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鬼退治 地獄篇9 謀略の棺

月灯りが煌煌と夜を照らしています。
夜の闇を打ち消すような月が明るい晩です。

寝静まった迎賓館の屋根に妖しい影が見えます。

猿とよばれる男─マソでした。

ひゅんひゅんと、身の軽さを活かして棟に飛び移っています。


「ふぅ…。うつけの振りもいい加減疲れたわ」

普段のマソの口調とは違い、苦みばしった重い声でした。

「あのチンカスどもに付き合って鬼退治なんざやってられっか。馬鹿馬鹿しい。お宝だけ頂いてトンズラするのが上策だぜ」


思えばマソは盗賊です。義のためなぞには動くわけはありませんでした。
今まで道化を演じていたのは、この時のためだったのです。
すべて演技だったのです。
さすが竿師と呼ばれていたAV男優経験者です。


「宝物殿はあれかな」

棟の縁に乗り出して、東の方角に目を懲らすと、松明が左右に灯っている倉庫のような建物がありました。

厳重に施錠され、どこから見ても大事なものを納めてある蔵に見えます。


「いただきマンモスだな」

マソはふわっと身体を浮かせながら、器用に屋根から降りて宝物殿を目指します。


すると、降りた先の庭に誰かがいる気配を感じました。

「ちっ…」

軽く舌打ちをすると、灯籠の陰に隠れました。


陰からこっそり見てみると昼間に船で乗り合わせた女がいます。

「あの女…。確か、みさおとかいう女か」

みさおが月に向かって何やら唱えています。


「何やってんだ…あの女」

首をかしげながら、尚も様子を伺っていると、みさおは手を下げて静かに佇んでいます。
誰かと話しているようにも見えました。

<もの狂いか?どっちにしろつきあってられね>

マソは訝しい顔をしながら、痺れをきらして裏から回ることにしました。

すると、みさおの後ろから男が一人現れました。

仲間から突と呼ばれていた髭の侍です。

突は右手をあげながら、みさおに声をかけました。


「おい、みさおさん。中央との交信は終わったかよ」

「いいえ。私はさそり座の女」

「…それ誰かに教わったギャグ?いまさら昭和のギャグなんざ全然面白くねーんだけど」

「頭の中がいつもリズムネイション1999の人に言われたくありませんね」




「まぁ冗談はさておき、情報は?」

「三浦殿の息のかかった者が、鬼ヵ島に数名いるとのことです。注意されたしとのことでした」

「あとは?」

「時はきた。それだけだ」



みさおは真面目な顔でそう言うと、顔をそむけています。


「自分で言っといて何笑ってんだよ、あんた…。大体な、そんな古いギャグ、新日のファンじゃねーとわかんね−んだよ!」

「わ、わらってませんよ。ぷっ…くすっ…」

みさおは肩を震わせて踞りながらを必死で笑いをこらえています。



突とみさおのやりとりを聞いていて、マソはピーンときました。

<奴ら中央の犬か…。こいつぁいよいよきな臭くなってきたなぁ。こりゃ、はぇぇとこお宝頂いてばっくれないとだるいことになりそうだ>

マソは焦りを感じていました。

突とみさおが庭から姿を消すと、慎重に当たりを伺いながら庭の奥にある蔵に近づいていきます。


「へへっ。こんな大層な鍵をしたって無駄よ」

マソは一本の太い針金を取り出して、大きな鍵穴へつっこみます。

カチャカチャと音がして、カチャリと音がすると、アーム上の施錠が外れました。

ギギっと重い扉を開くと、明かり取りの小窓から月の光が差込んでいます。
光はまるで砂のように静かに落ちて溜っているように見えています。

目が慣れてくるとうっすら周りが見えてきました。
茶箱のような豪華な箱が正面に置いてあり、様々な等身大の像が左右に配置されています。

像はどれも鬼を象った恐ろしげなものばかりです。


「気味が悪いな…。お宝はいってぇどこだよ」

マソがぶつぶつ言いながらお宝を探しだしました。

しかし一いっこうにお宝らしきものは見つかりません。

「なんでぇ;どこにもお宝なんぞねえじゃねえか」

悪態をつきながら、マソはその場に座り込みました。

すると、いきなり背後から声がかかりました。

「誰ですか!?」

「!?」

マソは後ろを振り向くと同時に太刀を抜いて稲妻のごとく振り抜きました。
見つかったら、今までの苦労が水の泡ですから必死です。

ザシュッ!

「はぅっ!」


相手は、短い悲鳴をあげてよろよろと倒れました。
肩から斜めに斬り下げられて絶命しています。
まさに一撃必殺の太刀です。

なんだかんだと言っても、よしなおといい勝負をした腕前です。
剣技においてもマソの腕前は藤井に匹敵します。

相手は燭台を盛ったまま絶命しました。

大量の血が床を濡らし、死臭が立ちこめています。
倒れているのは女でした。


「女か…。久々に嫌な殺しをやっちまったなぁ。ま、運が悪かったな。悪く思うなよ」

マソは片手で祈りながら、女の顔を確かめました。すると…

「げぇっ!?」


死んでいたのは、よしなおが一目惚れしたサヤでした。

マソはよしなおの想い人をその手にかけてしまったのです。
哀れ、若く美しいサヤはマソの凶刃によってその短い人生を閉じました。

真っ青になって、マソは立ちすくみました。

「うぁああああ!!!!やべぇ、やべぇよ。まじやべぇ…」

頭を抱えながらマソはくるくるとその場で回っています。

「なんでだよ…。なんでこの娘がこんなとこにくるんだよ…。これが知れたらおりゃ絶対大将に殺されちまう。鬼退治だってのに俺が退治されちまう;それってどうなの、それって日テレ;」

気が動転して意味不明な事を念仏のように唱えています。

サヤの顔はまるで天女のように美しく、死んでいるようには見えませんでした。
月明かりに照らされた紅い鮮血が、衣を纏ったかのように美しく見えています。

「すまねぇ;まさかお前さんだとは思わんかっただよ」

マソは何度もサヤの亡骸に頭をさげながら謝りましたが、サヤにはもう聞こえていません。


「こうしていてもしかたがねえ。とりあえず死体を隠すしかねえな…」

死体を箱の裏に移動させ、血を拭き終わると、マソは蔵の扉を閉めて、さささっと自分の部屋に戻っていきました。


「えらいことになっちまったなぁ…」

闇に消える言葉に慚愧の念。

さて結末は如何に。


【続く】

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テーマ : 雑記
ジャンル : ゲーム

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No title

マソ君の人気に嫉妬!

マソさん!

なんて事してくれちゃったのですか!!

No title

マソがやらかした!
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凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
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