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信長たんの晩餐

「いやだね!織田民などこの店に一歩も立ちいらせない。がさつな尾張人の信長ごときに料理の神髄がわかるわけないんだ」

禁裏の料理人、凸はにべもなくそう言った。

「そう云うと思ったよ。どうも俺は物事をシンボリックにとらえたがる人間でね」

凸の横柄な態度もいつもの如くといなしている。
豪華な円卓の前で対峙して話しているのは、三浦と云う武田の古参家老であった。

「織田のうつけと云われる信長だが、近い将来天下を取る器だと俺は見ている。彼との会談はこの店で行われるのがふさわしいと思っとるんだ。そして最高級の宮廷料理を出して欲しい」

「私は節を曲げた事はないんだ」

凸はあくまでも断る様子だが、三浦にはこの店を出店するにあたって融資に顔を利かせてくれた恩は感じている。
強情だが腕は確かだった。が、その生来の強情さがしばしば融資者達とのトラブルを招いていた。


「あと方言だ。あのみゃー、だか、だぎゃあだかの方言が私の店の空気を汚す。耐えられると思うか!」

三浦は手を揉みながらまぁまぁと凸の様子を伺うが、これはもう落ちたも同然と確信している。
最後の抵抗としてさらに悪口雑言を巻き散らすが、連日の三浦の執拗な懐柔にはお手上げだった。

「京都弁は神の声、関西弁は盗賊の声、尾張弁は馬の鳴き声…か。誰だったかなそう言ったのは。実にその通りだ」

「信長たんは綺麗な江戸弁が話せるよ。まぁ、俺の願いだ。聞いてくれんか」

片目をつむって懇願するようなポーズが決め手となり、凸は両手をあげて降参したようだ。
そして三浦を一瞥すると、勝手にしろ!と怒鳴ってさっさと厨房に引っ込んでしまった。

三浦はニヤリと笑いながらつぶやく。

「計画通りか。さて…」



暮れ七つ時。
豪華な駕籠が、料亭に止まり大柄な武家がのろりと出て来た。

料亭の前で待っていた三浦は、ひれ伏してその武家を丁重に迎えた。

「これはこれは信長様。ようこそいらっしゃいました」

「三浦か。久しいな。おみゃあさんが何考えとらすかわからんが、御輿に乗ってやったでよ」

「はは。ありがたき幸せ。信長様にもご壮健そうで何よりでございます」

「とりあえず案内せい」

「御意」


永禄3年。織田信長この時26歳。
信長が既に尾張国を統一した翌年に今川義元が尾張国へ侵攻した。
今川氏の軍勢は、2万人とも4万人とも号する大軍であったが、4,000人足らずの兵力で奇襲にてこれを破り、信長は時の麒麟児へと駆け上がっていった。これが有名な桶狭間の戦いである。


「ここが京都一の料亭か。随分汚い門構えだな」

「伝統的なものは、しばしばくすんでいます故」


長い廊下の床を軋ませながら、三浦は若き信長とその一向を最高級の座敷を案内した。

襖を空けると、目が覚めるような絢爛豪華な食卓が用意してある。

「さぁどうぞ」

「ふむ」


信長は上機嫌だ。信長の気性の激しさはつとに有名で、その残虐性ばかりがクローズアップされているが、
自分が認めたものは徹底的に寵愛しぬく。愛された重臣達にはすべからく恐ろしくも愛おしい殿様でもあった。

武田の家老の三浦が密裏に信長に接触できたのは、今は亡き道三の覚えが目出たかったことによる。
道三がまだ稲葉で油を売り歩いている頃に、これまた蜆を売り歩いていた三浦と道三は飲み仲間であったのだ。

道三はあれよあれよと云う間に策謀をめぐらして一国の主となり、三浦は蜆売りを捨て、合戦へ出向いた。
武田側について武功を上げ、石和一族の養子に入り家老にまで重用されることとなる。

道三と国を違えての交流を密に行っていた三浦は、斎藤義龍の生来の獰猛性を懸念していた。
幾度となく忠言していたのだが、道三はうっちゃっとけと云って聞かなかった。

織田と和睦が成立して、道三の娘・濃姫と政略結婚をした折りに、忍んで遊びに行った道三の屋敷で信長に幾度となく対面している。
そんな関わりもあって、信長も三浦に対していささかの親愛は抱いているようであった。

信長は上座の座席に胡座をかいて、注がれた酒を一気に飲み干した。

「どれ。でらいものを食わせてくれると云うで来たがや。ワシを失望させるでにゃーぞ」

「ははっ。それでは早速の馳走をば」

三浦はぱんぱんと手を打つと、襖がばっと開いていよいよ宴の開始である。


それを、天井裏からじっと伺う二つの眼があった。

黒装束に纏われた小柄な体躯と後ろに縛った長い髪の毛。
クノイチである。黒いハバキを足につけているところを見ると、奥州の忍者であろう。

天井の板目の隙間から、微動だにせず下の宴の様子を伺っていた。
このクノイチ、名をみさをと言った。

<なるほど。武田の家老と信長の密談か。武田の三浦と云えば、いわば囲われ家老で他古参家老連中とも折り合いが悪いと聞く。この機に他勢力へ通じて出奔し、堅牢な地位を築きたい。しかし今の知行をそのまま保つためには、仕官時に何らかアピールする材料がいる。それが時の麒麟児の後ろ盾か…。三浦もなかなかに苦しい>

みさをのそんな考えをよそに宴は進み、いよいよメインディッシュである。

中国の歴代皇帝の愛した宮廷料理、北京ダックが出て来た。

「かの大陸の皇帝がこよなく愛したと言う北京ダックです。ただし古今を通して第一人者の手によって天下第一の料理に仕上がっています」

三浦の能弁な舌はさらに滑らかに回る。

「まぁこの料理には言葉の調味料など必要ございませんな」


信長はニヤリと笑い手を叩いて喜んだ。


「ふむ、主らは例外なく事大主義的だの。金をかけた料理が美味いのは当然だろうがよ」

その口上を聞きながら、みさをは声を忍ばせて笑った。

<うまい事を云う>


信長と三浦との会話がしばし弾み、みさをも多少気が緩んで来たその時だった。

信長の声色が代わり、尾張弁の方言が消えている。座敷の空気も明らかに先ほどのような暢気なものではなくなっていた。


「三浦よ本気かい。この話は亡くなった叔父御への大きな弔いになると思っていたんだがな。しかも破格の待遇で大名として主を迎えようと思っていたに」

「…誠に畏れながら。武田軍の兵力を甘くみてはなりません。殿の軍勢に至っては、いまだ百姓から桑を捨てさせただけの俄兵。それに比べて武田群は生粋の戦闘集団に扶持を与えて、それ以外の一切は戦闘のみに訓練させております。武田と織田の争いは屍を累々と築く怨嗟の戦。なりませぬ」

それをじっと聞いていた、みさをは重大な勘違いをしていたことに気がついた。
三浦は織田の武田進行を口上で食い止めていたのだ。しかし、それは武田側からも間者として疑われる危険もある。

<なんだって…。すると三浦は大名の身分を棒に振ってまで!>

何という男であろう。武田の中で一人異を唱え、孤立していこうと己の信念を貫きとおそうとしていたのだ。

<なんて男なんだろう>

みさをは忍びにあらざる懸想を三浦に覚えた。
古来よくあることだが、男に惚れたクノイチに待っているのは組織による懲罰である。


「実に不愉快だな…お主は。まぁいい、間者は他にもいるわけだしな」

「私は武田が灰となるまで一兵卒として抵抗していきますよ」


「帰るぞ」

信長は従者を連れて踵を返した。

「北京ダックか…。主らの考え方はまさに老いぼれた皇帝よの」

三浦を睥睨するように吐き捨てる言葉を投げつける。

「食える時に食えるものを食う…。それがワシだ。なのに主らは一瞬に消える味のためにあくせく手間をかける。主らはこの戦国に生き残れんぞ」

「明日という日を信じているからですよ。では、よいお時間でした信長様」


屋根裏のみさをは舌打ちをした。

<なんてこった!>

みさをは伊達家より織田の動向をさぐるように使わされた草であったが、この三浦と言う男に惚れ込んでしまった。
抜けよう、そして三浦に仕えよう。

そう思って素早く屋根裏を駆け抜けて、側女に変わり身した。
みさをは、信長を見送って中央の庭の池に何と言えぬ顔をして佇む三浦を抱きしめたくなった。

三浦に駆け寄ろうとした瞬間、がっし!と後ろから肩を掴まれた。

「誰だお前は?」

店の主の凸だった。

「ちぃいい!!!!」

みさをは、瞬時に左足を跳ね上げて凸の股間を蹴り上げた。

ぐちゃっ。

「ひぎぃいいいいいいい!!!!!!!」

三浦はその恐ろしい断末魔のような悲鳴を今でもわすれないと語りぐさに云う。

みさをはそのままどこかに消え、玉を潰された凸は踞って股間を抑えている。

「凸!!どうした?」

三浦が駆け寄って来たとき、凸は青い顔をして息も絶え絶えにこう言った。

「も〜だめ…。ぐちゃって音したもん…。ゲイにもなれねぇ…」

三浦はそのとき何といっていいかわからなかったが、精一杯の優しさで慰めを言った。

「大丈夫だ。俺の知ってる店はおkだ」

「お前…あとで殺すからな」

藤井駿河守からメールも着ていた。

「凸さん!いんぐりもんぐりいんぐりもんぐり!これ流行るお!」

凸はその瞬間に木刀をもって藤井の棲息する伊豆の下田へ向かったと言う。


【おしまい】


ではまったねぇ!










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テーマ : 信長の野望online-鳳凰の章
ジャンル : オンラインゲーム

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No title

>三浦
おい!お前平田だろ!

>みさをっち
お詫びに「藤川たまお」ってキャラ作りなさい!

>林檎ちゃん
男の玉には人生がありますね!
ちんぴょろすぽーん

No title

玉が男のすべてではないが
有れば便利
無いと不便です
便利のほうがいいなぁ。 -みつを-

No title

人の恋路を邪魔するのは馬に蹴られてっていうからねぇ!
馬も蹴るのはきっとタマタマなんだね!
ハッ 潰されても受けならできるかも>< ゲホゲホ
つぶれてたらやっぱりダメなのかなw
じゃオカマバーなら平気だよ 凸さん!よかったねぇ^ー^

No title

小学生の頃の幼馴染の女の子がクラスの男子のきん〇まを蹴り上げて泣かせて
回ってたんだが、家が隣だったおかげか、俺は蹴られずに済んだんだよなw
 
みさをちゃんに聞いたら、『蹴ったりしませんよー モミモミしてあげます、』て答えてた、



え? 何をって、肩に決まってんだろ!
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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