スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

梅雨の怪談2

新青森駅に着き、改札を出て駅前のレンタカー屋に向かう。
手早く手続きをすまして、藤井の到着を待った。

珈琲でも飲もうか。
細かく降り注ぐ雨粒を手のひらにあてながら空を見上げる。
曇天の青森。

hghfdfs


オカルトマニアの藤井にとっては願ったりの天候だろう。
タミーナルを見渡すと、人もまばらで閑散としている。
平日とはいえ…まるで都心から外れたローカル駅のイメージだ。

ぱっとしない。それが第一印象だ。タクシーなどは忙しく行き来をして往来を走り回っているが、洗練されているでもなく、さりとて古めかしい建造物も見当たらない。仮にも県庁所在地なのだからもう少しこう…。
しかし、地方都市なんざこんなものかと過度に期待しすぎた自分を恥じる。
別に駅探訪に来たわけでなし。

少しぶらついてみるかと、携帯していた傘を広げてアーケード方面へ歩く。

vbghmhuww



大通りらしき商店街には、そこそこ人が歩いている。
アーケードの庇に逃げ込んで傘を畳む。
雨は嫌いだ。
多少濡れるのは構わないのだが、手に何か持って歩くというのが嫌である。

煙草が吸いたくなってきた。
昨今の喫煙ブームと嫌煙家の大進撃で、喫煙者はまるで犯罪者のように隅へ隅へと追いやられている。
住みにくい時代になったものだ。

私に最初に仕事を教えてくれた先輩は、よく気取ってこう言っていた。

「クリエーターは煙草と珈琲がなくちゃあ仕事ができないものなのよ」

そう本気で言っていたFさんの顔が浮かぶ。
今、思えば吹き出すほど滑稽な台詞だが、上京したての21歳の田舎者にはまるで魔法の言葉に聞こえたものだ。

きついことを言う人だったが、根は優しく面倒見がいい人だった。
口は悪いが人を鼓舞するのが巧かった。周囲からはあまり理解されていなかったが。
今頃どこでどうしているのやら。

あと30分くらいか。
一服して珈琲を飲むには十分である。

歩いていくと、左に渋い喫茶店があった。
窓に蔦がからみついて、木目の格子に木造のドア。

「喫茶 タツヲ」と看板が出ている。

私はその名前が気になったので、ちょっと戸惑ったが、入ってみることにした。
ドア開けるとチリーンと転がすように鈴が鳴った。

奥にカウンターと4人がけのテーブル席が3つほどある。さほど広くない店だ。
客は2名いる。

手前のテーブルにいる鳥打ち帽を被った爺さんが、経済新聞に目を近づけて食い入るように読んでいる。
もう一人は奥のカウンターで背中を見せながら煙草を吸っていた。

真ん中のテーブル席に座りメニューを手に取った。

「いらっしゃいませ」

低いバリトンを聞かせた声でウェイターがカウンターからでてきた。
背が高い。190はあるのではないか。
白いフランネルのシャツに黒いスラックス。

モデルになったほうがいいくらいの容姿だ。
誰だったか…そうそう坂口とかいう俳優に似ている。
この男がタツヲという名前なのだろうか。

しみじみ思うのだが、なんで個体差の優劣が顕著にでているのか。
このような容姿に秀でたものを見ると、いつも人間社会に真の平等はないと思わせる。

店主のようだが、それにしては若い。20代後半ぐらいに見える。

「あー…ブレンドを」

「かしこまりました」

水とおしぼりを置いて、笑顔で一礼すると、イケメンはキリキリとカウンターへ戻っていく。
私にはわかる。これでも少しは武道をかじり、屈強なファイター達をみじかで見てきたのだ。
しなやかなバネとリズム感のある動き。
ゆったりとしていながら、大型の肉食獣のような力強さが動きに見てとれる。

さぞや、このイケメン目当てに店にくる若い娘が多いのではないかと勝手な邪推もするが、平日の店内は暗く閑散としている。

私はブレンドを運んできたこのイケメンに、話しかけてみることにした。

「お待たせしました。ブレンド珈琲です」

どこまでも爽やかだ。
都内でこんなコンビニ店員がいたら、すぐにモデルなどにスカウトされるのではないだろうか。

「ちょっと伺いたいのだが…」

「はい?」

「小畑沢までは車でどのくらいだろう?」

小畑沢とは、杉沢村があるとされている地名である。

「小畑沢…ですか。お客さまはどちらから?」

「ああ、東京からです。知人と一緒にね」

「あそこにお知り合いでも?」

「いや…ちょっとした酔狂でね。杉沢村とかいう都市伝説をネタに周遊してみようと」

「……やめたほうがいいですよ。物見遊山で行ってもいいことなんざありませんし」

イケメンウェイターの態度が、今までの爽やかなものから一片、硬化してしまった。
表情は冷たく軽蔑の眼差しさえ見てとれる。

「…あっ、そう…」

私はこれ以上のこの話題で会話をするのを諦めた。
都市伝説の類いなぞ、会話のきっかけの笑い話になるかとも思ったのだが、どうやら当てははずれたようだ。

「青森を旅するなら、そんなとこよりいくらでも名所がありますよ。楽しんでいってください」

イケメンは、硬化させた態度を戻して朗らかにアドバイスをくれた。
私は、少し軽卒すぎたなと頭を掻きながら珈琲を啜った。


駅に戻って改札に着くと、藤井が眠そうな顔で突っ立っている。
おや?と思った。
以前、会ったときとあきらかに顔が違う。
太って容姿が変わったわけでもないのだが…。

私に気がついた藤井は右手を挙げて挨拶をしてきた。

opyhjyfd

「突さん!おまたんこ」

「やぁ藤井さん。なんか感じが変わったね」

「えっ!そうかな…。前と変わってない気がするけど。って華麗に挨拶スルーされた件!」

「顔が信の足軽グラに似てるな」

「ははは、まぁ細かいことは気にしない!さ、行こう」

「うむ…ゆこう」

1,500ccクラスのレンタカーを借りたが、男二人じゃ十分のスペースだ。
近年のミドルクラスのファミリカーは非常にゆったりとしている造りになっていてありがたい。

「さて…まずどこへ行こうか」

助手席にいるはずの藤井に問いかけたが、姿が見えない。

「あ?」

後部座席を見ると、そのままグーと鼾をかいて寝ている。
だらしなくヘッドレストに頭をもたれて、口をあんぐりあけていた。

「こいつは…」

私は藤井に罵声を浴びせてた叩き起こした。

「んぁ…。えーと…むにゃむにゃというものが食べたい…うひひ」

寝ぼけている。

「うひひじゃねーよ!おっさん。杉沢村ツアーはどうした!?」

「ぐ〜〜〜。すやすや…」

「……本格的にスリープモードか。この外道…」

気持ちよさそうに寝ている姿はまるで隣のトトロだ。

私は馬鹿馬鹿しくなってきた。
発案者の藤井はもうすでにやる気がなさそうだ。

とにかくこの旅は気分転換するための休暇だぞ。
何も都市伝説のあるかなしかの村なんかに好き好んでいくこたぁないんじゃないか。

よし、青森名所めぐりといこう。
あのイケメンの言葉通り、青森の名所をめぐらず帰る手はない。

そう思い直してまずはどこへ行こうかと思案する。

ちと探して見るか。
カーナビを操作していくと、コマンド表示に市内の名所が表示された。

その中で「青森県観光物産館アスパム」という名所が出てきた。

展望台から、むつ湾を一望でき青森の最新情報を得られるスポットらしい。
まずはここに向かうか…。
あとは飯でも食いながら今後の予定を考えるとしよう。


私は小雨の降り注ぐ曇天の青森市内に車を走らせた。


【続く】

スポンサーサイト

テーマ : 雑記
ジャンル : ゲーム

コメントの投稿

非公開コメント

タツヲおにいちゃんってイケメソなの?!どうしよう!?

No title

>藤井さん
いるわけ
ないでしょw
創作率99%ですお!

No title

凸さん青森にいるの!?
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ
リンク
最新コメント
ブログ内検索
RSSフィード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。