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森とみさおの戦国はらぺこ道中記9 最終話

「やっと…」

「うん、やっと…」

「やっとでたまんこ!」


森の声が震えている。

みさをの顔が輝いている。

藤井が下ネタを言っているが、もちろんスルーされている。


近江から山城に入る関所を超えて、あれに見えるは左京の都。
艱難辛苦を乗り越えて、やっと来ました着きました。

評定は明日の朝だ。ぎりぎり間に合った。

森は急激に力が抜けていくのがわかった。
張り詰めていた気が一気に緩んだのだろう。

腰を落として崩れ落ちる身体を支えるみさを。

「もりりん!あと少しだよ。頑張ろうよ」

みさをはそう言って森を励ます。

森は腰を曲げ、両手で膝を抑えながら必死で身体を支えた。

枯れた声でぼそぼそとつぶやく。

「ああ…。わかってるよ、みさをさん。だけど…」

「だけど?」

「この疲労の原因は、ほとんどあなたのおかげなんだけど;」

「うそーん(笑)気のせいだよ」


藤井はその光景を見ながら、頬を染めていた。

「いぃ!」

相変わらず意味不明な男であった。


左京に入る手前に茶屋がある。
森は茶屋娘とは数年来の馴染みである。

茶屋娘は「お凛」と言った。

森はとりあえず、左京に入る前に挨拶をしていこうと、門の手前の茶屋に向かった。

「お凛さんは相変わらず息災かなぁ」

懐かしそうにそう言うと、みさをはニヤニヤしながら森の顔を覗き込んだ。

「モリリ〜ン。お凛ちゃんに懸想してたもんね」

「…いや私はそんなんじゃ」

「いいの。いいのよ。世の男なんざみんな若い娘がいいにきまってんだから」

「お凛さんもいい歳頃だし、誰かいい人ぐらいいるだろうさ。私なんか…」

「馬鹿っ!!このへたれ!」


みさをはいきなり森の頬げたをグーで殴りつけた。
鋼鉄の拳が森の頬にめり込む。
普通はビンタだろうと思われるが、そこはみさをだ。揺るぎない。

「ぐはぁっ!」

ぐしゃっと鈍い音が響く。

森は、メガトン級の攻撃で2間ほどふっとんで転がった。
みさをの必殺技のひとつ。タイタン・フィストだった。

「もりりんの馬鹿っ!闘う前からあきらめてどうすんのよ。人生に、自分に負けんなっ!」

みさをが涙を流しながら訴えている。

色恋沙汰には極度の反応をするみさを。

藤井がその様子を見て叫んだ。

「やめたげてぇ!森さんのライフはもうゼロよ!!」


その通りだった。森は度重なる疲労から開放された安堵感から、全身の筋肉が弛緩しきっていたのだ。
森の通常の近接防御力を100とすれば、現在は5ぐらいしかない。

加えて、みさをは元気はつらつオロナミンCである。
通常の近接攻撃、腕力での攻撃は120の状態だ。
そんな攻撃を、今の状態でまともに受けたら即死に近いダメージだ。

「ぐ、ぅぅうう;;」

「立て!立ちあがってよモリリン;自分に負けちゃだめっ!」

自分でぶっとばしておいて、なんたる言い草だ。
みさをという女の人間性をここに見た。

全盛期の藤井さんを凌ぐ外道っぷりだ。

森は仰向けになりながら、息も絶え絶えにかぶりを振った。


「……っていうか…あんたに負けてるんだけど;ぐっ;」

息も絶え絶えにそうつぶやく。


すると、茶屋の店先でそんなやり取りを見ていた、茶屋娘が走ってきて怒鳴り出した。


「やいやい、あんたら!痴話喧嘩ならよそでやってくんな!!商売の邪魔だよまったく」

威勢のいいタンカを切って怒鳴っている茶屋娘を見ると、噂のお凛ではなかった。

森はよろよろと起き上がって、まじまじと見る。
というか、今まで瀕死の状態であったのに、森もいい加減強い。

「あれ…?あんたは…」

「ん?あたしゃ、この茶屋のバイトのもんだよ」

「えっ?あの…お凛さんは?」

「あれま、あんたお凛さんの知り合いかい。ああ、お凛さんなら去年の秋に結婚して越後の大名のとこに嫁いでいったよ」

「………なんと!!」


これはショック。YOU は SHOCK!愛で空が 落ちてくる。


森の呆然とした顔はまるで、泣いてるような笑ってるような…複雑な感情をしきつめた表情になっている。

「モリリン……」

みさをそんな森の肩を叩きながら「どんまいっ」とやさしく声をかけたが、聞こえてはいないようだった。

「お凛さんもねぇ。なにやら織田にいる想い人をあきらめての事だったから、さぞ辛かったろうさ。でも、相手もいいとこの大名だしね。イケメンだったし」

追い打ちをかけるように、バイトの娘は言う。


「終わった…。俺の青春が…;」


人は言う。

「信オンは少年の心の中を走っている列車だ」と。

森は、ふと思う。

「この旅は、はじめから森一人の旅ではなかったのだろうか」と。

お凛は 森の青春を支えた幻影。
たくさんの若者の胸の中で生まれ、通り過ぎてゆく明日への夢。

いま万感の想いを込めて、汽笛が鳴る。
さらば、森
さらば、お凛
さらば、藤川みさを

さらば、森の少年の日よ…。


と、

藤井が森の後ろで勝手なナレーションをしていた。


「人の後ろで勝手なナレーションでいれないでくれるかな;」

森は泣きそうな声で震えながら言った。

「森さん。フィル・コリンズの【恋は素早く】って歌を知ってるかい?何事にもタイミングは必要なんだ。それを逃すとどんな幸運も手からすり抜けて、別の奴の所にいっちまうのさ…」

「……;;」


藤井がめずらしくまともでカッコいいことを言っている。

それをみながら、みさをは空を見上げた。天気を心配しているのである。


バイトの茶屋娘は、森を3人を見ながら茶でも飲んで休んでいきなと促した。
茶屋娘は藤井をまじまじと見ながら、呆れたような声を出す。

「しかし、藤井さんも相変わらずだねぇ。まだ、ポロロッカとか言ってるのかい」

藤井は、一瞬いぶかしんだが、ぱっと顔を輝かせた。


「あぁっ!!ふぇ、ふぇいたん!ふぇいたんじゃないの」

「久しぶり。あたしが、ふぇいふぇいです」


そう。
この茶屋娘は何を隠そう、烈風最大最古の晒し屋ふぇいふぇいである。

みさをが驚きの目で見つめている。

「こ、この人があの、伝説の特攻一番槍のふぇいさん…」

「伝説でもないさ。古いだけのロートルだよ」

少し照れながら、ふぇいは3人にお茶を差し出した。


「ふぇいたん、何でこんなとこでバイトしてるの」

「嫁入り前のちょっとした座興でね」

「え〜〜;;ふぇいたん結婚しちゃうの;やだやだ!一生独身でオールドミスでいてくんなきゃやだっ!」

さっきのカッコいい台詞を吐いた同じ人物とは思えない。
つうか、きもい。

「そろそろ年貢の納め時だしねぇ。ま、後はあんたらにまかせてあたしゃ静かに消えるさ」

「突さんとふぇいたん有閑クラブ一門を作ろうと思ってたのに…;;」

「さっぶっ!絶対つくるんじゃねーよ!意味分かんないんだよっ」

ふぇいが、この後にすぐ結婚をしたかはさだかではない。
しかし、ここから10年後の真紅に、ふぇいによく似たプレイヤーが現れるのだが、そんなこたぁ誰も知る由もなかったのは言うまでも無い。



茶を飲んで身体をあらかた休めると、森は気を取り直して立ち上がった。

森とみさをは顔を見合わせて、うなずいた。


「さて…切り替えよう。もう凹むのはやめだ。私たちには使命がある」

「そうそう。評定を無事に終わらせないとね。織田と足利の今後のためにねっ」

「僕はポロロッカ!を流行らせなくちゃ!」


3人は茶屋を後にして左京の門をくぐった。


両替には、一門員が数名待っていた。


「やっと着いたか…」

むっつりした顔で一門筆頭の長瀬が機嫌悪そうに睨んでいる。
冬場千鶴は、呆れた顔で腕を組んでいる。

「遅すぎだよ…まーったく」

その横にはなんと前筆頭であった勇馬もいた。
帰参キャンペーンでぷち復帰しているらしい。

「ゆーまきゅん!!」

みさをは勇馬を見るなり抱きついて、はしゃいだ。

勇馬はみさをの頭を押さえつけながら、ぐりぐりと梅干しをした。

「み〜〜さ〜〜を〜〜!相変わらず元気まるだしでアホだな!あと、マソと仲良くしやがって許さん!!」

「うう;ひどい…;;痛い><;」


他には、にゃん娘、奥多摩、新田、周防の顔が見える。


「お疲れさま〜」

口々にそう声をかけられて、労をねぎらわれた。


森は心底ほっとした表情でへたりこんだ。

「ともかく…フロに入って美味いものを食って…ぐっすり眠りたいな」

そういえば藤井はどうしたろうと思ってみると、いつのまにか姿を消していた。
おそらく…彼なりに気を使ったのだろう。
最後までわけのわからない人だったが、悪い人ではなかったな。

そう思うと、ここ数日間の旅もそう悪いものではなかったなと思えてくる。
多分またどこかで会えるだろうさと、下ネタではしゃいでいる藤井の姿を思い浮かべた。


「みさおさん」

「なにー?モリリン。もぐもぐ…」

森の呼びかけに振り向くと、みさをは既に屋台のイカの丸焼きを食べていた。

森は、みさをの膨らました頬をみながら、ため息をついて笑った。

「あんた、とことこんやのぅ…」

「食は宇宙の原理だよっ!同じアホなら食わなきゃ損損」


その後、評定はつつがなく行なわれ、織田と足利の新たな条約協定も結ばれた。

評定後、白夜の一門員は懐かしい人も顔を見せ、クエを行なう事ができた。
いい正月になりそうだった。

森は桶狭間の空を見上げて笑っていた。
越後に嫁いでいったあの人もこの空を見ているのかなと想いながら。






──正月明け。


「へい、ナミナミ館です!」

「ちょっと、おっさん!あんたの茹でる玉子固いよぅ。うですぎだってんだよ!」

ナミナミのラーメン屋で、借金を返すためにバイトをする地獄突の姿があったとさ。

【お終い】


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めでたしめでたし。

次回、新番組「凸男と凸子ととなりの晩ごはん~奥さん!時間ですょ!~」
でよろしくお願いします

No title

>マソ君
今は昔よのぅwほっほっほっ

>藤井さん
ほんまいかいなww

>みさおっち
今年はちゃんと完結させようと心掛ける><
カタゆで卵を常備している立食い蕎麦が少なくて困るわw

No title

ちゃんと最終話がw信の中で藤井さんに出会ったことのないみさをです@@
藤井さん 真紅へどうぞ そして白夜へようこそ><
凸さんはゆで卵固めが好きなのか!
半熟がいいよ どろーっとwうぷぷぷ

No title

ポロロッカはかなり流行した!

No title

便座虫も、いまとなれば懐かしいなw
はうっはうっはううううwww
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凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
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