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炎のようなKISSを

戦国レシピ #9

master


私は甲府でBAR「SENGOKU」を営業しているマスター凸。
今宵もノブラー達は素敵なサムシングを求めて争乱の世を疾駆する。


その日、私は気分がよかった。
前日、閉店間際に現れた一人の客によってもたらされた幸運を喜んでいたのだ。

どうせ女だろうとここを読んでいる方々は思うだろう。
当然だろう。私はホモじゃないのでね(キリッ。

所詮この世は男と女。地獄の沙汰も金次第。なくて七癖ちはやふると言ったところだ。

その女性は、白い束帯を身に纏った何とも美しい人だった。
歳の頃は二十歳いくらか過ぎた頃のように見えるが、私よりも歳を重ねているようにも感じる。
不思議な女性だった。
顔はなんというか…美人としか形容できない。ほっそりした身だが、束帯の上からでもたおやかな肢体が想像できる。長く滑るような黒髪。コーンフラワーブルーのような青く澄んだ瞳。真紅に輝く艶のある形のよい唇。

完璧だ。完璧すぎて厭味なぐらいの美女だった。
彼女をみた瞬間、私の胸にここ数年感じたことのない鼓動が蘇ってきた。

海賊女帝ボア・ハンコックに石にされた男達。今ならその気持ちはよくわかる。
綺麗な花には刺(とげ)がある。しかし刺で傷ついてもいい。いやむしろ傷つきたい。


私が痴呆のようにみとれていると、彼女はすこしかすれたハスキーな声で聞いてきた。


「もう終わり…ですか?」


そう言われて私は我に返った。
時を忘れてみとれていた私の顔はどんなに間抜けた顔だったろうか。

あわてて返答するもしどろもどろになる。


「あ、いや…まだ…」

緊張してうろたえているおっさんがいる。
おっさんがあわてて取り乱すことぐらい見苦しいものはない。
いまの私だ…。

しくったぁ…。こんないい女の前で格好が悪すぎる。

彼女は、「じゃ…すみません」と言いながら私の正面に座った。

とてつもない魅力的な笑顔を浮かべ、両手で頬をおさえる仕草をした。
可愛すぎる。やばいなこれはやばすぎる。


コースターを出して注文を聞いた。ドキドキする。
まったくもってキュートなハートにズキドキだ。

彼女はにっこりと微笑みながら、両手を組んで注文する。


「Kiss of Fireを…」


ほぉ…。ここでこれを頼むのか。
Kiss of Fireは日本人が創作したカクテルだ。

男なら誰でも彼女の唇を見れば、まさに炎のようなKISSをとねだりたくなる。
それほどいい女なのだ。


「かしこまりました」

本当にかしこまって注文を受ける。
私の今まで培ってきた技術のすべてを使って作ってやる。
名誉挽回の一撃をこのカクテルに賭けるしかない。

まず、カクテルグラスを砂糖でスノースタイルにする。

材料は

ウォッカ2oz
スロー・ジン2oz
ドライ・ベルモット2oz
レモン・スクイーズ1oz
レモン・ジュース = 2dash

氷の入ったシェーカーに材料をいれてシェイクのあと、カクテルグラスに注いで完成だ。

kiss


「どうぞ…。Kiss of Fire 鳳凰篇です」

「綺麗…」

そう言いながら彼女はその燃えるような唇で、グラスの縁の甘い雪にKISSをした。
白く細い指がしなやかにグラスの角度を変えて、琥珀色の液体は彼女の喉を潤す。

こくっと喉が鳴る柔らかい音が聞こえた。

「美味しい…。こんな美味しいKiss of Fireは初めて…」

うっとりとグラスを見つめながら、彼女は私の手にそっと触れた。


彼女はそう言うと席を立って出口へ向かった。

「また明日きます。今日のお勘定はその時に…」

私は金のことなんかどうでもよくなるほど舞い上がっていた。

それが昨晩のことだ。



そしてまた閉店スレスレに彼女は約束とおりに来た。

「いいかしら?」

「もちろん。お待ちしていました」

いやっほほぉおおおおおおう!(心の声)



今日は決めるぜ!俺のペガサス流星拳!!

い、いかん。落ち着け俺。
まずはちょっと落ち着け(ブレイクブレイク)。
ここで洒落た台詞(左ジャブ)でまずは、彼女の名前を聞き出そう。

彼女はまたKiss of Fireを注文した。

シェーカーを振りながら駆け出していく鼓動。この高鳴り別次元。マッハGO!GO!GO!

私は精一杯キリッとした顔を作った。それこそ渾身の力を混めて。

すっと出来上がったKiss of Fireを差し出す。
彼女は私を見て天使の微笑みをくれた。

私は彼女の瞳を見つめて…ここだ!と思った。

最高の台詞で決めよう。
自分の分のKiss of Fireを持ちながら…

「あなたの瞳に…カンパ」



ブぅ!


「………………」

「………………」


屁が出た。




ボクシングで言えばマイクタイソンをしのぐ強烈なストレートだ。


いやぁああああぁぁああああああああああああああああああああああ~~~~~~~~


し、しまったぁ~~~~~~~~~~~~~~;

下腹に力を込めすぎて放屁してしまった…;;


もうやだオラやだ!!

もう許してくれよ;神様、仏様、藤井様;;


いいじゃん;いいじゃん俺もたまには幸せにしてくれよぅ;;


私は泣きたくなった。

放屁してからの数十杪、私と彼女は固まったままだ…。

終わったな…。
昼にニラレバ炒めなんざ食うんじゃなかった…。


あきらめて、私が放屁の非礼を詫びようとすると彼女は下を向いて顔を手で覆った。

肩が震えている。

こらえきれない様子でぷっと吹き出しながら、げらげらと笑い出した。


「あ、あの…」


「くっせぇええ~~~;;普段なに食ってんだよおっさんw」

そういって身体を二つに折って笑い転げている。

なんだ…何が起こっている…。
私は咄嗟に状況を把握できなかった。

私が混乱していると、カラン!と大きくドア鈴が鳴った。


男が立っていた。侍だ。しかもキリッとしたかなりのイケメンである。
ぺこりと頭を下げて店内に入ってきた。礼儀も正しい。

イケメン侍は笑い転げている彼女の後ろに立って、肩に手をかけた。

なんだ…。彼氏か。結局おっさん一人で舞い上がっていただけか…。


彼女は侍を見てはっとした表情になり笑うのをやめた。
肩におかれた手を肘で振り払う。

イケメン侍はうんざりした顔をした。


「まさお。まぁだお前そんな格好してんのか」

「そんなの俺の勝手だろ」

彼女はぷいっと、そっぽを向いて髪をかきあげる。その仕草も美しい。

しかし…えーと……。

何だいまの会話…。



イケメン侍は私に向き直り、すまなそうに頭を下げた。

「すみません。弟がご迷惑をおかけしまして…」


「……………………お と う と?」


「はい…。身内ながらお恥ずかしい。こいつは昔から女装が趣味でして…」

「そこらの女より綺麗だろ!女装なめんな」

彼女…いや女装趣味の弟が吼えてかみつく。


「ぐれた弟がいて後始末が大変です…」


ぐれすぎだろ常識的に考えて

兄貴のほうは、もっと飲むんだとごねるまさおを押さえつけて帰っていった。
何度何度も頭を下げて謝っていた。

綺麗な花には刺(とげ)がある。
とげじゃなくて、竿だったわけだ。

あっはっはっはっはっ

寝よ。


私は甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。
忙しすぎるわけだが。念のため。

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非公開コメント

No title

>かずは
ないない
あるわけないw

>みさおっち
俺におごってよ!あのカクテルをよもう一度v-16

No title

時々 まさお とか もさお とかよばれるみさおですW
うぷぷぷ
誤字なんだけども。。。

カクテルの勉強みたいになってきたね!
今度おごって~ ^ー^
残業代でってついてなさそうだけど><

あるある

( i_i)\(^_^)ヨシヨシ


家臣が育ちません
城下町飽きました

No title

おっさんおっさんwww

No title

>いかり
業務過多で壊れてきているwまた徹夜っすよぉ

No title

おっさんなにしてはりますのww
プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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