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ご注文は藤井ですか?

DDDDDDD


日々ネトゲに興じる戦士達に休息はない。
我らが藤井さんもその一人だ。

しかし藤井さんは重いため息を吐く。

世間はGW真っ最中。リア充の馬鹿たれどもはこの世の春とばかりに人生を謳歌している。

藤井さんは今日も今日とて仕事中。
詰所に置かれたラジカセから、女性DJのぼやきが聞こえてくる。

「さぁてGWですよねGW!でもあたしの周りに11連休なんつー人達なんざいませんけどぉ、本当にいるんすかそんな人ぉ」

バックに流れる軽快な音楽と、GW独特の空気のせいかDJの声も心なしか軽い。

「11連休…か」

藤井さんはここ数年5日以上の連休を取ったことがなかった。
遠い目でサンセットに暮れるワイキキのダイアモンド・ビーチを憶う。

「ハワイでも行きたいなぁ」

叶わぬ夢と知りつつも、想いは遥か彼方のアロハオエハワイ。

そこで携帯の着メロが鳴る。
着信音はディズニーランドのエレクトリカル・パレードのテーマだ。

かけてきたのは知人の地獄突だった。

「やぁ藤井さん。ハワイに行きたいなら行けばいいさ」


藤井は腰を抜かした。

「な…なんでそれを?まさか凸さんは魔法科高校の劣等生!?」

「よくわからんけど、藤井さんには羽があるじゃないか。どこへでも行ける羽がさ」

「羽?それって…」

「船だよ。じゃ俺はダリのアンダルシアの犬を観るのでこれで」

わけわからん。
藤井さんは狐につままれたような面持ちで考え込んだ(この間3分)。

そしてハッと気がついた。

「そうか!大航海か!」


藤井さんは目を輝かせながら、定時で帰宅すると大航海オンラインにログインしようとした。

が…

課金切れだった。

「ですよね」

そうつぶやきながら、仕方なくDESKTOPの信オンのアイコンをクリックする。
藤井さんは結局GWはずっと信オンで合戦に明け暮れていたという。
これではみさおさんと同じだが、それも致し方無し。

心はリゾート。リアルは下田。
だけど藤井さんはくじけない。泣くのは嫌だ晒しちゃお。すすめー。

そもそも

大航海オンラインにハワイってあるのか。
それすらも知らない俺も仕事の真っ最中である。
ぬるぽ。


動画を作りたいんだが、さすがにGW中にも普通に仕事はあるわけで。
クライアントもバリバリ全開で仕事中。
車の仕事はCIチェックがまじだるいから嫌なんだよなー。
まぁディズニーほどうるさくはないけど。

ま、サラリーマンの皆さん、お互い頑張りましょう。

では引き続き良きGWをお過ごしください。
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真紅 織田の高崎 我思うが故に藤井あり


↑テキストで適当に遊んでみた習作


織田の高崎は思った。

そうだ!効率狩りをしよう。

「高崎さん。それはともかくmixi始めたね」

藤川みさおが嬉しそうに訊く。

「げぇっ!何故それをっ!」


みさおは嗤って答えず。

そして踵を返して高崎に微笑む。

「じゃあ行きましょうか!」

「え…ど、どこへ?」

みさおは破顔で答える。

「もちろん!効率狩りよぉ!!」


では良きGWを。

つーか、GWって感じがしねぇな今回はw

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僧兵の習作


音声とテキストのシンクロを練習中

しかしもうGWか。はえーな。

さて今年はどうするかいねえ。
予定はちょこっと帰省するぐらい。

あとはまぁ寸暇を惜しんで勉強かのう。

少年老いやすく学なりがたしとは言ったものだね藤井さん。
耐えねばならんのだよ。

よきかなよきかな。ほっほっほっ。


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天気がおかしい


↑ストーリーもなんもない適当に作ったテスト動画(画質悪し)


天気がおかしい。
寒いぞまじで。
リュウグウの使いとか最近よく発見されるが、まじで何らかの予兆ではないのか。

ま、いっか。
どうせ地球も滅びるし。

とにかく疲れた。

歳とると知識欲は健在でも体力がついていかない。
新しいことを覚えるのも体力がいる。
学問とか勉強ができる奴って勉強できる頭の体力に優れているんだなと沁沁思う。
ここ最近一気に色んな知識を詰め込んだからなあ。

ところで、夏にかずはが仕事で東京に来るらしい。
来たらみんなでいじってやろうと思う。

動画作ってると信とかまたやってもいいかなという気分になるね。


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動画



ここ最近ブログを更新が滞ってた理由。

念願の動画制作のためである。
ちなみに遊び半分、仕事半分というところで、休みも返上して自宅でも試行錯誤の勉強三昧。

いやぁ動画は奥が深い。
yahoo!トップに表示されているパイロットシートは数十年前によく作っていたが、
所詮簡易的なぱらぱら漫画。

今回はAdobe CCのAfter Effectsを使って遅まきながら動画作成にチャレンジしてみた。
タイムラインとキーフレームの概念さえ理解できてりゃさほど理解には手間取らない。
画像のエフェクトやをエクスプレッションで制御できるので面白い。

それに合わせてPremiere Pro とFLASHとの兼用作業をしてみると、ベクターよりピクセル単位でモノを動かすほうが数倍面白いことに気づく。単純にFLASHのユーザビリティの悪さが気に入らないというのもあるが。

他にも併用するアプリはあるのだが、
まぁ一度に知識を詰め込んでも出来ることは少ないし
そもそも、現段階ではすげぇ動画なんぞは作れない。

ただ、漫画を描いたりSSを作ったりしていたことが、経験則としてかなり生きてくることはわかった。
もちろん下地に長年やってきたグラフィックの仕事がありきの話だが、
信オンをやってなかったらブログも書いてないだろう。4コマ漫画も描かなかったろう。
クォリティはともかく、「モノを創る考え方」の基本をブログで学んでいたような気はする。

実は以前のブログで語ったことがあるが、自分のお気に入りの曲を創った動画に挿入してみたいという願望はずっとあった。
ブログでPVなどを埋め込んで紹介していたのも憧れがあったからである。

かっこい動画や面白い動画、すげぇ動画は世に溢れまくっているが、自分でそれを創るのは無謀と思えた。
が、その知識と技術を埋めてくれる現代のアプリ。
すげぇ時代になったもんだ。

信にハマっている時に、戦闘シーンを繋ぎあわせて動画を作りたいなぁと密かに思っていたが、
仕事で関わったモーショングラフィックデザイナーの友人を見ていたら、とても手を出す気にはなれなかったのである。

動画制作なんぞ堅気がやるもんじゃねぇ!と何故か手を出すのを怯えていた。
まぁソフトも高いしマシンスペックも要求されるしね。

だが、先週から手をつけてみたが、「あれ?意外と…」という感じでさくさくと覚えられてサンプルがいくつかできた。
もちろん入口の入口に立った初心者だから、玄人が見れば鼻で笑われるレベルだろう。
しかし、自分で作業しないまでもムービーのシナリオなどの仕様書などは結構作ってきたので、イメージの作り方に苦労はしなかったし、まずはとっかかりだ。
会社では概ね好評だったが、それでも全然お遊び程度ではあるだろう。

ともあれ長年の結実した思いが適いつつある。
常々、俺は自作の動画で人を笑わせたい!と思っていた。
藤井さんを笑いで殺したい。それが俺の最後の夢である。
4コマパロディで面白がっていた頃が懐かしい。

現段階でも平面的にワイプをかけたり変形させたりして、止め絵を編集することはできる。
それにMP3をぶっこんでシーンごとにシンクロはさせられるのだが、まだまだ知識も経験も技術もブラッシュアップしたいところ。

短絡的なエフェクトはさすがにド素人まるだしで使えないし、かといってスクリプトに頼りまくるのも格好が悪いような。驚くようなすごいものは出来ないが、信オンはこんなに楽しかったという動画を作りたい。
3Dレンダーはあまり好きじゃないので使わない。つーかBlenderなんぞメモリ足りなくて使えない。
ああいう立体的な表現にあんま魅力を感じないのよね俺。

ともかくまだまだアプリに使われているベイビーステップだが、夏が過ぎる頃にはなんとかなるだろうか。

というか6月のイベント用のムービーもつくらにゃあかんのにそんな時間があるのか俺。








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孤独の藤井




私は藤井。野良をこよなく愛する神主だ。

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失礼、さきほど牛丼屋で豚丼を持ち帰りしたばかりだ。
ぺろっと平らげ小腹がふくれた。

さて信オンでもやるか。

その日、私はある野良徒党の募集を見かけた。
内容は道魔根の狩りで私にとっては久々の場所だ。
暇つぶしにはちょうどいい。
神はまだ募集している。

早速、声をかけて徒党に加わる事になった。

二つ返事で快諾してもらい徒党に加わる。

こじんまりとしているが、職業バランスの良い徒党だ。
挨拶もしっかりしているし、無駄にはしゃぐ奴もいない。

いいじゃないか。
こういうのでいいんだよ。こういうので。

私の特化は雅楽である。
サポート担当なので直接的な戦闘より戦闘の下拵え要員と言ったところだ。

すると

「おい!回復が僧兵だけかよ」

@1人というところで、武芸侍の男が党首に文句を言いだした。

「あっ…」

「瓦のクエストじゃねぇんだから考えろよちょっとはよ」

「ごめん…」

どうやら二人は知人同士らしい。

武芸の男のほうは手練らしく装備も相当な廃クラスだ。
一方の僧兵の党首はお世辞にもいい装備とは言えない。
所詮、狩りだからって装備を変えてるというわけでもなさそうだ。


武芸は横柄な態度で党首に愚痴愚痴と文句を言い続けている。
こういうのは実に耳障りで不快だ。
久々の狩りで高揚していた気分に水を差す。


「…ったく」


党首に最後の枠の応募者から対話が来る。
何やらおろおろしながら困惑している。

「あ、あの…えーと、対話きたんだけど…軍学とか」


残念ながら盾鍛冶はいるし軍学ではこの徒党の狩りのバランスには不向きだ。

「あほかオメー!全体術を撃てる職しかいらねーんだよ。見てわからねえのか」

「…だよね」

「さっさと断れよ。だるいな」

「ごめん…」


党首の僧兵は米つきバッタのように頭を何度も下げながら、対話してきた軍学に謝っていた。
そこまで卑屈になることはないと思うのだが、党首をやるのに慣れていないのだろう。

ようやく陰陽道が揃って狩りに出発した。

先ほどのやりとりで、多少冷えきった空気も狩りが始まれば雲散していく。

しかし途中まで順調に狩れていたのだが、武芸が引率を焦って僧兵が割れてしまう。
唯一の回復なので、敵が弱いとはいえ7匹に絡まれると下手をすれば壊滅だ。

最悪なことに僧兵は別に敵に絡まれて完全に割れてしまった。
当然、徒党は壊滅。
皆スタート地点で生き返った。

丹と稼いだ貫がなくなり、テンションは大いに下がる。

「バカヤロウ!何ぐずぐずやってんだ」

「みなさん;ほんとすみません;」

「お前のせいで狩りの時間が台無しだよまったく」


武芸がなじるも、他の面子は気にしなくても…と優しい声をかける。


「すいません、すいません;」

「マソさんよぉ…。真紅じゃどうだったか知らないけどさ。乱世にきたらそんなんじゃやっていけねえんだよ」

「はい、すみません…」

私はそのやり取りを無言で見ていたが、胸にじくと疼くものを感じた。


狩りが再開されて、約1時間ほどで終了する。

「お疲れさまでした」


他の面子は挨拶を言って脱党していった。

私と武芸と党首の3人が残った。

私は何も言わずに武芸に九光丹と稼いだ貫を渡した。

「なんですかこれ?」

武芸が不審がって私を見る。どうやら横柄な口を聞くのは知人の党首だけにのようだ。

「あげますよ。その代わりにちょっと言わせてください。狩りの最中であんなに怒鳴らなくたっていいでしょう」

「あ?」

「今日はとても良い気分だったのに、見てください」

私はここでしか取れないドロップしたアイテムを見せた。

「これしかアイテムが取れなかった!」


武芸は顔を歪めて私を睨む。

「なんだぁ?あんた文句でもあるのか」

「ある」

私はきっぱり言った。

武芸はめんどくさそうに手で追い払う仕草をする。

「あんたが、アイテムを取れようが取れまいがこっちには関係ないよ。貫なんざいらねえから帰れ帰れ」

「…あなたは野良の党員の気持ちを全然わかっていない!」


武芸は僧兵を一瞥しながら、フン!と鼻を鳴らす。

「党首はこいつだし。俺も党員だぜ」

「あなたは慣れてないマソの中の人に党首を押しつけて、自分は適当に楽をしようと思ってたんでしょう。まるで昔の知人の地獄突のようだ」

「誰だそれ。知らねーよそんな雑魚」


私は語気を強める武芸に構わず、ゆっくりと丁寧に言葉を重ねた。

「野良はね、誰にも邪魔されず自由で、なんと言うか…救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで…」

「なにをわけのわからないこと言ってやがる。出ていけ」

私は静かに武芸の顔を見つめた。
傲岸で野良プレイヤーを単なる道具としか見ていない濁った目だ。
効率しか考えず人の輪を顧みようともしない。
寂しい目だった。

「出ていけ!」

言われた瞬間に、私はあるURLを武芸に見せた。

「なっ!」

武芸がそれを見て呻いた。

そこにはログをSSでキャプチャーした画面が載っている。
私がアップロードしたのだ。

そして晒しにURLを貼付けたら、すべてのログが一斉に閲覧可能となる。

私が晒しに貼付けると言うと、武芸は真っ青な顔になった。


「やめて!」

党首の僧兵がそれを制した。

「それ以上いけない」


私はその言葉に無言で脱党した。

「はぁ…いかんなぁ…こんな。いかんいかん」

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私は背を曲げながら激しい自己嫌悪に陥りつつ、甲府へと帰った。
黄昏れていく町並みが妙に哀しかった。


【おしまい】

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マソでも描ける漫画教室



藤井とマソは月曜日からある壮大な計画を企てていた。

漫画家になる!

売れっ子になって印税で暮らす生活。
金と女と車にネトゲ。
世界のすべてを手に入れるべく立ち上がった。

藤井は眼光するどくマソに提案する。

「まずは絵柄だ」

「絵柄ぁ〜?」

マソはなんじゃそらという感じで鼻をほじる。

「いいかマソ。売れる漫画はまず絵だ。もちろんマニアックな絵でストーリーで売れる漫画もある。進撃みたいにな。しかし絵が魅力的ならば漫画以外にも需要があるのだ」

「へぇ。例えば?」

「書籍のカバーイラストや各種パンフや広告など。アニメやゲームのキャラデザ、さらにトレーディングカードのイラストなど色々だ」

「なるほど…」

マソは感心したように頷いたが、首を捻って藤井に問う。

「しかし…絵が巧い奴ならプロどころか同人、中学生でも今の時代は星の数ほどいるだろう?」


マソに問われて、藤井はキラーンを目を光らせる。

「くっくっくっ…」

小馬鹿にしたように立ち上がってマソを見下している嫌な感じだ。

「なっ、なにが可笑しい藤井さん!」

掴みかからんばかりに激昂するマソを、制しながら冷静に対応する藤井。


「くっくっくっ…まぁ待て。悪かった。悪かったよマソ。いや、確かにお前の言う通りさ、大したもんだ」

「なんだってんだ」

「まぁ聞けよ」


藤井はある画像をスマホでマソに見せた。

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「……なにこれ?」

「あっ!間違えた;こ、これは単なる趣味だ」

「あんた武士ロードでもコレクション買ってなかったか?」

「ま、まぁそれはいい。とにかくこれを見ろ」


動揺しながらもスマホを操作して別の画像をマソに見せる。

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「こりゃ確かHUNTER×HUNTERの…」

藤井はそうだと頷きながら、もうひとつの画像を見せた。

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「この漫画は?」

「同じ作者だ。最も…こっちはデビュー作品だがな」

「へぇ…。デビュー作のほうが線が多いし丁寧に描かれているけど、プロっぽいのはやっぱHUNTER×HUNTERのほうだな」


マソの答えに藤井は満足そうに頷いた。

「うむ。富樫はこのHUNTER×HUNTERの頃はFF11にどっぷりはまっていて原稿も落とすぐらいの廃プレイだったらしい」

「ああ、聞いた事がある。それでどんどん手抜きの絵になっていったという…」

「そこだよ。富樫ぐらいにネームバリューさえ確立できれば、手抜きの絵だろうが何だろうが構わないんだ。逆に味があるように見えてくる不思議な効果もあるのだ」

「ふぅむ…。しかし、それにはストーリーも面白くなくてはダメだろう?」


藤井はまた笑い出した。今度は鼻で笑わずに、腹から笑い声をだす。

「ふはははっ…。マソ!お前はまったくもって大した奴だ。その通り。漫画において絵と話はシーソのようなものだ。絵が30点でも話が70点なら100点はとれる。逆もまたしかり。100点のバランス内でシーソーを続けてりゃいいのだ。それに画力は大概描いてりゃそこそこ向上するしな」

「なるほど。要はそのバランスが上手く取れればヒット作になるってわけか!」

「まぁ…実際はそんな単純でもないんだが、基本だな」


マソは目を輝かせながら拳を握る。

「よぉっし〜。描くぞぉ〜!まずは描きまくって絵のレベルを上げていこう」

「待てマソ!」

「なんだよ?別に間違ってはいないだろ?」

「ああ…間違ってはいないが…まずは一般受けする絵柄が大事なんだ」

「一般受けねぇ…」


マソがまた首を捻ると、藤井は人差し指を立てて言う。

「まずは可愛い女だ」

「可愛い女ぁ?」

「とにかくこれが描ければ俺たちの野望は半分達成したようなものだ」

「まじかよ!」

「おおまじだ。可愛い女は正義だ。可愛い二次元の女はファンタジーだ。オタにとっては神にも等しい存在だ」

「神…ねぇ。でも、俺の今の画力じゃとても…」

「まずは描いてみてくれ。お前の理想の女を。現時点でのお前の実力を見せてくれ」


藤井はそう言って机のペン立てから4Bの鉛筆を取り出してマソに渡した。

「今の…俺の実力」

Gペンを握りながら、目の前に置かれた真っ白なケント紙を見つめるマソ。

意を決したように紙に鉛筆をたて滑らかに手を動かすマソ。
訳15分ほどで描き上がった。

「藤井さん見てくれ!これが俺の今の実力だ!」

マソは藤井に絵を手渡すと、額から流れ落ちる汗を手で拭った。
相当集中して描き込んだらしい。

藤井は絵を手に取ると、じっくりと見た。

「うっ、うめぇ…!?しかし…」

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「これはひどい;」


マソはとにかくブスを描くのが巧かった。
逆に可愛い女や美人の女がまったく描けない。
どう描いてもブスになってしまう。


「マソ、お前の美観は相変わらず狂ってるな…」

「しかたねえんだ…。俺はブスにしか萌えられないんだ。しかも身体がうまく描けないし」

「むぅ…。絵はそこそこ巧いのだが、このキャラではさすがに…」


藤井は頭を掻きながら、考え込んだ。
こんなところでつまずいていられない。
俺たちは天下を取るんだ。そして満漢全席にコパカパーナにフェラーリー。
これを何としても実現してやるんだ。

藤井は同じところをクルクル回りながら考えている。
そしてひらめいたように、パシッと手を打ってスマホをいじくり始めた。


「藤井さん?」

「マソ、これだ!この方法で行こう!」

藤井はまたスマホの画像を見せた。

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「これはいける!」

藤井とマソは頷きながら肩を組んだ。
いくぜ漫画界の天下取り!

その後、二人が組んで作り上げた漫画を持ち込みしてみたが相手にされず、
自分たちで簡易製本したり、ネット通販などをしてみた。

もちろん
デビューどころか、版権侵害で訴えられたのは言うまでもない。

月曜日はやっぱだりい。
もうすぐGWだなあ。


テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

昼にラーメン、たまに蕎麦



ラーメンほど日本人にとってポピュラーな食べ物はないと僕は思う。

若い頃はギトギトの脂っこい麺を好んだが、最近は薄めの味が好ましい。
江口寿史のエッセイ漫画で、西荻窪の「はつね」というラーメン屋が紹介されていた。
若い頃から通っていたらしく、通う間に変遷していく味の歴史を簡単に紹介している。

透き通ったスープに上品な見た目。
何故か竹輪が乗っかっていると言う不思議なラーメンだが、映画「たんぽぽ」のモデルとなった店らしい。
作り手が変わって味が一時期明らかに変わったそうだが、また元通りの味に戻っていると言う。

言うほどうめぇかなぁ?と若い頃の江口も懐疑的に首を捻るのだが、気がつけばいつも「はつね」。
多少もの足りなさを感じつつも、何故か通ってしまう中毒性があるという。
若い頃の舌はしばしば断定的だと述べているが、確かに僕もそう思う。

美味い基準が色んな食を経験しているうちに、2次元的に捉えていた味覚が3次元に広がっていく。
当然、グルメ評論家ではないのであくまでも主観にゆだねるしかないのではあるが、それでも立体的?に味を捉える事は少しは出来るようになった気がする。

ラーメンは美味しいものは多々あれど、何故か子どもの頃に出前でとっていたラーメンが忘れられない。
ちぢれ麺の太麺で、今はあまり見ない鳴門が浮いていた。
田舎で農家の借家に住んでいた当時、野菜などの新鮮な食材には溢れていたと思うし、
実家はお世辞にも裕福とは言えなかった。

だから出前をとるなんて最高の贅沢だった。

食卓に並んだ丼の内に描かれた中華柄が印象的で、上からラップをかけてある。
多分、あのラーメンが人生で食べたなかで一番美味しいラーメンではなかったかと思う。

ちなみに僕は「はつね」には行った事がない。
というか、ラーメンを食べにわざわざ西荻窪くんだりまで出かけるバイタリティはない。

亡くなった友人であるグルメライターの取材に同行して、お相伴に預かること多数だったが、蕎麦は何回かあれど、ラーメン取材は一度もなかったなと記憶している。

今の職場の近くにはあまたのラーメン屋が存在する。
有名店のラーメン二郎もあるが、年がら年中朝から列をなして開店を待つ人達をみかける。

僕は1人の時はラーメンを並んでまで食べたいとは思わない。
それがどんなに美味いと評判のあるところで、すごく空腹でもだ。

並ぶのが基本大嫌いなので、アミューズメントパークも余分に金を出してファストパスにする。
待っている間が楽しいのは、車の納車とネトゲのオープン初日くらいなものだ。

ましてや飯を食うのに並んでまでというのは自分にはどうしても我慢できない。
我慢できなくて、ひどい目に遭う事もあるが、それでも大勢の人が並ぶような店で、後ろで待たれてセカセカ食うとか無理なのだ。

これは別に並んで待つ人を揶揄しているわけではなく、あくまでも自分はそうだというチラ裏である。
飯はとにかく早く出てこないと我慢ができない。

行きつけのカウンターしかないラーメン屋でも、座れるけどぎゅうぎゅうな状況では絶対入らない。
客の間のクリアランスというか、余裕がないとダメなのである。

ラーメンは主食と言っていい。
一週間に2回は食う。

知人のマソは毎日食っているから顔がラーメンマンに似て来たらしい。


そんなマソのエピソードを紹介しよう。

午後1時。

マソは金沢市で最近できたラーメン屋に入った。
暖簾をくぐると左に10席ほどのカウンターしかない狭い造りだ。
客はいない。

「らっしゃい!」

年配のおっさんが小綺麗な作務衣でカウンターから声をかけた。
マスターだろう。ブスッとしているが見た目に反して愛想はよさげである。
マソは壁に貼られているメニューをみたが、ラーメンとチャーハン、そして餃子しか書いてない。

品目が3つしかないシンプルなメニューだ。

マスターの顔をよくよく見ると、なるほど、頑固一徹この道一筋という年輪が皺に刻まれている気がした。

<相当こだわってるなぁ>


そう思って、とにかくラーメンを注文しようとした。

「えーと…らー…」

そう言いかけた瞬間、マスターがそれを制するように言い放つ。

「あいよ!あんたチャーハン顔だからチャーハンね!」

「えっ…?」

マスターはマソの顔を見て勝手にチャーハンを作り出した。

マソは「あの…」と声をかけるが背を向けて中華鍋を振るマスターには聞こえていない。
中華料理は火と戦う料理だ。一番でかいウォホーを操るマスターの背中はなかなかにソウルフルだ。

「はいよ。チャーハンお待ちどう様!」

「……」

マソはラーメンを食べたかったのだが、顔で判断されてチャーハンを食わされてしまった。
チャーハンは塩味が絶妙で美味かったのだが、何か釈然としない。

後日、リベンジにまた来店したが、今度は餃子を食わされた。
それから10回は通っているのに、いまだにラーメンを食えないでいる。

どんなラーメンが出てくるのか想像しただけで、腹が鳴る。

そして遂にマソは、今日ラーメンを自ら注文した。

「マスター!ラーメンくれ」

勇気を出して言ってみた。

マスターは、必死な形相のマソを尻目に静かに首を振る。

「あんたにゃ、まだ早いよ」

そう言われてマソはがっくりとうなだれた。
目の前には、いつものチャーハン大盛りが置かれている。

金沢のラーメンマンと唄われたマソ。
何故だ!?何故ラーメンを食わしてもらえない!??
頭を抱えて悩んだ。嫌な汗が流れて来た。
俺は遊ばれているのかマスターに。

そう思ってマスターに問いかけようとしたが、マスターは背中を向けて煙草を吸っている。
明らかにマソの要求を拒絶していた。

意気消沈して顔を落としていると、客が入って来た。

2名の若い娘だった。
きゃぴきゃぴしながら席に座ると、マスターはいつものように勝手に注文を決めずに注文を聞く。

「ご注文は?」

マソは愕然とした。
俺のときだけなんで…!?ホワイ何故に?(永ちゃん調)


「ええっとぉ…ラーメンくださーい♡あっ、ぐるなび見ました」

「あいよー。ラーメンふたつねー」


その刹那マソは立ち上がって叫んだ。

「ギブミー!!!!」意味不明


いまだにマソはその店でラーメンを食べれてはいない。

「ぐるなび見ました」

実は、これを言うだけでラーメンを食う事は許されるのだが、マソはいまだに気づかない。
人生って結局そんなもんである。

僕らは気づかないキーワードを探す永遠の旅人だ。

ラーメンは人類の友と星野哲郎は言った。
僕もそう思う。

でもマソの友は既にラーメンからチャーハンに変わっている。
あだ名もラーメンマンから「タッチャーハン」になった。
藤井さんは言いにくいので「ちんぽ」と呼んでいる。

まぁ…人生ってそんなもんである。

だから今日はラーメンではなく蕎麦を食おう。
これでいいのだ。明日も食うのだ。

では良き週末を。


テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

不動一葉(かずは)という女

kazukazu


ゲーム内でもこんな感じだった。

本日は以上!

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猫日和



うららかな春の午後。

藤井は日課の散歩に出かけた。
日課といってもそう決めてるわけでもない。
こんな気持ちのいい休日の午後に部屋に閉じこもっているのは勿体ないと思ったからだ。

自宅の側を緩やかに流れる河から、その先の海に流れ込む諾々とした水の流れを目で追う。
春の日差しが波光に反射して溢れるさまは、毀誉褒貶に沈む濁悪の日々を一時忘れさせる。
嫌なことがあると藤井はいつも河を見つめている。

静かに何時間でも眺めていたいのだが、いつも近所の老人たちが声をかけてくるので、それは不可能だった。


「藤井さんや。そんなところで小便するんじゃねえぞ」

「しねーよ。ボケてんのか、じいさん」

「ひょひょひょ。そろそろ嫁でももらって手慰みから卒業生せいよ」

「大きなお世話だ糞じじー。ラオウみたいにはよ昇天しろ」


ところで藤井は歩くのが好きだった。
毎日10kmは歩く。

健康のためというのもあるが、とにかく歩きながら散策するのが好きだった。
山歩きも好きは好きだが、以前、山を歩いていたら地元の猟師に間違って発砲されたので以来、山を散策するのは敬遠している。

藤井を撃った猟師は

「すまん。シルエットがイエティ(怪物)かと思ったから(笑」

と、悪びれずに謝った。
まったく失礼な話だったが、一応怪我もなく大事には至らなかったので、慰謝料5万円をふんだくって許してやった。

アパートから10Mほど離れた欄干に寄り添う歩道橋を渡り河の向こう岸に着くと、小さな公園がある。
そこにはいつも猫が二匹ほど住みついていて、藤井とも馴染みだった。

二匹の猫は藤井をみると、すり寄ってくる。
この辺りの猫は比較的人なっつこく、構えたり逃げたりはしない。

「よぅ。元気か」

足下に頭をすりつけながら、にゃぁんと鳴くのが愛らしい。
藤井はたまに餌をあげているので、猫もよくなついている。

ポケットに入れてあるビスケットを数枚砕いて与えると、二匹の猫はぺろりと舐めながら食べ始めた。

櫓が組まれたスペースに四角形の大理石のテーブルと椅子がある。
そこに腰掛けながら、のんびりと猫の食事を見守っている。

猫と山河と春の午後。
ゆとりのない都会では味わえない贅沢な時間だ。

猫は食事が終わると、日なたでうつ伏せになってうとうとしている。
猫は一日中寝ているものだが、何とも愛らしく幸せそうだ。
ぽかぽかの日差しに、もふもふの毛がなぶられて何とも気持ち良さげである。

藤井は思った。猫になりたいな。
猫になって呑気に昼寝をして自由きままに生きてみたい。

「そうだ!猫になろう」

そう思った瞬間、目の前が真っ暗になった。

そしてどうも身体がむずむずする。
目を開くと何故か景色が灰色に見える。

「げぇっ!!」

しかし声に出たのは

「にゃーっ!!」であった。


藤井は猫になってしまっていた。

どういうわけだが猫になった。
目線が低い。身体はしなるような筋肉がついている。

猫?何故に?猫になりたいと思ったら猫になれた。
なんの怪異だこれは。
藤井キャットとか洒落にもならない。色気もない。
もしかして、うち…猫になってるのん?

むうう…。

さぁて困ったにゃ。
藤井は混乱したが、すぐに頭を切り替える。
人間の時の思考能力はそのまま維持されているようだ。

まっ、いっか!

藤井は気楽に考えることにした。

猫になって過ごすのも悪くはない。
アニメは見れなくなるが、そんなことよりも気分がいいのが嬉しかった。
思いっきり伸びをしてみる。
身体中の筋肉がきしきしと喜んでいるのがわかった。
みなぎってくる活力。これが獣の力なのかと感嘆した。


まず、魚を捕ろう。
河辺に降りて、魚を捕ろうと水面を覗き込むと、重心を崩してぼちゃんと落ちた。

底が浅かったので助かった。藤井は慌てて岸には咿啞上がって身体からぶるぶると水気をはじき飛ばす。
春とはいえ、まだ水は冷たい。日なたで身体を乾かしていると、大きな猫がこちらを見ながら近づいて来た。

「ふ〜〜っ!」

テリトリーに入り込んだ見慣れない侵入者を威嚇しているのだ。
さすがに一回りもでかい相手では勝ち目がないと悟ると、藤井は尻尾を巻いて逃げ出した。
人間の喧嘩は慣れたもんだが、猫の喧嘩は勝手が違う。

公園に戻って身体を乾かしていると、人間のカップルがやってきた。

「あっ、猫」

女が寝ている藤井の頭をなでる。

うざい。とにかくほっといて欲しいのにとにかく人間は干渉してくる。
なるほど。人間ってこれほどうざいとは思わなかった。
猫になってみてわかったが、とにかくほっとけと爪をたてたくなるが、身体の大きさからとても適わない相手に対して、本能がストップをかける。
ここは大人しくされるがままにしているのが一番だと。

カップルはひとしきり、くっちゃべると、藤井をひと撫でして行ってしまった。

猫も案外気楽ではないんだなと、急に眠気がさしてきた。
うとうとしながら、乾いた身体の毛づくづくろいをする。

このまま…猫でいるのかな俺。
不安とともに、さみしい気分にもなってくる。

そして…

さっきの猫の片割れがじっとこっちを見ている。

威嚇ではない。
本能的にわかった。後尾を求めている。
番の相手と藤井を認識したのだ。


「ちょっ、待てよ!」とキムタクの台詞。

藤井は俺は男だぞと叫びたがったのだが、それは通じない。

相手の猫は後から背中にのしかかってきて腰を動かし始めた。

「や、やだ;俺は入れるのは好きだが、入れられるのは大嫌いなんだぁー;」


脳天まで突き抜けるような激痛が走った瞬間、また目の前が真っ暗になる。


目を開けると、藤井は人間の姿に戻っていた。

「夢か…びびった」

そう思ってさっきの発情した猫を探すと、いつのまにか消えている。

しかし、なんか尻が痛い。
藤井のケツの痛みは2〜3日消えず、医者にいったら切れ痔だと診断された。


「凸さん、俺さぁ…猫になったんだよ」

知人の地獄突にそう話してみた。


「ほぅ。マラソンでも始めたか」

「それは猫ひろしじゃないか;」

「今、デヴィッド・ボウイのアラジン・セインを聴き直してるんだ。邪魔をしないでくれ」

そう言われて藤井は座薬をつっこんだ尻を抑えながらため息を吐き出す。
確かに猫になった。
なるにはなったがにゃるらとほてぷ。

猫も猫でいろいろ大変なのだ。
藤井は猫の気持ちが少しだけ理解ができた気がした。

あの高揚感は人間では味わうことができない。
また、なれたら今度は魚屋の魚をくわえて逃げてみるか。

そんな妄想を抱きつつ、時々出てしまう「にゃぁ」という語尾を、静岡の方言だと誤摩化しながら過ごしている。

藤井は今日も公園で猫を戯れながら、まどろみの中で遊んでいる。
いつかまた猫になる日を夢見ながら。


【おしまい】



テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

県立信オン学園〜アホガール編



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県立信オン学園は、戦国武将を志すプレイヤー達の学び舎である。
どこの県だよ!と突っ込まれたら神奈川県だと言っておこう。

クラスは織田・上杉・武田・北条・浅井・足利・雑賀・朝倉・本願寺・伊賀の10クラスに分かれ、
それぞれの特色を生かした教育をおこなっている。

武田クラスは男女合わせて約45名。

男女比では圧倒的に男子が多いクラスで、不動かずはは数少ない女子の一人だ。

「おっはよーん!」

今日も元気に挨拶をするかずは。

明るく人気者なのだが、特別もてるわけでもない。
なぜなら、超がつくほどアホだからである。

容姿はそこそこなのに彼氏ができた試しがない。
これはひとえにかずはのつきぬけたアホさ加減が、女日照りの童貞ですら敬遠するほどに引かれていたことにある。
しかし、もてようがもてまいが藤井一筋のかずはにはまったく関係がない。

藤井と古(いにしえ)の赤い糸で結ばれていると信じているのだ。

そんな、かずはにつきまとわれて辟易しているのが、隣の席の藤井であった。
二人は家が隣同士の幼なじみだった。

「おっぱよーん!ふーちゃん!!」

いつもの如く、かずはは藤井に体当たりしながら抱きつこうとした。
恒例の朝の行事になっているので、周囲の生徒も気にとめない。

かずはの抱きつきをひょいと交わして、藤井はかずはに頭突きをくらわす。
ゴチン!と鈍い音がなりお互いの額に火花が散る。

「ぐはぁっ;!」

頭突きをくらってもんどり打ったかずはだが、頭を抑えながらもしつこく抱きつこうとしている。

「…毎朝毎朝てめーはぁ。静電気みたいにまとわりつきやがってうぜーんだよ!俺にかまうなつきまとうな!!」

藤井は激昂しながら罵倒すると、かずははニヤリと笑いながら悪びれずに言う。

「照れてるのか!」

「照れてねーよ!アホ女!」

朝っぱらからドタバタ漫才を繰り広げ、かずはいるところに静寂はない。
そんなやり取りを奥の席から見つめる視線。

クラス委員長の周防玄徳だった。
成績優秀、沈着冷静なクールな神主。
他のクラスからも一目置かれる存在だった。

しかし周防は特に注意もせず、静観している。

「おい、周防。もうすぐHR始まるぞ。注意しなくていいのか?」

隣の席の僧兵タツヲがそう言うと、眼鏡を指で軽く上にずらしながら優しく微笑んだ。

「いいじゃないか平和で。今日も元気だな…」

「ああ…。あの二人はいつも元気だよな。とくに、アホの不動は」

「いや…藤井さんさ。見ているとキュン♡とくるよ。いいっ!」

うっとりと恍惚の表情を浮かべてつぶやく周防。

「…まともな奴がいねーのか;このクラスは…」


周防のカミングアウトをよそに、犬のようのじゃれてくるかずはの頭を抑えて密着を避けている。

「おいっ!てめーいー加減にしろまじで。そろそろ小山田先生がくるぞ!」

「だいじょーぶ!必ず最後に愛は勝つ!!」

「意味わかんねーし、古いんだよ!アホ女」

「いやわかってよ!ふーちゃんのイガグリは私が守る!!」


藤井とかずはは手と手をあわせてプロレスの手合わせの攻防の形になっている。
かずはは女だが、怪力だった。

「ぐぐ…;いい加減に…かずは…やめ…ろ」

「くっくっくっ…。ふーちゃん、観念しなよ。ねんねじゃあるまいし」

「普通逆だろそれ!女が言うかよ!つーか、アホのくせに馬鹿力だしやがって…うぜっ」


藤井は手をふりほどいて、かずはの顔面に渾身のグーパンチを叩き込んだ。

「むごぉっ!!」

女にグーパンチとは最低だと思われるだろうが、相手がかずはなら仕方ない。
しかも、かずはの耐久値は学園内でも3番には入る。

後の黒板までふっとばされたかずはだったが、すぐさま起き上がって静かに笑う。

「さっすが…。昔は今川のフィクサーとまで言われた男だね!すごいパンチだ。だけど…パンツはどうかな!」


そう言うや否や、電光石火の早業で藤井の下半身にタックルを決めた。

「ぐわっ!何をする!!」

「ぐへへ。ふーちゃんのパンツ頂き!」

「やめろー!この変態女ー」


抵抗もむなしくベルトを外され、いよいよ本丸にかずはの手が伸びようとした時、ガラッと入口の戸が開いた。

担任の小山田先生が厳格な顔つきでかずは達を睨んでいる。


「…何をしている。藤井に不動…。朝っぱらから不純異性交遊か?」

「えっ、あっ、いや、いやこれはその;」

藤井があたふたと言い訳を考えながらズボンをずり上げる。


「先生!」

かずはは小山田先生の形相をものともせず、目をキラキラさせて質問をした。


「なんだ不動」

「先生は奥さんと週何回ですか!」


教室中に暗雲たる沈黙が訪れた。

「ぐっ…」

唸り声とともに小山田先生の顔は真っ赤になり、こめかみに青筋が浮かんでいる。
これはやばい。相当怒っている。

藤井は頭を抱えた。かずはの野郎ぅ〜;
やっぱ早く殺しておくんだった:


小山田先生は身体をわなわなと震わせると、うぉおおんといきなり泣き出してしまった。

「ば、馬鹿にしやがってぇ;俺がまた見合い失敗したの笑ってやがるのか〜;くそぉ〜!」

そう言うと、脱兎の如く教室から泣き叫びながら出て行ってしまった。

「ほよよ?どうしたのかな先生」


かずはがポカーンとしながら、首を傾げる。

こいつ;;!!

クラスメイトは誰しも無言でそう思っていた。

放課後、藤井とかずはは生活指導の藤川みさお先生にこってりと絞られた。
小山田先生はショックで早退してしまったらしい。

「まったく…。いつもいつもあなた達は風紀を乱してばっかりで。藤井君も男子なんだから、少しはしっかりしないと。不動さんも女の子なんだし、もうちょっとおしとやかにできないものかしら」

「はぁ…」

「とにかく、罰として一週間は星の1〜10を一日5ノックよ。いいわね」

「え〜〜;そんなぁ…」

藤井が泣きを入れると、かずははニッコリうなずいて

「大丈夫!キリト君はあたしが守る!」

「誰がキリトだ、アホ女!それにおめーのせいだろ全部!!死ね」

「いい加減にしなさい!あんた達!!ノック地獄を追加されたいの」



さらにぐちぐちと続く説教を我慢強く聞きながら藤井は理不尽だ思った。

いつも迷惑をかけられている被害者なのになんで共同正犯みたいに咎められてるんだ;おかしいだろ。
かずははケロッとして暖簾に腕押しで藤川先生の説教を聞いているんだがいないんだが。

アホはいい。何がいいって楽でいい。
何も悩まず前に進めばいいからだ。

まじで早くこいつを何とかしないと俺の平穏な学園生活の未来はない。
そんな藤井の杞憂をよそに、かずははまた余分なことを言いだした。

「みさおちゃんっておっぱい何センチ!」

藤川先生は真っ赤になって胸元を両手で隠して狼狽している。

「なっ…!関係ないでしょうそんなこと。あと先生をちゃんづけで呼ぶのはやめなさい!」

「へへーん。かずはのほうが丸くて甘くておっきいよ!」

「不動さん!真面目に聞きなさい!!あなた勉強も落第寸前なのよ。おっぱいが大きくても就職に有利にならないんだからっ」

かずははそんな藤川先生の胸元を、手でコの字を作って凝視する。

「ふっ…。女子力たったの1か。ゴミめ」

これには藤川先生は涙を浮かべながら割れんばかりの大声で怒りだした。
藤井もこれ以上はさすがに危険だと思い、かずはに手をひっぱって生徒指導室から逃げ出した。


校門まで来ると、息も絶え絶えにかずはに声を荒げて怒る。

「はぁはぁ…。てめぇ!もういい加減にしてくれ。頼むから俺の前から消えてくれ。今すぐ!今すぐな!」

「も〜、ふーちゃんったらツンデレなんだから。そう言いながら手を離してくれないじゃない」

「はっ!」


かずはを連れ出すためにいきおいで手を握ってひっぱってきたのだ。

あわてて手を離そうとすると、すごい力で握ってくるのでふりほどけない。

「はっ、はなせ!」

「やだ!」

「はなせよ!手がつぶれるだろ!!」

思わず藤井はかずはの腹めがけて腹パンをした。

「ぐふっ!」

うめき声をあげて崩れ落ちるかずは。

しかし手は離さない。それどころか、握りつぶさんばかりの力で締め付けてくる。
これはまじで潰されると藤井は恐怖した。

「いてぇ、いてぇ。離せ!離してくれぇ;」

「ふーちゃん、あたしのこと愛してる?」

「はぁ?何を…」

「言って!言わないと金輪際、右手で自家発電できなくなるんだから!」

「ぎえぇぇ!!いっ、いててててて;;」

「さぁ…言うんだ。お前の秘密を」

「趣旨違ってんだろ!わかった;わかった。愛してる!愛してるよ;だから頼む…」

「ふふっ♡やっぱり二人は相思相愛だよね!」


かずはが手を離すと、藤井の右手は白くなりかけていた。
おそるべき握力だった。

「じゃ帰ろっか!」

かずはは屈託なく笑うと、夕焼けに向かって歩き出す。

「ふーちゃん!夕焼けにね、願いをかけるとほんとに叶うらしいよ!」

「…へぇ。初耳だな」

藤井は痺れた手を擦りながら、カバンを拾った。


「かずは」

「なぁに?ふーちゃん」

「俺の今の願い事ってわかるか」

「もちろん!ふーちゃんのことならなんでもわかるよ」

「ほう。なんだよ言ってみ」

「ふーちゃんの願いごとはねぇ…」

藤井の願いは、もちろん、かずはを地上から抹殺することだった。
もちろん、かずはがそれに気づくはずもない。


かずはは一差し指を天に掲げて自信満々に叫ぶ。

「脱・童貞!!」


爽やかな風が吹いた。
藤井は平穏な学園生活をこの時点であきらめて泣いたという。


その頃、マソは3部のアニメ放送に伴い「ジョジョの奇妙な冒険」の十八巻を読み返して泣いていた。

「ジョジョはやっぱりいいなぁ;ぐすっ」

もちろん、本編にはまったく関係はない。 


春うらら。皆様よき週末を。

テーマ : オンラインゲーム
ジャンル : オンラインゲーム

不揃いのゲーマー達




藤井はこの春から新社会人となった。

社会人になって掛け持ちしていた大航海オンラインと信長の野望オンラインのどちらかを引退するつもりだったが、
就職した運送会社の上司が大航海オンラインに嵌っていて、やむなく現状維持のまま課金をしている。
うっかり趣味はネトゲで大航海をやっていると口をすべらせたのはまずかった。
50過ぎの上司は何かと目をかけてくれ、昼飯の時などは夢中になってネトゲ談義に興じている。
その様子を見ると、もう辞めますとは言いづらかった。

藤井は気が弱く、押しに弱い。
アパートには、学生時代キャッチに捕まり20万で買わされたクリスチャン・ラッセンのシルクスクリーンが置いてある。
揉めるのもしんどいので貯金を全部使って購入してしまった。

上司は腹に含む人間ではないのだが、がさつで無神経な男だった。
昭和の生き残りでネトゲ内のプレイにも精神論をぶつけてくる。

藤井はそんな上司の穿った持論を聞き流しながら、ただ頷く。
こーいう手合いは口ごたえしようものなら3倍になって返ってくることを知ってるからだ。

上司と食う昼飯は美味くはなかった。


ようやく仕事にも慣れてきて、その日は定時にあがれた。
ひさびさに飲みにでも行きたいところだが、1人で飲むのもなにか侘しい気がした。

自宅に帰って、ビールでもやりながら、信オンにでも入ってみよう。
最近は大航海ばかりで、上司とつるむのもさすがに疲れて来たし。

というか、向こうが一方的に絡んでくるし、上司とわかっているので理不尽な頼みでも断れない。
ひどいときは、レアアイテムなどを献上品の如くすべて上司に取られてしまう。
しかし文句も言えずに耐えるしかない。

上司に悪気はないと思うが、無邪気というより傍若無人を超えた所為にほとほと嫌気がさしていた。

信オンに行って気分転換をしよう。
藤井は冷蔵庫から、ビールと漬け物をだしてきてテーブルに置いた。

PCのログイン画面を見ると、」ずいぶんインしていなかったように思う。
最近では城下町育成ぐらいしかやってなかったが、それでも真紅内には友人達がちらほらいる。



「藤井さん。おひさぁ」

早速、知人の藤川みさおからの対話が来た。

ちょっと一門クエがあって人でが足りず、手伝って欲しいとのこと。


「いいよ」

即答して一門クエの徒党に加わった。

高千穂を最初からやるという、これもまただるいクエだ。
さすがに職のバランスが悪いと突破できず、しかも長くて面倒なクエである。


他からも助成を借りて、一門クエというより野良クエの様相を呈してきている。
もちろん、藤井には馴染みのない顔ばかりであった。

高千穂の1からということで、振り分けされた左の徒党に入った。
藤川みさおも一緒の4名徒党だ。


「よろしく」

「よろしくお願いします」

それぞれに挨拶をして待機する。
中央の弁財天を担当する徒党の合図で戦闘開始だ。


徒党の構成は、藤川みさおが陰陽道、藤井は古神典の神主。他二人が武士と刀鍛冶だ。

「藤井さん、今日は大航海じゃなかったのねえ」

藤川みさおがそう云うと、藤井は暗い声を出して肩を落とす。

「ほんとは辞めたいんだけどね。色々事情が…」

「あらあら」


藤井とみさおのやりとりを聞いていた刀鍛冶がいきなり藤井の顔を覗き込む。

「??」

藤井は怪訝な顔をして、刀鍛冶の強い双眸を覗き込んだ。
その瞬間、ものすごい悪寒が全身に走る。

「藤井…って。まさか、お前、新入りの藤井か!」

悪い予感は大概当たるものだ。

「えっ!まさか、かっ課長…?」


まさしく、あのいつも顔を突き合わせている会社の上司である。

レベル70MAXの刀鍛冶とか…。いつのまに育てていたのか。
というより、なんで信オンなんかやってるんだこの人。

藤井が混乱していると、上司は畳み掛けるように、いつもの調子でまくしたてる。

「お前。大航海にも入らずこんなとこで何やってんだよ。お前はGM候補生なんだぞ、GM候補生!」

「すみません…」

なじるような横柄な物言いにカチンときたのか、藤川みさおが制するように言葉を挟む。

「あの…。リアルの上司だかなんだか知りませんが、ゲーム内では立場は関係ないでしょう?戦闘に集中してください」

みさおにピシャリと云われて、刀鍛冶の上司は舌打ちをした。

「ちっ…。とにかく明日会社でたっぷりと指導してやる」

「……」

藤井はまさに針の蓆だった。
逃げ出そうにも逃げ出せない。


みさおはそんな藤井を見ながら、はっきりしない人だと軽い軽蔑を覚えていた。

戦闘開始の合図で戦闘が開始された。

藤井が気合いをまわし、みさおが攻撃を重ねる。
上司の鍛冶屋は武士と交互に敵を釣りながら怒りのダメージを溜めている。


左右の徒党が@1のみで待機状態になった。央の徒党待ちになった。
3徒党同時に敵を倒さないとクリアできないクエ仕様なのだ。

左右の徒党は1を生かさず殺さずで最後の合図を待つ。

その間はまったりとした時間が流れ、緊張感が解ける。

あとは怒りを溜めてパワーを放出するだけで敵は倒せる。
上司はその最後の一撃のお立ち台を狙っている。

「なんだなぁ。信オンももう3年やっているが…大航海と比べると底が浅いもんだな。なっ藤井?」

落ち着くと上司がまた空気の読めない発言をしだした。

云わなきゃいいのに余分なことを…と藤井は辟易しながら無言を貫いた。

「ちっ…。まぁただんまりか。都合がわるくなると唖のように黙りやがる。お前はいつもそうだ。主体性が乏しいんだよ。そんなじゃこの先苦労するぞ。あぁん?」

「……」

「お前は大航海でもそこそこのプレイヤーだ。会社でも幹部候補生なんだぞ。ちったぁ自覚して…」

さすがにこれを聞いて黙っている藤川みさおではない。

「いい加減にしてください。それなら、大航海で心ゆくまで遊んでればいいじゃないですか。誰も信オンをやって欲しいって頼んでないんですから」

「なんだよあんた。さっきからやけにつっかかてくるし。俺はこう見えても図工は5だよ。それに藤井と話してるんだ。生意気な女だ、まったく」

「生意気で結構。信の悪口なら徒党会話じゃなく対話でやってくださるかしら。今を楽しんでいるプレイヤーに対して失礼ですよ。いい歳をしてそんなこともわからないんですかね」

「くっ…;おい!なんだ藤井!!この失礼極まりない女は。お前の女なのか?」

「いえ…そんなんじゃ…」


藤井の様子を見かねて、みさおが煽る。

「藤井さん、いい加減にビシッと云ってやりなさいよ!こんな上司の下で働いていたらあなたダメになるわ」

「み、みさおさん…それは」

「こ、このアマァ!言うに事欠いて何を言いやがる!!おいっ、藤井!おい」


武士は呆れて無言のままである。
まぁかかわり合いになりたくないのだろう。

既に待機状態から準備に入ったら、峰打ちを繰り返す動きしかしていない。

「よし!OK〜!倒して」


合図がかけられた。

言い合いを一旦やめて上司の怒鍛冶が攻撃コマンドを入力した。


「まぁ…とにかく人生を舐めるなってこったな藤井。あんたもだぜお嬢さん」


お得意の昭和世代の説教だ。
とりあえずこれを云っておけば、場は締まると思っているらしい。

みさおは、放り投げるように

「別に舐めてませんけど」と

ぶっきらぼうに返す。

「あっ…」

みさおが声をあげた。

みさおの陰陽道の術が先に入力されてしまい、敵は消滅した。
上司の溜めに溜めた怒りのエネルギーは未使用のままで終了。

「舐めてんだ!舐めてんだよてめえはぁ!!!」


お立ち台奪われた上司はぶち切れて戦闘終了後に落ちてしまった。


「沸点低いおじさんねえ…。あたしも人のことは云えないんだけど…」


藤井は、震えながらついに吹き出して笑った。大笑いをした。

「あ、あの課長の顔…たまらん;だめだ死ぬwwwwww」

きょとんとするみさおをよそに大いに笑った。

藤井は明日、大航海の課金を停止する決心をしていた。

高千穂の蒼い風は心地よく頬をなぶっている。
藤井は明日に向かって走り出していた。


いや…意味わかんねえna これ 

じゃまた!


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果てしないオンラインゲームの情けない物語に生きる藤井さんと僕らの黄昏




オンライン・ゲームにおいて肝心なことは、寛容であることとようやくわかった。

まず許す。
ここから出発しないとネットライフは楽しくならない。

甚だ上から目線の物言いに聞こえるかもしれないが、顔が見えないのだからしょうがない。
スカイプなどでパーティプレイをする人も多いのだが、やはり文字でのやりとりがまだまだ圧倒的に多い。

そんなことを周囲に言いまくっていたら、藤井駿河守はいつしか「下町のキリスト」と呼ばれるようになった。
いつも機嫌がよくニコニコしている。

罵声を浴びせられようが、嫌みを言われようが、いじられてネタにされようがいつもニコニコ笑っている。
藤井はとことん人を許している。いや許しているように見えた。
馬鹿になれと昔の人は言う。
馬鹿になれる人は本当はすごい人だとよく言われるが、本当の馬鹿だったらこれはさすがに困る。
藤井駿河守はそのへんのバランスをうまく保っている。
しかし目は決して笑っていない。
機嫌がいい人ほど裏があり腹黒いものだ。
その笑みに何かしら狂気に似た威圧感を周囲が感じていたのは確かである。


藤井は「信長の野望オンライン」の世界において壮大な計画を画策していた。

その名も「ノブワン計画」だ。

信長の野望オンラインの世界で、公式アイドルグループを作ることである。
今の信オンは過疎化が止まらず運営も青息吐息。
課金者が減る一方だから、企画はあっても稟議に通らずアップデートも使い回しのおためごかし。
悪循環の負のスパライラルに陥っている。

それもこれも改悪なその場しのぎのアプデを繰り返して来た報いだ。

藤井はこの状況をなんとか打破したかった。

昔の信オンはシンプルだが夢があった。
各鯖それぞれに華があり、廃人と呼ばれる有名プレイヤー、つまりスターがいた。
スターに憧れるのは凡人の必定。
そして目標でもある。

しかしそんなスターも今はない。

あるスターは、イザナミの撃破徒党が1徒党しか存在していない時に、ようやく火雷を倒してイザナミまで辿り着き、あと数劇でイザナミ撃破という時に、母親からPS2の電源を抜かれてそのまま帰らぬ人となった。
最後の言葉が「ちょっw」である。
彼はまだ高校生だったらしく、それによってもうやる気がなくなったのだと噂で聞いた。

様々な事情でめまぐるしく人が入れ替わるオンライン・ゲーム。
やはりスターがいないのはどこか侘しい。
我々のような平凡なプレイヤーが渇望する廃人の中の廃人。
それは夢と希望とチートとRMTを教えてくれる貴重な存在だ。

しかし…
願ってもスターは生まれない。
欲してもヒーローは姿を見せることはない。

それが今の信オンの現状だ。

ではどうするか。
藤井は考えた。考えて考えて考え抜いた。
「下町のキリスト」は考えた。

ちなみに「下町のナポレオン」は1969年の「誓いの旗(チェッカー)」で、既に使われていたフレーズ。
これ豆ね。ながやす巧が描いてるけど非常に面白いので読んでみるべし。

とにかく全プレイヤーに夢を与えたい。
藤井は考え抜いたすえ、毛が相当抜けた。

アイドルだ。
今やちまた巷にあふれているアイドル。

AKB、モモクロ、乃木坂、モー娘、初音ミク、アイマス、ラブライブ、ウェイクアップG…etc

アイドルは世界を救う。
いやアイドルで世界を救うのだ。癒すのだ。
いわんや、若さと可愛さゆえの歌と踊りは最強の武器である。

藤井は信オンのメシアになろうと思った。

この時点で藤井は既にぶっ壊れていた。
邪教に嵌った信者のごとく純粋であり凶悪。
そうなると怖いものは何もない。

藤井は次々とめぼしい女性プレイヤーを口説いて、最強のアイドルグループを作る地盤を固めていった。
一見、合理性に乏しい発想と行動も藤井には関係がない。

信じる心が力になる。
まさにマジックナイト・レイアースのキャッチコピーさながらに、己の教義に従って動く。

そもそも藤井は昔ナチズムに傾倒していた男なので、障害になるものはすべて抹殺して排除する。
「下町のキリスト」の真実の顔は恐るべき独裁者であり過激派だった。


半年後─

全鯖のアイドル志望の女性達を集めて集会を開いた。
場所は甲府のイタ飯屋である。

長いテーブルには、女性6人と向かい合って男性が3人座っている。

男性は、藤井を含む真紅の種馬タッチャマソ、紺碧の赤い弾丸アントキのイノキ。
今回のノブワン計画の協力者である。
それぞれに各鯖に散ってもらい希望者を募ったり口説いて勧誘したり。

その甲斐もあって、そうそうたる面子が顔を揃えた。

真紅からは、永遠のダークヒロイン 織田の会議クラッシャー 藤川みさお

乱世からは、自称女子大生 お嫁さんにしたい候補No,1 乱世アイドル にゃる子

山吹からは、妖艶なるチャットで童貞プレイヤーを魅了し続ける謎の家事手伝い 冴羽 麗子

紺碧からは、1000年に1人の逸材 S体質なツンデレ女子高生 たま子

萌黄からは、奇跡の巨乳主婦 天然ボケとまろやかな性格でパフパフされたい 神代 小巻


各鯖では知らないものはいないというほどの有名人が出揃った。


マソが興奮しながら目をみはる。

「すげぇ…。各鯖のトップアイドルがこうして顔を揃えるなんて」

藤井は口を歪めて邪悪な笑みを浮かべた。相変わらず破顔で笑みは絶やさないが目が笑っていない。

「アイドルってぇのは、湧いて出るもんじゃない。創りあげるのさ。人意的作為的に」

「これは…見てるだけで、イ、イキそうだ;」

「発射するのはまだ早い。これからだ我々のノブワン計画は。それに商品に手を付けたらチンポをぶった切るからね」

「へい…;」


アントキのイノキが、横でそれを聞きながら冷や汗をかいていた。

同じ紺碧出身のアイドルたま子とは既にいい仲になってしまっている。
バレたら殺される。何とか隠し通さないと。
たま子は実は女子高生などではない。そもそもラノベじゃあるまいしそんなファンタジーがそうそうあるわけがない。
埼玉のスーパーマーケットの店員だった。まぁそれはどうでもいい。
とにかく、たま子がアイドルとしてやっていくには、男の影は邪魔だ。
アイドルはセックスをしないと信じ込んでいる奴らには、まさにタブーの醜聞になってしまう。

「いのきさん、どうした?すごい汗だが」

藤井がそう声をかけると、あわててかぶりをふる。

「い、いやぁ、マソさんと同じく綺麗どころばかりで壮観だなぁと…」

「ふっ…さすがに各鯖のトップリア美を集めたからね。天下の影に女あり。女を制するものは世界を制す!だよ」

「でもさ…。真紅はあの人でよかったんですか?」

「ああ、みさおっち?まぁ…他にも候補がいたけどいいんじゃない?本人がやりたがってたし、一応知名度はあるし」

「真紅のレベルは高いっすねえ。色んな意味で」


タッチャマソが妙にモジモジしながら厠へ言ってくると席を立った。

「抜いてくるのか」

藤井がすかさず釘を刺した。

マソは赤面しながらも、コクリと頷いて親指をつきだした。

「ほんとに馬鹿なんだなお前は」

藤井は呆れながらも優しく笑った。


テーブルには豪勢な料理や飲みものが用意されている。
女性達はそれぞれに歓談をしながら、食事を楽しんでいた。

マソがすっきりした顔で帰ってくると、藤井はようやく口を開く。


「あー、どうもねー。本日はお忙しいなかこうして集まって頂いてありがとうございます」


抑揚のない口調でしゃべる姿は既にいっぱしのプロデューサーだ。


「さて…本日集まって頂いたのは他でもない。皆さん既におわかりかと思いますが、信オンの現状は年々厳しいものとなっております」

それぞれの女性は口に食事を運ぶのをやめてかしこまって聞いている。
たま子は、アントキのイノキに軽くウィンクしたが、イノキはそれを無視した。

「えー…、面倒な前置きははしょります。結論だけ言います。ノブワン・プロジェクト。あなた方に公式認定アイドルグループになって頂きたい」

その瞬間、女性達の間に感嘆の声が漏れた。


「公式認定って…運営に認めさせるってことかしら?」

山吹の妖艶なる家事手伝い 冴羽 麗子が科をつくりながら聞いた。


「すぐにとはいきませんがね。運営側も得心のいく実績が必要になりますし」

「うふん…。面白そうじゃない」

麗子の台詞にはいちいち艶がある。マソは聞いてるだけで勃ちそうになってきた。

「はぁーい、はぁーい!」

乱世の嫁さん候補1位のにゃる子が手を挙げた。

「どうぞ、にゃる子さん」

藤井が掌を差し出して促す。

「ええっとぉ〜〜、それってどんなメリットがあるのでございましょうかぁ?」

にゃる子が無邪気に聞いてきた。
が、至って当然の疑問だ。もちろんメリットの有無、もしくは明確化はプレイヤーにとって重要なファクターである。


「メリットは数えきれないほど。まず、自己の虚栄心の充足。そしてキモオタプレイヤーからの賛美、運営側からの特別待遇、報奨金、メジャーデビューも視野にいれると莫大な経済効果が見込まれるはずです」


静かに聞いていた藤川みさおが一言

「うさんくさっ!」


その言葉に藤井は素早く対応する。

「おや、みさおさん。また会議クラッシャーですか」

「胡散臭い者をうさん臭いと言ったまでだけど」

「だまれ!ビッチクラフトワークス!!」

「うわぁ、つまんないギャグ。藤井さん、また顎を砕かれて断食したいのかしら。あなたの顎はもうウルフ金串のようにガラスのチンなのよ?」

「チンでもチンポでもどっちでもいい。いいからしゃぶれよビッチ!」


これが下町のキリストと言われて崇められてきた男だろうか。
もう藤井は以前の藤井ではなく、完全に己の野望に呑み込まれている。

さすがに雰囲気が険悪になってきたので、アントキのイノキが仲裁に入る。

「ま、まぁまぁお二人とも。天下を取りたいということだったら目的は同じでしょう。それに、みさおさんもトップアイドルに認定されたら織田家にもいいイメージアピールになるのではないですか?」

「それはまぁ…そうだけど」

「とにかく…ここはひとつ手を組んで天下取りに乗り出しましょう。これだけの面子が組めば怖いものなしですよ」


藤井もひとつ咳払いをして襟を正す。

すると、今まで黙っていた萌黄の巨乳主婦、神代 小巻が口を開く。

「ぽわわ〜ん、あのーアイドルといっても何をすればいいのかしらん」

何とも気が抜ける口調で、場の雰囲気が柔らかなマシュマロの中にいるように変わった。
これが若妻の威力か!

マソはそう思って舌を巻く。
天然主婦のぬるい空気は、緊迫感を削ぐが安心感を与えるものでもあった。

藤井は質問に対してカッと目を見開いて答えた。

「ライブですよライブ。ライブをやりましょう」

「ライブ!?」

全員が同時に声をあげる。


「ノブワン最初のステージは、やはり最初に天下を取った真紅武田の躑躅ヶ崎館でやることにしましょう」

藤川みさおが悔しそうに顔を歪ませた。

織田の天下を信じていた藤川にとってこれほどの屈辱はない。
しかし事実は事実である。目を背けることはできない。

藤井は藤川の怨嗟の眼差しを一笑して話を続けた。

「ライブ、各鯖での広報活動、支援者募集などをやって頂きます」

「支援者?」

たま子が口を挟む。

「つまりは…ファンということですね。そしてファンクラブの会員には一ヶ月一万貫の会費を支払ってもらいます。もちろんファン限定特典のインセンティブを設けます」

「へぇ…なんかすっごーい」

大きな目をくりくりさせて、たま子は驚く。

アントキのイノキがそんな、たま子の様子を見てニヤニヤしていた。

たま子はそれに気がついて、すぐさまツンデレブリを発揮する。

「べ、別に驚いたわけじゃないんだからね!そっ、それよりこのグループのリーダーは誰にするのよ?」


「リーダー?」

5人は同時に顔を見合せた。リーダー。つまりはグループの中心となるセンターである。
藤井が目を光らせながら、ある一点を指差す。

「えっ!?」

声をあげたのは、巨乳主婦 神代 小巻だ。

「彼女にセンターをやってもらいます」

「ええっーーーっ!」

神代 小巻はビックリして姫に近い叫声をあげた。たゆんたゆんなおっぱいをめっちゃ揺らしている。
マソはそれを見て「すげぇ…」と生唾を呑み込んだ。

「だって一番おっぱい大きいしさぁ(笑」

神代 小巻をのぞく5人の娘は「なぁるほど、納得…」と手を打った。

藤井はそう言いきると、煙草をに火をつけて煙をゆっくりと吐き出した。
煙草をくゆらせながら満足そうな笑みがこぼれている。


「さて、と。じゃぁ始めに…」

ガツンッ

「できるわけねーだろっ!!」

言い終わるか言い終わらんかの刹那に、藤井の頭頂部に稲妻のような閃光と痛みが走った。

5人の娘の怒りの鉄拳をまともにくらいそのまま昏倒した藤井は、出血多量で病院に運ばれた。
しかし、運ばれた先が間違って泌尿器科だった。
さらに形成外科に移送され包茎手術までしてしまったのだが、
頭の出血は止まらず心肺停止してしまった。

藤井は死んでしまった。
夢半ばで倒れた藤井。
コモエスタ藤井。アロハオエ藤井。さようなら藤井アスタロエゴ。

その後、マソとイノキは甲府の片隅に「藤井塚」を作った。

結局、ノブワン計画は砂上の楼閣であり、夢物語はついえた。
信オンアイドル計画で天下を狙った藤井。
哀しき愛戦士藤井。


後年、「藤井塚」に祈りをかけるとトップアイドルになれるという。
藤井も墓の下からアイドルを夢見る乙女達を応援しているのかもしれない。


もちろん

tanakla


ですよね。

おちまい。

テーマ : オンラインゲーム
ジャンル : オンラインゲーム

プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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