スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

鬼退治 地獄篇5 よしなお 疑心暗鬼に陥ること

二人はうどんを平らげるとお茶を啜りながら一息いれました。

よしなおは身を乗り出して小声でふぇいに耳打ちします。


「おい、なんだって童とはいえ、こんな堂々と鬼がいるんだ」

「あたしに聞いたって知らないよ。娘に聞いてみたらいいじゃない」

ふぇいはそう言うと、引っ込んでしまった鬼っ娘がまた姿を見せないかと目を光らせています。

すると、新規に客が入ってきました。

「ごめんよー」

入ってきた途端、店の空気が固くなりました。
あきらかに、しつらえの良い装備に身を包んだもの達です。

この徒党もよしなお達と同じ鬼退治の一行に間違いありませんでした。
男がニ人、女がニ人で女は艶やかな鎧を纏っています。

中年の男は蓬髪垢面であご髭をたくわえてニヤニヤと笑っていました。
もう一人の男はまだ若くカミソリのような細い目に針金のような細身で無言です。

ひとりの女は、髪を後ろで結い上げて背中に垂らし静かに目をつむっています。
もう一方はふくよかで丸くきゃっきゃと騒いでいます。

その徒党は、よしなお達の座っている机台の隣に陣取ると、「おい!注文」と髭面の男が大きな声で言いました。

よしなおとふぇいは、緊張して様子を伺っています。

<こいつらも、鬼退治ってわけか>



奥からするすると、お盆にお茶を乗せて先ほどの鬼っ娘が出てきました。

「はぁい、いらっしゃいませぇ」

転がるような声で挨拶をして注文を取ります。

「まず酒だ。4合ぬる燗だぞ」

髭面の男は、鬼っ娘の頭をぐりぐりしながら酒を注文しています。

「ふぅむ。鬼の童というものは初めてみるが、人間のガキよりめんこいな。どうだ娘、おじさんの子にならんか?ん?」

そう言って悪戯っぽい目で笑いかけています。

娘はいやいやしながら、半べそをかいて怯えています。

「にぃに!怖がってるよ」

丸い女が髭男をたしなめます。


「そうですよ。突さんは若けりゃ見境がないというか、節操がないというかロリコンというか…」

髪が長い女も続いて責めます。

突と呼ばれた男は頭を掻きながら、鬼っ娘に謝りました。

「わりぃ、ジョークだよ、ジョーク。アメリカンジョークさ」

注文取りを済ませると、鬼っ娘はまたしてもささっと奥に消えていきました。

突と呼ばれた髭面は、照れたように笑ってごまかします。

「はは、すっかり怖がらせちまった」

髪の長い女がいい加減にしろとばかりに呆れています。

「当たり前ですよ。こんな汚い中年に子どもにならんかとかいきなり言われて…。罰ゲームにもほどがありますよ。ある意味死ぬより辛いでしょうに」

「おいおい…相変わらず超毒舌だな、みさおさん。さすがのアイアンハートもじわじわくるぜ…。あんただって織田では、歩くオニオンスライスとか言われてるくせによ」

一瞬、みさおと呼ばれた髪の長い女の額にピキッと血管が浮かび上がりましたが、肩を震わせて堪えているようです。にっこりと微笑みを浮かべて湯呑みに手をのばしました。

「ふふ…。わたしのどこがオニオンスライスかは置いといて…そろそろ真面目に作戦を立てましょうか」

ガシャァン!

みさおはそう言うと、握っていた湯呑みを粉々に砕いてしまいました。

突は髭を震わせて、びびっています。

「そ、そうだね…。そろそろ真面目にやらんとね。ははは」

「みさおさん、怒ってるぅ〜。こぇ〜〜!にぃにの骨はかずはが拾うょ!」

丸い女はキャッキャッとはしゃいでいます。
まるで白痴のようでした。


「かずは…。お前とことんやのぅ」

突にかずはと呼ばれた丸い女は、テヘッと舌を出しておどけます。

「あたし、肉うどん大盛り追加しようかな!」

「なっ…!まぁだ食うのかお前は。さっき甘味屋でぜんざいくったばっかだろ!星のカービィみたいな体型をしやがって」

「カービィ可愛いよ可愛い!」

「あれは可愛いけど、かずは!お前はだめだ!!」

「やだっ!あたしは自分の胃袋に正直に生きるんだぉ」

「だぉじゃねえよ…。ツカさんよぉ。さっきから黙りこくってるけど何か言ってやってくれよ、この丸い物体に」


ツカと呼ばれた男は、奥をちらりと見ながら

「幼女か……。いい!」

そう言って頬をぽっと赤らめて頷いています。


「だめだこいつ……。おい!もぅお茶のおかわりだ!」

突はもういいやとばかりに、お茶のおかわりを求めて、破砕された湯呑みの欠片を片付け始めました。

鬼っ娘が奥から酒とおかわりのお茶を運んできます。
先ほどよりは警戒心を解いているようです。

かずはが、鬼っ娘のほっぺたを人差し指で押してからかうと、鬼っ娘も笑ってはしゃぎます。


よしなおとふぇいは、徒党の様子を伺いながらさらに小声で話します。

「何ともふざけた奴らだな。鬼退治というのにのんびりしすぎだろう」

「あたしらも人のこと言えたもんじゃないけどね」


よしなお達は、鬼ヶ島の情報を得るチャンスだとばかりにさらに聞き耳を立てています。


料理が運ばれてくると、その徒党は雑談をしながら作戦らしきもの話し合っています。

「でさ………でよ」

「だから……でしょう」

「そこで……で、どうだ」


さすがに、あけすけに作戦を大声では語るわけがありません。
ところどころ聞き取れず、情報は断片的にしか得ることはできませんでした。

しばらくして、徒党は勘定を払って出て行きました。

突という髭面は、レシートを見てかずはの首を絞めながら、「この胃拡張のバキュームカーがぁ!いい加減にしろ!」と泣きながら喚いていました。


よしなおは、溜息をつきながら舌打ちします。

「くそっ。さすがに声が小さくて聞き取れんかったなぁ」

「犬の馬鹿とかこんな時にいやがらないんだから使えないね!耳と鼻だけはいいはずなのにさ」


ともあれ、よしなおとふぇいが確認できたのは3つほどです。

①鬼ヶ島に行くには2名以上であること

②現地では鬼の案内人をひとり雇うこと

③現地の鬼娘には手を出さないこと


これが必須とのことです。まるでレジャーランドの規則のようでした。


「うんむ。まるで観光地だなこりゃあ。退治をしに行った奴らは、歓楽で骨抜きにしされて戦闘力を削がれてから殺されたのだろうか」

「ありうるね。なにせ相手は鬼だしね」

「気を許したら、後ろからばっさりといかれるってわけか」


「それだけどさ…」

ふぇいは、少し考え込むポーズをとって口ごもりました。

「なんだいキジよ」

よしなおがそう聞くと、ふぇいはう〜ンと唸って首をのばします。


「なんだよ、言いたいことがあるならハッキリ言え」

「あのさ…。犬の奴のことなんだけど」

「犬?ああ、また愚痴かよ」

「そうじゃないよ。どうもあいつ怪しくないかい?」

「怪しいって…犬が?なんでまた」

「アンタ達と10日ほど一緒にいたけど…どうも犬の素行が妙なのさ。気がつかないかい」


よしなおは、首をひねって考えましたが思い当たる節はありません。


「そりゃね。気に入らないけどあいつのスキルは認めちゃいるよ。大将が頼りにしているってのもわかる。でも、あいつの目は平気で人を裏切る目だよ。あたしにはわかる。それにあいつホモくさいし」

「おいおい、何が言いたいんだキジ。いくら仲が悪いからって仲間だぜ。これから鬼退治をしようってんだ。さすがにそりゃ言い過ぎだろう。つーかホモとか関係ねーし」

よしなおは怒っています。

よしなおは、今まで一番長く犬と旅をしてきました。お互いが背中を預けながらの戦闘、そして弱輩のよしなおに対する様々な知識や教示を与えてくれた朋友とも言うべき存在です。

よしなおは純粋に犬を信じていました。
だから、犬を誹謗するふぇいに対して怒りが込み上げてきたのです。


ふぇいはその様子をみてやれやれと肩をすくめて笑いました。

「はぁ…。あんたもまだ世間を知らないボンボンだろうからねえ。邪教にはまりやすい典型だ」

「ば、馬鹿にするな!下の毛もぼーぼーに生えてるし童貞でもないぞ!!」

「落ち着いて聞きなよバカチン。あたしは見たんだ。旅の途中で犬が何やら風体のよくない男と密談をしているのを」

「密談?」

「あたし達がねちまった後にね。たまたま、あたしは寝付けなくて外に出てみると犬が男に何かを渡していたんだよ」

「何かってなんだ?」

「そこまではわからなかったよ。夜で暗かったし…」

「ふうむ…。だからといって犬を疑うのはな。何か情報を得ていたんとかじゃないか?」

「そんな風じゃなかったよ。明らかに後ろ暗いことがあるのさ。とにかく犬には…」


ふぇいは言葉をきると、猿が暖簾を潜って入ってきました。


「おっと、いたいた。大将も姐さんもこんなところで逢い引きでやんすかい。ずるいでやんすぅ;キッキッー」

猿が声をあげると藤井も後に続いて入ってきました。

「よぅ。とりあえずあらかたの情報を仕入れてきたぜ」


犬が得意げにそう言うと、罰が悪そうにふぇいはそっぽを向いて黙り込みました。

「あ…ああ。ご苦労さん。猿も宿はとれたか?」

「ばっちりでやんす!キッ」


藤井はよしなおの様子に何かを感じ取ったようですが、その場は流し一行は宿へ向かいました。


宿はこの町一番の大きな旅籠でした。

「大黒屋」と大きな看板を掲げています。


「いい宿だが高そうだなぁ」

よしなおがそう言うと、藤井は、なぁに明日には俺たちゃ大金持ちさと嘯きます。

ふぇいは終始無言でしたが、猿がその様子を見て心配そうに言います。

「姉さん、どうしたんでやんすか。えらい大人しいっすねえ。まぁそんな姐さんも色っぽいんでやんすけど」

ふぇいは猿の軽口には答えず、ただうっすら微笑むだけでした。
よしなおは、さきほどのふぇいの言葉が頭に残っています。


番頭に促されて、よしなおが草蛙をぬごうとすると、藤井はちょっと迷った風でふぇいに言いました。


「おい、キジよ。ちょいと話があるんだが、つきあってくれねえか」

「!?」

よしなおは、ぎくっとしました。

ふぇいは、「いいよ」と静かに頷きました。


「あれ?あれあれあれ?今度は兄貴と姐さんで逢い引きでやんすか?どうなっちまってるんでやんすか」

「馬鹿、そんなんじゃねえよ。ここいらでわだかまりをとっとかねえと、明日の仕事に差障るだろう」

藤井はそういって猿を叱ります。


「犬よ、ほんとにそれだけか?」

よしなおがふぇいをみながらそう聞くと、藤井は笑いながら肩をぽんぽん叩きました。

「心配するなって大将。喧嘩するわけじゃねえ。精神的なスキンシップでわかりあおうってんだ。互いにいがみあってたら成功するもんも成功しないだろう?」

「まぁ…そりゃそうだが…別に二人っきりじゃなくてもいいんじゃないか?」

藤井の明るい表情とは対照的に、ふぇいの不安そうな顔色が気になります。


「4人いると話もぶれちまうよ。まぁ時間もかからねえよ。まかせなって」

「うむ…。まぁ犬がそう言うなら」

よしなおの不安は消えませんが、犬の提案は至極もっともな話でもあります。
鬼退治はチームワークが整っていなければ成り立たちません。

よしなおは、雑踏に消えていく藤井とふぇいの背中を見送ると、宿には入っていきました。


座敷に通されると、広くて立派な部屋でした。

こりゃあ、是が非でも鬼退治を成功させなきゃ離散だなと、必要経費の費用対効果によしなおの顔が青くなります。

「ささ大将、先にローフーいきやしょう。ローフー!」

「普通に風呂って言え」

「上がったら、シーメっすね。で、シャーゲイよびやすか!シャーゲイ!キキッキーッ!」

「だから逆さまに言うなっての!」


二人は蒸し風呂で汗をかき、垢かき女に髪や身体を洗ってもらいました。
洗ってもらいながら、よしなおは猿に話しかけます。

「なぁ猿よ」

「なんでやんしょ」

「お前、犬をどう思う?」

「犬の兄貴でやんすか?う〜ん…腕はたつし物知りでやんすね。ちっとお固いところがありやすが」

「それだけか?」

「へぇ。他に何があるでやんす?」

「……いや」

猿は特別、犬には気もかけていないようでした。

しかし、年嵩でいったら、犬やふぇいと同じくよしなおと猿も20年以上もへだたりがあります。
これは猿なりの処世術で、猫をかぶっているのかもしれません。
実際、マソは仲間になるまでは盗賊団のリーダだった男です。それが従順なパシリの如く使えているのですから、これもまた訝しいところです。
世の中というものを知り尽くしているマソが、よしなおのような世間知らずの子どもを、欺きあしらうぐらいはお手のものでしょう。

よしなおは、あえて本当の歳を三人には伝えていません。見た目では二十歳ぐらいではあるのですが、所詮14歳の田舎の少年でした。
旅をするうちに、様々な経験を得て、物事を深く考えるということができるようになったのです。
今までは、考えなかった、疑わなかったことも知識や経験の介入によって頭に渦巻いてきています。

先ほどのふぇいの言葉がずっしりと胸に溜っています。

必ず裏切るよ!

<まさかな>

犬に限ってそんなことはあるまいと、確信に近い信頼をよせてはいたのですが、何やら不安定に揺らいできています。

鬼退治を成功させれば、国の英雄、地位も財産も思うがままでしょう。

だが、もし…それを独り占めしようと考えたら…。
単純に四人で分けるとどれくらいになるのかはわかりません。

<そろそろ決めとく必要があるかもな。お宝の分配方法を…>

そう思いながら、よしなおは垢かき女の緩やかな手の動きに、わずかばかりの愉悦に浸っていました。

しかし、ふぇいの言葉はしこりとなっていつまでも残っているのでした。



次はいよいよ鬼ヶ島上陸です。

ではまた明日!


【続く】



スポンサーサイト

テーマ : 信長の野望online-鳳凰の章
ジャンル : オンラインゲーム

コメントの投稿

非公開コメント

No title

>藤井さん
ある意味、主人公より目だつ設定の話なのw

>マソ君
ユージュアルサスペクツとか懐かしすw

>かずは
星のカービィ可愛いじゃないかw丸い物体という表現なんか丸フェチは萌えるはず!

>みさおっち
みさおさんは宇宙人のようなキャラ設定が一番はまる!
ちなみに池尻大橋の大江戸東山温泉だけは二度といきたくねぇw

No title

毒舌なみさおさん ×
かっこいいみさおさん ○!
寒くてうっかりまちがえたんだよね!
温泉いきたす!ブルブル

Σ( ̄д ̄:)

今夜は串揚げ屋さんで20本たいらげた!
丸くなるのは時間の問題!?

もっと可愛く書いて下さいよぅ。。。
「白痴ってなに?」て隣の人に聞いたら「おまえの事だ。」と言われました::

No title

ぼくがカイザーソゼだお!

藤井さんは7赤。これはガチぽ情報!

No title

やべぇ俺かっこよすぎる!
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ
リンク
最新コメント
ブログ内検索
RSSフィード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。