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鬼退治 地獄篇7 よしなお 一目惚れすること

アントニオと名乗る鬼の青年の後に続きながら、よしなお達は山の岩肌にぽっかりと空いた大きな洞窟へと入っていきます。

突達はどうやら別のルートで見学をするようで、船着き場で別れました。

洞窟は天井が高く、幅は2間ほどもあるでしょうか。左右の岩壁に松明で火が灯っていて冷え冷えとしています。

先頭を行くアントニオは後ろを確かめながらゆっくりと進んでいきます。

「ここは自然にできた洞窟なんです。この島は四方を断崖が囲んでいますから、島中央にいくにはこの洞窟とアンドローが案内する滝の登り口からしか行けないんですよ」

丁寧に説明する口調もさまになっています。
青年は案内人としても優秀なようですが、よしなおは気を抜きません。


お互いがひたひたと影を踏みながら歩いていくと、眩しい光りとともに出口が見えました。

洞窟を抜けると、アントニオがいきなり向き直って神妙な顔をしています。

「む…」

よしなおは咄嗟に身構えました。

刀の柄に手がかかるほど腰を低くしています。

アントニオはにっこりと満面の笑みをうかべて大きく両手を広げました。


「ようこそ!鬼ヶ島へ」

目の前には黄金色の麦畑が広がり、咲き誇った花々や見たことの無い果実の木が実っていました。
川には清流が流れ、貯水をしてある池に水車も見えます。
一本道にレンガ造りの家々が立ち並び、鬼達は笑顔でせっせと仕事をしています。
その先に村と思われる集落が見えています。
とても平和で豊かな生活をしていることは、一目瞭然です。

鬼達をみると肌の色はぞれぞれですが、みな若く美しい娘達でした。


それを見てマソが生唾を飲み込んでいます。

「ゴクリ…」

娘達は肌もあらわに、申し訳ていどの布で身体を包んでいます。
そのしなやかで見事な姿体に見とれていました。

藤井とよしなおも同様に見とれています。

今度はふぇいが面白くありません。腕を組みながら、鼻を慣らしてツンとしています。

よしなおが、アントニオを見上げながら問います。


「おい、あんた。アントニオと言ったか」

アントニオは軽く微笑んで笑顔で答えます。
白い健康的な歯がキラッと光ります。

どこまでも爽やかな若大将みたいな青年です。

「トニーでいいですよ」

「じゃあ聞くがトニー、なんで働いてるのが若い女しかいないのだ?」

よしなおにそう問われると、トニーは一瞬表情を曇らせました。

「男達は昼間は漁や見張り番をしているんです。老人や子どもは村の中にいます。畑仕事は若い娘達の仕事なんですよ」

そう言って笑いながら、ほらあそこの水車が…と話題を変えました。

よしなおはトニーの目が笑っていないことに気がついています。
しかし、ここは「なるほど」と気づかないふりをしました。

<油断できん>

よしなおは、ますます警戒心を高めます。

村に入ると、古いレンガ造りの家屋が目につきます。
老人や子ども達が餅を食べたり遊んだりしていました。

よしなお一行をじろじろと見ることもなく、きにかける風でもありません。
外来の客はめずらしくもないのでしょう。

村の中央に行くと、白い大理石で造られた立派な像が建っていました。


「我々の始祖 酒呑童子様です」

アントニオが像の前で手を合わせて軽く会釈をしました。
何やら一行は神妙な面持ちになりました。


通りのはずれから、お〜〜いと声がします。
見ると若い娘が手を振って走ってきています。

それにアントニオが手を振って答えました。


「サヤ」

「トニー、宴の準備ができたわよ」

娘はまだ二十歳を出ていないように見えて、もの言いに跳ねるようなリズムがありました。
一行はあることに気がつきます。

娘は栗色の髪に翡翠色の瞳をしていましたが、角がなく肌は日焼けした小麦色で人とほとんど変わりません。

「はて?これは…」

藤井が訝しむ目で娘をジロジロと眺めます。
人の娘と変わらない背丈に身体の起伏は見事な曲線を描き、カモシカのようなすらりと伸びた足。
輝くばかりの美しさです。

娘は思わず身をすくめて顔を赤らめました。


「はは…。皆さんお気づきでしょうが、サヤは純粋な鬼族ではありません。人と鬼との混血なんです」

「混血?人と鬼が交わったのか!」

「ここでは珍しくもありません。それに異種間恋愛で生じる優性遺伝子はお互いの種族にとって有益ですしね」

「ほぉ!道理でな。しかし…たまげるほど皆美しいものだな…」

藤井はうなずきながら、娘を品定めするかのごとく目で舐め回しています。


「おい犬。そのへんにしておけ」

「おっと、すまんな。しかし鬼の女がペッピンぞろいとは驚いた」


よしなおは、娘にぺこりと頭を下げて謝りました。

「申し訳ない。なにぶん我ら山禍の山出しのもの故、礼儀を知らぬ。どうか連れの非礼を許して欲しい」

「ちぇっ。おりゃこれでも褒めてるんだぜ」

いつもより、慇懃な物言いでかしこまるよしなおを見て、藤井は面白くなさそうに言いました。


<ここは、こいつらの機嫌を損ねてはならん。従順な羊を演じて狼に転じる機を狙うしか無い>

鬼に対して頭を下げるなど、よしなおには屈辱でしたが、こと目的完遂において徹底的な合理主義者でもあります。あとは下げるだけの頭なら金もかからんと、関西人のような狡猾さも旅をする間に身についていました。
でんがな、まんがな。



頭を下げるよしなおを見て娘がよしなおに微笑みます。

「いいえ。お気になさらずに」

向日葵のようなその笑顔を見た瞬間、よしなおに強烈な衝撃が走りました。

耳たぶまで赤く染まってゆでダコのようになっています。


「サヤ。お客さまたちを迎賓館に案内してくれ。僕はちょっと長老に連絡をしてくるから」

「あい」

アントニオは、じゃ後でとお辞儀をして村の奥に消えていきました。

娘は怯えた目で藤井を一瞥しましたが、気を取り直したように改めて挨拶をしました。

「サヤと申します。ささやかですが、歓迎の義を御用意しております。こちらへ…」

よしなおは、ぼぅとサヤを見つめています。
いわゆる一目惚れでした。

よしなおは、故郷の村で後家や村娘を相手にくんずほぐれつを繰り返し、いっぱしに女を知った気になっていましたが、本当の恋愛をしたことはありませんでした。


藤井、マソ、ふぇいの三人はすぐに、よしなおがこの娘にイカれたことに気がつきます。


「すっかり目がハートだな」

「まるで天女様のような娘っ子でやんす」

「ふふ。初々しいもんだねぇ。あたしもあんな頃があったよ」


「……;」

ふぇいの最後の言葉に藤井とマソは無言でうつむきました。
つっこもうにも言葉がでてこないのでした。

「くっ…、ぶっ殺すよ!あんたたち」

先ほどまでの可愛げもどこへやら。すっかり元通りのふぇいに戻っています。

よしなおは、娘の隣に並んで何やら熱っぽく語っています。
それを聞いて娘は、てを叩きながらほめそやして笑っています。

「ったく…いい雰囲気じゃないの」

ふぇいがそう言うと、藤井が心配そうにぼやきます。

「色ぼけして本来の目的を忘れなけりゃいいんだがな…」

「しかし…こいつら本当に村を荒し回った鬼でやんすかねぇ…。どうにもそうは見えネェンですが…」

「ばぁ〜か猿」

「むっ、馬鹿とは何ですかいいきなり」

「こいつらが村を襲ったかどうかは問題じゃねえんだよ。鬼は悪者なんだ、討たなきゃいけねえのさ」

藤井は表情を変えずに加えた楊枝をゆらしています。

「鬼は討つもの討たれるもの…よ。下手に情けをかけりゃこっちが寝首を掻かれるぜ。いくら大人しくても鬼は鬼だ」

「へぇ…」

マソはそれっきり無言になってしまいました。
ふぇいもそのやり取りを聞きながら、何か思案をしている顔で口を開きません。

後ろの三人の微妙な空気など知らずに、よしなおは破顔で娘に話しかけています。
旅に出てからは、こんな楽しそうなよしなおは見たことがありません。

<こりゃ、やばいなぁ>

娘がいちいち笑いかけるたびに、よしなおの心は弾みます。
よしなお自身も頭ではわかっていますが、恋はカルビー。
やめられない止まらない。

惚れてしまったものはしかたがありません。

この恋のトリガーが、運命の悪戯なのか天の気まぐれか。
よしなおの運命を大きく変えていくのでした。


同じ頃、突達の一行。

いち早く島の反対側の採掘場や鉄鋼場などを見学して、すでに迎賓館へと到着していました。

長いテーブルに大量の食事と酒が用意され、美しい鬼娘達がうす絹の衣をまとって、半裸に近い姿で踊ります。

突と案内人のアンドロー梅田はすっかり意気投合をしてまるで旧知の友人のように酒を酌み交わしています。

「いっやぁ、梅ちゃんよぉ!酒はうまいし女は美人。ここは浮世を忘れた寂光浄土のようだ」

「突っあんもここに住んだらいいべさ!そしたら、めんこい嫁こさもらって、毎晩ちょめちょめのうはうはだんべ!」

「毎晩ちょめちょめ!そいつはいい!!いいね!俺もうここにすんじゃおっかな〜」

「んだんだ!住め住めぁ」

そう言いながら、二人で馬鹿笑いをして酒を酌み交わしています。
日頃の鍛練はこの日のためかとばかりに、酔っぱらってました。

アンドロー梅田の口調もすっかり地の訛りが出ています。
顔はアントニオを同じく秀麗なのにギャップがありまくりでした。

かずははとにかくガツガツムシャムシャと目の前の料理を平らげていきます。
ガン食いしながら、幸せそうに身体を震わせていました。

「おいっしぃい〜〜;もう最高!」

みさおは静かに酒を呑んでいます。食べラーと化したかずはの食いっぷりを見てお腹一杯のようでした。

ツカはと言えば、寝ているのかと思いきやこれまた無言で酒をがぶがぶと呑んでいます。
酒はマッコリという白濁の強い酒でした。


「あの…ツカさん大丈夫ですか?」

隣にいたみさおはツカのペースが早いので心配になりました。

「うん…。まだ…まだだね…」

静かにそう言うと、無言で手酌をします。
真っ赤な顔で何か思い詰めたような表情でした。


アンドロー梅田が、突に写真を見せました。

「ほんれどうだぁ、これ、オラんとこの嫁っこと娘だぁ。どっちもめんこいべぇ」

普段なら他人の嫁、子ども自慢なぞ残飯ぐらいのいきおいで拒絶する突でしたが、酔っぱらっていい気分なのと、実際、写真の嫁と娘はえらい別嬪です。

「ほほ、こりゃ娘も奥さんに似て別嬪だな。まだ一緒に風呂は入っているのかい」

「そんなん毎日だべよ。とっちゃ〜とかいって抱きついてきよる。めんこくて生きてるのがつらいべさ」

そう言って、梅田はがはははと豪快に笑いました。


ドォン!!


いきなり、けたたましくテーブルを叩く音がしました。

ツカが酒の椀をテーブルに叩き付けたのです。

「うぃっ」

ツカの糸のような目が開いてギラギラ光っています。

「おい!梅ぇ!!」

「へ、へぇ?」

梅田がツカの威勢に驚いてひるんでいます。

「てんめぇ〜〜!娘と一緒に風呂入って何してやがんだ!この変態ロリコン野郎!!!」

「ああ?いや、まだ娘は8歳だべ…。それにオラの娘だぁよ…」

「だまれ、この金色夜叉!!」

ツカはものすごい剣幕で梅田を責め立てます。

「えっええ〜;いきなりなんだべさこの人;おっかねぇ…」


見かねて突が声をかけます。

「おい、ツカさんよ…どうしたよ一体」

ツカは立ち上がって、梅田の襟をしめあげます。

「ぐぐ…ぐるしぃ…お客さん落ちつくだ…」

「この野郎!!こんな可愛い娘と一緒に毎日風呂?あまつさえ嫁さんは美人でナイスバディで勝ち組きどりか?あ?勝ち組なのか?勝ち組ってかぁ!?俺はなぁ…俺は…」

ツカは梅田を締めながら、身体をふるわせて慟哭していました。

「げっ…なんだべ…:」


「お前になりたい……;;」

さすがに皆ずっこけました。


ツカは頭を抱えて部屋の隅に踞って泣いています。

「人生ってなんだ!;;」


「お前がなんだ」

「寝ろ」

突とみさおが呆れてつっこみました。

梅田はゲホゲホと喉を抑えて転がっています。


その騒動が無かったかの如く、かずは食い続けています。

「すみませぇん!これおかわりぃ!」

「おかわりぃ!」

「おかわりぃ!」

あっという間にテーブルの上の料理が、丸い物体に吸収されていきます。
まるでブラックホールです。

その様子をみて厨房の料理人が、「ク、クレイジーガール…;;」とつぶやきました。

かずはの食いっぷりを眺めていた給仕長が真剣な顔で言います。

「我々は今、人間の胃袋の進化の場に立ち会っているのかも知れないな…」

もちろん、

そんなわけはないのでありました。

【続く】


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テーマ : 信長の野望online-鳳凰の章
ジャンル : オンラインゲーム

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No title

まじで糞忙しいので更新どころじゃないのよねえ;
藤井さん助けて〜

No title

凸さんは、チソチソの病気のため、日記の更新が遅れています。
ご了承くださいませ;w;

No title

>よっしーさん
フィクションにはセオリーなし!ですよw

>マソ君
もうすこし活躍させたいとこだw

>かずは
丸い物体発見!

>藤井さん
いろいろパロってるので全ての元ネタわかる人はいないだろうなあw

>レッズ
激しくどうでもいいw

No title

重大発表!!!!!!!!

浦和サポやめるかも。。。。。。



J2の某チームのさぽになるかもしれません。。。

もう昔のレッズサポのやさしさは浦和にはないかもしれません
他チームをぼこぼこにするだけのチャントとか悲しくなってます

J始まる前からの浦和サポのおいらなのに。。。心が揺れ動いてます


さて問題ですw
おいらが次のサポになる予定のチームはどこでしょうww

ヒントはJリーグ1のほのぼのチームですw

納涼漢祭り万歳!!!!!!!!


でもやっぱレッズ万歳!!!!!!!!

No title

おかわり大王わらたw

ツカさんのキャラが変わっていくwww

じゅるり

おかわり!

No title

心配するこたぁねーw
信オンもリアルもおらぁはチンカスだw
むしろ、ここにでてくるおらぁは、リアルマソみたいで納得したゃうよ!
納豆くぅ?

No title

すごい長編大作ありがとうございます
猪木さんまで出演させて頂いて


マソさんの扱いが可哀そう過ぎると思ったのですが、最後の最後のオチで藤井さんと僕悲惨になりそう

新書の小ネタ大笑いしてしまいました
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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