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梅雨の怪談1

梅雨入りした関東地方にじっとりと湿った空気が纏わりつく。

このところ気が滅入ることが続いている。
そんな時、たまたま、伊豆在住の友人の藤井から電話がかかってきた。

私は不本意ながら友人に愚痴ってみたところ、じゃあ気分転換でもどうだと提案された。

具体的には?と問うと、藤井はわざと低い声で心霊ツアーはどうだいと言う。

私はあまりにもくだらなさすぎて「いいよ」と言ってしまった。
もちろん冗談だと思っていたからである。

廃墟ツアーや心霊ツアーなど、最近ではネタにもならない。
そっち方面の動画サイトやYOUTUBEなどには腐るほど心霊動画はある。

全てが…ということもないだろうが、ほとんどがデジタルによる加工や編集でどうにでもできる時代だ。
そも、精緻な写真のレタッチ作業などをよくやる私にとっては、そのほとんどが騙しだと断言できる。

が、人間の叡智を超える存在も信じてはいる。
所詮、人間の知識や見聞などで宇宙や生命の深淵を解き明かすことなどできないのだから。


私は上野駅の東北新幹線のホームに立っていた。
藤井とは、現地で待ち合わせて駅レンタで車を借りようということになっている。

現地とは、なんと青森である。心霊マニアの方にはピーンときたことだろう。
青森で心霊ツアーと言えば…

そう。地図にない伝説の消えた村。杉沢村だ。
藤井は、杉沢村ツアーで気分転換を計ろうというのだ。

杉沢村はフジテレビの「奇跡体験!アンビリバボー」でも特集されていた惨劇の村である。
かつて青森県の山中に存在したと言われる村である。

その村で惨劇が起きたのは、昭和初期頃となっているが、伝聞や口伝にすぎないので確かな記録はなく、現在は地図には存在していない。

事件の経緯は、津山事件で都井睦雄が起こした30人殺しと酷似している。
村の一人がいきなり発狂して村人を皆殺しにしたというものだ。

これは自殺した古尾谷雅人という俳優が主役の「丑三つの村」というタイトルで映画化されている。
実在した近隣の地名、真庭郡八束村の「八墓村」のモデルだ。

八墓村が杉沢村という噂も流れたが、これは何の因果関係もないということで単なるデマとされている。

苦手な人はとても行く気にはならないだろう。
祟りが怖いという信心深い人は、近づくのも憚られるだろう。

日本におけるホラーの原型は、古事記や日本書紀に多数見られ、そのどれもが陰鬱な怪異を記している。
内容はじめっとした暗く救いのないものばかりだ。

日本の風土には独特の怪しい湿りが存在している。
杉沢村もなんらかの事件の風評を経て、噂が肥大化したものと思われる。

戦後の混乱期で多数の記録が失われたというが、大体にそんな大事件が起きたらすぐさま新聞の一面であろう。
村人全員殺されて記録もないなんざありえない。

欧州のある悪魔崇拝を行なっていた村では、村人が一夜で残らずいなくなったということもあるそうだが、どうにもまことしやかだ。

そんなことをつらつら考えながら、青森行きの新幹線の中で駅弁をつまみながらビールを飲む。
藤井は1時間ほど遅れて到着するとの連絡を受けていた。

藤井は昨晩、信長の野望オンラインというネットゲームを興じて夜をあかしたという。
早い話が寝坊だった。

そういえば…

信オンでは、青森は南部氏の所領だったか。東北方面は実装はされていず、現状の地図には存在していない。
といっても、マップを拡大したところで肝心のコンテンツが斜め下では、プレイヤーのモチベも想起させることは難しいだろう。

そうこうしているうちに、うつらうつらと寝てしまった。
気がつけば既に盛岡である。

盛岡と言えば、名物は「わんこそば」。わんこと言えば、犬大好きのかずはを思い出す。
「かずはそば」と頭に浮かんだが、あまりピンとこなかった。

封を切ったばかりのフィリップ・モリスに火をつける。
吐いた煙をくゆらせて、少しのびをした。

青森まであと少しだ。新青森駅が終点である。

別に藤井の提案とする心霊ツアーが琴線に響いたわけではない。
単純に青森は私にとって未踏の地であったからだ。

ネブタ祭りも行ってみたいなと思いながら、時は過ぎてしまった。
親しい女性と行く機会もなく、私は歳だけとっていく。

青森に何があるのか前知識があまりない。わかるのは津軽海峡があるということだけである。
あとは、訛りがフランス語に近いということぐらいか。

アイフォンで青森の名物を検索して見る。

あ、りんごは有名だな。表示されている名産品に青森りんごがトップに出てきた。
あとは…いちご煮、八戸せんべい汁か…。

何かよくわからんが、とにかくせっかく青森まで来たんだ。心霊ツアーはともかく美味いものを食べて景色を眺めてリラックスしようと思う。

藤井さんは、疲れてるだろうから私が運転しよう。

アイフォンの画面を上下にスクロールさせながら、窓の外を見ると雨は一層ひどくなっているように見えた。
すると、アイフォンの画面がいきなり暗くなりブラックアウトしてしまった。

「あれっ?」

電源はさっきまで86%を表示していた。
バッテリー切れということはないだろう。

上部の電源スイッチを長押ししても、ウンともスンとも復帰しない。

「どうしたことだ、こりゃぁ」

私はあきらめて、少し放置することにした。
まぁ故障ではなく単なるOSのエラーだろう。
あとでまた電源をいれ直してみよう。

気を取り直して二本目の煙草を取り出すと、ライターで火をつけようとした。
が、今度は着火のローラが空回りする。何回やっても滑って着火しない。
100円ライターにはよくあることだが、それにしても昨日キヨスクで買ったばかりだぞ。
糞っ!
立て続けに起こる小さなトラブル。

私は暗雲立ちこめるこの旅に小さな不安を感じていた。


【続く】
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テーマ : 雑記
ジャンル : ゲーム

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No title

>藤井さん
どっちかっつうと富士五湖のほうがおっかない話が多いのよねえ
そして真っ暗な薮の中にぽつんとある便所がまじ怖いw
結石だったか!養生しなっせー

No title

でたぁ杉沢村wアンビリで夢中になってみた!鳥居とか怪しさ満点w

そして
結石 発見(*゚Д゚) ムホムホ
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
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