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鬼の胃袋フドウのかずは




秋の夕暮れをなんとなく散歩している。
遠方に見える秋の山々は紅葉に色づいて何とも見事な美しさだ。

天高く馬肥ゆる秋。
そう、食欲の秋である。

食欲と言えば思い出すのが、妹分である薬師の不動一葉(かずは)である。
とにかくよく食う女である。
よく食う女はいい女と言われているが、いくらなんでも限度があるでほんま。

トンカツ、ステーキ、餃子にレバニラ。これらを一気に平らげる。
親の仇とばかりに食って食って食いまくる。
奴の胃袋は宇宙と繋がっているのではないかと疑うほどだ。
故にバキュームと名づけているが、奴にはそれが不服らしい。

そんなことを、つらつら考えながら歩いていくと、前方に倒れている女を発見した。

「おい、どうした?」

駆け寄ってみると、なんとかずはである。

「にぃ…に…。たす…けて」

見ると、やつれた顔で助けを求めている。

「どうした?山賊にでも襲われたか!」

「いや…。お腹…お腹が空きすぎて…」

「相変わらずだな…。しかたねえな、これ食え」


俺は持っていた行季飯を与えた。

かずはは狂気しながらかぶりつき、口の中にほおばる。
たちまち、5つの行季飯がかずはの胃袋に消えた。

「落ち着いたか」

「…全然足りない」

「……こいつ」


俺は呆れてすたすたと歩いていくが、かずはは捨てられた子犬のような目をして腹を鳴らしている。

「……しょうがねぇなあ、もう!」

頭を掻きながら、携帯で三浦に電話をかけた。

三浦は甲府で「無尽蔵」という料理屋を営んでいる侍だ。

「無尽蔵」はとにかく不味いと評判でだが、とにかく安い。
しかも、不味いわりには食った翌日には身体の調子がよくなるという噂だった。

俺も一度、奴の料理を食ったが泣きたくなるほど不味かった。
アントキノいのきさんがわざわざ、他鯖から食いに訪れたそうだが、2013年を代表する料理としては記念すべき不味さだとぼやいていたと言う。

3回のコールで三浦が出る。

「よぅ、とっつあんか。何用だ」

「三浦、すまんがよ。かずはは腹減らして泣きじゃくってるんだ。何か食わしてやってくれ」

「ほぉ…。俺の飯を食いたいのか。命知らずだな、かずはちゃん」

「とりあえず、豚のように食うから料理をたんと用意しといてくれな」

「まかせとけ!腕によりをかけないぜ」

そこは少しはかけろよと思うが、三浦のポリシーは揺るがない。
不味さ一筋30年。信念があるらしい。

かずはは一歩も動けないらしく、しょうがなくおんぶをして甲府に向かう。

「おい、かずは。俺よりお人好しのゲイが飯を食わせてやるとさ。それまで辛抱しろ」

「ふぃ〜。お腹減ったぁ…」

「やれやれだぜ…」


「無尽蔵」に着いた。

「ほれ、かずは。着いたぞ」

「いやっふぅ!ご飯ご飯ご飯!!」

かずはは俺の背中から飛び降りると、小躍りしながら店に飛び込んでいく。

「一歩も動けないじゃなかったのかよ」

やれやれと思いながら、店に入ると三浦が仁王立ちしていた。

6人掛けのテーブルには、まるで満漢全席のごとく数々の料理が並べられている。

「来たか、かずはちゃん。さぁ思う存分俺の料理を食え!」

「三浦兄さんー!ありがちょー」


そう言ってテーブルに座ると、貪るように食べ始めた。
肉、野菜、スープ、果物。山と積まれた料理の数々がかずはの胃袋に消えてゆく。

初めは笑いながら見ていた三浦も、徐々に顔色を曇らせる。

「俺が言うのもなんだが…俺の料理をここまでたいらげるとは…やるじゃねえか!コスモを感じるぜ」

興奮した様子で目を丸くしてかずはの所行を見つめる三浦。
まさにかずはは食のゴールドセイントか。

三浦の料理は不味い。これはまぎれもない事実だ。見た目はたしかに美味そうなのだが、超絶に不味い。
しかしかずはは意にも介さず、次々と口にほおばり詰め込んでいく。

おかしい。三浦の料理は逸品食っただけでも、テガミバチのシルベットの作るゲボマズスープに匹敵するというのに。

かずはのその表情は幸せに満たされている。

「もしかして…美味しいのかな」

かずはを見ていると、そんな錯覚にすら陥るのだ。

「確かに見た目はいいし…いい香りだな。どれ…」

俺はテーブルの端にあったシチューをスプーンで掬って口にいれてみた。

「ぐあっッ!!!!まずっ><」

やはり不味い…。泣きたくなるような不味さだ。
これを哀しみの味と言うなら、まさにこれがそうだろう。
地獄の鬼でさえ逃げ出す不味さだ。

「ふぅ…」

かずは腹をさすりながら一息ついたようだ。

テーブルの上の料理はあらかた食い尽くしたようである。

三浦が呆れた顔で言う。

「まぁ…量もさることながら…。俺の料理をここまで平らげた奴はかずはちゃんが初めてだぜ」

「かずは、美味かったのか?」

俺は困惑しながら聞いてみる。


「ううん。ものすっげえまずかった」

ですよねえ…。

この料理が美味いとか抜かす奴がいたら、味覚音痴どころではない。

三浦は満足そうに腕を組んで大笑いをした。

「そうか。まったりと舌にとろけるか」

三浦は酷評には慣れているので、「不味い」という言葉はある意味褒め言葉だ。

「まぁ、俺の料理をここまで食うとは、かずはちゃん。あんたいかれてるよ」

「すごく不味いけど…美味しかったよ三浦兄さん!」

「というか…そんな不味いもんを意図的に出すんじゃねーよ」


とにかく、かずはの胃袋は満たされた。

三浦も頷きながら満足そうに俺の肩を叩く。

「とっつあんよ。小学生は最高だな!」

「いや関係ねーしそれ」

「さて…じゃあ本日のお会計だ。毎度あり」


三浦はそう言って伝票を押し付けた。

長ったらしい伝票の最後の合計を見て、俺は目を疑う。

50万!?


「おいおい、三浦よ…。友達値段でこれはないだろう?なんだよ50万って…」

「あのなぁ、友達値段だから半額なんだぜ?ワイルドだろぉ?」

「値段をマイルドにしてくれよ。金なんざねぇし、かずはが食ったんだからかずはに請求しとけ」

「かずはちゃん?もういねぇよ。満足したんで家に帰るって出てったぞ」

「なんだとぉおお!!あの野郎〜〜〜!」

「さぁ…払ってもらおうか。いくら友人でもきっちりしなけりゃなこーいうのは」

「…金はねぇ。すまんツケだ」

「ツケはきかんようちは。カードもだめだ」

「ない袖はふれねえよ」

「じゃあしょうがないな…。身体で払ってもらうか」

「ひぃっ!!ま、まさか…」

俺は咄嗟に尻を抑えて後ずさった。

「勘違いするなよ。向こう1年ただ働きでここで働いてもらう」

「え〜〜〜〜;;」


一月後、「無尽蔵」で鍋をふるう俺の姿があった。

三浦が怒鳴る。

「おい、とつっつあん!こりゃ茹で過ぎだよぉ。あんたの茹でる卵は茹で過ぎだってんだよぉ」

かずはは、食の探求だと言ってイタリアに行ってしまった。
風の噂ではフィレンツェの紅の豚と呼ばれているらしい。

さあ食欲の秋である。食べて飲んで歌って踊れや踊れ。

まぁ…俺は病み上がりで食事制限かかってますけどね…。

(。´Д⊂)うぅ・・・。


みんな豚になっちゃえー!

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テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

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凸さんのおしりが凹になってしまうのか…

( ̄∇ ̄*)ゞ

さっすが三浦おにいちゃん!
ぬかりがないねっっ!

にぃに、、、南無南無(^人^)

No title

>三浦
なにそれ怖すぎw

No title

1年間当然その まさか も付いてるぞ!

No title

>かずは
三浦の料理が不味いかどうかはともかく

食い過ぎやw

はっΣ(゜Д゜)

今日のお昼が、ヤマザキのランチパック3袋だったのがバレてる???!!!

ちなみに、ボロネーゼ味と、焼そばUFO味と、4種のおいしさミックス

ぷふぅ~おなかいっぱい♪(о´∀`о)

プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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