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むらむすめの非日常的なもの

bbbbyhnx

7月になった。
梅雨明けはまだ先だが雨が少ない。

ありがたいことに街道の道もぐずってないので歩きやすい。

地獄突は名所廻りをしている途中だった。
やることがなく適当な暇つぶしだ。

すると近江の関所を抜ける手前の茶屋で知人のむらむすめを見かけた。

椅子にちょこんと腰掛けて書物を読んでいる。

「やぁ、むらさん」

そう声をかけると、むらむすめは顔をあげずに左手を出して何かを制するポーズをとった。

「ちょっと待ってください。今、ファーディナンドとミランダが出会うすっごくいいところなんです」

「それは…テンペストか?」


その問いに答えず無言でむらむすめは書物に目を落としていた。
一心不乱とはまさにこれと言わんばかりに。

しばらくして、地獄突が椅子の端で茶を啜っていると、ふぅっと溜息が聞こえた。
むらむすめは、本を膝の上において目をつぶって満ち足りた表情をしている。

「読み終わったかね?」

むらむすめは満足そうな笑顔を浮かべながらこくんと小さく頷いた。


「すみません…。ご挨拶もせず。うち書物を読むと夢中になってしまって…」

「構わんさ。しかし、外で読書とは酔狂だな。いつ雨が降るかもしれんのに」

「予報では今日は夕方までは大丈夫とのことでしたので」

「あてにならねぇしなぁ。最近の天気予報は」

「あらためまして。お久しぶりです内田さん」

「誰だよ内田って!俺は地獄突だよ。忘れたのかいお嬢さん」

「ああ…そうでした。すみません、うち最近おじさんの名前は覚えられなくて…」

「さらっとひでぇこと言ってるぞ;」

「冗談ですよ(笑。それにしても突さんがテンペストを知ってるとは思いませんでした」

「へへ。こう見えても俺はインテルなんだ。それに図工は5だよ」

「…あえて、つっこむのはやめておきますね」


曇天だが、吹く風はもう夏のそれである。
むらむすめは、風に乱れる髪を掻き揚げながら皿に残った団子をほうばった。

「もぐもぐ…。それで…突さんは…どちらに?」

食べながら細切れに話しているのを姿はうさぎかリスのような小動物に見える。

「んーあー。暇潰しに名所廻りってとこだよ」

「名所…。それはまた風雅ですね」

「藤井さんを誘ったんだけどさぁ。それどこじゃねえって断られたよ。新章に向けて色々忙しいらしい」

「ああ…。出ますものねえ。新パッケージ。レベル開放もくるのでしょ?」

「らしいねえ。あとはオープンバトルもあるらしいが…。こっちまぁ、あまり期待できそうもないが(笑」

「そうなんですか」

「FFとかのようなオープンバトルじゃないだろうとタツヲが言ってた。よくわからんけどねい」

「今さらアクティブなオープンバトルなんか、うちはとてもついていけませんね…」

「俺も無理だなぁ。戦闘中にトイレもいけない仕様は辛い」

「信オンはコマンド入力すれば、ちょっとの間なら席を離れられますしね」

「そーいうまったり感になれたらもう複雑で忙しいのは無理だぁね」

「同感です。でもFFも新しくなったしそっちへ移動する人もいるんでしょうね」

「俺も僧兵タツヲんちでちょっと触ってみたけど…。まぁグラはやはり秀逸。それにジャンプできるね」

「ジャンプ?」

「ジャンプして囲いを乗り越えたり…。女キャラだとジャンプするとパンツ丸見えだな」

「……試したんですか?」

「まぁ…。しかし別にどうということはない」


しかし、むらむすめは、身を引いて地獄突を眺める。
ドン引きしているのは明白だった。


地獄突はあわてて、かぶりを振って取り繕うように言い訳をする。

「ちゃうちゃう!ちゃうねん。タツヲのせいやで。とりあえずタツヲが試しにキャラ設定からやってみぃと。パンチラ見たいわけやないで、ほんまやで!」

「何故に関西弁…」

「とにかく…FFみたいなのは無理ってことよ。それに俺はこの戦国世界は嫌いじゃないしな」

「もう10年ですものねぇ…」


地獄突は頷きながら、ある言葉が口に出そうになった。

「皺も増えるよなぁ。俺もあんたも!わっはははは!」


しかし、さすがに口をつぐんだ。この失言は命にかかわる。
藤井の場合、尼さんになぐられるのはご褒美になるが、地獄突の防御力は藤井のような硬度はない。

僧兵であるむらむすめに殴られたら、昏倒だけでは済まないだろう。
ハッキリ言って地獄行き。

地獄突はあわてて話題を変えた。

「とっ、ところで、妹のかずはが「油ソバ屋」を甲府に開店したらしいだが…。どうだい、暇ならちょっと行ってみないかね」

「油ソバ?ラーメンですか?」

「スープのないラーメンだと思えばいいよ。割引券もあるんだ」

「へぇ…。面白そうですね。行ってみようかしら」

「よし、では行ってみるか」」

「はい!」


地獄突とむらむすめは早馬で甲府に向かった。

甲府の門前に着くと、何やら人だかりができている。
人だかりの中央には、屋台が出ていて、赤暖簾に黒文字で「油屋」と書いてあった。

「あれか…。えらい盛況だな」

地獄突が感心して見ていると、並んでいる行列の中に顔見知りがチラホラいる。


「あっ!佐渡先生。それに斬さんや木乃や平もいるぞ」

「皆さん、ラーメンが好きなんですねえ」

「しかしこれではかなり待たなければならないな…」

「ですねぇ」


列の最後尾に並びながら、ぼやいていると、地獄突は不意に肩を叩かれた。

「うん?」

「よぉ」

三浦だった。偽りの救世主三浦。

「とっちゃんも来たか」

「ああ。割引券ももらったしな」

「そっちのリスみたいな尼さんは?」

「僧兵のむらむすめさんだ。一度一緒にクエをしただろう」

「ああ…なるほど。ご無沙汰してます、甲府のジゴロ三浦です」

「あっ、はい。ご無沙汰してます。痔五郎さん」

「痔じゃねーし!ジゴロだ。ジ・ゴ・ロ!!とぼけた娘だ」

「とぼけてるのはお前の顔だろ」と地獄突は笑い飛ばした。

屋台を見ると忙しく動き回るかずはともう一人女がいる。

藤川みさおだった。

「げっ!なんで、みさおさんがいる」

そう叫ぶと、三浦がきょとんとした顔で地獄突を見た。

「何を言ってる。あの店は、かずはちゃんと、みさおさんの協同出資で始めたものだぞ」

「えっ!まじで!?」

「知らんかったのか。そして広報担当がマソだ」

「広報担当?なんだそれ」

「マソが全国を回って、油ソバラップって歌を作って宣伝してるらしい。最近話題だぜ」

「どんな歌なんだそれ?」

「俺も一回しか聴いただけだが…YO!HO! 閻魔も喜ぶ油ソバ! アブラカタブラ麺固め! とかなんとか」

「……溜息しかでてこない歌だな」

「でも今週の戦国オリコンチャート3位だぜ」


むらむすめが驚いて声をあげる。

「すごい!初登場3位!!」

「よくわからんけど、まぁすげえかも」

かずはとみさおは目も回るほどの忙しさで動き回っている。
ラーメン当たれば蔵が建つと昔は言われたものだが、あれでは身体がまいってしまうのではないか。
客に提供していくスピードが速い。まさに達人クラスである。

地獄突は、口に手を当てて何やらじっと考え込んだ。
悪い顔をしている。
そして、何かひらめいたかの如く、左の掌に握った拳をうちつけた。

「なぁ、むらさん」

「はい?」

地獄突は、むらむすめにひそひそと耳打ちすると、ドヤ顔をして鼻をならした。

耳打ちされて、むらむすめは何やら困惑している。

「でも…それは…」


三浦が訝しんで、どうしたと聞くと、地獄突は喜色満面の顔を浮かべてニヤニヤ笑っているだけだった。

「三浦、かずはとみさおさんのよろしく言っといてくれ」

「えっ?食べて行かないのか」

「ちょっと所用ができた。じゃまたな」

そう言うと、むらむすめを引っ張るようにして早馬の方面へ駆け出して行った。
残された三浦は、わけがわからない。

「なんだありゃ…」

相変わらず、てんやわんやの客の切れない屋台で汗を流すかずはとみさおは、
そんなやりとりなど知る由もなかった。


───3ヶ月後。

紀伊の雑賀郷にて、幻のラーメンを出す店があると世間の話題になっていた。

その名も「僧兵麺」。

店の名前は「むらちゃん」

濃厚な味噌豚骨。麺はコシのある太麺で、焼豚はとろりと溶けるようなブロック状の豚肉だ。薬味はメンマにモヤシ、ホウレンソウ、ニンニク。スタミナ抜群勢力抜群のラーメン。


もちろん、むらむすめが店長である。
グルメ雑誌や、食べログでも紹介され、小さい僧兵店長として一躍時の人になった。
タツヲが副店長になっている。

「水はただです。美味しい水ですよ」と過激な発言でも話題になった。

ステマ戦略で、FB、MIX、ツイッター、ブログ、2ch等々、ありとあらゆる手段を講じて宣伝をした。
タツヲをモデルにポスターも作り、「僧兵麺で俺は”タツ!”」というキャッチコピーが反響を呼んだ。

やらせやサクラで、僧兵麺を食べた寝たきり老人がビンビンになったとか、東大に合格したなど、誇大広告でセミナーも行なった。一種の宗教である。

広告塔は、ふぇいふぇいが担当する。僧兵麺の宣伝曲である「そうふぇいふぇーい」をリリースして、一気に戦国チャート1位に躍り出た。

誰もが僧兵麺を食べたがった。一度食ったらもう一度食いたくなる僧兵麺。
地獄突はプロデューサーとして、「僧兵麺」をラーメン業界のトップへと押し上げたのだった。

まさに僧兵麺は世界を席巻した。誰しも僧兵麺を食べたがり、信者は増える一方だった。

しかし…盛者必衰。世の流れはこってりからあっさりへ。
さらに、ヤミ献金、莫大な脱税疑惑、従業員の過労死などあいつぐスキャンダルで、
一世を風靡した「僧兵麺」ブームも3年で終わりを告げた。

一時は20店舗以上あった支店も次々と潰れ、遂に本店だけが残ったが、連日の閑古鳥。
むらむすめは、責任を感じて「名残惜しいけどこれで…」と頭を下げて店長を降りた。
今は実家で畑を耕しながら、プリンを食べてのんびりと暮らしているという。


暮れ6つの甲府の町。

かずはとみさおは、早じまいをして「油屋」の暖簾を下ろした。
屋台から、立派な門構えの店になっていた。今では従業員も常時6名ほどいて、絶えず連日繁盛している。

かずはが、暖簾をしまいながら「そういえば、にぃにはどうしたんだろう」と思い出したように言った。

「さぁ…色々失敗して借金取りから逃げて、1年前に伊賀で空き缶拾っているのをみた人がいるらしいけど…」

みさをが興味なさげにそう言うと、提灯の灯をおとして戸を閉めた。

「人間、地道に稼がないとね」

かずは言葉にうなずいて、みさおが笑う。

「マソさんも、実家に帰ってひよこの選別の仕事をしているらしいねえ。地道だわ」

「三浦の兄さんもゲイバー経営してるし、タツヲさんは焼鳥屋始めたし…。藤井さんはフィリンピンダンサーになったし。ツカさんはいまだに寝てるし。みんなそれぞれの道を歩いているのねえ」

「ツカさんは…歩いてるというか寝てるんだけど。にしても突さんは今頃どうしているやら…」


二人がしみじみ語っていると、がらりと戸を開けて入ってきた女がいた。
髪はぼさぼさ着物はボロボロ。まさに敝衣蓬髪である。

みさおが怪訝な顔で女に言う。

「あの…店はもう終わりなんですけど」

今にも倒れそうな女を見て、かずはは、あっ!と叫んだ。

「節子!節子やないか!」

「ああ、かずは…さん…。でも、うち節子じゃない…清音だよぅ…」

「清音たん!どうしたの?一体」

「突さんが…突さんが…」

「にぃにが!?何があったの」

この女人は武田古参であった霧島清音である。
清音の変わり果てた姿を見て、かずはは愕然とした。

丸三日食事をしていないというので、握り飯と菜汁を与えて、どうにか落ち着かせた。

一息つくと清音は茶をがぶがぶと飲んで、語り出した。

「突さんに騙されて、「双剣士茶」を売り刺そうと持ちかけられましてー。しかしこれが大失敗。そんで借金取りにまくられて夜逃げをしてきたわけなのです…」

「まぁひどい!」とみさお。

「にぃに斉藤…。じゃなくて最低…」

清音は尚も語る。

「突さんは言いました。「一発当てようぜ。この「双剣士茶」で天下をとるんだ。今は悪魔が微笑む時代なんだ」とかなんとか…ジャギ様のようにうちをそそのかしたのです」


「…前半部分は意味がわからないけど…それで突さんはどこに?」

「失敗して返品の山をほったらかしてHUNTERになるとかいって消えました!ぷんすか!!」

「まぁ!人間の屑だわ!」

みさおが憤ってカウンターを叩く。

「あっ、そうだ。以前、ここに来る事があったら渡してくれとお二人に突さんからの手紙を預かっています」

「えっ、手紙?」

「中身は見ていません。さすがに書いてあるのは突さんの本当の心でしょうから」

「……突さん」

「にぃに…」
 
二人はしんみりしながら封を切って手紙を読んだ。


===================================================

かずは&みさおコンビへ

やっちまったよ…。

vdbasdv a

===================================================


かずはとみさおは顔を見合わせると

「馬鹿だ…。馬鹿がいる!?」

そう言って大笑いをした。清音もつられて笑い転げた。

店の前を通りかかった人々は、中から甲高い3つの声が響いてくるので立ち止まって不審がった。

いまだに突の消息はしれない。
しかし必ずまた戻ってくるだろう。
藤井はそう信じていた。
フィリピンパブでダンスを踊りながら藤井は想う。

なにせ生命力だけはゴキブリ並に強い男だからである。



では、諸君。雨っぷりだが良き週末を。











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テーマ : どうでもいい雑記
ジャンル : その他

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非公開コメント

No title

美味い醤油トンコツが喰いたい。。。。

タスマニアには、そばも無いんよぅ(涙

あばばばば

>なかじょーさん
ご無沙汰しとります。お元気そうで何より〜。
こっちも稼動は怪しいとこですが、信で会えたらまたワイワイとやれますように!

>藤井さん
三浦はゲイでこそ輝く男だよ!ホモだと魅力半減。てかこえぇw

>かずは
お前は少し摂食しろw

>三浦
キノセイだ。気にするなw
俺が帰るまであの二人を頼む!

>むらさん
えっとー、タツヲが昨日オフラインイベントに参加した結果
僧兵の運命は…。
ともあれ、アンチブームはむらさんらしいですのうw

>烈風記者さん
ダウンジング吹いたww藤井さんはまじでやってそう!
しかし「地獄の鼓舞」からご愛顧のほど痛み入りますw

>みさおっち
拾わねーよw
今度横浜ラーメン驕って!

No title

ラーメンは味噌ですよ!
味噌~

空き缶拾うなら資源ごみの日がお勧め!@@;

空き缶をひろう凸さん。
かつて、そう、もうあれは8年前。
俺が2chに書き込んだレスを思いだした。
藤井さんはダウジングで山を徘徊とレッテルを貼り付けた。

なつかしい。
あの頃、俺のノブライフは、凸さんと藤井さんとイカリンへの憧憬で溢れていた。

梅雨があけた。
もう、世の中は

なつらしい。

栄枯盛衰、新章では僧兵麺の復権はあるのでしょうか(´・ω・`)
ブームにならなくても知人が時々来てくれる、そんなお店でいいと思います。

No title

あれ?
また俺がとばっちりを受けてる気がするんだが、気のせいだよな?

藤井さんも間違ってる!
俺はガチホモではない、両刀なんだよ!

おや?これなんて・・・


とんこつらーめんハリガネで!!!

にぃに。。。

落ちぶれたにぃに、、、あるある。

とんこつらーめんバリカタで!!!

No title

三浦さんのキャラが受けるw
でも三浦さんってガチホモなんだよね(((( ;゚д゚)))アワワワワ

No title

どうもご無沙汰しまくっております
梅雨が鬱陶しい時期でございますが 皆様お元気でお過ごしでしょうか

さて、拙者はしばらくお休みと抜かしておりながら、なんと2年半も音沙汰なしだったわけでございますが、PCcrashし信のパスとIDがわからなくなったとゴタゴタ続きで、まぁにっちもさっちも行かなくなったため、放置しておりました。

なんか、新しい章がでるようで、嫌な予感しかしませぬが、地獄突さんの御健闘を祈りつつ、ここらで失礼します。
復帰する機会があるかどうかはわかりませぬが、仮にその時がきた時はよしなに
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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