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梅雨の怪談3

車を走らせながら、エアコンを強めに調整する。
藤井はあいかわらず爆睡中だ。
時々、「マ、ママ…」とかわけのわからない寝言を言うので、気が狂いそうになる。
ハンドル操作をしくりそうで怖い。
後ろを向いたら、きっと吹き出してしまうだろう。

ワイパーの水を切る音がビシュッと軽快な音を立てるのが心地いい。
私はワイパーのビビリ音がとにかく嫌いだ。すげぇ嫌い。超嫌い。
ラジヲをつけると、青森の津軽三味線が聞こえてきた。
三味線もロックとのコラボをしたり、独特な「和」の音のありようを海外に向けて発信している。
なかなか、日本も捨てたものではないと勝手に憶う。

「青森県観光物産館アスパム」は、青森駅からすぐである。
むつ湾を望む埠頭手前に位置しているのでお手軽な観光名所と言うところか。

10分も走らずに現着した。

「おい、着いたぞ大将」

私はダルマのように寝ている藤井に声をかけた。
しかし、彼は泥のように眠っている。大方、昨晩に酒をかっくらいながら信オンで夜更かしをしていたのだろう。

私はとりあえずそのままにしておこうと、一人でアスパムへ向かった。
ピラミッドのような外観を銀色の外装が覆っている。
生憎、雨振りの曇天なのでスクエアな外装はいささかシャープさを欠いて見えた。
晴天ならより壮観に見えることだろう。

お土産コーナーや、映画館、飲食店、展望台と様々な施設がある。
早い話が、観光向けの多目的ホールのようだ。

やはり平日と云えど、そこそこ人はいた。
エントランスを抜けて、2階の「青森体験ホール」を見てみることにした。

郷土の祭りや、ミニイベント会場があり、実演コーナなどをやっていた。
なんとはなしにそこ光景を見ていたが、あまり興味を惹くものではなかった。

とにかく、これからの予定を考えなければ。

よくよく考えてみるとだ…。

なぜ私はこんなことろにいる。積重なる日々の些末な出来事に辟易して、ヤケクソで藤井の提案に乗せられてしまっただけではないのか。
それってどうなの。それって日テレ。

別に青森くんだりまで来ることもなかったか。近場のラドン温泉でもよかったのではないのか。

天候のせいか、そんなネガティブなことばかり考えてしまう。

飯でも食おう。
そう憶った私は飲食店の集まるラウンジへと向かうことにした。

すると、後ろからいきなり両肩を掴まれた。

「!?」

振り向くと、藤井が不敵な笑みを浮かべている。

「突さん!置いていくなんてひどいじゃない」

「…びびった。起きたのか」

「まだ酒が残ってる。ちょっと気持ち悪い…」

「青森まで来て、オヤジ二人でこのざまか。情けない」

「突さん、どうでもいいけどエヴァには乗らんとってくださいよ」

「あれ糞つまんねーな。観ていてまったく意味不明」


よた話を切り上げて、ラウンジのみちのく料理店に入る。
そこで二人とも「縄文定食」というものを頼んだ。郷土料理定食らしいが、さすがに観光料金で1890円と値がはる。とは言え、ここまで来てせこい金勘定なんざいい歳をした大人がみっともない。


「で…これからどうする?」

私は味噌汁を啜りながら、藤井に聞いた。

「まかせてちょーちん!予定はばっちり決めてきたよ」

藤井は、リュックから何やらごそごそと取り出している。
観光MAPだろう。

「ほぅ…。なんだかんだいって考えてるねえ。どれ…」

私は感心して藤井の取り出したムック本を覗き込んだ。

njgvtt


「おい」

「ん?」

「藤井先生、なんすかこれ」

「何ってラーメンマップだよ」

「当初の杉沢村探訪のミステリーツアーはどうした…」

「ネットで調べてたら怖くなっちゃった;;」

「わろすwwww じゃねーよ!!なんのために青森まで来たとおもってんだ!ラーメン珍道中じゃねーんだよ!!」

「祟られたらやばし。軍曹ここは戦略的撤退を奨める!」

「だれが軍曹だ、だれが」


藤井はびびっていた。
いや、なんかおかしい。こんなビビリマンだったかこの人。
そもそも、前に見た時と顔が違う。顔が変だ。
目の前にいるこの男はほんとにあの藤井なのだろうか。

「ともかく…せっかくここまで来たんだ。跡地と言われるとこに行くだけ行ってみようぜ」

「まじすか;」

「まじ山まじ夫だよ」

「超悲惨;こなけりゃよかった…」

「おまえwwwwww」


飯を食い終わって、駐車場に向かうと雨は止んで雲の切れ間から日が差込んできた。

やはり天気が良くなると、気分も多少高揚してくる。
駐車場にいた大学生のサークル仲間と見えるの若い連中もわいわい言いながら雨が上がったことを喜んでいた。

とにかく小畑沢に向かうことにする。初志貫徹、どうせもう一生行く事は無いんだしな。
ネタでも拾わんと青森に来た意味がない。ネブタ祭りもまだ先だし。

車に乗り込もうとすると、藤井が運転はすると言う。

「大丈夫か?」

「運転していたほうがまだまし」

多少不安になったが、キーを渡して助手席に滑り込む。
不意にあのイケメンの言葉が頭をよぎった。


すべすべまんじゅうがに


いやいやいや;これは違う。
え〜と…

物見遊山で行ってもいいことなんざありませんよ

これだった。でもまぁ、ここまで来たんだ。
行けばわかるさ迷わず行けよと猪木も言っている。


禁断の地 小畑沢。そして伝説に消えた村。
雨上がりのさわやかな風が、顔をなぶる。

しかし何故か背中のあたりに寒気がするのは気のせいだろうか。
さっきまでの、藤井のびびった様子が感じられない。

覚悟を決めたのだろうか。青い顔をしながら運転している横顔は、やはり以前に会った時とはまったく別人の顔だ。

フロントウインドウから、流れ落ちていく雨の珠見つめながら、妙なざわつきが身体中を包み込んでいく気がしていた。

小畑沢まではあと数キロである。

【続く】



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テーマ : 雑記
ジャンル : ゲーム

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No title

>藤井さん
ふふふw

No title

杉沢村ガクブル
あそこはいっちゃいけねぇだ!
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
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