけた。
棚に置かれた一升瓶から銚子に酒を注いで猪口を出す。

一杯目はタツヲが猪口に注いでやった。
こぼれそうになるくらい勢いよく注ぐ。

「おっととと、もったいない」

カタソバが急いで猪口を口に運ぶ。
ぐいっと飲み干すと後は手酌でつぎたしはじめた。

「へへへ…。この一杯のために仕事をしてるようなもんすねぇ」

「今日は早いな」

「今週はまぁ早上がりできますけど、来週から糞みたいに忙しいでやんす」

「忙しいのはいいことだ。忙しくないのが一番困るだろ」

「えー、嫌っすよ。残業ばっかで身体が持ちませんよ」

「PGの仕事なんざ当たり前に残業するだろ」

「去年の残業時間は50時間くらいっすよ。それでも多い」

「あほかおめー」


カタソバは頭を掻きむしりながら、ため息をついた。

「ああ、嫌だなぁ。来週がこなけりゃいいのに」

そう言いながら、今度は舐めるようにちびちび酒をすすっている。
タツヲは呆れ顔をしながら、炙り肉を皿に乗せて出した。

カタソバは目の前に置かれた炙り肉を見ながら怪訝な顔をしている。

「なんだよ。どうした」

「タツヲさん、これ炭火の炙り肉っすよね」

「んだ」

「タツヲさんが掘った炭っすよね」

「もちろんそうだ」

「僧兵の涙にぬれた炭…。この肉、しょっぱそう…」

「泣かすぞこの野郎」

そう言いながらも目は笑っている。
いつものやり取りだ。

タツヲはふと遠い昔を思い出した。

炭山にこもってスクワットを続けた日々。
まるでボクサーが減量をするかのようなストイックな日々。

炭だけたまって知人は増えず。それが昔の僧兵の宿命だった。
おいしい狩りには誘ってもらえずボス戦なんかは極楽と往生。

今でこそ僧兵はオールマイティな立ち位置にはなってはいるが、
風雪の時代を過ごしてきた僧兵などほとんどいなくなっている。
かくいう、自分ももう僧兵ですらないわけだが。

タツヲは在りし日の回想に目頭が熱くなった。

「あれぇ?タツヲさん泣いてるの?」

様子を見ていたカタソバが声をあげた。
知らないうちに泣いていたようだ。
最近、なぜか涙腺が弱くなって来ている。
ちんぽも硬度が下がっているし、現役を退いて確実にやわになっているようだ。

タツヲは涙をふきながら怒鳴る。

「なっ、泣いてねぇ!これは汗だ汗」

そう誤摩化した。まだ自分の中にはくすぶったものがあるようだった。

しばらくすると、暖簾をくぐってきた客がある。

知人の織田の藤川みさおだった。
みさおはいつも暖簾を少しめくりながら、中の様子を確認して入ってくる。

客が多いのが苦手らしい。
タツヲの店にくるのは決まって織田の会議が終わった後である。

「もー最悪!!」

いきりたちながらカタソバと一つ席を開けて座った。

また…会議でやらかしたか。
タツヲは毎度のことながら国政にここまで必死になれることに感心する。

「またトラブルでもおこしたかい」

タツヲは苦笑しながらおしぼりを渡す。

みさおは、眉間に皺を寄せながら鼻息を荒くしている。

「ちょっと!トラブルってあたしは関係ないわよ。一方的に絡まれたの!」

「まぁ…いつもそーいってないか」

「なんでこう、いつもいつもあたしばかり;嫌になっちゃう」


みさおは、うんざりしながら「お酒!」と 叫んだ。
こりゃまた朝駆けコースか…とタツヲはうんざりした。

みさおは、とにかく狩りやクエより会議である。
1に会議2に会議、34がなくても5に会議。
とにかく会議の鬼であった。それも織田の会議に限られているが、とにかく織田を愛しまくっている。

以前、武田が天下統一をした時に、ひらめいてる旗を見て泣いた。
なぜ、あれが織田の旗ではないのかと悔しい気持ちで眺めていた。

織田のためなら死ねる。
そんな女である。

タツヲには到底考えられないが、確かに自分も所属するのは武田以外は考えられない。
そう考えてみると、自分にも一辺の帰属意識があるということだ。

カタソバがそんなみさおに声をかけた。

「みさお姉さん。まぁ落ち着いて。そんな興奮してると更年期障害かと思われるってばよ」

空気が凍った。
コンマ数秒のエクスタシー。カタソバの言葉がディメンション・フリーズを起させた。

みさおは、ゆっくりとカタソバを見ると、ニッコリと邪悪な笑顔でカタソバを睨んだ。

「ソバさん、いっぺん死んで見る?っていうか死んで!いますぐ死ね」

「俺死なないっすよ。俺つえぇっすよ!」

「うるせーバカ死ね二度としゃべんな!」

「ひどい…;」

意気消沈しているカタソバは小さく肩をすぼめて煮付けをつまみだした。


タツヲは触らぬみさおに祟りなし。
触らぬちんぽに藤井あり。

とにかく反論すると10倍になって帰ってくるので、黙って聞き流すのが懸命である。

みさおに酒を出してやると、みさおは勢い良く煽った。

「だいたいねぇ…」

でた。毎度恒例のみさおの弁舌が始まる。
もうパチのAKBの重力シンパシータイムのようなものである。

「なぁ〜〜んで毎回毎回あたしが悪者になってんのよ。ねぇ、タツヲさんおかしいっしょ!」

「そりゃぁ、みさおさんだからじゃないの」

「なにそれ!」

「絡みやすいんだろう。そーいうキャラしてるし」

「理不尽だわ、不愉快だわ、テルマエロマエだわ」

「最後のはよくわからんけど、ゲーム内のプレイヤー間討議なんて理不尽なものさ」

「はっ、もしかして…」

みさおは何かに気がついたように口をおさえた。


「なんだね」

「その…ほら、あたしに気があるから絡んでくるとか…。男の子ってそうじゃない?気がある子をついついいじめちゃうみたいな」

みさおはそう言って頬を赤らめた。

「……」


タツヲとカタソバは無言で下を向いている。

「たぶん…今頃あたしの名前を叫んで泣いてるのかも…」

想像した。

タツヲは想像した。

みさおに絡んで?叫んでいる男の顔を。

dauon


「ねーよwww」

タツヲはぽつりと言うと我慢しきれず爆笑した。
カタソバと一緒に腹を抱えて大爆笑した。

その夜、タツヲとカタソバはみさおに顎を砕かれた。

二人ともに全治一か月であったという。


【おちまい】
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テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

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No title

>マソ君
ざ〜んねん!はいおしま〜い(ヤサカ調

>みさおん
欲しいのは皇潤か!あ、あれ高いわw

No title

あらやだ凸さんたら
みさおーって叫んで泣いてもいいのよ!
ホラホラ!恥ずかしくない~^^
そういえば誕生日プレゼントは絶賛受付中です!^ー^ノシ

No title

女型のみさお

僧兵さくらって、カタヤキソバだちぁたののおお!
リア美だと思ってたのにショッキングしこ菌
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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