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【また】信On 失恋レストラン 3【お前か】




地獄突はマソの人格が豹変する前の足取りを徹底的に調べた。

聞き込みを続けるうちに、旧人格のマソがそこそこ人望があったことに驚く。
面倒見もよく、企画立案もアクティブにこなし多くのプレイヤーと交流があった。

「ふうん。マソの奴は普段ふざけてるように見えても,ツボは抑えていたんだな」

地獄突は感心した。

しかし、やはりふぇいにこっぴどく振られてからの足取りが掴めない。
ふぇいの信書を確認すると6月9日の日付になっている。
そこから12日まで空白の3日間がある。

マソの一門の人に聞いてみると、6月9日の夕刻に武蔵に向かう関所の近くでマソを見かけた一門員がいたという。
あまりにも哀しそうな顔をしていたので、あえて声はかけなかったそうだ。

そこから3日間ほど姿を消している。13日にインして来た時には既にあの爽やかマソになっていたらしい。
そこから陰陽師と鍛冶屋をフル稼働させて、生産に没頭しはじめたという。
出来上がった生産品は、全て業ものというから驚きだ。しかも格安ショップのごとく市場に提供している。

それまでの生産職人からは当然疎まれた。いきなり現れた生産廃人に名声を持っていかれるどころか、今までのギャップからか、若い娘に大人気になっていた。
生産のカリスマ。マソブランドは市場を席巻し、熱狂的なファンによってFCまで作られている。

古参の生産廃人は言う。
「いるんだよなぁ…。ほら、学生時分に夏休みを区切りにキャラ変えしようとかする奴がよ。どうせ長く続かねーのに」

しかし、マソのあれはキャラ替えではない。人格そのものが変貌を遂げている。
だが地獄突にはある確信があった。

本当のマソは、奴の人格の牢獄にとらわれてしまった囚人だということを。
そこで助けを求めているに違いない。マソはマソである。あんなチャラいマソはマソじゃねえ。

例えば肉の入っていないカレー、またはシチューだ。
それに、あんなキャラばっかが横行するようなオンラインになっちまったら、たまらない。

いい人?大人しい人?思いやりがある人?みんなが暴言も吐かずに人に迷惑をかけずに楽しんでいる理想郷?

じょーーーだんじゃねえ。そんなつまらん仮想世界なんざまっぴらだ。
水だって綺麗すぎたら魚は棲めねえんだ。
それに天国じゃハンバーガーは食えないぜ。

なんとしても昔のマソを取り戻す。この俺のネトゲ人生を賭けてもだ。
地獄突は風にそう誓った。

何とも不毛な誓いであった。



「で、だ」

近江の戦国カフェ。

テーブルを囲んでいるのは、地獄突、ふぇいふぇい、そして武田の秋山左京太夫と草摩モモがいた。

「ここにマソの人格救出作戦委員会を立ち上げたわけだが…」

「はい!ちょっと質問」

草摩モモが手を挙げる。モモは烈風の古参陰陽で初期から緑の服を着て戦場を疾駆していた。
地獄突の旧来の友人でもあった。


「えーと…なんで俺がここにいるのw」

「モモ…。お前な、くだらん事を聞くなよ」

「えっ…」

「人助けに理由なんざいらねえ。男ってなあそんなもんだろ」

「いやぁ…でも俺かんけーねーんだけど…マソって人とも親交ないしさぁ」

「やかましい。とにかくお前は書記な。よろしく!」

「ちょっww」


わけもわからず召喚された草摩モモ。運がいいのか悪いのか。
やれやれと言いながら、あきらめた様子でアイスコーヒーをストローで掻き混ぜた。

その様子をみて、呆れたふぇいがモモを慰めた。


「相変わらず強引なおっちゃんだねぇ。モモちゃんも可哀想に」

「うるせーぞ。平成コスプレ女。お前は巫女の格好でもして盆踊りでも踊ってりゃいーんだ!」

地獄突がそんな暴言を吐いた瞬間、ふぇいは地獄突の背後を指差して叫んだ。

「あっ!Fカップの美女があんなとこに!!」

「え!?どこどこ!」


地獄突が後ろを剥いてキョロキョロした瞬間に、ふぇいはテーブル上のビール瓶を持って地獄突の頭を砕いた。

「げひゃん!!」

ビール瓶は粉々に砕けて、地獄突は蛙のように伸びてしまった。
というか、普通なら死んでいる一撃である。

「あらやだ。手がすべっちゃったぁ。てへ♡」


秋山左京太夫と草摩モモは、この人だけは敵にしちゃいけない。そう思ったのは言うまでも無い。

「ほらほら、おっちゃん。そんなとこでヒキ蛙みたいにのびてないで話を先に進めてよ」

ふぇいの鬼っぷりは揺るぎない。
特におっさんに厳しいと評判だったがここまでとは…。
総じて若く素直な娘には優しいというのだが。


「む、ぐぅう…」

呻きながら、頭を抑えて地獄突はよろよろと立ち上がった。

何やらまだ朦朧としている。

「ほらほら、早く!マソ救出するんでしょ。もたもたやってると日が暮れちゃうわよ」

「お、おう…」

頭を左右に振りながら、椅子に座り直してひと呼吸をする。

「ふぅ…。とにかくだ…」


両手を交差さえて祈るようにうつむいた。

しばらくの沈黙があった。

外はめずらしく雨が降っている。静かな雨だった。


静寂を破って地獄突が顔をあげて、3人の顔を見渡す。


「気になるぜ」

「なんだい。そんなにマソが心配なの」と、ふぇい。


「いや…そうじゃねえ。こんな日は…」

深刻な面持ちで地獄突は続ける。

「蠅とか蚊ってどこに隠れてるのかな?気になんねーかお前ら」

「……気になんねーすよ」

モモがぐったりした顔で答えた。


「というかのぉ〜」

秋山左京太夫がようやく重い口を開く。

「ワシもなんでここにいるのかわからんのだがのぉ〜。今はちと一人にしてもらいたい気分なんだが…」

そう言って秋山左京太夫は、ガラゲーで着信メールを覗いている。


地獄突は目を光らせて秋山を見ると、ニヤリと笑みを浮かべた。


「アキヤマン…。お前最近失恋したろ?」

「………!?」


「あら、秋山さん振られたのか」

「へぇ、だからさっきから涙目だったんだねぇ」


地獄突はさらにたたみかける。

「まぁなぁ…。辛いよな、苦しいよな。しかしそんな思いが人を助ける事ができるんだぜ」

「ぬくぅ…耐えてるんだワシ…。辛いなぁ…」


そう言うとアキヤマンは唇を噛みしめながら、宙を見上げて叫び出した。

「よしこちゃぁあ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」


当然、この後、地獄突を含む3人が転げ回るほど大笑いをした。
大爆笑と言っていい。
涙を流しながら腹を抑えて転げ回っている。

「はっ、腹いてーーーーーーーーっ!!wwww」

「泣きが入っちゃおしまいだよ秋山さんww死ぬこれwww」

「腹筋が…wこれはひどいww」


笑い転げている3人を見て秋山左京太夫は憤慨した。


「あのねぇ…。ここ、ここねえ。笑うとこじゃないですよ…。あんたがたもご存知だろう?失恋がどんなに辛いものかをさ…」

そう言って涙目でうつむく秋山の肩を抱いて地獄突は目に涙を溜めながら(もちろん笑いで)悪かった悪かったとなだめた。

「と、とにかく、その失恋ってぇのが今回のポイントなのさ。マソを救い出す鍵を握っているんだよ」

まだ笑いの余韻が残ってはいたが、目は真剣だった。


「ぬくぅ…。一体ワシに何をさせる気かのぉ」

「まぁこれを見ろよ」


地獄突はそう言うと、一枚の紙を懐から出してテーブルに置いた。


「これは…失恋レストランの歌詞?」

ふぇいがそう言うと、モモがかぶせて言う。

「カラオケでは歌った事がないな…」


その紙には「失恋レストラン」の歌詞がフルで書いてあった。


失恋レストラン
つのだひろ 作詞/作曲

悲しけりゃここでお泣きよ 涙ふくハンカチもあるし
愛がこわした君の心を やさしく包む椅子もある
ポッカリあいた胸の奥に つめこむめしを食べさせる
そんな失恋レストラン いろんな人がやってくる
好きな女に裏切られて 笑いを忘れた道化師が
すがる失恋レストラン もうおどけることもない 今は
ネェ マスター 作ってやってよ 涙忘れるカクテル

悲しけりゃここでお泣きよ 涙ふくハンカチもあるし
愛がこわした君の心を やさしく包む椅子もある
愛をなくした手品師などは 恋の魔術を使えない
だから失恋レストラン なくした恋のふきだまり
歌をうたえぬこの俺でも 話し相手になれるなら
いいさ失恋レストラン 君のそばにいてあげる ずっと
ネェ マスター 唄ってやってよ 痛みをいやすラプソディー

悲しけりゃここでお泣きよ 涙ふくハンカチもあるし
愛がこわした君の心を やさしく包む椅子もある
みんな帰ったそのあとで 強がりいってたこの俺は
ひとり失恋レストラン まだ恋したこともない そうさ

ネェ マスター ラスト・オーダーは 失恋までのフルコース
ネェ マスター ネェ マスター ネェ マスター早く



「愛をなくした手品師などは 恋の魔術を使えない…か。意味がわからん」

秋山は歌詞を眺めながら頭を捻りながら唸った。



「ここ数ヶ月でマソだけではなく、数十人が人格変貌を遂げているらしい」

「え?マソって人だけじゃないのか」

「ああ、詳しく調べたら、かなりの人数がまるで人が違ったように穏やかな聖人君子になっちまったそうだ。まさに没個性のスパイラル」

「おいおい、真紅はカオスだったから面白かったんだ。いい人ばっかの争いもないユートピアなんぞ戦国じゃないのぅ」

「私もはっちゃけられない世界に興味は無いなあ。まぁ、マソはどうでもいいんだけどさ」


ここに集まった4人はやはりネット極道である。
しかし悪が存在しない世界に正義は存在しない。それを証明する神さえも生まれないのだ。

「わかったろう?マソの人格を救うってぇのは、もっと大局的な見知からの行動なんだ」

「なるほど」

3人は地獄突を見ながらうなずいた。

ようやく4人の想いが一つになった。
気がするようなしないような。


地獄突は歌詞のある部分を指差した。

「この歌詞の意味をよ〜く考えてみると、おかしいところがある。ここだ」

「ほう?」


ネェ マスター 唄ってやってよ 痛みをいやすラプソディー



「お前が歌えよ!!と言いたくなるだろう?なんでマスターに頼むねん。お前が歌ってやれよと」

地獄突は得意げな顔をして言い放つ。まるで謎をといた金田一少年のように。

しかし、ふぇいをはじめモモも同意はしなかった。

「ベツに…いーんじゃないのそこは…」

「うん…。そこは特に問題じゃないような気がするけど」

同意を得られなかった地獄突は顔を真っ赤にしてじだんだを踏んだ。


「じゃ、じゃあここはどーよ!!」

ひとり失恋レストラン まだ恋したこともない そうさ


「まだ恋もしたことないのに、どーやって失恋すんだよ!矛盾してるだろ!!」

「まぁ…確かに」

「うん、まぁそー言われてみると」

「な?」

と地獄突はふぇいとモモにドヤ顔をするが、秋山がそこに割って入る。


「矛盾しているのはわかったのだが…それがマソを救うのに何か意味があるのかの?」

「うっ…」


痛いところを疲れて思わず押し黙ってしまう地獄突。確かに救出作戦には関係はなかった。お前それが言いたかっただけちゃうんかと思われてもしかたない。

動揺している地獄突にふぇいが助け舟を出した。

「まぁ話を進めようか。とっぁん」

「お、おう…」


地獄突は気をとりなおして 説明を始めた。
今度は寄り道をせずに、事の起こりと経緯をかいつまんで話した。


「そーいうわけで、アキヤマン。その失恋レストランにはお前しか行けないってわけなんだよ」

「おいおい、それじゃ生け贄じゃねーかワシは」


秋山はうろたえた。当然だ。自分の人格が無くなるなんざ死ぬと同じことである。

「安心しろ。お前の身体に超小型CCDカメラを取り付けといてずっと監視しとくからさ。それに最新のセルフプロテクション・ウェポンも用意してやる。最新のライアットエージェントCSとか使えるんだゾ!」

「だゾ!じゃねえよ!それに、もしワシがワシでなくなったらどう責任取ってくれるんだ!?」

「……さぁ?」

「おいおい…突さん」

「頼むよ。アキヤマンしか現状そこに行ける奴はいねーんだ。真紅の傷みを止めるんだアキヤマン!」

「ぬくぅ…」

しぶる秋山にゴウを煮やしたのか地獄突は秋山に耳打ちをした。


「今度、川崎のカンカン娘で3輪車おごってやっからさ、な?」

「…延長するぜよ?」

「ま、多少ならな」

「仕方ない…」


話は決まった。
まずは敵の正体を知ることから始めるしかない。

マソ救出作戦決行は、今夜の丑三つ時。
失恋レストランとは誰が一体なんのために作ったものなのか。
開発の手違いか、それとも明確な意志か。

そしてアキヤマンの運命は。マソは元の人格を取り戻す事ができるのか。


真紅未曾有の危機に間然と立ち向かう4人の極道。
地獄突は雨に燻る闇を眺めながら決意を固めていた。
全身の血が泡立っていた。

いきなり携帯が鳴った。
見た事無い番号だ。

「誰だこれ…もしもし?」

一抹の不安を抱えながら受話器の向こうに悪意を感じる。


「凸さん、乳首タイムの 始まりだよ!!」

「またお前か」

プチッ、ツーツー。


藤井さんの悪意は闇に紛れて消えていった。


【続く!】


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テーマ : 雑記
ジャンル : ゲーム

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非公開コメント

No title

>みさおっち
失恋なんざここ60年ほどする機会もない;
マソブランドはいまやオートクチュールだよん!

No title

凸さんが失恋しちゃったからこのネタとか!?もふもふw
新しい装備欲しかったのでマソブランド探しにいってきますっ シュッタタッe-282

No title

>林檎ちゃん
ビェ─・゚・(。>д<。)・゚・─ン!!
俺も泣こうw

No title

ここ何年も恋なんてしてないなぁ(´・ω∩`*)
恋するのは自由だろうけど
恋するに値する女が周りにいないから
いけないんだーービェ─・゚・(。>д<。)・゚・─ン!!

No title

>モモ
昔のダチにメリージェーンはアルフィーが歌ってると思ってた奴がいたなw

>藤井さん
アキヤマソが最近売り出し中!

>アキヤマン
シミケンの真・雀鬼はガチでいいぜwシミケンはもうゴリラみたいだけど
まぁお大事にw

>西さん
沖縄で空手教えてたんだよなぁ。いい演技するのにシャブに負けてる残念な人w

>凸子
ほんまいかいなw

きゃは♪

どっきどきしてきたぁぁぁぁ♪

No title

「失恋レストラン」の歌詞、初めて知ったw
そういえば歳の離れた姉が小学生?頃の部屋を撮影した写真に映っている
ポスターの1枚が清水健太郎だったw懐かしい;w;

オイオイ

失恋レストラン=清水健太郎=シャブ中って脳内図式だが、 お盆前に連休貰ったが連休中食あたりで腹痛で悶絶していたんで虚しいぜよ。

No title

安芸山山河

秋山さんと打ったらこう出た件
犯人はちょめちょめ!

No title

俺さ、つい最近、お店の常連客に隔離され、メリージェーン歌わされたよ。世代じゃないんですがw
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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