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信On SS番外編 不動かずは編【ギルドトラブル PART.1】

fbdjmgmfy

我々は仮想空間において一人とて欠けることなく、同じ列車に乗っている。
途中で降りることは許されない。
列車の外は暗く深い精神の泥土なのだから。

ガガー・レイ 2012




【ギルドトラブル PART.1】


「うざい。死ねばいいのに」

かずはは、一瞬何を言われたのかわからなかった。

わからなかったが、それは確実に自分に向けられた悪意だ。

<死ねってどーいうことぉ…>


かずは急速に心が冷えていくのを感じていた。

信長の野望オンライン。略して信オン。もっと略してノボンと呼ぶ。

わけねー。

冗談はさておき、
これは、信オンという仮想戦国空間の愛憎のカルマに巻き込まれた一人の女性プレイヤーの物語である。
つまりは君たちの物語だ。


私設内でのチャット会話。
この私設には5〜6名のプレイヤーが常駐しているが、チャット会話は活発なほうではない。
私設のリーダーは、仕事の都合でいたりいなかったり。

私設自体も積極的なクエスト攻略はあまりしていない。
私設員の大半がだべり目的でインしてくる社会人プレイヤーである。

かずはは数ヶ月前、リーダーに誘われて私設員となった。
下世話な話ではあるが、ネトゲにおいて女性プレイヤーは貴重だ。
多くのネットゲームのプレイヤー8割は男性で占められているからだ。
今時では女性のネットゲーマーも少なくはないが、それでもほとんどは男であると思ったほうがよい。
西武門さんは男だよほんとだよ。


ともあれ、その2割に満たないリアル女性を廻って、これまで幾多の問題や争いが起きている。
あるプレイヤーは既婚者であるにも関らず、節操なく数人の女性プレイヤーと関係を持つ。

また、あるプレイヤーは想いが強すぎてストーカまがいの行動を起こす。
恋愛の形は人それぞれだ。オンラインで出会いなんざありえないと云う人も少なくない。

しかし…昨今のネットワークインフラが堅牢になってきた現在では、出会う場所がどこであれ、リアルもオンラインも境目はないような気もする。
もちろん危険も多いわけだ。フェイスブックによって自己のパーソナルデータが全世界に流出して、人生を狂わされた人、ソーシャルメディアでの口論により命を奪われた人。

ネットに慣れた人であれば、ある程度の防御壁、つまり一定の距離をとり、自分の立ち位置を決める。
リアル女性は、あえて男キャラを使ってゲーム内での軟派の予防線をはっている人も少なくない。

だが、かずははこの時はオンライン初心者であった。
にっちもさっちもどうにもブルドック状態で危険のレベルもわからない。

当然、オンライン上の容姿や人格は、リアルにも相対すると信じ込んでいた。


「狩りに行こうか」

優しくて強く頼りがいのある人。そんな男に女はよよよとなびく。これは古今東西どこでも同じ。
ネットゲーム内でそんなプレイヤーは数多く、相手が女性とわかると態度もコロッと変える。コロコロコミックまだあった。


まぁね。……俺がそうだ。

あれ?そうだっけかなー。そうじゃないようなそうだったような…。
とにかく俺はホモじゃねえしな。正常な男だったら女を好きなのは当たり前だよな。
だって、俺は男が好きなんだって宣言したらやべぇじゃん。
というか、必死になって否定してると変な誤解を受けそうなのでこのへんでやめとこう。
まぁこれでいいのだ。明日もやるのだ。


とにかく、女はいつだって白馬の王子様に憧れるわけ。
アンソニーは馬から落ちて死ぬっつーのにさ。
あんたのせいよアンソニーが死んだのは!とイライザみたいにブルーデイの更年期障害にならないようにご注意あれ。


かずはも例外ではない。
いや、かずはというより、ネトゲにはまった人には誰しも起こりうる状況だ。

かずははリーダーと知り合って、色々教えてもらった。
狩りにいき、アイテムをもらい、時にはリアルの悩みを相談したり。
仮想空間の甘美な蜜は麻薬と一緒だ。
当然、精神的な絆も出来てくる。憧れもいつしか偏頗な愛情にすり替わり、恋に恋する5秒前だ。
尊敬、羨望、傾倒、そして愛情。これはテストに出すから暗記をしなさい皆の衆。

かくして仮想空間のネトゲ乙女は現実の相手を夢想する。
キャラと同様、強くて優しくて頼りがいがあって背が高くて高年収で顔はもこみちで。もっこりだったら喜一だね。
そんなんないよないない、あるわけないだろお富さんといっても、恋する乙女に何を言っても無駄無駄無駄ぁ!

しまいにゃ、「やだ、この人。やきもち妬いてるの?ふふふ」とか、わけのわからない勘違いをし始める奴もいる。ぐぁーっつ、頭がかっとびそうだぜおっかさんと怒髪天をついて、そのありえない幻想をぶち壊そうとするが、恋する乙女にゃ適わない。
頭元気かお前はまじでと言いたいが、疲れるのでほっておく。

確かにリアルの旦那や恋人など、言ってもくれない。言うはずが無い。
浮いた台詞を現実で言葉にしてくれるはずもなく。
キャッツキャッうふふと「愛してる」。歯が浮く火がつく腰が浮く。やだぁばかんと乙女の吐息。
そんな磨き上げた妄想のキャラからかけてもらうと、身も心も私とあなたはラビリンス。

これが、二人だけの世界なら何ら問題もないのだが、そうは問屋が卸さない。
卸さないったら卸さない。


かずはの所属する私設は1年ほど前に、リーダーが立ち上げたものである。
10名ぐらいの知人達と集まって作った、いわばよくある身内のギルドだ。

最近入ったかずはは、もちろん新参者であるが、やたらに男受けはよかった。
天然ボケと従来の明るい性格がネトゲ内でも功を奏し、マスコット的に可愛がられていた。

かずははこの私設が好きだった。
みんな親切で楽しい人ばかりだ。

オンラインゲームって楽しいな。
かずはは仮想現実の戦国生活を謳歌していた。

しかし、ものごとには陽があれば陰もある。
当たる光が強ければ、影もまたそれだけ暗くなる。


そのかずはの様子を、怨嫉の暗い炎で見つめる眼があったのだ。

私設にはかずは以外の女性もいた。
噂ではリーダーの彼女ということであったが、リーダーは否定していた。


かずははいつもそのリーダーといた。
だが、そのかずはのポジションにはもともと、以前から所属していたもう一人の女性のものだった。

その女性は、リアル事情でイン率が少なくなり、インしても軽い依頼をこなしてチャットして落ちてゆくようになった。
以前はリーダーとはいつも一緒にクエなどをこなしていたらしい。チャットもまるで夫婦や恋人のような感じで、仲睦まじい公認のような二人であったと言う。

女性のイン率が減ってからもリーダーは、その女性を誘って時間の限られた中でクエや攻略をやっていたようだ。
女性もリーダーのそんな対応を憎からず思っていたに違いない。
恋愛感情が芽生えても至極当然のことではある。

しかし、かずはが私設に来てからというもの、リーダーは女性が対話で挨拶しても「いまボス中」とか「やぁ」という素っ気ない返事しかしなくなった。

いない人より、いる人が大事というのは仕方ないことだ。
リアルで知っているわけでもなく、特定の深い関係でもないのだから。

しかし、人の嫉妬というものはそうは割り切れない。
しかも女性の場合はそれが男に向かうものではなく、相手の女に向かうもの。
これは小泉八雲の説話集にも載っている。

かといって、かずはとその女性が仲が悪かったかと云うとそういうわけでもない。
むしろ仲は良かった。
私設に入った頃はだが。

ゲーム内のわからないことを色々教えてくれたり、技能の相談にのってくれたりと、優しいお姉さんといった感じだったのだ。


その女性が嫉妬の牙を剥き出しにして、かずはに暴言を吐いたのである。

「死ねばいいのに」

仲良しこよしの私設であればふざけあって、こんな暴言も飛び出すのはよくあることだ。
しかし、その前の会話からあからさまにかずはに刺をぶつけてきている。

11時頃にインしてきたその女性は、挨拶をしてしばらく無言で放置していた。

私設には常駐しているいつもの顔ぶれがいるが、それぞれクエや生産をしながらつぶやくが聞き流す程度の会話。
いつもの日常である。

しばらくして、リーダーがかずはと、先日のクエについて楽しそうに会話をしだしたのだが、私設員の古参の一人が、相当暇らしく二人の会話に絡んできた。

「リーダーとかずはちゃんもすっかり夫婦プレイヤーだな!」

「え〜〜!あたしなんかリーダーに相手にされてないもん」

「はっはっはっ!妬くな妬くなw」

そんな雑談をしながら、今日のクエはどこにいこうかと算段していると、例の女性プレイヤーがいきなり口を開いた。


「たまには、かずはちゃんばっかりじゃなくてわたしも構ってよーリーダー」

スカイプじゃないのでニュアンスは分からないがフォント4で甘えてくる。
もちろん、かずはは気にもならず逆に面白がっているだけだ。

リーダーは、その女性に対して遠慮しながら提案をした。

「う〜〜ん;遊んでやりたいんだけど、お前最近すぐ落ちちゃうしなぁ…。簡単なクエしか手伝ってやれないぞ」

「それでもいいよー。遊んでー」

「じゃぁ藤岡屋のクエで特務をやるか…えーと、かずはも終わってないだろ?」

「終わってないけど、いいよぅ。たまには二人で行って来て!」

「いや、人は多いほどいいしさ」

遠慮し合いながら、リーダーとかずははじゃれあってなかなか目的地がさだまらない。

「じゃあ、○○に行くところを決めてもらうか」

決めかねたリーダーは、最後に女性に振ってみた。
そんなやりとりを聞いていたその女性は、いきなりキレた。


「もういいよ。行かない」

「えっ?」

リーダーはびっくりして、どうして?と聞く。

「かずはちゃんと行ってくれば?どうせあたしお邪魔虫だし」

「はぁ?お前が行こうって言ったんだろ。なんだよそれ…」

リーダーも、女性のキレ具合に多少いらついている。
自分が原因だということがわかってないようだ。

かずはは、わけもわからずきょとんとしていた。

「えっ、○○さんどうしたのぉ?なにか怒ってる?」

その瞬間、女性は決定的な一言を言い放った。

「うざい。死ねばいいのに」

言葉は時に鋭い剣となり、人の心を突き刺すものだ。
チャット文字にニュアンスを込めるのは不可能だが、伝わる雰囲気というものは大概わかる。

この暴言に私設内が凍り付いた。

冗談で言ったのではないということはわかる。
問題はそれが誰に向けられているか、だ。

間違いなくかずはだった。

真っ白になった頭。震える手で必死に次の言葉を打とうとするが、何を言っていいのかわからない。
いきなりかずはの心に刺さった剣は、これからのネトゲライフに暗い湿った影を落とすには十分だったのである。


【続く】
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にぃにはさみしいんだね!

わかるわかるぅ♪

No title

>西さん
西さんの構ってちゃんストーカ伝説もしっかり聞いてネタにしてみたいねぇ
俺は覇王時代にちょっとあったけど説教くれたら対話こなくなった!
ちょっとさみしいw

No title

貼られているマンガがシュールで毎回楽しみですw
酷いウザ構ってちゃんにリアルまで介入されそうになったので
某ネトゲやめた過去ありますww何とも気にならない人だったんで無視してたら
逆キレされました('A`)
あの時の取り巻きオッサン達が今でもウザ構ってちゃんの奴隷として
RMTまでして装備貢いでいると当時の知人から聞いて笑いました。
そういう人ばかりじゃないんでしょうが、、、。

No title

>チビホークちゃん
どこのコピペだそれ?
そんなことより貸した金返せよ平田w

>林檎ちゃん
人生色々、マソ君もエロエロ、ふぇいだって色々咲き乱れるのw

No title

人生いろんなことが起こりますね
そして色々な人・・・
エロエロな人がいるもんです\_( ゚ロ゚)ここ重要

ようチビホーク

ようチビホーク 君は2チャンに君臨している40越えの不細工おっさんだな
40こえて未だにオンラインゲームしているのって恥ずかしくないですか@(・●・)@wwww
未婚でソープかよってることは俺にはお見通しだ
40こえたおっさんがストレス発散の為に2ちゃんで誹謗中傷しているんだから
未婚、ソープ、2ちゃんで誹謗中傷なんかして楽ちいでちゅか(爆笑)∧( 'Θ' )∧
こんな事買いちゃったから俺アク禁になっちやうねwwww
もう二度と書かないからアク禁にしてもいいよo(^▽^)o

No title

>藤井さん
おっと、藤井さんの褒め言葉はそこまでだ!

No title

死ね=好き

褒め言葉だぜ!
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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