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藤井オブ・ザ・デッド

2014年。
地球に降り注いだ隕石によって、未知のウイルスが世界に蔓延した。

それは死体を甦らせるゾンビウイルスだった。

俺はGWに藤井さんところに遊びに行く途中でゾンビに襲われ、山に逃げた。
下田駅は既に動く死体の集団で埋め尽くされていた。

後ろで悲鳴がいくつも重なって聞こえたが、脇目もふらずに逃げ出した。
誰かを助ける余裕なんざ俺にはない。ゲームの中の主人公ではないからだ。

そんなわけで今俺は山の中にいる。
伊豆の山中で辺りは真っ暗だ。どこを歩いているのかもわからず、周囲には腐臭が満ちている。

藤井さんは無事だろうか。
まさか既にゾンビになってしまっているのかもしれない。

そんな不安がよぎる。

藤井さんがゾンビになったら、バタリアン藤井と呼んでやろう。

そんな愚にもつかないジョークを考えながら暗い山道をあてもなく歩く。

そもそも駅で襲われて逃げ出したはよかったが、まるっきり方向がわからない。
スマホも繋がらない。ネットも遮断されているようだ。

伊豆の山中でのたれ死にか。ゾンビにやられて死体で動き回るよりはましかもな。

これじゃあ、バイオハザードのラクーンシティのがましだ。
腹は減るし体力ももたねえ。

しかも、ゾンビになっているのは人間だけとか限らないわけだ。
ここらの獣だってゾンビ化している可能性もある。

くそ。せめて懐中電灯と武器があればな。

ゲーム内ではひゃっはーしながら無双していたが、リアルでこんな状況になってみるとあんなんできっこない。
せいぜい、殴って逃げるしかできねえ。

誰かが言ってたっけ。バイオみたいな状況になったら俺つええっすよ!とか。

あほかと。実際そんな状況になったら大概の人間は足がすくんで動けない。
目の前で刃物を出されたら、普通の人間だったらびびって身体がすくむ。
どんなに虚勢をはっても、危急の時にその人間の底がみえるものだ。
映画の中でおろおろしている主人公を見ているとイライラするものだが、パニックに陥ると思考は停止するし、あれが普通なのである。

漫画やアニメのヒロイズムなんざ妄想でしかない。

目の前にものほんのゾンビがいて果敢に向かっていける人がどれだけいるだろうか。
俺には無理だ。ただの民間人で銃も刀も持ってなく訓練されてもいない一般人なのだから。

とにかく水、水が飲みたい。喉がカラカラだ。乾いて候。
山には地脈の通り道がある。そこには純然と水の流動があるはずだ。

と、蟲師でいってたような言ってなかったような。
とにかく、山なら水は必ずある。

とにかく、まずはこの山中を抜け出そう。
視界が悪いし足下がおぼつかない。それだけで体力もかなり消耗する。

ん…。風だ。わずかだが風が吹いている。

間違いない。近くに川がある。

こう見えてもガキの頃は、田舎で山に川にと一日中遊び回っていたのだ。
都会暮らしで鈍弱になったとは言え、自然の匂いは記憶とともにしっかり焼き付いていて忘れる事は無い。

崖のような切り立った斜面を滑って降りていくと、ますます川の独特な匂いが強くなってくる。

斜面を降りきると、大きな石畳が重なる小さな沢があった。ちょろちょろと大きな岩の隙間から小さな滝が出来ている。

ありがたい。水だ。

俺は顔を岩にうずめるようにガブガブと飲んだ。
山の清水は天然水。藤井さんが前にわき水ポイントに案内してくれたっけ。
あれも冷たくて美味かったが、それに勝るとも劣らずこの水も美味かった。

辺りが青白くほんのり明るい。
雲に隠れていた月が出ていた。

月の光で照らされて岩の苔が発色している。
さらさらとした川の音がまるで砂の粒子のように具現化しているように思えた。
美しく幻想的な光景。
そして、もしかしたら俺がこの世で最後に見る美しいものかもしれない。

しかし今は世界がゾンビによって崩壊しつつあることなど、信じられない。
悪い夢のように思える。

いつものように、自分の部屋で目覚めたらなんでもない自分がいる。
なんでもない退屈な日常。辟易する平凡な日々。

しかし今はそれらがかけがえのない宝石のように思える。

涙がにじんできた。
世界は終わる。

あらゆるインフラは、ゆるやかに崩壊するだろう。
映画などでは細かく描写されることもないが、まずは水と食料。

旧約聖書にある未曾有のカタストロフが訪れるのだ。
これは人間という地球に生まれた最も忌むべき害悪を天が粛正しているのか。
或は人間が延々と行なってきた愚かな歴史への贖罪か。


長い溜息つきながら腰を降ろして思案に暮れた。これからどうする?そしてどうなる。
食料もない。スマホも使えない。

そうだ!LINEとか使えるかもしれん。

いや…そもそも電波が通じねえんだよ、あほか。
しかし、このままここにいたとしてもジリ貧だ。それに落ち着いてきたら身体も冷えてきたし寒い。

絶体絶命都市とか言うゲームがあったなあ。まぁ、ありゃ地震とかでの都市崩壊だからこの絶望的な状況より多少ましに思える。

電気もねえ。飯もねえ。あるのは草と水ばかり。オラこんなとこ嫌だ。

あ!そういや自衛官の兄貴が昔、青木ヶ原で演習中に一人迷子になったと言ってたっけな。


「山で迷ったらな。月が出てる方角へ向かえばいいのさ」

それを聞いていた俺はまじかよと茶化していたが、今なら信じられるぜ兄貴。

月の出ている方角へ向かおう。大通りに出れればなんとかなるさ。
その前にゾンビ共に捕まらなけりゃな。

腹減った…。

糞!こんなことなら地元のステーキ屋でサーロインの特上を食っておくべきだった。

おそらくだが、食料の流通経路ももう断たれるだろう。
そして、生き残った人々は我れ先にと食物を漁って溜込むはずだ。

自分さえよけりゃいい。
パニックになり自治の機能が停止すりゃ強盗や略奪も始まる。

まさに世紀末だ。はは…は…。


歩きっぱなしだったので、足が鉛のように重い。
疲れも手伝って眠気がさしてきた。

少し眠ろう。

もしかしたら…さっき思ったように全部夢かもしれない。
そうさ、きっとバイオをやりながら寝ちまったんだ。

そしてGWは始まったばかりだ。

藤井さんとこで…バーベキューを…みんなで…。


思考は闇に沈んでいく。そして全て消えさるだろう。
雨のように。涙のように。



「凸さぁん!!!!!!」


怒号にも似た叫び声。

誰か目の前にいる。


あれ…この人は…。

ぐるぐる回る。世界が回る。


「しょうがないな」

「とりあえずこのままほっておくしか」

「ベロベロだな。まったく…」



川のせせらぎが聞こえる。
さらさらと流れていくよどみない旋律は、耳に心地よい。
既におわかりと思うが、
俺が藤井さんとこでバーベキューをしながら、ぐでんぐでんに酔いつぶれた事は秘密である。

日記はここでとぎれていた…。




一ヶ月後に藤井は、伊豆の山中で凸の亡骸を見つけた。
そして横に置かれていた日記を読みながら思った。

ohjh

「やべww復活の呪文忘れた」

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テーマ : どうでもいい雑記
ジャンル : その他

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No title

>ggsn
you!藤井さんに凸ちゃいなよ!

No title

5/24.25は熱海にいるんだがな・・・

No title

>凸子
残念!熱海だな
凸子のところは遠いからのう
せめて中部地区にいりゃ現実味があるんだがw

>藤井さん
了解。詳細は明日電話にて!

No title

予定 5/4 JR熱海駅にて待ち合わせ11-12時ぐらい(仕事の都合で伸びる場合有)
あと、地獄祭!

下田りょうかぃ♪
駅前まで迎えに来てちょっ!

No title

>マソ君
なにせ6年前だから俺も忘れてるしw
詳細は明日にでも〜

No title

下田なの?!kwsk

No title

>藤井さん
週末あたりに連絡しますわw
置き去り地獄はまじひどいw

No title

マソくんも時間を気にしていたのでどうしようw
4日は西伊豆で勤務が終わるので熱海なら11時前後辺りにいけるかな
渋滞があるので抜け道地獄
マソくんは国士峠に放置して逃げよう!
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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