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鬼退治 地獄篇11 よしなお乱心

マソがサヤを殺した翌日─


「おい、猿はどうした」

よしなおが朝餉の席にいないマソに気づいて藤井とふぇいに問いかけます。

「さぁ?あたしは見てないよ」

「俺も野郎のツラはまだ見てねぇなあ」

「ふむ?」


そのときには、めずらしく寝坊しているなと思っただけで、気にもとめませんでした。


朝餉を済ませて、部屋に戻ってよしなおが身支度をしていると、机台のところに信書が置いてありました。

「ん?なんだこれ…」

宛名が書いてあり「大将へ」となっています。マソからの信書でした。


ちんぴろっしゅう!

大将へ。
ごめんなさい、歌手になりたいです。ほいじゃ。

マソこと猿より



「………」

わかったことは、マソは離脱してばっくれた事実だけでした。

何故、マソが逃げたのかはわかりませんが、よしなおも、サヤへの恋心もあり鬼退治なぞもうどうでもよくなってきていたのです。

「いっそサヤ殿と契って夫婦になりここで百姓でもして暮らそうかな」

なんと、出立前の意気はどこへやら。ジジイとババアの事もすっかり忘れています。

<犬とふぇいもよろしくやってるようだし、俺だって幸せになってもいいよな!>

野良仕事をしながら、仲睦まじく働くよしなおとサヤ。
昼は仕事で夜はあっちで一生懸命。
嫁は優しく綺麗で生活は何不自由無く満ち足りて…。
絵に描いたようなリア充生活です。
死ねばいいのに。っていうか死ね。

よしなおは、さらに妄想を膨らませます。
子どもは3人はいいかなぁ…。ふふふ。
その姿は、もはやかっての志高き侍の姿を失っていました。


「おい!!大将」

よしなおが、ほうけているとけたたましく藤井が襖を蹴破るかのいきおいで入ってきました。


「なっ、なんだなんだ!!びっくりさせんな」

「てぇへんだぞ!あの娘が殺されとる!」

「へっ?あの娘って…」

「あんたのお気に入りのあの娘だ。庭の蔵で死んでいたそうだ」

「………な…んだと…」

よしなおは一瞬、藤井が何を行っているのかわかりませんでした。

「見回りの女衆が今朝見つけたらしい。それで大騒ぎになってる」

「………」

「おい、大将!とにかくお前さんを連れて来いとかアントニオってのが騒いでるんだ」

「犬よ…」

「ん?」

「きゃりーぱみゅぱみゅって言ってみろ」

「は?なんで」

「いいから言ってみろ」

「きゃ、きゃりい…ぱにゅぱみ…!?くっ;口が回らねえ」

「言いにくいよなあれ」

「……おい、大丈夫か大将?こんな時に何言ってんだ」

「…とにかく現場へ行ってみる」

「お、おぅ」


よしなおは、意外に冷静にたちふるまっています。
まるで意志のないロボットのような抑揚の無い顔をして部屋を出て行きました。


「惚れてる女が殺されたってのに…なんだありゃあ…」

藤井は首を傾げながら、よしなおの後を追います。
藤井はよしなおが壊れかけているのに気がついていませんでした。

そして壊れた男の純情がどうなるのかも…。


蔵の前に行くと、大勢の村人ば輪になって泣いています。

輪の中心に入っていくと、アントニオがサヤの亡骸を抱いて沈痛な面持ちで泣いていました。


「サヤ!サヤ!!どうしてこんな……;」


「……!?サヤ殿…まさか猿の奴!」

よしなおがそう言うのが聞こえたのか、アントニオは、よしなお達を見ると睨みつけながら、叫びました。

「お前らだな、お前らがサヤを殺したんだな!!」

村人達もよしなお達を囲んで、鎌や棒を持ってにじり寄ってきました。

「許さない!この外道」

「殺せ!やはり人間など信用できん」

「引き裂いて海に捨てちまえ!」

およそ30人ぐらいの鬼達は、殺気を込めてよしなお達に迫ってきています。


藤井とふぇいは、戦闘態勢に入っています。
冤罪だと言っても彼らは聞き入れそうにありません。
怒りで暴走している目がそれを物語っていました。

「わけがわからんが、遅かれ早かれこいつらはぶっ殺す算段だったんだ。ちょいと首尾は違ったがいいだろう」

「なんでこうなるんだよ、まったく!大将、さっきの猿がどうとかって一体なんだい?猿が仕業かいこれ」

よしなおは、それには答えずただ仁王像のように立ちすくんでいました。

「サヤ…殿…。あなたがいないならもう…」

「あ!?なんだってぇ?大将しっかりしなよ!」:

ふぇいが大声で叫んでもよしなおは答えません。


「もう!!いいぃ〜〜ん!!」

よしなおは天に向かって全身全霊を込めて咆哮しました。
よしなおの中で何かがプツンとキレたのです。

大地が震えています。
よしなおの周りに強大な気の塊が青白い炎となって膨れ上がってきています。

「お、おぉ……!?これは…!」

殺気立った村人達はよしなおの異変に気がついて、さすがにあとずさりをしています。
アントニオはなおもよしなおを睨みつけながら、サヤを抱いて泣いていました。

よしなおは躯を震わせながら、顔を真っ赤し髪は逆立っています。
涙を流しながら顔はまさに怒髪天をつく様相になっていました。
こめかみの血管は切れて、身体中のキンニクが倍以上になっています。


「殺す!みんな殺す!!うぉおおおお!!!!!!」



なんと、よしなおは我を忘れて悪鬼と化してしまいました。
完全に自我が崩壊してしまいました。
その姿はまさに地獄の鬼でした。

刀を抜くと、近くにいた村人からぶった斬っていきました。


「あびゃっ!」

「ぐわっ!」

「いひぃいっ!!」

阿鼻叫喚の断末魔の声が幾重にも折り重なって聞こえてきます。

当たり一面は一瞬のうちの血の海となりました。

藤井はしかけておいた爆薬に起爆させ、村のあちこちで獏炎があがっています。

藤井が踊るようにくるくる回りながら鬼を斬り殺しています。

「ひゃっはー!!燃やせ燃やせー!汚物は消毒だーーー!!」

黒煙から立ち上る炎を見ながら、一転して逃げ惑う村人達を斬り殺していきました。
もちろん、女、子ども、年寄りの区別なくです。



逃げ遅れた身重の鬼女が足をくじいて、崩れ落ちた木材の下敷きとなっています。

藤井はそれを見て、刀についた血を舐めながら近づいていきます。

「ひぃ!;;」

若く美しい鬼女は怯えた顔で泣きながら懇願しました。


「た、助けて;お腹には赤ちゃんがいるんです。お願いします、お願い…」

美しい顔がくしゃくしゃに崩れて髪を振り乱しています。

刀をトントンと肩で担いで、藤井はにっこりと笑って言いました。

「だぁ〜〜〜め(織田裕二調」

「そんな…ぐぶっ!!」

藤井は哀願する女の腹を刀でえぐって突き刺しました。

「あ、赤ちゃん…。わた、し…の…」

女はそう言うと、人形のようにこと切れました。
腹を抑えながら、辺りが真っ赤に染まっていきます。


「はん、さっきまで俺らを殺そうとしていたくせによ。命乞いなんざあ甘汁三色なんだよ」

ぺっと亡骸に唾をはいて、次の獲物を探しています。


よしなおも命乞いをする年寄りや子どもを捕まえて、一刀に斬り殺しています。
まるで地獄の黙示碌のカーツ大佐のように狂っていました。
殺戮に酔って暴走しています。
まるでバーサーカーでした。

ふぇいはそれを見て、思わず目を背けました。

<惨すぎる…。いくらなんでも>

向かってくる敵は切り捨てますが、いくら鬼とはいえ無抵抗な女、子どもまで;と心が痛みます。

泣きわめきながら、まっぷたつに斬り下げられていく、子どもや年寄りを見ながら泣きそうになりました。
ふぇいは、もともと鬼退治なぞそれほど執着していません。
そもそも人殺しは嫌いでした。この場合は鬼殺しになりますが。

<もう逃げよう。やっていられないよ、こんなの。そうだ!京都に行こう>

燃え盛る業火の炎の中で、鬼を殺し続ける二匹の外道。
よしなおと藤井の姿のほうがよほど鬼というに相応しい姿です。


村人はもう、アントニオしか残っていません。サヤの亡骸を抱きつつ動きません。

「この外道が!我らが一体何をした!!お前ら人を導いてきた我らにこのような…」

アントニオが呪いの言葉を浴びせます。

「呪ってやるぞ…。子々孫々末代まで!きっと、報いがあろう!!」


ザシュッ!!!


叫んだアントニオの首が宙にまって転がりました。

目を見開きながら、涙をながしています。
怨みを残した目をカッと見開いています。

「ごちゃごちゃうるせぇんだよ。鬼のくせにいっぱしに語るんじゃねぇ」

藤井が刀をぴゅっと振って血を払います。

よしなおは、アントニオの胴体からサヤの亡骸をひっぺがして、胸にだきました。
まるで生きているような美しい死顔でした。
よしなおの全身は返り血を浴びて真っ赤に染め上がっていました。

周りは炎に包まれて、幾多の死骸が折り重なる地獄絵図です。

「おい!大将、ふぇい。そろそろずらかろうぜ」

「まだだ!!」

よしなおが叫びます。

「あ?しかしもうここの奴らは皆殺しにしたろう」

「そうだよ大将。それにもう十分じゃないかね」

「長老がいない。そして猿の野郎もな…」

「猿?ああ…娘をやったのは猿だったのかい。しかしなんでまた…」

「理由なんざもうどうだっていい。長老と猿は殺す!そしてまだ生き残っている鬼を皆殺しだ!」

サヤを失ったよしなおは、ただの殺人鬼と化していました。

藤井はそれを聞いて、血で染まった甲冑を脱ぎ捨てました。

「そうだな。それに俺らの本懐は鬼退治だ。鬼は討つ。そして長老の首をひっさげて宝を頂いて凱旋と行こうぜ。それで俺たちゃヒーロだ」

「ヒーローねぇ…」

ふぇいはもう憔悴してくたくたの様子でした。
目がうつろです。


「…いくぞ。もうどうでもいい。鬼なんざ俺がこの世から塵も残さず地獄に追い返してやる」


よしなおは、もうあの純粋でやんちゃなガキ大将ではありませんでした。
口調が戦場の指揮官のようになっていました。


「犬、女を見つけたら犯して殺せ。ふぇい、ガキと年寄りは女でも男でも速攻で殺せ。鬼は一匹として生かしておくな!」


たがが外れた狂気はどこまで残忍です。

3人は、燃え盛る村を後に島の洞窟に向かっていきました。




─その頃、突達は

アンドロー梅田に連れられて朝早くから果物狩りをしていました。
山の中腹に大きな果樹園があり、そこは様々な季節の果物がなっています。

「朝っぱらから…と、いやいや来てみたがこれはこれでなかなかいいもんだな」

「だべぇ?オラが丹誠こめて造った果物たちだべさ。遠慮しないで食ってくんろ」

かずはとみさおは嬉々として、この果物バイキングを喜んでいます。
ツカはもちろん桃の木の下で寝ていました。

すると、アンドロー梅田が何やら遠方を見て不審な顔色を浮かべています。

「ん?なんだぁあの煙は…」

村の方角から煙があがっています。
もちろん、彼らは村で起こっている惨事など知りようがありません。

「キャンプファイアーの準備でもしてんだろう。気にすな気にすな」

突はそう言って、梅田を引っ張って盛ってきた一升瓶から、椀に酒をつぎました。

「んだども…ありゃ何かただごとではねえみてぇだが」


ガサリと木々の茂みから音がして、数名の鬼が飛び出てきました。

「うわっ!なんだこいつら」


見ると、血にまみれてボロボロです。一人は相当の老齢の翁でした。

「ちょ、長老!どうしたべさそのありさまは」

「お、鬼じゃ…。鬼が現れた」

「鬼はオラ達だべ。なに寝言さ言ってるだよ」

「人が…人が鬼になったのじゃ…。村のものは全員殺された…」

「な、なんだってーーーーーー!!!」


梅田は腰を抜かさんばかりに驚きました。


「お、オラの嫁っ子と娘っ子はどうなったんだべ!!教えてけろ!嫁っ子の腹には赤ん坊がいるだぁよ」

長老は首を振りながら答えました。

「し、死んじゃった(テヘ」


「……;;ぐぐっ。う〜〜ん;;ぶくぶく」

それを聞いた梅田は、泡を拭きながら目を回してぶっ倒れてしまいました。



「梅ちゃぁん!!しっかりしろぉ!一体何が起こったんだ!?」



ピクニック気分も消し飛び、事態に暗雲が急速に立ちこめてきています。

ここはツカの千里眼の能力で状況を把握するしかないようです。


「ツカさん!」

もちろん─

呼んでもツカが起きるわけはないのでした。


【続く】



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No title

>藤井さん
tasukete−!20点

>マソ君
くそー飲みたかったなぁ
また機会作ってくれたまいw

No title

がくぶる!
てなことで、いま金沢から浅草向かって魔\(^o^)/
また飲もうね\(^o^)/

No title

よしなお公が鬼畜の所業で怖い;w;
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
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