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信On SS番外編 不動かずは編【ギルドトラブル PART.2】

【ギルドトラブル PART.2】

あれ以来、かずはは信にはインしていない。
初めてネットゲームが怖いと思った。

ぼーっと深夜テレビを観ていると、アニメのエンディングが流れて歌詞が耳に入って来る。

あの娘のこと気に入らない 嘘つき猫かぶり八方美人♪

耳に残るフレーズはまるで、あの女性からの罵倒そのものに聞こえる。
声に出して言われるより文字だけのほうが、感情が見えないぶん、はるかに辛辣に胸に突き刺さる。

今までの楽しい時間が、薄っぺらく色を失ったモノトーンの風景に感じられる。
膝を抱えてうつむいて考えるが、思考がまとまらない。

かずはは本来、誰かを妬むという感情は極めて薄い。
ただただ、純粋に楽しく遊びたいだけだった。

戦国という仮想空間に身を置いて、仲間達と縦横無尽にただ遊びたかった。それだけである。
リーダーに関しては、多少の恋心はあったことは認める。しかし、望むものはべたべたした関係じゃなくあくまでもネット内で完結するものである。

なんでこうなっちゃうのかなぁ。

そう考えると、どこまでも負の思考は螺旋を描きながら泥土に飲まれていくような気がした。

例の女性は、かずはに罵倒を浴びせたあと、無言で落ちた。
リーダーは「何だありゃ…」と言っただけで、聞いていた施設員も特にフォローはなかった。

そもそも、あの暴言がかずはに向けられたものであることも理解していないのかもしれない。
じゃ、俺たちだけでクエに行くかと誘われたが、さすがにそんな気分にもなれない。

もう落ちるからと体よく断ってかずはも落ちた。
次の日からかずははインをしなくなった。
もう一週間が過ぎている。

「なんか、リアルと同じでめんどいなぁ…」

学生時代も同じ事があった気がする。
ぶっちゃけ、ただの痴話喧嘩のようなものだが、あの頃はまだ学生である。
子どもだったあの頃と、今とは感じ方も考え方もやはり変わっている。

リアルで言葉を吐き出さない分、胸に溜まるもやもやした鬱屈は次第に大きくなっていく。

得てして真面目すぎる人は自律神経失調症になりやすいものだが、かずははネトゲをやるには純粋すぎたのである。周囲にベテランの友人でもいれば相談もできようが、ネトゲ関連で住んでいる地域の近くに友人などいなかった。


仕方ないので飼っている愛犬に問いかけてみる。
だが、犬はめんどくさそうに一言吠えただけであった。
いわゆる、人間同士の痴情の諍いなど、犬も食ワンといったところ。

しかし、さすがにこのままずっとインしないのも自分に負けているようで嫌だった。
普通ならここで辞めてしまおうと考える人もいるのだが、かずはは見た目以上にしぶとい。

後日、かずは夜の11時頃にインをした。

施設会話に入ると、いつもの挨拶が施設員から飛んで来る。
ドキドキしながら、女性の名前を検索してみたが知人欄は黒いままだった。

しばらくすると、リーダーが来た。

「おぅ、ひさしぶりー」

いつもの調子でリーダが挨拶をする。
かずはは少し安心して、リーダーに対話を送った。

「対話でごめんね。この前の○○さんのことだけど…」

「あ、あーあれねぇ。実は次の日にちょっと話し合ったんだけどさ…」

「うん」

「そろそろ、みんなにばらせとか五月蝿くてさ…。実は俺たち同棲してんだよ」

「えっ…!?」

「いや、何か言い出しづらくてさ…。もう1年前からだからいまさら照れくさいというか」

「…じゃぁ、単純に○○さんの嫉妬で死ねとか言われたわけ?同棲してるくせに」

「まぁ、多少メンヘラ入ってるからなぁ。今も別キャラでガンガン対話きてるし」

「………」

「そういうわけだから、ごめんな。迷惑かけて。あいつにはよく言ってきかせとくから」

「……うん」


同棲してる女性は、仕事が変わって勤務態勢に伴い、信をやる時間が激減したという。
信内で知り合ったカップルなので、女性のほうはリーダーの博愛主義的な優しさが気が気ではない。

特に女性には面倒見がいいので、仕事のストレスもたまって家ではかなりイライラしているという。
そこへ持って来て、かずはの出現により、完全に自分のポジションを奪われた女性は、拗ねてあんな暴言を吐いたのだという。


かずはは一気に興が醒めていくのを感じた。
結局、リーダーがペットのように可愛がってたものに嫉妬した女が、そのストレスをぶつけてきただけである。
いい迷惑だった。

私設員もそれはわかっていたらしく、そのまま放置していたが、せめて事情を話してくれても…。
わかっていたら、それなりの距離感を取って遊んでいたはずだし、女性=リーダーの彼女とも険悪にならずに済んだかもしれないのに…。
それとも、彼女のほうは、二人の関係を知っていてわたしが略奪愛にはしっていると考えたのかしら。

かずはは今まで信頼していたものが一気に瓦解していくのを感じた。
風にさらされ崩れ落ちる砂の城。
その粒砂のひとつひとつが、大切な思い出であったはずなのに、何も価値が無い塵になっていく。

かずはは人を信じられなくなった。

それ以降、私設でのかずはの居場所は無くなった気がしていた。
クエに誘われても、雑談していても楽しくはない。リーダーの彼女は姿を見せたと思うと何も言わずに落ちていく。リーダーと行動することもほとんど無くなり、自然と野良で活動することが多くなった。

結局、しばらくしてかずはは私設を抜けた。
もう、あんな思いはこりごりだった。
どこかの組織に属するということは、壁を作ってガラス越しに人と話すような気がする。
しかしそれができないと、また同じ事が起きるだろう。
覚えの無い誤解や嫉みはもううんざりだった。

かずははネットゲームを通して人と繋がりたかったのである。
クエや合戦などのコンテンツも面白いが、やはり人と繋がるのが面白かった。

今は人を信じるのが怖かった。
裏切られるのが怖かった。
距離を縮めるのが怖かった。

だからソロで活動した。他の私設からも誘いがあったが、やんわりと断っていた。
怖かったのである。


私、地獄突がかずはと出会ったのはそんな頃である。
ある時、私は後ろから声をかけられた。

なんだと思って振り向くと、不動かずはという女性キャラが立っている。
同じ武田だったので、見覚えはあったが、不動の性は結構多くて誰が誰だか印象にない。

声をかけられた内容は、いまはもうさだかではない。
というより、なんで話しかけられたのかも記憶にない。

何かのきっかけで、色々と話すようになった。
能天気と何を言われてもめげないしぶとさはさすが九州女を感じさせる。

もう烈風の時代は終わり真紅に統合された頃に、一門の話が出た。

「かずは、お前どこか一門って決まってるのか」

「決まってない〜」

「ふむ。じゃあこっちの一門に来るかよ」

「う〜ん、一門はちょっとなぁ。考えておく」


このことが、きっかけとなり、私はかずはのトラウマを知ることとなった。

ギルド内は多くなれば多くなるほど一枚岩ではありえない。軍隊ではないからだ。
それぞれの考え方があり、組織によって考える人、個を尊重するもの。
遊び方もそれぞれだ。

しかし、一番困るのは男女間のトラブルである。うまくいっているときはいいが、一端こじれると組織事壊滅させるような爆弾にもなりうる。別に男だけ女だけでも、そーいうことは起こりえるのだが、それはまあいい。

私は、かずはのトラウマを聞きだした後、妙にひっかかっていた違和感の理由を知ることが出来た。
微妙に距離を詰める事を怖がっているし、どこか話をしていてもぎこちない壁がある。

俺が、わー!おっぱいー!!とかいつも言ってるからか?
それとも、「俺の夢はチチカカ湖」とか言っていたからだろうか。

こいつ、まさか俺を変態と思っているんじゃないだろうな…。そう考えてもみた。

いや、そんなことよりもっと深い何かが、かずはの深層心理に陰を落としている。
頑なに心をとざしているのは俺が変態だからじゃないはずだ。間違いない。


「誰かを信じるって辛いよね。裏切られたら辛いもん」

そう言ってさみしそうな顔をするかずはの心は重い。
人を信じるのが怖くなったら、そりゃ辛いだろう。


「お前も…色々苦労してんだなぁ…だがよ」

「ん?」

「やーい仲間はずれ!ばーかばーか」

「ムカッ」


「ネトゲごときで深刻ぶってんじゃねぇ。ハロワいけ!」

「ハロワは人が多いのょ!溢れかえってるんだから!!」

「しらねーよ」


かずはは、私の小学生のような煽りに憤慨しながらも胸のつっかえをすっかり話してくれた。
そして幾分かすっきりしたようだった。

しばらくしてから、かずはは他の一門とかけもちで悠久一門に加わった。

そして現在に至るわけだ。
かずはは今ではすっかり骨太いプレイヤーになり、鋼鉄乙女になっている。

思ったより相当しぶとい奴だった。

私としては、最初の頃の可愛げのあるキャラのほうがよかったのではないかと思えるが、戦国を生き抜くにはしたたかに、そしてしぶとくなければ生きられない。優しくなければ生きる価値はない。

かずはは、積重なってゆく経験によって人を信じて許していくことを学んだ。
そして忘れる事も学んだ。

これからも、かずはは仮想戦国の世を自由自在に飛び回っていくことだろう。
どんなに辛くても哀しくても、そこにはやはり繋がりが待っているのだから。

組織の中で起こりうるトラブルは、なにもかずはだけではなく誰にでも起こりうるものだ。
不満や欺瞞、そして誤解。
もちろんそれだけではない。いい事も悪い事も当然ある。

だがそれがいい。

【終】

vfdgngfhkmuh.,

トラブルとは、次に備えるチャンスである。
それにどう向き合うかで人の価値は決まる。戦国の乙女達よ。しぶとくあれ。

フジー・ スルー・ガノカミ 2012

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ジャンル : オンラインゲーム

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No title

>マソ君
女性には愛を、男性には鉄拳を!の君のポリシーがよくわかるな!
隠れリア美ちゃん集めて真紅AKBとか一門作る人いたら面白いw

>かずは
兄貴として言っておく。
おっぱいを武器にするんじゃねーぞw

>凸子
なんのこっちゃw

愛と勇気だけがトモダチです。

人生オロオロ

にぃにに話しかけたのは~

なんだっけ

わすれちゃった!

これからも恋に生きまーす。

反省してませーん♪

てへぺろっ(o^-')b

No title

女性比!マソ調べだと5050だよ!
隠れリア美ちゃんがいっぱい(^∇^)

No title

>林檎ちゃん
人生いろいろを youtubeで視聴してみたら、やはり名曲だったw
島倉千代子は苦労人だから尚更ぐっとくるねえ。

>ナミッペ
ナミッペにも同じような過去があったのかよ!
昔のキャラからは想像できねー
不安定じゃなくて小休止なんだよ!同じものばっか書いてると飽きてくるんだよー
あと、おまえおっぱい小さいだろう。顔文字でわかる!

>寝落ち極意さん
¥ネトゲ人口はやはり男性のが圧倒的に多いので、女性プレイヤーは色んな意味で自己防衛をしなければ快適に遊べないことも事実ですね。見ていて過剰なほど気を遣ってる人を見てたまに気の毒に思う事もあります。
これは女性に限った話ではないのですが、例えば男女比が逆転していたら、どうなんだろうとたまに考えますが、ネタとしては面白いかもと思ったりw
見苦しい乱文駄文ながら読んで頂き感謝であります!ケロロ。






No title

かずはさんの気持ちすごくわかります。自然と涙がでてきました。私も烈風時代のあの頃がなつかしいな~と思いました。凸さんこれからも素敵なお話楽しみにしてます。

No title

共感しすぎて涙がちょちょぎれました(゜-゜)

そしていつのまにか話が変わっていた
不安定感抜群の凸さんであった

No title

いまとびたつのよ私たち
笑いばなしに希望がおっぱい
希望の中に若さがいっぱつ♫
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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