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シェケナ

戦国レシピ#13

bar06

私は甲府でBAR「SENGOKU」を営業している地獄突という軍学侍。
というわけで本日もヌルッと行ってみよう。


春うらら。

ようやく暖かい日差しに身体も喜ぶ。
そろそろパステルカラーの春物のファッションも巷で見られることだろう。

春の風 ハゲの蟹など いるのカニ

なんていう詩も詠みたくなってしまう。
ふふ、私は詩人だな。
おろろんおろろん。


しかし──だ。

開店と同時にそのうららかな日和気分を一蹴する状況に陥ってる。


ヤクザだ。

この店にヤクザが来ている。
いや身なりは普通だ。
一見はカブキものに見える。

カブキものの装備はまぁ旧タイプなので、おそらく鳳凰プチ復帰したのかと思われる。

うちは、当然暴力団はお断りだ。
しかし、見かけだけで断ることはできない。そのような行為─いわゆる、地回りなどのみかじめやらで難癖をつける威嚇行為。そのような人種をお断りしている。

まぁ、いまどきの幹部クラスなどは企業の重役クラスのようなビジネスマンにしか見えないのだが。
しかし目の前にいるのはまぎれもないヤクザだ。
全身から発するオーラ。沈黙で威圧するプレッシャー。私にはわかる。
こいつはほんまもんやで。

ぬいだら、くりからの毘沙門天の悪戯が背中に貼り付いているはずだ。


しかし私はそれを顔に出さずに対応する。

やーさんなら育ちが富士宮の私は慣れている。
といっても別に深いつきあいがあるわけではないが、相応の対応は心得ているつもりである。
あくまで、分別を超えない程度には。


そのヤクザとおぼしき男は、ビターを垂らしたジンを頼むと自ら名乗った。

「わし、きりきり言うんや」

「はぁ…」

私は気のない相づちを打って興味なさげに目をそらす。


「マスター。あんたぁ、わしが極道おもてるやろ」

「は?なんでまた」

「目ぇ見ればわかるわい。嫌な客が来よったっちゅう目やで」

「……。そう見えたなら謝ります。失礼しました」


するどいな。普通にしてたつもりだがこの男にはわかるのかそれが。


「わしはの。そういう目ぇを向けてきた奴を何人もいわしてきたよ。ヤクザっちゅうもんはそーいうもんや。泣こうがわめこうが土下座しとる奴の頭を靴で踏む…」

「ヤクザ談義ならご勘弁願いますよ。ここは酒を楽しむところですからね」

「…ふっ。ほうか悪かったの。わしも悪い酒飲んどるようや」


寂しい酒だ。
酒を飲む形も色々ある。

寂しく苦い酒。
アルコールの水面にこの男の人生を投影しているようだった。

男の顔に刻まれた年輪が、長年の苛烈な極道家業を渡ってきたと思われる。
おそらく…この男の恫喝で引退に追い込まれたプレイヤーは数知れないだろう。

看破をいれてない忍者、陣形を抜いている侍、回復しない僧、巻き込まれ戦闘などで無言の旗折れ…
多分そのような奴らはこの男の追い込みによって、マギノビかルーセントハートに逃げ込んだかもしれない。

まあどうでもいいんですけどね。


そんなことをつらつら考えていると、客がもう一人入って来た。

一見さんか。
丸い鼻眼鏡をかけて着流しを着ている。
なんか妖しいな。

「いらっしゃいー」

でもまあ、この重苦しい空気をいくぶんか軽減してくれるとありがたい。
密教だったりしてなこの人。


鼻眼鏡の男は、ヤクザ風の男からひとつ席を空けて座った。

「初めてですか」

「あい。最近ここらに顔ださせてもらっとります。徳川所属の林檎言います。よろしゅうに」

林檎と名乗る男はペコンと頭を下げ、ニッと笑った。
横のきりきりと名乗る男が剛の気なら、この鼻眼鏡の男は静の気だ。
しかし何かどうも異様な感じがある。

林檎はギネスを頼むと、きりきりをチラッと見て軽く会釈した。
きりきりは、気にもかけず正面を向いてタバコを吸っている。


「マスター、ここは長いんでっか?」

林檎が聞いて来た。

「いやいや半年ほど前にね。脱サラって奴ですよ」

「さいでっか。手前も娑婆に出て来たばかりでやんして。甲府もとんと様変わりしたかと思えば、武田と敵対とか…。いやさ時代も変わっちまったんですねぇ」

「ほぅ?というとあなたもこっち系?」

私は頬を指でなぞって下におろした。すじものか?と聞いているのである。

「えぇまぁ。しかしまぁ極道は割にあいやせん」


そういって林檎は乾いた笑いをぶつけてくる。

…怖いなこいつ。きりきりみたいなのはわかりやすからまだいいが、こーいう人間は怖い。
一般的に機嫌がいい悪いで人の感情は判断できる。しかしこいつは…機嫌がないのだ。

まったく類は友をなんとかだな。
こりゃ他に客は来ても、この二人がいたらすぐに逃げ帰っちまうだろう。
商売上がったりだ。


「よぅ…」


きりきりが、急に林檎に向き直って声をかけてきた。

「あい。なんでやしょう」

「おどれ、徳川っちゅうてるが…みねぇツラだがや。昔の合戦でもな」

「ある人を追い込んで垢バンくらって討たれておりやした」

「何年くろうたんや」

「3年と6ケ月で」

「誰を殺ったんや」

「死人使いの密教 泰山さんで」

淡々と語る林檎の口調によどみや感情は一切ない。
殺し屋だ。それも相当手練の。


きりきりはそれを聞いた瞬間、ギョッとした顔を林檎に向けた。

「……!?あの死人使いの泰山をおどれが…」



けたたましい大声を張上げてきりきりが笑い出した。


「おい!マスター!!酒や、とびっきりの酒を出してくれや!1本やで」

愉快そうにきりきりが笑う。
へぇ、こんな顔もできるんじゃないか。

何やら泰山を追い込んだ話はきりきりの琴線に触れたようだ。
すこぶるご機嫌だ。

ふむ。
ではシングルモルトのラフロイグ15年ものをだしてやろう。伝説のモルトだ。

cbhykyrdkj

ボトルを傾けてロック・グラスになみなみと注ぎいれる。

きりきりは林檎にそれを無造作に勧めた。

「さ、やんない。この店で一番の酒だそうやで」


一番かどうかは知らんが…まぁいい酒には変わりがない。


「すいやせん。酒はビールしか。あとはタバコもやらねぇんで」

「ほうか。まぁええわしが飲む」

残念そうに言いつつ、きりきりは、伝説のウイスキーモルトをがぶりと飲み干した。


瞬間に携帯が鳴った。


「なんじゃおら!ええところで無粋なやっちゃの」

きりきりは携帯をポケットから取り出して不機嫌そうに通話ボタンを押した。


「もしもし?あ~~○○さぁん?えらいすんまへんなぁ。工期は材料がないんでまだちいとばかしかかりますんよ。え?契約切る?そんな殺生な~~:;勘弁してつかあさい。ほんまわややで」

何やら仕事先とのトラブルのようだが…。あれこの男堅気なのか?

一通り話しが終わり、平身低頭でひたすら見えない得意先に頭をさげていた。

携帯をぷちっと切ると


「あんだらぁ!がすたれがボケぇ!しまいにはいてまうど!!!」

さっきの低姿勢とはうってかわった強気の姿勢。
状況によってコロコロ態度が変わるな。アメーバかこいつは。

その様子を見ていて私は思った。
こいつはパチではまってるときの大崎一万発だなと。

「マスター勘定。あんちゃん、ほしたらまた今度な」

きりきりはそう言うと、林檎の肩に手を置いて悪びれずに挨拶をして出て行った。
なんだったんだあいつは。しかも支払いは信用金庫のクレカかよ。


極道きどりのパンピーか。やれやれ。

しばらく林檎と二人で他愛もない世間話をした。

林檎は、自分の身の上話を少しだけした。
垢バンをくらい一緒にプレイしていた恋人と距離を置いてつきあうも疎遠になってしまい別れたそうだ。

よくある話だ。林檎は極道ではなく、ただの正義感の強い1プレイヤーだった。
死人を駆使する当時今川だった泰山のやり方に辟易して対話で恫喝を繰り返していたらしい。

確かに初期の泰山の死人使い、装備削りの粉投げはひどかった。
私もやったけど。反省はしている。
アキヤマンと一緒に徒党を組んでた時なんざ、アキヤマンが粉粘着しすぎて2chで晒されてたっけ。
コナヤマンとかな。あれは盛大に吹いたな。


「愛情を裏切ったからといって神様にどうこういわれるすじあいはありやせんやね。そうでやしょう?」

「神様は何も言わんでしょう」

私は仏教徒なので神様はどうでもいいし、そもそも神は何もしてくれない。


「言わなくなって何年にもなる」


そう答えると林檎はクスリと笑った。素顔が一瞬だけ見えた気がした。

「またよらせてもらいやす」
そう言って林檎も帰ってしまい、またお茶ひきだ。
つーか、こんな経営状態で大丈夫かここ。

結局…勘違いの連続だったようで妙な邪推をいれたぶんだけ精神的に疲弊した。
アホらしい。

とにかくこれじゃ蕎麦屋でもやったほうがましかもしれん。
そう思いながらためいきをついてグラスを磨いていると、ようやく客がやってきた。
本日3人目だ。

「おはよう!マスター!サンキューロックンロール!!」

昔馴染みのあいす(とおる)だった。とは言ってもこいつももう信はやってないはずだが。
武芸の格好で様子見に復帰したってとこか。
馴染みの顔を見てほっとした私はちょっと気が抜けた。

なんだか無性に誰かと飲みたくなった。


「なぁ、とおる(あいす)」

「なんだいとっつあん」

「お前、ダイヤモンドユカイに似てるな」


あいすは笑いながら、「そりゃ俺はアーティストだから」と朗らかに笑った。
やっぱ似てねーよな。そう思いつつ私も笑った。

もう冬は終わっていたな。



さて暖かくなってきたね皆の衆。花見でもやってぱーっと気分をかえたいとこだな。
では、またのご来店をお待ちしております。

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No title

浦木の猪突で凸さんが沈んだ時は吹いたw

No title

>林檎さん
そっちのブログも頑張ってん~

>アキヤマン
目黒くん懐かしすwありゃ強かったよなあ

こらこら

エラく懐かしい話だな。死人先生は木曾川の合戦で目黒○者に死人返りしたらリアルタイムで晒されていたな。
ちなみにアキヤマンは紅葉の肩掛けを常時2個持ち歩き川中島で中○刑部に紅葉の肩掛けで50回位粉掛けたらやはり速攻で晒されたな(笑)。
あの頃の凸FCは晒されの総合デパートやw

No title

手練れの殺し屋・・・(;・ω・);・ω・);・ω・);・ω・)
鼻眼鏡ワロタww
師匠は恐ろしいお人やでホンマw( ;´Д`)
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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