スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

お仕事

dsvdsgnhdr
xvdfsbfghmggf


去年の年末にやった仕事。
コンビニや駅なんかで見かけたら、
ああ…あのブログのおっさんの仕事かと思い出してくれたまい。

しかし、Adobe CCになってから仕事が楽になったなぁ。
箸休めでSSはお休み。

では良き週末を!
スポンサーサイト

テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

戦国BAR 参ノ陣 【中二病のボーダ】



わたしは甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。

人生の黄昏という回廊に立って、成り行きを見守るだけの語り部。
少年はみんな明日の勇者。
全てのプレイヤー達がペガサスのように羽ばたくことを願って。




私は疲れていた。
何に疲れているのかって、先ほどから目の前にいる妙な客の対応にである。

ロールプレイ(役割演技)という言葉は実はかなり幅が広い意味合いが含まれている。
もちろん、我々もネットゲーム内においては、ロールプレイをしながら各故人のパーソナリティを差別化しているわけだ。

ペルソナを使ってユーザーの導線効果をモデル化して定義づけるのもある意味ロールプレイと言える。

目の前にいる客は、明らかにこの世界において、リアルを切り離してまっとうにロールプレイをしているプレイヤーだ。

しかし…これは…。


その客は初顔だった。

黒いローブで顔を覆い、スツールに腰掛けるといきなり意味不明な注文をする。


「くっくっくっ…マスター。我は叡智の書を拝借すべく漆黒の堕天使ダーク・インフェルノを所望する」

「えっ…?ダーク・インフェルノ…ですか?」

「遥か彼方の世界において……不可視世界の混沌に飲み込まれるのか。未来を視ることを許されたダーク・インフェルノを。言うまでもなく、それは我の過大選定であった如くだな」

「……あの…よく意味が(苦笑」

「ダーク・インフェルノ。メィトゥス・ノナを完全暗黒物質クロスヴィールシとも囁く。下賎の輩は黒ビールとも呼ぶ…」

「……黒ビールですね。かしこまりました」


なんだ一体こいつは。

顔はローブで見えないが、声のトーン、体つきから言って女性のようだが。

それにしても中二病とは伊集院光もうまい言葉を考えついたものだな。
確かに中学2年のころは、リングに懸けろやガンダムの台詞を友達と言い合いしながら遊んでいた記憶がある。
不思議なことにすごく鮮明に覚えているものだ。
あの頃は子どもって言われるのが、悔しい年頃だったっけ。


難しい言葉を使って、暗喩や韻を踏めばかっこいいと思っていたあの頃。
ラップをやる奴なんぞもある意味ずっと中二病じゃないのか。

黒ビールをグラスに注いで出すと、その客はローブをたくしあげて顔を見せた。

女…いや男だ。

緩くウエーブのかかった金髪に琥珀色の瞳。切れ長な目に形の良い鼻。
世間でいう美少年といったところだ。
恐ろしく綺麗な青年だった。

日常において、一般生活者はそうそう美麗な人には出くわさない。
モデルなどスポットライトを浴びて、その場にいるからこそ輝きを放ち、各種媒体に映えるように創りだしているものだ。稀に例外的な人もいるが、そんなのは万人に一人いるかいないかである。
そんな場にいなければ、まず見ただけでため息のでるような人間には出会えない。
その場で創りだされる雰囲気も加味されて、そのほとんどが麗人たりえるのだ。

その万人に一人が目の前にいる。
バラが似合う男は1万人に一人だというがまさにそれだった。

三浦がこの場にいれば卒倒するレベルであろう。

美青年はビールをひと口飲むと、グラスの表面についた水滴を指で拭き取りながらつぶやいた。


「いよいよ辿り着く…闇の眷属たる忌まわしき者が。叙事詩にあるコクーンの積み上げた地位の終焉とともに…」

私は聞かないふりをした。
つきあってられない。

間違いなくこいつの頭は、びっくるするほどユートピアに辿り着いてるようだが…。
顔は美しいが、頭は残念な奴らしい。

というか、そもそもこいつ未成年じゃね?
酒を出していいのか私…と、思ったが、考えてみればここはゲームの世界だった。
だからまぁいいよね。テヘペロ。

とにかく、こちらから話しかけるのはやめておこう。
それでなくても最近寝不足だしな。

このようなロールプレイもありっちゃありなんだが、ものには限度っちゅうもんがあるぜよ。

そう言えば…私も信オンをやり始めた頃、調子に乗って野良徒党で侍言葉を使ってたなぁ。
「かたじけない」とか「拙者は〜」とか。

うわぁぁああ!!こっぱずかすぃ〜〜〜;あれでどん引きされて止めたんだっけな。
今思い出しても身をよじるほど恥ずかしい。
いい年したおっさんが調子に乗るとろくなこたぁないわ。

ともかく…こいつはそっとしておこう。
触らぬ神になんとやらだ。

こいつはこれから中二君と呼んでやろう。
どうせ、キラキラネームばりの ギアス・ルシルフルとかエルフェンリートとか言うネームだろう。
聞くのもだるい。

中二君はしばらく黙ってグラスを傾けていたが、時折私に語りかけるでもなくつぶやいている。
要するにRPに酔っているのだ。

たまに私を見ながら、つぶやきを投げかけてくる。
その度に私はあいづちを打つのだが、正直だるい。

さすがにこのような客の対応は疲れる。

しかし…物憂げな横顔を見ると、やはり男の私が見てもほれぼれするほど美しい。
私はホモではないが、男でも美しいものは美しいわけで、それは性別とか超越した賛美だ。
年頃の娘が近くにいたら、さぞやと思わんばかりである。

…口を開かなければね…。


「マスター」

中二君が口を開いた。

「はい?」


流れるような金髪を掻き揚げながら、私を見る。
中二のくせに妙に色気があるのが小面憎い。

フッと鼻で笑うと、ビール代をカウンターテーブルに置いて、また意味不明な言葉で語る。

「ふふ…。時を経ずして2つの針が示すデスティニアだ。神を喰らい、最強になった私は我が魂の帰する場所に帰らなければ…そう神が定めたのならば存在しえぬ。まさに美味であった」


これは多分…ごちそうさまと言っているのだろうか。
私は困惑しながらも軽い会釈で応えた。

ダァアアーーーン!!!


中二君が腰をあげた瞬間、ドアが破れんばかりの悲鳴をあげながら開いた。


「こんただとこで油うっとうとか、ぬしゃ!!」


怒鳴りながら、けたたましく入って来た恰幅の良いおばさんが、中二君の耳を引っ張り上げる。

「な、なにをする;人類の運命は未だ体内に水分を蓄えているはず…いや、むしろ………それが神に定められた限界だが。…これは…クリスタルの輝きは闇のオプティマ…」

「こん、ごんたくれ!クリスタルだのオプティマだの、そんただわけわからんことさ言いおって!ほら、さっさと帰って風呂掃除するだよ!!」

「て、いてててっ;かーちゃん、痛いよ痛い;わかった、わかったから…」


中二君は、おばさんに引っ張られて帰っていった。

私は台風のような出来事にあっけにとられてしまい、しばらく声がだせなかったが、堪えきれずに大笑いをした。

「ったく、あの中二小僧だきゃぁ…w。何がクロスヴィールシだよ(爆笑。馬鹿がw」


ジャイアンがかーちゃんに怒られるシーンまんまじゃねぇか。
RPも親にかかっちゃ形無しだ。

あの姿を思い出すと、するめのように可笑しさが染み出してくる。
まったく…、中二病もほどほどにと言うことだな。

ん…!ちょっと待てよ…。

私はある考えが頭に浮かんだ。



深夜になり、客も引けて来た頃、古い馴染みの西武門さんが来た。

「凸さん、ハイサイ!」

「めんそーれ!しばらくぶりだね西さん」

「ほんとしばらくですねぇ」

「俺も沖縄とかでのんびりしたいとこだよ」

「いつでもいらしてください!面倒は見ませんけど(笑」

「おい、ひでぇな(笑」

「冗談ですよ。じゃあ、まずは黒ビールを…」


その注文に私は、チッチッチッと人差し指を出して、お決まりのメトロノームの所作をする。

メニューを見せて、一番上に書かれた文字を指差す。

「クロスヴィールシね。かしこまりました」


まったく。中二病もほどほどに、だな。


【終】

テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

戦国BAR 弐ノ陣 【恋のカタチ】



わたしは甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。

傍観者にすぎない私に、ドラマのシナプスを覆すチカラなどない。
しかし、少しだけスパイスの効いた調味料を加えることはできる。

全ての冒険者達のドラマに幸あらんことを願いつつ…。


さて、今日は恋の話をしてみよう。

恋。甘くせつない響きである。古来より恋についてのテーマを現したものは数限りない。
恋をしている間は、宙にフワフワ浮いた状態になる。これは誰でも例外なくそうなる。

恋は病だとよく言われるが、実に私もそう思う。
本気で恋している時は、とにかく幸せである。楽しいのだ。
そして道ばたに咲いている雑草でさえ愛おしくなる。

恋は色んなカタチが存在する。

時間をかけて育むもの。出会った瞬間一目惚れというもの。最悪な出会いからするめのように味が染み出てくるもの。
なんとなく好きになってそのまま成就するもの。

人の数だけ…と毎度同じことを言うボキャブラリーの無さを許して頂きたいのだが、
やはり人の数だけ恋のカタチは様々だ。

昨今はLINEやSNSなどで人が簡単に繋がる時代。
オンラインゲームで結婚も珍しくはなくなった。
といっても、ネットゲームをやったことのない人にとっては、まだまだ驚くべきことなのだろうが。

ネットゲームにおいて恋愛ざたはタブーとされていた時代がある。
しかし裏ではひっそりと愛を育む者達も少なくなかったはずだ。

古くはniftyなどの電子会議室でのコミューンで結ばれるもの。
私の友人など犬のコミューンで知り合った女性と結婚した。当時、なんと10歳も歳上で驚いたものだ。

私はFFのサービスが始まった当時から思っていた。

絶対、これやって結婚とかする奴いるだろうなぁと。
純粋にゲームに興じるプレイヤーがほとんどなのだろうが、恋愛をしたく始めた人もいるのではないか。
そんな出会いを期待して始める人もいただろう。
もちろん動機は人それぞれだから、それを別段咎めるわけでもない。

おっと…

前置きが長くなってしまった。
そろそろ店を開ける時間だ。

今夜は何かが起こりそうだ。
私はそんな予感がしていた。


カラン!

ドア鈴が鳴ると、すーっと音もなく客が入って来た。

女性だ。それも若い。陰陽の綺羅やかな束帯をつけて、滑らかな黒髪を後に長く垂らしている。
アダルトな衣装とは反対に顔は少し童顔である。
妙なバランスだが、不思議に全体のイメージがうまく調和していた。


「いらっしゃい」


私は初顔、それも若い女性には少し渋みをきかせたナイスミドルを演じることにしている。
決してスケベ心ではない。それが大人の男のダンディズムというものだ。


女性はカウンターの端に座った。
客はまだ誰もいないのに、このような座り方をする女性は、他人と会話を楽しむタイプではない。
少なくとも、好き勝手におしゃべりをするタイプではないだろう。


私はカウンターの端に身体を滑らせて、コースターを置く。

「ご注文は?」

女性は困ったような顔をしながら、指を口先に置いて考えている。


「えーと…じゃぁピンク・パンサーできるかしら?」

「かしこまりました」

私は軽く頷いてレシピを確認するためにカウンターの奥に入った。

ピンクパンサー。ご存知、1963年のアメリカ映画『ピンクの豹』のタイトルだ。
ヘンリー・マンシーニが作曲した有名なテーマ曲が思い浮かぶ。
ルパン3世の原型とも言える物語だ。


ジンベースのカクテルでレシピは下記の通り。

pink

[ 材料 ]
ドライ・ジン…20ml
ドライ・ベルモット…20ml
クレーム・ド・カカオ・ブラウン 15ml
オレンジ・ジュース…30ml
卵白…1個分


「どうぞ…」

鮮やかなピンク色の液体は、わけありの女性に実によく似合う。
絵になるのだ。
常々思うのだがバーテンダーとは酒を出すだけが仕事ではない。
演出も大切なファクターである。
客が最高のタイミングで楽しめるシチュエーションを創りだす。
それこそが、この仕事の醍醐味であり最も難しい部分でもある。

女性はにっこりと頷くと、軽くグラスを傾けた。
1/4ほど飲んでグラスを置いて、ふぅと軽い呼気を吐き出す。
その表情から察するに、少なくとも悪い味ではなかったのだろう思われる。

女性はしばらく無言で空を見つめていた。

その瞳が何を見ているのかは皆目わからない。
私は声をかけることもせずに、グラスを磨きながら流れているBGMに耳を傾けていた。
曲はトーマス・ドルビーのShe Blinded Me With Science(彼女はサイエンス)。
懐かしい。この時代のエレクトリック・ポップは妙に歌詞が脚本めいていて面白いものが多い。
今聴いても新鮮だ。


1時間ほど時が過ぎた。

なんと贅沢な時間だろう。美女と二人きり。
客とバーテン、会話もない静かな時に私は至福の喜びを感じている。

だが、そんな満ち足りた時は長くは続かない。

「ういーっす」

その時間を打ち破る客がきた。
また馴染みの顔である。

周防玄徳。周囲からはツカさんと呼ばれている。神職にありながらまったく信心深くない男。
そしてどこでもいつでも寝る男。寝るといっても女とではなく、ソロでどこでも寝ている。
目を離すと道端でも平気で寝る男である。
甲府のスリーピーとあだ名がついたが、FF14では寝落ちはしてないと言っていた。
そこそこでかいギルドに所属したようだが、基本はソロでやっているという、わけのわからないプレイをしているようだ。


「ツカさん、最近ご無沙汰だったじゃないか」

そう声をかけると、ツカさんは細い目をさらに細くして言う。

「電車の事故が相次いで、俺の仕事が増えてしょうがねぇ(笑。だめだなあの会社は」

ツカさんは電車関係の仕事をしている。
トラブルがあるとすぐに出張が入るので、忙しいと思っていたが、ほとんど定時上がりで休日がとにかく多い。
我々から見ると割とのんびりとした生活を送っている。

「電車ってあれか、あの追突とかか」

「まぁあれもあるが…色々よ、色々」

「社会のインフラを支える業務だ。せいぜい気張ることだな」

「オラやだもうやだ;」


泣き言を漏らすツカさんが頼むのはいつも普通のビールだ。
EBISUがお気に入りである。

端にいる女性に目を向けたが、一瞥しただけで視線を戻す。

長いつきあいだが、ツカさんは、いい女を見てもほとんど反応が薄い。
もしかしてホモ?と疑ったことがあったが、出張していたシンガポールには現地妻もいたらしいので、そういうわけでもないらしい。
生来のこと性欲が薄いのだろう。かの宮本武蔵や柳生十兵衛などもそっち方面には淡白であったらしいと文献では書かれている。

男が皆、性欲の権化とは限らない。
一子を成しただけであとは女いらずといった武士もいたそうだ。
藤井さんやマソのように性欲の塊のような肉食系ばかりではなく、草食系のツカさんのような男もいる。

私?私はもちろん肉食である。毎日が教師ビンビン物語である。
まだまだ若い者には負けないという自負がある。

と、言いたいところだが…最近はちと自信がないのも本音だ。


私はちょっと話題を振ってみた。
せっかくいい女がいるのに、仕事の話ばかりでは無粋である。


「しっかし、ツカさんも浮いた噂をきかんな」

「ああ…。見合い話ならよく来るがね」

「へぇ。で、見合いをしたのかい」

「何度かね。その後はめんどいから断ってる」

「ふぅむ。その中で気になる人とかはいなかったのか」

「ない!つーか、会うたびに品質が下がっていくんだぞ;コピー機かっつうの」

「誰がうまいこと言えと…。だが、会ってみるだけでもいいやん。そのうち宝クジクラスを引きあてるかもしれんし」

「この流れだと、そろそろトロルやゴブリンクラスが来そうで怖い…」

「まぁ相手にも選ぶ権利があるしな(笑」


私がそう言って笑うとツカさんは大真面目な顔をしてかしこまった。

「見合いってさ、その時点から点数つけていくわけだろ?恋愛の場合はつきあっていくと、ほとんど引き算でマイナス面しか出てこないから、見合いのほうが気楽は、気楽なんだがねぇ。如何せん相手がどうにも俺のキャパを超えてる生命体ばかりで…」

「それなら信オン内で探してみたらどうだい。いい女がいるかもしれんぞ」

冗談めかしてそう言うと、ツカさんは頭を振りながら、話にならないと言った。

「そもそも、ネトゲで恋愛とかあり得んよ俺は。どういうんだ結婚式の時にさ。出会いは戦国です!とか言えんだろう(笑」

「う〜〜ん、確かに一理あるが…出会いのカタチはそれぞれあるしなぁ。一概に否定できんぞ。それにパチンコ屋とかで咲く恋もあるし」

「ふ〜む…でも現実は小説や漫画みたいにはいかんからな」

「確かにはがないみたいに学園ハーレム展開なんぞ、普通ありえんしな」


そんな話をしていたら、ずっと無言だった女性がこちらに目を向けている。
今の話に食いついたのだろうか。


「あの…」

女性が声をかけてきた。

「何やら気になるお話をしているようで…。よろしければ、あたしもお話に加えていただけません?」


なんと!

女性が自ら話に加わりたいと言って来た。
恋愛話を振ったのは正解だったようである。

ツカさんも別に女嫌いではないから中年二人には願ったりの展開だ。
いい女との会話は酒の最高の肴になる。


「いいですとも!」

私たちは声をそろえて彼女を会話に加わえた。


「自己紹介がまだでしたね。私はこのBARのマスター、凸と申します。軍学侍をやっております」

「まぁ…軍学を。それで沈黙というか、無言でらしたんですね」

女性はクスッと可愛らしい笑顔で笑う。

「俺は周防玄徳です。特技は寝ることです」

「周防さんは甲府で時々、お見かけしました。寝落ちしてたまに神社でくるくる回ってますよね。」

「ふふ。照れるなぁ」

「褒めてないだろうそれ」

私がそうつっこむと、彼女は我慢しきれずに声をあげて笑った。
先ほどまでの雰囲気とは大違いである。

とにかく、掴みはOKだ。


「ごめんなさい、お二人の会話があまりに楽しくて…。あたしは、ソニ子と申します。よろしくです」

「そに子って…スーパーそに子??」

着かさんが質問すると

「いえ、そのそに子でありませんが…。ソニーが好きなのでソニ子です」

「ほほぅ…」


ソニ子と名乗った娘は、1年ほど前に信オンを始めたという。

「お二人に聞いて欲しいです」

ソニ子はそう言うと、自分の身上を語りだした。


信オンを始めて3か月ぐらい過ぎた頃、狩りで仲良くなった武芸侍がいた。
レベルはカンスト状態で装備もすごく、強くて巧い。
ことあるごとに、面倒を見てくれてアドバイスもしてくれる頼れる存在。
ギルドに誘われたときは、即答で快諾した。

ソニ子は、すぐに恋に落ちた。
そもそもリアルでも経験は少なく理想が高いので彼氏もいなかった。

ネトゲ内のアバターは美化された偶像だが、そのときの彼はまるで白馬の王子様だ。
敵をなぎ倒していく凛々しい姿と、優しい気遣い。加えて人望。

ソニ子の目には、それこそあたしだけのヒーローに映っていたことだろう。

聞いているうちに、我々とはまったく正反対なので気分が悪くなってきた。
もちろん、そんな野郎は一皮剥けば、リアルで包茎短小のデブオタヒッキーに相場が決まっている。
そうでなけりゃ世の中あまりにも不公平じゃないか!


ソニ子はそんな我々の胸中など知る由もない。
とにかくソニ子の想いは日に日に募る。

彼からあるとき、オフ会に誘われた。一門のメンツも数人来るという。
ちょうど関東圏の集まりなので参加できる範囲である。


「どうかな?嫌なら無理して出なくてもいいんだけど」

「…行きます。あなたに会えるなら…」

「えっ…。俺?いやぁ会ってもリアルはしょぼいからなぁ」

「ううん…。リアルとか関係ないの。あたしはあなたに会いたい。会ってお話がしてみたい」

「そっか、じゃあ楽しみにしてるよ。日時は一門掲示板で知らせるから」

「うん!」


しかし、彼はその後二度とインすることはなかった。
一門員に聞いても彼の素性を知っているものは誰もいなかった。
思えば、リアルの話などまったくしていなかったことに気づく。

オフは結局行かなかった。彼がこないのでは意味がない。

それから、ずっとフレ登録の欄を眺めているのだが、1年以上立った今でも彼の名は点灯することはなかった。


「考えました。悲しくって泣きました。彼はあたしが、うざくなったんでしょうか?ゲーム内で自分から告白するような女は引かれちゃうんでしょうか」

涙目になりながら、ソニ子は嗚咽を我慢している。
本当に好きだったのだな…。

結果はどうあれ、気持ちが宙ぶらりんになって終わっていないのだ。
恋はどっちの転ぼうがきちんと終わらせたほうが良い。
でないと、いつまでも隙間を埋めるためだけの無駄な偽恋をしなければならない。


「事故とか病気とか、もしくは仕事の都合かねぇ…」

「そのくらいでどん引きするとは思えないがな」

私とツカさんはそう言って慰める。

「せめて、気持ちを伝えたかった…」


この言葉に私とツカさんは胸を打たれた。


私は黙ってあるカクテルを作ってやることにした。

レシピはめんどいので割愛する。


「これを…店の奢りです」


「これは?」

「ハートブレーカー。恋の終わりを意味するカクテルですよ」

「終わり…」

「想いを飲み込むのも良し。すっきり忘れて新しい一歩をという意味でもあります」

「新しい一歩…。あたしにできるかしら…」


「できますよ。それにいい女は、次に向かう術を持ち合わせているものです」

「うむ。いつでもここに来て鬱憤をはらせばいい。新しい恋を俺たちが応援してやる」

ツカさんも涙を拭きながら激励する。つーか泣くなよ。


「ありがとう…。おじ様たち。あたし…頑張ってみます」

そう言ってカクテルを飲み干すと、彼女は風のように去っていった。


「俺、あの娘に惚れたかもしれん…まいったな」

「ツカさんもやはり男だなぁ。まぁいい娘だったな」

「今度会えたら飯に誘ってみようかな。嫌がるかな…」

「大丈夫だろう。それにスケベ心は出ていなかったと思うぜ」


ツカさんは、そうか!じゃあ俺も頑張るかなと意気揚々と帰っていった。
客はいなくなり、私は煙草に火をつけて一服をした。


いい話が聞けた夜だったな。
人あるとこドラマあり、か。


ふっ…何を今さらと苦笑いをすると、カラランとドアがいきおいよく開いた。


「凸さぁん!ぺぺろんちんすこう!」

毎度おなじみの藤井さんである。
今夜みたいな気分のいい夜にこの人はまったく…。

少しは余韻に浸りたかったのに。


「藤井さん、もうすぐ看板だよ」

「まぁとりあえず一杯だけ。あれ?なんか香水の匂いがするし」

「さっきまで、とびきりの美女がいたのさ。ツカさんも一緒にね」

「おっぱいでかかった?」

「それなりだったな」

「くそぅ!もう少し早かったらなぁ…」


藤井さんは地団駄を踏むと、いつものソルティーDを塩を舐めながら流し込む。


「で、その手に持てる紙はなんだい?」

「あ〜、これ瓦版の奴が配ってたのよ。何でも最近、たちの悪いネカマがいるから注意ってね」

ネカマ?


私は嫌な予感がした。

「これが人相書き。なんでも恋に破れた女のふりして、一門をしっちゃかめっちゃかにしたり、飲み屋でただ飲みしたりと最近ひどいらしいよ」

「!!!」


その人相書きは、先ほどまでここにいた、ソニ子そのものであった。

「こいつは…想定外だった、な」

「そいつ、リアルでは角刈りの中山キンニクくんらしい。まぁネカマは女より女らしいから怖いよねぇ」

そう言って藤井さんは大笑いをしていたので、サービスだと言って別のカクテルを出してやった。
もちろん、唐辛子とタバスコ全開のスパイしーな奴を。

とりあえず、やられた。
やられたなり。
とりあえず見つけてぶち殺したい。
おっさんの純情を踏みにじりやがって、あの角刈り野郎。
届くといいな。この気持ちこの想い。

ツカさんには面白いから黙っていよう。


わたしは甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。

ご同輩…今夜もいい夢はみられそうにないなぁ。


【終】

テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

リターン・オブ・ザ戦国BAR



ここで2年前に書いた戦国レシピシリーズだが、さて今書いてみるとどうなんだろうと思い筆をとる。
あれから2年か。遠い昔に思える。まだ信オンも現役だった頃だ。

では…僭越ながら再開といこう。


cxdvfbrc


わたしは甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。

今宵もまた人生に迷えるプレイヤーが、いくばくかのドラマを演じるだろう。
わたしはそれを脇から眺める傍観者だ。

プレイヤー達はそれぞれの夜を煌めくネオンのように彩り消えていく。
プレイヤーの数だけドラマがあり、そのどれもが例外なくドラマティックだ。

そんなプレイヤー達の物語に、わたしはほんの数滴ビターをたらす。
これは戦国に生きる粋な大人の小話である。


【ドルジ】

グラスを磨きながら、時計を見ると既に夕方の5時だ。
そろそろ、つまみの仕込みでもしておくかと冷蔵庫を開ける。

ふむ…。
生ハムサラダとズッキーニのカマンベールグラタン でも作っておくか。

ブラックペッパーはまだあったかな。
キッチンの収納スペースに収まっている各種調味料を物色していると電話が鳴った。


わたしは今時の電話の形が嫌いである。
電話は昔ながらの黒電話。これがやはりいい。

あれだ。ある知人デザイナーが、醤油鬢のあのデザインは日本が誇るデザインの一つだと言っていたが、
黒電話にも共通の感覚があると思う。

スマホやタブレットPCの滑らかなフォルムも悪くはないが、昔のものはやはり人の温もりが感じられるデザインが多かったように思う。

おっと、そんなことより電話だ。
急いで受話器をとり、わざとらしい低い声をだす。

「もしもし。BARセンゴクです」

受話器の向こうから聞こえて来たのは馴染みのある声だ。


「凸さんー。お昼だよ!ぺぺろんち…」

ガチャン!!

藤井さんである。三日に一度はかけてくるのだが、まともな要件であった試しがない。
ネタで生きているような人だから、しょうがないのだろうが、それにしても暇すぎるだろう。

気を取り直して、ささっと、本日のつまみを作り開店を待った。

表の看板をオープンにする頃に、早々と一人目の客が来る。


「しゅっしゅっしゅっ〜〜!こんばんちんこ」

意味不明な祇園を口走って入ってきた男。

常連のタッチャマソだ。


「…またお前か」

わたしはマソはチラっと見ただけでカウンター内に入って開店の支度をする。

マソは店を開ける頃合いになると一番で飛び込んでくる。
週に2回ほどのペースだが、土日はこない。
キャバクラかソープに行くからである。


「ぷしゅうぅう!今日もつかれたぽん」

「お前なぁ…。いい加減その痛いアニメキャラのような口調はやめたらどうだ」

「ひょほひょひょ。これはボクチンのアイアンメイデンなのよぅ」

「それを言うならアイデンティティだアホ」


コースターを差し出し、注文を聞く。

マソは少し悩んだふりをして人差し指をたてた。

「ずばり!!ダークフレイム・レボリューションをロックでちょーちん!!」

「そんな酒はねぇ」

中二病全開の注文を一蹴するとマソはしょぼーんとしてうなだれた。

「…じゃ、ギネスでいいや;」

「なんだお前は」


ギネスを出してやると、マソは泡立ったグラスの縁の泡を舐めながら一口飲んだ。


「ふぅ…。あ、そうそうマスター。さっき堺の両替に変な奴がいたじょ」

「変な奴なら目の前にいるわけだが」

「オイラじゃないっちゅう!大声でなんか演説してるんよ、宇宙がどーたら、アスペどーたら」

「新手の新興宗教かそりゃ」

「で、周りの奴らがいい加減うるせぇ!ってキレたわけよう。やるなら徒党でも組んでやれってね」

「ま、そりゃ正論だな」

「でも、そいつは全然気にしないで演説つづけてるわけ。さすがにうざいので色んな奴がそいつを囲んで、グループチャットを作ってそこでとことんやれって詰め寄ったんよ」

「ふむ」

「そしたら、そいつも、望むところです!と言ってグルチャ作って呼びかけたわけ。来てくださいーって」

「なんだかなぁ…周りの奴らも乗せられてるな」

「笑えるのがこの後よん様冬ソナ仏像返せ」

「ほう、なんだそりゃ」

「そこそこ人が集まって、ご清聴感謝しますと言いながら【侍と忍者がまだいませんので開始できません】とか言ってるし(笑」

「アホか(笑  狩りに行くわけじゃあるまいし」

「それを大声でやってるもんだから、そこにいる奴ら全員爆笑してたん(笑」

「狙ってやってるのかなぁそれ」

「さぁ〜〜〜?どうでしょん」



面白い奴がいるもんだ。
確かに既に成熟しきったネトゲにおいて、繰り返されるルーティンのクエストやイベントはもう食傷気味だ。
こんなネタキャラでもいないと盛り上がらないのかもしれない。

しばらくすると、チリンとドア鈴が鳴り客が入って来た。

最近見知った顔である。アントキのいのき。
最近、ちょくちょくと顔を見せるようになった。

「やぁ、マスター」

「やぁ、いのきさん」


軽い挨拶を交わしてマソから二つ空けてカウンターに座る。

闘魂と書かれた昇りをつけている。
誰が見ても猪木信者だ。

私は昔、藤井さんが「男根」と書かれた昇りをつけて、晒しで叩かれまくったことを思い出していた。
そういや…男色ディーノとか言う奴もいたっけなぁ。見かけただけだがネタとして懐かしい。


「いのきさん、今日もギネス?」

マソも知った顔が来たのが嬉しいようで声をかける。
しょっぱなはいつもギネス。しかもビンだ。
これが彼の定番だ。

しかし、気になるのは表情が暗い。何かあったのだろうか。

「おりが抜いてやるじょ」

ビンを持ったマソが栓を抜いてやろうとした。


その時─

バシィン!!

いのきさんは立ち上がってマソの頬を張り飛ばした。

「バカヤロー!出す前から抜く奴があるかよ!!」


私はいきなり頬を張られて呆然とした。一瞬のことで何がなんだかわからなかった。
マソも目を丸くして驚いている。

「え…?」


いのきさんは怒っていた。顔を真っ赤にして怒っていた。
そうか、わかった。
彼は最近早漏で悩んでいると言っていた。
「抜く」という言葉に敏感になっているのだな。
また嫁に嫌みを言われたのだろう。


「しゅみません…」

マソがシュンとして謝った。

すると、いのきさんはマソの肩を抱いて

「いや、マソっち。俺も叩いて悪かった…。最近、嫁からことあるごとに責められるんだ。性の深夜特急とか夜の盗塁王ってね…。それで八つ当たりしてしまった;すまん」

マソは表情を崩さずに無言でうなずいた。

私はつっこみたかった。
っていうか、そんな嫁にいねーよ!とは思ったが一応客なのでつっこみは控える。

「……せつないねぇ」

それしか言えなかった。


マソは涙を流してこらえていた。

もちろん
大笑いをこらえるためにである。
叩かれた痛みより、笑いのが上位のようである。

「ぐっ…」

私もこらえた。

本人にとってはこれは笑い事ではないからである。
以前、地元の友人に勃たないと相談を受けたことがあるが居酒屋で聞いていて吹きだしそうになったことがある。

真面目な顔で言うだけに余計に笑いをそそるのだが、考えてみれば男にとってはとてつもない恐怖だ。
女どもにはわかるまいこの恐怖。


私は静かにコースターを戻しながら、グラスにギネスを注いだ。

「いのきさん…心配ないよ心配ない」

「マスター…」

「気の持ちようさ。藤井さんなんか恐ろしい遅漏で、下田のイチロウとよばれているしね」

「あの藤井さんが…遅漏…。そっか…」

「いのきさんも嫁さんに夜の山手線とよばれる日がくるよ。きっと大丈夫さ。日はまた昇る」

「うん、ありがとうマスター。意味はよくわからないけど元気がでたよ」

そう言うと、実にいい笑顔で笑った。
よかった。いのきさんに笑顔が戻った。

マソはうつむきながら、腹を抑えている。
今夜は相当腹筋を鍛えたことだろう。

いのきさんに、最中に畳の目を数えることを教えたら喜んで帰っていった。
これから嫁を狩り倒すのだろう。効率狩りにならなければいいが。

マソはようやく笑いがおさまった。

しばらく静かな静寂が訪れた。
といっても、ボーズから流れるエニグマのアフリカンな民族音楽が耳をくすぐる。

「マソ…最近、女は?」

「いにゃあぁい。ただ今リアちゃん絶賛募集中!」

「リア美ねぇ…。そもそも信にリア美なんざ、砂漠で砂金探すより難しいっつう…」


ばぁあああんん!!!!



いきなりドアがけたたましく開いた。


「呼んだぁ?」

入口に立っていたのは、不動かずはであった。
猫なで声をだしてポーズを決めている。

「リア美のかずにゃんだキュン♡」

マソと私は思わずさけんだ。

「ドルジ*!?」


*朝青龍の本名


今宵もまたひとつの物語が生まれて消える。
わたしはそれを脇から眺める傍観者だ。

では、今宵はここまで。
またのお越しをお待ちしております。

テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

あの日のギルド




邂逅(かいこう)という語彙が好きだ。

人生すべからく出会いから始まる。これ真理。
人と出会うことに限らず、事象、現象、景観、知識、女体に味覚…etc。

出会いは時に人を強く、時には弱く脆弱に貶める。

しかし、わたしはあきらめない。
何かに出会うことは生きるということそのものなのだから。


「やぁ」

そう声をかけて来たトレーダーがいた。

わたしはソロでレベル上げの狩りをしている最中だった。
周囲に人はなく、黙々と作業する単調な狩り。
低レベルなので、自分と数レベル下のモンスターを見つけて倒していた。

深夜ということもあるが、とにかく作業はつまらない。
安全マージンを取って戦う作業は、ただただクリックをしながらモニターを見ているだけのルーティンだ。
その頃のわたしはネットゲームを初めて一週間。
MMORPGという言葉すら知らない初心者である。

仕事の関係上、やむなくパッケージをもらってログインする羽目になった。
取説の制作上、それが必要だったからである。
それがなかったら、いまだにネットゲームなど一切やっていなかったかもしれない。
今はその幸運に感謝をしている。

当時のわたしは、チャット会話すらたどたどしく、パーティー募集に声をかけることすら出来なかった。
奇跡的なことに初心者クエストで出会った人でフレンド登録できた人がいた。
彼も初心者だったが、少なくとも超がつくほどの初心者のわたしよりは、はるかにゲームに馴染んでいる。
いつもは二人で狩りをするのだが、その日は彼はインしていないようで、止む終えずソロで狩りをしていたのだ。

声をかけてきたトレーダーは、レベル45の中堅クラスだった。
12レベルほどの自分にとっては雲の上の存在に近い。
ボス攻略も難なくこなすレベルであろう。

挨拶をされたので、なんとか吹き出しチャットで応える。

「どうも…」

ネットゲームを始めて自分の特性が徐々にわかってくる。

リアルではそこそこ友人もいるし、社交的なほうだと思っていたのだが、
実は根が暗く、びびりのへたれた性格であるということ。

気のきいた挨拶を返してあげることもできず、二の句も出てこない。
いまでこそ、下ネタを連発したり豪快な様を装ったりもするが、ただのうさぎちゃんである。

彼はしばらく無言でわたしの横にたっていた。

気まずい。
が、何の話題も出てこない。

いい塩梅ですな。

アホか。お達者クラブの爺さん婆さんじゃあるまいし。

あの、趣味とか…。

お見合いかよ。きめぇ。

そんなことを考えてると、トレーダーがわたしの周りをくるくると回りだした。

なんだ?なにをやっている。
黙ってみていると、彼はぴたりと動きをとめて言った。

「うちのギルドに来ませんか?」

唐突の勧誘である。

唐突すぎて、思わず

「はい」

と返事をしてしまった。

あ…と思った時はもう遅い。

彼は小躍りせんばかりに喜びを所作で現している。

まぁいいか。ソロでやるのもさすがに限界を感じていた。
この世界は独立したサーバーがそれぞれにあり、初めてプレイする者は初心者サーバーからスタートする。

初心者サーバーは、熟練のプレイヤー達がそこで初心者達を青田刈りで勧誘するにもってこいの場所であった。
もちろんレベル等の入場制限があるのだが、条件次第では高レベルでも居続けることが可能である。

よく考えられたシステムである。
しかも大声をあげて手伝い要請をする初心者に対して、熟練プレイヤーを英雄のようにあがめる人もいる。
感謝されるのが気持ちいいからやっているというプレイヤーも少なくなかった。
しかも、廃人クラスでなくとも、初心者にとっては頼れる先輩である。
矮小な虚栄心を満たすには十分なシステムであろう。
恥ずかしながら、後のわたしはそんなプレイヤーの一人であった。


「ようこそ!ホワイトラビット(仮名)へ」

まだ5〜6名しかいない弱小ギルドなので人を集めているらしい。
城の最上階に生息するドラゴン討伐に人員が欲しいと言う。

トレーダーはギルドマスターでギルドの発起人である。
ここでは、ハクさんということにしておこう。
とにかく彼は独特な言葉使いで物腰柔らかい人だった。

レベル45だが、転生を数回繰り返している。
転生システムは全てのワールドクエストを終わらせると、転生可能になる。
そこでレベルは1に戻ってしまうが、初期ステータスのパラメータが上がっていく。
転生を繰り替すほど初期パラメータの底上げができるというわけである。
転職システムと絡めると、レベル1でも恐ろしく強いキャラが出来上がってしまう。

レベルは低いほど転生するのに効率がいいのである。
もちろん、複垢でプレイすれば尚、効率がいいわけだ。
しかし、その頃のわたしは右も左もわからない初心者だ。
そんなことまで頭が回る余裕はなかった。

ハクさんはギルドのメンバーを招集した。
ギルドといっても当時は特定のホームが存在しないので、
サーバ番号と場所を指定してそこに集合という流れになっている。

ギルメンは、戦士系のマスタークラスのパラディン、魔法使い系のマスタークラスのソーサラー、僧侶系のマスタークラスのビショップなど、ギルメンの職はマスタークラスがほとんどである。

マスタークラスの上位はグランドマスター、ミューテーションとあるが、みんな転生を考えてマスターにとどめていると思われる。
平均レベルは50そこそこであるから、ある程度のクエは軽くこなせるレベルであった。

トレーダーであるハクさんもマスタークラスである。
ギルメンは気のいい人ばかりで、アットホームな感じがする暖かいところだった、



「ハクさん、あの…友人も勧誘していいですか?」

「もちろん、是非是非」

ハクさんは快諾してくれて、後日、友人もギルドに入った。

その後、わたしは初心者サーバーに常駐して勧誘係を請け負うことになるが、それはまだ先のことである。

初めてネットを通じてできた友人達。そしてギルド。
今思えばグラフィックは拙いながら、まるで本当に冒険しているかのような臨場感と高揚感。

何もかもが新鮮だった。

ラスボスを倒して、やった!と叫んだ瞬間、サーバーが落ちた時は本当に涙がでたし、
ギルドで冗談を言いながら腹を抱えて笑ったり、ギルメンのリアル女子の悩み相談をまじに聞いたり。
そして、軽い言葉が人を傷つけたり、怒らせたり。

あのギルドがあったからこそ、ネットの楽しさ、怖さを知ることができた。
嵌りすぎて、会社で仕事だと偽りながらクエストをやっていたとか、今では考えられない。

あの場所は、今でも想い出の陽だまりの中にある。
思い出すとポカポカとわたしの心を暖める。
短い間ではあったが忘れ得ぬ想い出だ。


そして色んなネットゲームを渡り歩いて、行きついたのが信オンであった。
そこで、リアルでつきあっていく多くの人たちに出会う。

しかし、それもこれもあの日のギルドがあったからだ。
出会いは人生を決める。

よくも悪くもだ。

そしてわたしは最後に人生のラスボス、藤井さんに出会ったのである。

邂逅。
わたしはこの言葉が好きだ。
これを「かいせき」と読んでいたあの人は今どうしているだろう。

ODA(Official Development Assistance-政府開発援助)のことを、
「おだ」と読んでいる、みさおさんはいまだに会議であばれているのだろうか。


ともあれ─

わたしはネットゲームから多くのことを教わり学んだ。
そして藤井さんに出会ってからは、如何に匿名の悪意と戦うかを学ぶことができた。

平気で「お昼だよ!ぺぺろんちんこ!」と書き込む藤井さんはすごいと思う。

そんなすげぇ奴らに出会いながら今のわたしがいる。

しかし─

いつかまた出会えるのだろうかあんなギルドに。
わたしを新しい場所に引っ張っていてくれるそんな暁光を夢見て。

そう思いながら藤井さんを如何に貶めるかを考える雪の日であった。


では諸君、雪にはご注意あれ。良き週末を。

テーマ : オンラインゲーム
ジャンル : オンラインゲーム

山姥 前編



【プロローグ】

暗い闇だ。

臭気を含む闇に溜まる邪悪。
それはそこにいた。

それは確かな意思を持ち、思考力もあった。
それはじっと願っていた。

ひもじい。
何か食べたい。

腹いっぱいに胃袋を満たしてみたい。。
食えるものならなんでもいい。

何でも。

そう─

人の肉だって─


ふいに光が差し込んだ。
それは差し込んだ光に向かって跳んだ。

人とも思われぬ速さで跳んだ。

後を追うように断末魔の悲鳴が脳天を駆け抜ける。
白い壁に真っ赤な鮮血が飛び散って塗料のように真っ白な床を汚す。

それは走り出した。何をすべきか、どこに行くべきかはわかっている。

逃げる。思考の全てがそれだけで埋まる。
けたたましい警報が鳴り響く中、それは一切迷いがなかった。
走り着いた先に銀壁に覆われた部屋がある。近づくと戸が自動で開き、部屋には卵形の複雑な装置が見える。

それは確信していた。
これこそが自分を救ってくれる神であることを。


【山小屋】

日出づる国遥か─。

時は平安。
京の都の繁栄とは相反して、病や飢餓に苦しむ民が溢れている。

天変地異による凶作。
深刻な飢饉は極限状態の飢えになり、木の皮を剥いで飢えを凌ぐ姿も珍しくない。
ある者はわずかな食料を略奪するために隣人を殺した。
常寂光土を求めて自ら命を絶つ者もいた。
人は己の欲望のため奪い犯し殺す。

殿上に住まうもの下賎の苦しみを知らず。
赤子が飢えに泣き、年寄が病気で苦しんでいても、知らぬ顔して雅楽や倭歌に興じて酒を飲み歌を詠む。
鬼とよばれるものがあるとすれば、この時代の殿上人(てんじょうびと)こそ鬼ではなかったか。

平安の文字とは裏腹に、人が人にあらず時代。

そんな時代のある山奥に、生まれたばかりのフクロウがいた。
数カ月もすると、自在に飛び回ることができるようなり、夜になると餌を求めて森を飛び回っていた。

ある雨の夜、突然、閃光と爆音が森の静寂を打ち破った。
フクロウは高い樫の枝からその一部始終を見ていた。

ぽっかりと穴が開いた地の中から、何かが這い出してくる。
ボロボロの布切れが、ゆっくりと這い出てきた。
それは人のように見えたが、棒のように細い腕や足。
皺の深く入った面と霜で覆われた蓬髪。目だけは爛爛と妖しく光を放っている。
まさしく羅刹の形相である。

つんざくようなするどい咆哮とともに羅刹は哭いた。
フクロウはその光景を瞬きもせずじっと見ていた。
冴え冴えとした雨の振る冷たい夜であった。


それから数年が過ぎ、フクロウも成獣となった。
フクロウは、山の静寂を破る二つの影を見ていた。

木切れを踏みつける音も飲み込まれるような森の中。
ふたつの影がある。影は大きい者と小さいもので時々その場で動かなくなる。
袈裟を来た旅の雲水の二人が憔悴しきった表情で座り込んでいた。

「いやぁー、助かったわい」

雲水の形(なり)をした入道が豪快に笑い声を上げている。
6尺を超える大男であごに真っ黒い髭をしつらえて如何にも磊落な骨柄に見える。

山小屋のような祖末な造りだが、囲炉裏はあり暖も取れる。
囲炉裏に鍋がかかっており、味噌の香ばしい匂いが漂っている。

「都への近道をと山に入ったはいいが、道に迷うてしもうてのぅ。難儀しとったところに地獄に仏じゃ」 

雲水は膝を打ちながら尚も笑う。

対峙した囲炉裏の向かいに白髪の老婆がいる。
何歳なのかは不明だが、かなりの皺が刻まれて相当な高齢に見えるが、不思議と生気に溢れている。

老婆は鍋の汁を椀によそい、細くしゃがれた声で笑った。

「ふぇふぇふぇ…。それはさぞかし難儀されましたなぁ…。何もありませんがどうか一晩身体を安らかにしてくだされ」

「すまんのー婆さん。これも御仏のお導きじゃわい。なんまいだなんまいだ…」

そう言って頭を下げると、従者の雲水も頭を下げて礼を言う。

「まったく、おばあさんが薪拾いに見つけてくれてなかったら、どうなってたことか…。助かりましたよ」

痩せて小柄な雲水は顔立ちもよく女人のようなシナをつくる。
おそらく若衆道かと思われる艶があった。

「それにこんな山奥で、こんな暖かい馳走にありつけるとはのぉ〜。まさに禍福相成り持って滅せいというところか」

巨漢の雲水は椀の汁を、ずずーっと啜りながら、満足そうに舌鼓を打つ。

「ほんと美味しいですよねこれ。お婆さん、何の肉ですかこれ」

老婆は、目をつぶりながら低く答えた。

「山豚ですじゃ。ここいらの豚は栄養がいいと見えてよぅ肥えとります」

「へぇ…山豚ですかぁ。初めて食べましたがこんな美味しいものだとは」

美しい顔をほころばせて笑う雲水に、老婆は無言でおかわりをよそった。

夕餉が済むと、囲炉裏を囲んで雲水達が諸国事情を語りだした。
薪をくべながら老婆は無言でそれを聞いている。


「しかし諸国の様子はひどいもんじゃな…」

「ええ…。長年の凶作が続き、押入りの物取りも増えて、明日の米のために子どもを売る親もいました」

「わしらは、運良くこんな馳走にありつけたが、ひどいところは草や木の皮を剥いで飢えを凌いでいるというからのぉ」

「ある村では年寄を山に捨てて、食い扶持を減らしているといいますしねぇ」


雲水達は世の行く末を案じている。
特に巨漢の雲水は振る舞いは野卑なれど性根は善良に見える。
おそらくこの時代においては真っ当な人らしい人であった。

老婆は二人の話を聞きながら無言で薪をくべている。

時折、パチッパチッと火がおこり揺らぐ炎が雲水達の話を切った。

「まったく…地獄じゃのぉ。ただ祈ることしかできんワシらには何とも歯がゆい…」



巨漢の雲水がぼつりと言った言葉に、老婆は薪をくべる手を止めた。

「じ…ごく?」


老婆の目は青黒く光ながら雲水達を睨め付ける。

「じごくじゃと…」

その様子に異変を感じた巨漢の雲水がなだめようした。


「おい、おい、どうしたんじゃ婆さんよ」


その声が一切届かぬがごとく、老婆はしぼるような声で身体を震わせている。


「地獄とは、な。地獄とは…食うものが何もないことじゃ。何も食うものが」


老婆の顔は皺でくしゃくしゃになり、白髪の髪が逆立つように跳ね上がっている。


「お、お婆さん、何をそう興奮されておられるのですか」


痩せた雲水が後ずさりをしながら威容に怯えた。


「食えるのは人の肉だけじゃ…。わかるかお主らにその地獄が!」

「なっ!?」

巨漢の雲水が声を上げる。

「お主らに本当の地獄なぞわからん!!」



刹那、バァーン!と老婆の背後の襖が開いた。

襖の中からガラガラと転がり落ちる人骨。
数えきれないほどの骸骨の山。

小屋中に腐臭が満ちていく。


「ばばぁーーっ!!!貴様ぁー!」


巨漢の雲水は思わず手に取った錫杖を老婆目がけて振り降ろした。
遠慮のない豪壮な一撃だった。

しかし、打ち降ろした先に老婆の姿はなく、信じられない脚力で宙に跳んでいた。
そして天井の梁にくくってある紐を引っ張ると、大きな鎌が唸りをあげて振り子のように巨漢の雲水めがけてに襲いかかる。

「ぐあっ!!」

雲水はよける間もなく、胸から脳天までをまっぷたつに割られて絶命した。
痩せた雲水は震えながら、戸口に向かって走り出したが、老婆の鎌は背後から雲水の頭を割った。

老婆は死骸の服を脱がして、綺麗に骨身まで削って肉塊にした。
それを味噌と野菜で煮込みながら、満足そうに笑った。

目玉をコリコリとすすり、肋や腿の肉を齧りつくしてあっという間に平らげてしまった。

今夜も狼煙のように、勝手口から煙があがる。
枝に止まってフクロウは見ている。
既に家族が持って、隣に小さいフクロウが二匹寄り添っている。

何度となく繰り返されてきた光景で、フクロウにとって驚くべきことではなかった。

老婆の勝利を祝うように、フクロウ達の合掌が始まった。
森に響き渡る鳴声は先ほどまでの惨劇を笑うかのようにユーモラスなリズムを刻んでいた。

【後編に続く】

テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

ラノベの藤井

雪があっと言う間に消えたな。よかったよかった。

さて、昨今ネトゲをテーマにした小説やアニメなどが目に付くよね。
自分視点であったり、群像主観であったり、焦点を当てているところが違うので皆それぞれに面白い。
どれがどれより優れているとか劣っているとかはつまらない。
面白さのベクトルが違うのだから比較してもナンセンスだ。

とはいっても俺自身ライトノベルは読まない。
アニメはみるけど読んだことはない。
タツヲが貸してくれたものもやはり読めなかった。

毛嫌いしてるわけでもないのだが、途中で読んでいてもういいやとなる。
この現象はなんなのだろうと考えた。

結論が出た。

文字の分量が多すぎて読向きがしないのである。
純文学でも大衆小説でも官能小説でも市井物でもノンフィクションでも、1ページの分量が多いものや。文字が小さいとだめなのだ。

て、ことは、文字のレイアウトが適正だったら読むのだろうか?と思って配置してみようかと試みたが、すげぇめんどくせぇのですぐ飽きた。

G・デザイナーであるからやはり文字の建坪率などを考えて読んでしまう。

数年前、故人である作家の友人と、三茶で酒を飲みながら夢枕獏についての話題が出た。
「あれ文字の量、少なくていいよなぁ」とぼやいていた。

楽ではないだろう。
コピーライターという職業が大嫌いだった故人は大いなる勘違いをしている気がした。
というより、故人こそコピーライターに向いてる文章を書いていたわけだが。
小説など表現を限りなくシンプルにして、そぎおとす作業はそりゃ大変だろう。

長文を書くのは慣れてくれば誰でもできる。
しかし、素人に20文字で世界を適切な表現で現せと言ったらかなり困難な技である。

神田の岩波書店に行って、英文のノベルをペラペラとめくってみる。

アルファベットでけぇええ。アルファベットは使いやすいし日本語とは大違いである。

しかし、感情や間をそのエレメントの中に込めることが出来るのも日本語だ。
いっそ、ラノベは全てこんな感じにしてくれれば、俺でも読める。


00012]


しかし、まともな話だったら何ページで完結するのかわからない。
でも藤井さんの話なら数行でおわる。

そこがいいね。そこがね。
さて飯でも食お。


テーマ : オンラインゲーム
ジャンル : オンラインゲーム

ラブコメ展開比較考察案



◆昔のラブコメ展開

今日からあたしも花の高校一年生!
素敵な出会いもちょっぴり期待もしちゃう伊藤彩花16歳。
あちゃー><こんな時間だ、遅刻遅刻ぅ〜!

パンをくわえながらあの角を曲がればすぐ校門!いそげいそげ〜!

ドォン!っていった〜〜い><なによもぅ…。
って…なにこの男子、げっ、パンツ見られた〜;もぅ最悪ぅ痴漢変態馬鹿すけべ!!
謝りもしないで無視して先に行くなんて、なんなのあいつ!

そして、隣の席に朝のあいつが!こんな奴と隣なんて初日からついてない。
無愛想だし、不良っぽい。でも…横顔はちょっぴりどこか寂しそう。
帰り際に窓から、あいつが子猫に餌をやってる姿が見える。
無邪気に笑う顔がとても素敵に見えて、あいつも笑うんだとキュンとなる。
もしかして…胸に芽生えた淡い気持ちと裏腹に何かと反発し合う二人。
はてさて、恋の迷宮出口はいずこ?



◆今のラブコメ展開

ボクは神保学園の3年藤井タツヲ。日々平穏を望んでいる何のとりえもない高校男子。
気になる幼なじみは生徒会長の綾波玲子。
美人で優秀、スポーツ万能才色兼備、空手部主将を兼任するスーパーウーマン。
そんな玲子はいつもいつもボクにちょっかいをかけてくる。
ほら、また来た。ボクを鍛えるとか言っていつもいつも空手の稽古につきあわせる。
当然、ボロボロになるボクを手当をしながら「強くなってよ」と頬を染めながら口を尖らせる。
ついには玲子の妹やクラスメートまで巻き込んで、平穏を目指すボクの学園生活は前途多難だ。


◆未来のラブコメ展開

わたしは両性具有の帰国子女。アンドロ・梅田・ギュヌス桜子。
王立女子学園に通う一応、女子高校生だ。男も女も愛せるこの身体。
しかし、わたしの中に宿る性的因子はどちらかというと女子を求めているようだ。
今日も下駄箱には数えきれないほどのラブレター。
またか、とため息をつくが、わたしの容姿ならば仕方ない。
でも、わたしのお目当ては同じクラスの学園マドンナ、イギリスからの留学生、セレス・アルテミアひとりだけ。
セレスの指が吐息があたしに触れるだけで、体中に電流が奔り抜けるようだ。
セレス…恐ろしい子!この想いを伝えたい、でも…厄介なライバルが!
おーっほほっほ!梅田さぁん、セレスの親友の座は江田島兵蜂子が譲らなくてよ!
しかし、セレスがいきなり失踪する事件が起きる。その陰には恐るべき組織の陰謀が。
倒錯した学園生活が更なる混沌を招き、女だけの花園は大混乱。
果たして梅田とセレスの運命は!




しかし─

男が強い設定がデフォだった昭和時代のラブコメ。
しかして最近はとにかく女が強い傾向だ。
強く逞しく美しい。さしずめフランス革命のジャンヌのごとく。

我が国はもとは卑弥呼によって統治されていた国。
ということは、女の尻にしかれる構図は、日本は本来の姿に戻りつつあるということだろうか。

とにかく、昨今はっきりしない、うじうじもじもじな若い男の主人公が多すぎだあね。
馬鹿でもいきおいがある主人公のが見ていてスカッとするのは俺が昭和世代だからかしらん。
見ていてイライラすること多し。

よくありがちなのは、本命に浮気の誤解を受けてあたふたする主人公とか。

馬鹿野郎、そんな場合は言い訳せずにおっぱいを揉んでやればいいのだ!
取り繕った言葉なんぞ、屁にも役に立たんし、見ていてお約束だとわかりつつイラッとしてしまう。

と…藤井さんが以前言っていたような言わなかったような。

そんなわけで、女が強い映画でお気に入りのゾンビ映画の大傑作「死霊のえじき」を見てくれたまえ。
opの入りも素晴らしいが、せつなく流れるハワード・ジョーンズの創りだすBGMの旋律がとにかくかっこ美しい。
数あるゾンビ映画の中でも一押しでホラーは苦手という人も一度は見るべき・A・ロメロの傑作。
これゾンビが怖いんじゃなく、本当は人間が一番怖いっていうメタファーを含んだ映画だけど。

考察結果:やはり女は強いね藤井さん



雪が降るとかだるいけど、良き週末を。



テーマ : オンラインゲーム
ジャンル : オンラインゲーム

信オン 三浦を訪ねて三千里 いきなり最終回



凸が目覚めると、かずはの姿は消えていて置き手紙があった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

にぃにへ

助けてー!どらえもん

ではまたね!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


美代はとっくに目覚めていて、朝餉の支度を手伝っていた。

「かずは、相変わらずフリーダムな奴…」


朝餉を済ませると、慇懃に礼を言ってそのまま老婆の家を後にした。

老婆が何者かは不明のままだが、多分、さるところの良人であったろう。
何か無礼があってここまでおちて来たのかもしれない。

あの巻物に書いてあった内容…。

褪色著しく詳しい内容は不明であったが、記しているのは烈風記とある。
武田は近い将来、同性愛者と七垢の巣窟になるだろうと記してあった。

昔は夫婦もんが多かった武田がなぜそのようになるのかは皆目わからない。
わからないけど恐ろしい。

人は見えない不安定なものに恐怖する。
凸は予言にも似たその内容に怖気が走るのを感じた。

美代の顔は相変わらず、屈託ない笑顔を見せていた。
旅の終わりも近い。

「もうすぐだな」

声をかけると美代は大きく頷いて路の果てを見ていた。





─尾張名古屋。

商人風の男一人、茶屋の長い床几に座って足を組んでいる。
日和がいいので町娘なども黄色い声をあげながら茶菓子を口に運んで楽しんでいた。

手元に置かれた湯のみを取ると、中身をがぶがぶと喉に流し込む。

「三浦ぁ!!」

叫んだ声のほうを見やると馴染んだ顔がある。

「おぅ。凸っつぁんか」

「凸っつぁんかじゃねぇ。ツケ払えこの野郎!」

「おいおい、いきなりだな…。ん?そのめんこい娘っ子は?」

「馬鹿野郎、おめーの娘だ」

「は?」

三浦は口を開けてポカーンとしている。

「は?じゃねぇ。てめぇの種で生まれ来た娘だよ!よっく見てみろ」

「え?いや…おいちょっと待て」

「野郎…この期におよんでしらばっくれるとか、ありえねぇ。まずツケ払え、そして今までの面倒料を耳をそろえて払えってんだドサンピン!」

「い、いやいやいや…何か壮大な勘違いしてるだろこれ」

三浦は変わらず動揺しながら否定をした。

「おめぇ…親としてより人として最低だな…。こんな可愛い娘をほっぽって、こんなところで与太こきやがって…。普通なら娘を抱きしめて涙のひとつも流す場面だろうがこのすっとこどっこい!」

凸は額に青筋を浮かべて激昂した。その剣幕に周囲の客も何事かと集まってきた。

「いや…凸つぁんよ。よく聞けよ?」

「なんだ、とっぽい言い訳かますんなら本気でくらすぞ」

「…俺はなぁ、童貞なんだよ」

「あ?」

「まぁ素人童貞ってことだ。それにやるときゃゴムつけてるしな」

「……おい、法螺ならもちっとましな…」

「冗談でこんなこといえるか。それに俺は子どもは好きだ、大好きだ。ほんとに好きだ。まじ好きだ。でも種無しと医者から診断されてんだよ」

「……」

「そんな俺がどうやって、子どもを作れるんだ?あ?」

「……し、しかし、現にこうして美代がいるんだぞ」

「何かの勘違いだろう。俺は関係ないよ」



凸は困惑しながら美代を見た。

美代は凸を見ながら悲しそうな目で見つめていた.


「さよなら、おじちゃん」

その瞬間に音もなく美代の姿は消えた。

「あれっ?おい美代!美代!!」

三浦は訝しむ顔をして凸に声をかけた。

「おい、何をそうとっちらかってんだい。美代って誰だ」

「ああ?今ここに連れていた娘っ子だよ。どこいった?」

「はぁ?あんたさっきから一人じゃないか。寝ぼけてんのか?」

「……なぬ!?」


美代は姿を消した。
わけのわからないことに、美代がいた記憶は三浦からすっかり抜け落ちている。

凸は三浦からすこしばかりのツケ払いをもらい、甲府へと戻った。

しばらくして、三浦が武器横流しの罪で捕縛されたが、島流しとなった。
北斗はレプリカ製造がばれて国友村から破門されて今では雑賀で百姓をやっている。

かずはは、国友レプリカを役人に咎められて百たたきの刑の上、私財を没収された。
それにより少しスリムになって小躍りして喜んでいたという。
タツヲと周防は相変わらず諸国漫遊の旅をしながら自分探しをしている。
木乃は甲府にスポーツジムを開いて多角経営の実業家になっていた。
アントキは変わらずあの浮世離れした地で優雅に暮らしていることだろう。

5年の歳月が流れた。

凸は変わらず甲府で飲み屋をやっている。
美代のことをたまに思い出したりもするが、せんないことだった。

妙な旅だったが、不思議と昨日のことのように鮮明に記憶が浮かんでくる。
思えば三浦がツケとかしなけりゃ、あんな旅はしていなかっただろう。

「ういーす」

「らっしゃい」

暖簾をくぐって派手な衣装をしつらえて入って来たカブキもの。

藤井駿河守だった。
今は今川を出奔して弛緩先を探している。静電気のようにくっついていたあの時の女はもういない。

「いやぁ冷えるね今日は」

肩をすぼめながら正面に座る。

「まったく。立春も過ぎたってぇのにな」


一升瓶から酒を徳利に注いで出す。

藤井はするっと杯を受け取り、徳利を傾けて杯を満たした。

「ふぅっ。寒い日にはこれが一番さね」

「あんた年中いってねぇかそれ」

「はは、ちがわねぇ」

藤井は突き出しをほおばりながら、また杯を満たす。

「そういやさ…信長公が襲撃にあったらし」

「へぇ、そりゃ豪儀なことだ」

「それがなんでも、本願寺の生き残りだとか言ってさ、奥に入り込んで襲撃をかけたそうな。それがまた驚くことにえらい別嬪とのこと」

「ほぉ」

「でも、あっさり失敗。信長公は敵に関しては残忍だからねぇ。捕まったら最後、女子どもだろうが容赦ないよ。今日処刑されたそうだが、素っ裸で張りつけ獄門、槍でつかれまくって、むごいもんだったらし」

「ふぅん…」

凸は何かひっかかるものを感じていたが、それが成長した美代だとは思いもよらない。

その夜の客は藤井一人だった。

藤井が千鳥足で帰っていくのを見ながら、暖簾を下げた。


「ん…?」

店に入ろうとすると、暗闇の中から「もし…」と声をかけられた。

振り向くと、なんとも美しい娘が白い狩衣を纏って微笑んでいた。

「あ、今日はもう…」

凸がそう言うと、娘は首を振って何かを語りかけてきたが、凸にはよく聞こえなかった。

「あっ!お前…まさか」

娘は手を振りながら暗闇に融けるように消えていった。
どこかで琵琶の音がかすかに聞こえた気がした。

嫋々たる春の闇。

どうしてか自然と涙が流れて来た。
闇の中に美代の笑顔がうっすらと浮かんでいるように思えた。


【終】

テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

モブって藤井さん!



SAOサーバーがそのまま流用されたSAOの後継とも言えるアルブヘルム・オンライン。
レクト・プログレスから発売されて既に一か月が経っている。
さすがに、藤井さんでも最初は購入をためらったが、空を自在に飛べるというキャッチコピーに我慢ができなくなってしまったのだ。

散々ためらったすえに、アマゾンポロロッカの購入サイトで購入ボタンを押した。
SAOで散々な目にあったにも関わらず懲りない男である。

ナーヴギアの後継機であるアミュスフィアを購入しなくても、ALOはナーヴギアでそのままプレイ可能だ。
SAO事件以来、押入れにしまっていたナーヴギア。捨ててしまおうかと思ったが、やはり捨てきれなかった。

久々にナーヴギアを装着してログインする。

ALOは完全スキル性でレベルが存在しない世界。9つの妖精族が天上界を目指してしのぎを削る。
藤井さんはアバターに妖精猫妖精族(ケットシー)を選んだ。

雄の猫ちゃんアバターである。名前を「フゥニャン」と決めた。
フライト・エンジンを搭載したALOでは全ての種族が羽を広げて飛行移動が可能だ。
これが慣れると超絶楽しい。やみつきになるのだ。

「今度はしくじらないぞ」

藤井さんは、SAOで失敗している。女で失敗したのだ。女の情念を侮っていた失態である。
女は怖い。女は当分もうやめとこう。そう固く誓った。

所詮モブキャラ。キリトやアスナのように主人公どころか、周りの主要キャラにだってどうせなれない。
モブはモブらしく慎ましく遊んでいるのがお似合いだ。

考えてみれば、だ。

よく歴史好きの豪放な団塊世代の親父が「時代が時代なら俺も…」とか言っていたっけ。
戦国時代に生まれていたら、俺も時代に埋もれず名を成す英傑になり得たとか、うそぶくのを聞いていた。

戦国時代に侍がどれだけいたのか知ってるのだろうか。
日本中の隅々に、英雄豪傑が雲霞のようにいた時代。戦塵の中にどれほど武功を挙げ、名を成した人物がいるのか。
その多くは一兵卒のまま、矢に撃たれ、槍につかれ誰にも知られず一生を終わる。それがモブの宿命だ。

尾張中村の百姓が太閤とまで成ったとは言え、戦国だったからではなく、その人間の資質がそうさせたわけで。
あれだけの乱世に太閤は一人しか出ていないのだから。
時代じゃない時代じゃないんだぜベイビィ。

そう思うと、やはり己の分をわきまえた生き方が一番心地よいのだと、藤井さんは沁沁思う。
SAOでハーレムを作ろうなどと、自分には過ぎた望みであったのだと猛省する。
モブはモブらしく生きる。俺はモブット族の王になる!とまでは当然言わない。

それなりに遊んで、それなり楽しもう。
今度はリアルで死ぬこともないのだから。

藤井さんは、始まりの街でNPCに情報を聞きながら世界観を計る。

さすがに妖精の国だけあって、ディズニーアニメの世界のように全てが色鮮やか極彩色で目に痛いほど。
街を横断して流れる河ですら、キラキラと光輝いてる。

女性はこの景観にうっとりして、雰囲気に流されたチョロインになりそうだ。

おっと、いけない。女は当分御法度だ。首をブルブル振りながら藤井さんはすかさず己を戒める。
二の鉄は踏まない。これがモットーだ。

でもしかし…。

そこらを歩いている妖精の姿、特に女性はあまりにも可愛すぎるし美しい。
スタイルはいいし、アバターとは言え惚れてまうやろ。
中身は知らんが、とにかく美男美女のオンパレード、バーゲンセールだ。
リアルがこんなんだったら、美人とかハンサムとかの概念はないだろう。これが当たり前の現実なのだから。
逆に不細工はもてるかもしれんなと藤井さんは苦笑する。

とは言っても、自分の猫ちゃんアバターも捨てたもんではない。
少し小柄に設定しているので、とてつもなく愛くるしいケットシーになった自信はある。
あとは「猫語」をマスターすれば完璧すぎる。

ともかく、まず安い装備を買おうと武器屋に入ろうとした時に、目の前の建物に何かがぶつかった。

ズガガァン!!

「ん?」

その反動で歩道に黒いものが落ちて来た。
黒い姿のスプリガンである。まだ初心者だろう。羽がぎこちなく上下している。飛行に慣れてないようだった。

近づいて見ると、顔があのキリトに似ていた。
まさかな…と思ったが、声をかけてみる。

頭を抑えてながらスプリガンの男は立ち上がった。

「おい、あんた…まさかキリトさんじゃ?」

藤井さんがそう聞くと、スプリガンの男は怪訝な顔をしながら首を振る。

「うんにゃ。オラは美しき魔闘家タカハシってもんだべー」

この馬鹿がっ!
まぎらわしい顔しやがって。誰だよおめーは(タカハシだけど)。
美しき魔闘家じゃねぇ!サイチバあたりのカッペがよ。
そう言いかけたが、特に関わる必要もないので人違いだったと謝ってその場を去った。


さて、装備を一式買いそろえたが、もう手持ちの金がない。
狩りやクエストをしながら金を貯めるしかない。

「まぁ簡単なお使いクエとかあるだろう。NPCに片っ端から聞き回るか…」

街の外れに一人の行商人が立っている。
明らかにNPCである。栗色の髪を後ろで縛って愛くるしい顔がたまらない。
しかもすげぇボインちゃんで藤井さん的にはドストライクである。

だが、女断ちをしている藤井さんは冷静だ。賢者モードに入った藤井さんの結界は盤石である。
話しかけると行商人にこりと笑って話し始めた。

「あっ、こんにちはー。あたしは旅の商人のリムナスと申します。フゥニャンさんにお願いがあるのですが聞いて頂けませんか?」

なんかつまらなそうなので断る藤井さん。そこに痺れる憧れるぅ。

「はい ×いいえ」

「ええっ;そんなこと言わずに、お、お願いしますよぅ。聞いてくれたら今夜一晩あたしを好きにしていいですから…」

藤井さんは鼻で笑った。

「ふっ…。甘いな。それぐらいで賢者モードのATフィールドを破れるとでも」

「あ、そうそう。あたし挟むの得意なんですよぉ♡」


「○はい いいえ」


やっぱり藤井さんは全然懲りてなかった。
世界よ、これが藤井だ。と言いたくなるほど藤井さんらしい。

挟むという語彙に反応してしまう己の性は、前世の業ゆえか。

リムナスの頼みとは、初心者が最も簡単にできるお使いクエだった。

城外の神殿にある「クリスタル・プレーン」を取って来て欲しいというもの。
初心者ゾーンとも言える始まりの街周囲は、モンスターも弱くデフォルトの戦闘スキルでも十分倒せる。

「めんどいけど、最初はコツコツやるしかないかぁ」

装備を確認して城外へ出ようとすると、一人の音楽妖精族(プーカ)が立ちはだかった。

男性の妖精族で、優男タイプだ。とんがり帽子にハーブを持って如何にも軽薄そうに見える。

「へい、そこの猫の人!お待ちなさい」

「……」


藤井さんは無視して通り過ぎようとした。

「ちょっ、ちょっと、待ってぇな。猫の人。無視せんといて」

耳に障る関西弁だ。
女の関西弁はいい(おばちゃんを除く)。しかし藤井さんは男の関西弁はうざくて嫌いだった。

「どいてくれ。これからクエにいくんだから」

「クエですて?ははーん…あんさんもあれでっか、あのボインちゃんにクリトリス取ってきてと頼まれましたか」



ピキーンと場が凍り付く。恐ろしいほどつまらねぇ下ネタだ。こいつ…

が、しかし…

なんだろう、この腹から沸き上がってくる衝動は。

「ぷっ…くっ;」

藤井さんは気がついた時には爆笑していた。
こんなしょーもないギャグで笑わされてしまったのだ。

しょーもなさすぎて笑うしかなかったのだろうが、不覚にも笑ってしまった。
これを掴みと言う。藤井さんはまんまと掴まれてしまったのである。

笑い終わると、藤井さんは下ネタ男に握手を求めた。

「藤井だ。よろしく」

「あんた、それリアルネームちゃいまっか?フゥニャンって出てますがな」

「あっ!しもた><つい癖で;」

「ははは。なんやけったいなお人やな。わいは、ガクト言います。よろしゅう」


二人は固く握手した。

男達は出会った。この妖精の世界で。

この出会いが藤井さんのネトゲライフを大きく変えていくことになる。



わけはなかった。


ガクトもつい先日ログインしたばかりだと言う。同じ初心者である。

「まぁ、フゥさんとでも呼ばせてもらいますわ。わいのことはガクやんでもガクトンでも」

「わかったよガクやん。しかし、なんで俺に声を?」

「ふふ。わかるんですよ。同じくせ者の匂いはね」

「くせ者…。確かにそうかもな」

「まぁ、ここで出会ったのも何かの縁。なかよぅやりましょ。で、まずはクエでっか?」

「うん。正式名称はリムナスの願いと書いてあるな」

「わいも受託中なんですが、出張で九州に行ってたんでそのままほかしっぱなしで。ほしたら、ちゃっちゃっとやりまひょか」

「了解。じゃあ行こう」

「あいあいサマンサ!」


思いもかけず仲間ができた。
MMORPGの醍醐味はまさにこれ。

リアルではまったく接点を持たないだろう人達と知り合えることだ。

面白い男だと藤井さんガクトを気に入った様子。
それに女じゃないので気兼ねしないでいいのが楽だ。下ネタをばんばん言える。
SAOでは、下ネタを徹底的に禁止されていたからなぁ。

そういや…レイラは無事に復帰できたんだろうか。
すげぇトラウマになってんだろうなぁ。
思えばひどいことをしたもんだが、まだ若いしリアルで傷物にしたわけじゃないからいいだろう。
おっさんと女子高生なんぞ本来接点を持つべきではないのだ。

つらつらとSAOの想い出を頭に浮かべて森を歩いてゆく。
途中、ゴブリンに数匹遭遇したが問題なく撃破した。

森の中央部に小さな神殿があった。クリスタルで建造されているらしく青い光をたたえている。」

「ごっつ綺麗でんなぁ。こりゃすごい」

「う〜む、ゲームの世界とは思えないリアルさだな…」


神殿が放つ光に感動する二人。

扉を開けて中に入ると、ローブを纏った老婆のNPCがいた。

「おやおや…。妖精がこんなところに来てはいけないよ。さっさとお帰り」

そう言うと、いきなり大蛇が現れた。よくあるシナリオだ。

藤井さんとガクトは戦闘準備をした。

ケットシーである藤井さんはするどい爪と俊敏な動きによる直接攻撃。
これに魔法力を加えるとさらに強力になる。

プカーであるガクトは音楽妖精族らしくハーブを鳴らして敵の動きを鈍くしたり、命中力を下げたりする戦闘サポート。もちろん魔法攻撃もできる。

あっさりと、大蛇を倒してクリスタルを手に入れる。クエなので二人にそれぞれクリスタルがロットされた。

先ほどの老婆が、美しい妖艶なハイエルフの娘に変わって、呪いを解いたお礼を言って来た。
競り上がった丸い物体が目の前に迫ってきたとき、藤井さんの理性はふっ飛んでしまった。

「お礼よりおっぱい触らせろ!」

藤井さんは、ハイエルフに抱きついて胸を揉みしだいた。
ハイエルフの娘は苦悶に満ちた表情を浮かべて悲鳴をあげた。

「いやぁっ!!」

その瞬間

バシィッ!!と音が唸り、画面がノイズにまみれた。



「……あれ?」

「……ここって、まさか…」


二人とも転移された先は監獄牢だった。

NPCとはいえ、自由度が高いVRMMOにおいてはPCと変わらないくらいのフィジカルAIが設定されており、ハラスメント行為も有効となっているが、AI判定の許容範囲であるならば、NPCと恋愛もできてしまうという。

また、アンチクリミナルコード有効圏内において、殺傷行為をしたものは全て数日のアカウント凍結のペナルティが科せられる。

藤井さんの行為に関して、ハイエルフのAIが認めた許容範囲であったなら、問題はなかったのだが、いきなりおっぱいわし掴みにされりゃ、AIも怒りますよね。パーティーメンツもとばっちりをくらうのでご注意あれ。


「フゥさん…、さすがにあれはあきまへんて;わしでもようやらんわあんなセクハラ…」

「いやぁまぁ…すまん。しかしあの胸だきゃあ揉んでおかないとって思って」

「なんや、しょーもないことでわいまで同罪かい;おえんでほんま;;」

「まぁまぁ。俺たちの冒険はこれからさ。ヒュー!」

「なんやのヒュー!て…。えらい人と知り合うてもうたわ」


そう言いながら悪びれもせず、屈託なく笑う藤井さんに当てられてガクトも笑い出した。
こんな失敗も初期の冒険のひとつであろう。

12時間後監獄から放免された藤井さんは、ガクトとフレ登録して別れた。

ガクトとギルドを作るのも悪くないなと思ったが、種族が違うので難しいかなとも思う。
もともとは住むべきエリアが違うし、ALOでは種族自体が大きなギルドとも言える。

「さぁて…と。何をしようかな」

とりあえずスキルの習得が課題だが、何か職についたほうが金は楽に稼げる。
この世界はもう夜の時間帯だった。

実は風俗も存在するこの世界。
といっても、あくまで搭載された動体アクセラレーションによって、脳がそう感じるだけのことだが。
だが、脳が感じるということはリアルに体感しているということにもなる。

RMTやチートなどのように、このような行為は運営的に禁止事項であるが、それでも人の欲求に戸は立てられず。
女はこりごりと言って憚らない藤井さんは、先のセクハラ事件で悪い癖がむくむくと起きて来てしまった。

「風俗か…。つーことは、自分で経営すりゃ儲かるんじゃねーかな」

いい女を集めて、斡旋する。一晩だけのパートタイムラバー。
知らず知らずのうちに、口ずさみながらスティービー・ワンダーの真似をしている藤井さん。

「一人!まずは一人女をたらし込んで商売してみようか」


おいおい…。最初の趣旨とまったくちゃうぞ藤井さん。
あんた一体どこまでいくんだ。

そんな俺(筆者)の声も届いておらず、風俗経営、夜の帝王となるべく繁華街を練り歩く。
ここらは、アルブヘルムすすき野と言われる一番の繁華街である。

露出の多いコスで客を勧誘している美女達。
その中で明らかに過剰サービスまでしている風な店も見かける。

「まずは…自分が体験してみるしかないな」

藤井さんはそう言って、なけなしの金で派手なネオンを掲げる店に入った。

「くんずほぐれつん」という名前のキャバクラである。

店に入ると、かなりの広さだ。客も多い。
バニーちゃんの格好やレースクイーン、ビキニギャルなど、肩甲骨から生えた羽をブンブンさせて動き回たりボックス席で接待したり。

妖精なのだからあえてコスしなくてもと思うのだが、まぁ人の嗜好はそれぞれだしな。

男の従業員が来て、手前のボックス席に案内された。

「よし!ここで一発いけてるネーチャンをヘッドハンティングしてみよう」

と邪悪なことを考える藤井さん。
いいのか?ばれたらあんた海に丸太と一緒にうかぶぞまじで。

そんな俺(筆者)の声ももちろん届かず、悪い顔をする藤井さん。

女の娘がきた。背が高く金髪でブルーの瞳が憂いを帯びている。
ミニスカートでカジュアルなコスだが、妙に色っぽい。どこか陰のある雰囲気が色っぽさを際立たせている。
誰かに似ているような…。

「いらっしゃいませえ。ケットシーの人が来るなんてめずらしいですね」

たどたどしい言葉使い。まだ仕事に慣れてないようだ。

「まぁ猫と言っても性欲はあるからにゃ〜。にゃっははは」

猫らしく猫語を使う藤井さん。つかまじうぜぇと思うのは筆者だけではないだろう。
あざとくも毛繕いをする仕草をする。可愛いんだがなんだか許せない。

「可愛い…猫ちゃあん♡」

娘はそう言って藤井さんをぎゅっと抱きしめる。
猫が嫌いな娘なんざいないわけだよ藤井さん。
うらやまけしからん。俺も猫になりたいのん(筆者)

「むぎゅっ;;」

胸の圧力に窒息しそうになる。

押しつけてくる胸につけてあるネームプレートが目に入った。

「Reira」

そう書いてあった。

藤井さんは固まった。岩のようにカティンコティンに固まった。
ティンコだってこれほど硬くはならない。
すっごく嫌な予感が脳裏をよぎる。

「おや、どうしたんだい猫ちゃん?」

く、口調もあのレイラと…ま、まさか…ね。

藤井さんは心臓バクバク、冷や汗タラタラ、尿意全開。

娘から離れて、作ってあるジンロをロックで一気にあおる。
レイラという娘の顔をじっと眺めてみると、多少作りは変わっているが、面影が…ある!

「え、え〜〜とさ、つかぬことを聞くけど…」

「なんですか?」

「レイラにゃんは〜他のオンラインゲームとかやった経験とか…あるかにゃ?」

「………」

レイラは下を向いて押し黙ってしまった。

すると、テーブルになにやらこぼれ落ちるものがある。

涙だ。大粒の涙。
声を押し殺してむせび泣くレイラ。

これは…間違いなく、あのレイラだ。うっはぁ!まじやべぇ;;これはやばい;
ばれたらえらいこっちゃ;

レイラはうつむきながら、か細い声で途切れ途切れに語りだした。

「やって…ました。その世界である人に出会えて…すごく幸せで毎日が嬉しくて…」

ぐすぐすと泣きながらしゃべる様子。まさに浮気を咎めて泣きすがるレイラである。

「浮気をされて…悲しくて…。ある日、わたしは彼を許せなくなって…それで」

藤井さんにあの時の様子が浮かんでくる。

悲しい目をしたリアルの姿のレイラ。最後の最後まで美しかった。
殺された瞬間に藤井さんは、後悔や怒りより、正直すまんかったとしか思わなかった。

意識がとんで目覚めたら下田の病院だったという。
同僚はもう香典の準備をしていたのにと冗談を言っていた。

なぜ、帰れたのかは不明だが、生きて生還できたことは暁光とも言える。
しぶとい生命力と悪運が強い。それが藤井さんである。

「あたしが悪かったんだ…。あたしが;師匠のプレイのバリエーションについていけなかったあたしが…」

レイラは泣き崩れてテーブルに顔を伏せた。
何事かと周囲の視線が集まる。

「あはは…いやなんでもありませんから…」

取り繕って、レイラの頭を撫でてやる。

「レイラにゃん…師匠はレイラにゃんに殺されても本望だったと思うのにゃ。こんなに愛してくれる若い娘が一時でもいてくれたんだから」

「猫ちゃん…」

レイラは涙を吹きながら笑顔を作った。

「そうかな…。そうだといいな…」

「そうに決まってるにゃ。今頃あの世で天使に浣腸しまくってるにゃ!」

「ありがとう…。そう、だよね。師匠のことだもん……ん?」


そう言い終わるとレイラの美しい顔が不審な色に曇った。

レイラは藤井さんをじっと見る。


「猫ちゃん…あたしは師匠を殺したとも、浣腸プレイをしたとも言ってないはずだが…」

「え、えー!そうだっけにゃ?まぁたまたまにゃ…ってか、顔がこわひにゃレイラにゃん」

「それに、それはあたしと師匠しか絶対に知らないことなんだけど…」

「………にゃんとも不思議なこともありもうすでごわすねぇ;」

「はぐらかす時に、絶対西郷さん口調になる癖…ま、まさか」

「にゃ、にゃ〜〜〜ん…」


藤井さんは、また毛繕いを初めて誤摩化そうとしている。

レイラはずわっ!!と立ち上がると拳を握りながら、震えだした。

「師匠〜〜〜〜〜っ!!!生きてたのかぁ!!!」

怒号とともに藤井さんにつかみ掛かるレイラ。

ちびりながら、「やられる!!><」と思い、丸まった藤井さん。

その刹那、身体全体を激しい抱擁が包み込んできた。

「生きて…生きてたんだ師匠;よかった、よかったぁ〜ごめんよ師匠ごめん;」

わんわん泣きながら藤井さんの身体にしがみつくレイラ。
というか、アバターは猫だから愛猫家がペットを可愛がってる風にしか見えないけど。

レイラはまだ藤井さんにしがみついて泣いている。
心がほんのりと暖かくなってくるのがわかる。
藤井さんもレイラの頭をなでたり鼻の頭を舐めたりした。
ま、猫アバターだから許される所行っすよねこれ。
でなけりゃ、犯罪行為でしょっぴかれても文句は言えにゃいぞ糞!

藤井さんは思った。

一から出直しだな、と。

つーか、あんたまだ初心者だろう…。

と、無粋なつっこみはやめておこう。

この後、藤井さんとレイラがどうなるかはわからない。
だが、ひとつのわだかまりが解け、一人の女が大切な何かを取り戻したのである。
それで十分だろう。

できればこの後の話を語ってみたい気もするが、野暮はよそう。
男と女は夢芝居。恋のすじがき 花舞台 行く先の 影は見えないってなもんである。

この時間に平行してキリトとリーファが出会っていることなんぞ、藤井さんは知らない。
だって物語に1ミクロンも影響のないモブだから。

しかし、モブはモブなりに懸命に生きている。
群衆の中の一人であってもそれぞれ過去も未来もあるのだ。

藤井さん、我々は大いなるモブである。
されど世界を形づくるモブでもある。

主役じゃなくてもいいじゃない。
モブキャラに栄光あれ。

さらば、モブの中のモブ。藤井駿河守─。

【終劇】

テーマ : オンラインゲーム
ジャンル : オンラインゲーム

モブの悲劇 (仮想のサイドストーリー)

klkluyikh


フルダイブ型MMORPG「ソード・アート・オンライン」の正式版が発売された。

この日を待ちきれなかったゲーマーは多い。藤井も例外なく下半身を震わせながら待っていた。
一日千秋の思いで待つもどかしさ。

しかし、車やバイクと同じでカタログを眺めながら納車を待っている時が一番楽しいものである。
ゲームも同じだ。サービス開始の一歩手前がアドレナリン出まくりの高揚感を味わえるのだ。

ともあれ、藤井はナーブギアをつけて、ログインした。

インしてまずは各種の設定だ。この禊を失敗すると、開幕ダッシュに大いなる支障をきたす。
アバターは高身長の男性のイケメンに設定。ネームはfuu(フゥ)。
短い名前は総じて女受けがいいからである。
あざとい。さすが汚い。藤井は汚い。しかし立派な処世術でもある。

天才PG茅場晶彦が開発した仮想空間に降り立つ藤井。
アインクラッドの景観はさに壮観だった。心が踊り、いやがおうにも気分は盛り上がる。

周囲を見渡すとさすがに初日だけあってプレイヤーの数が多い。
皆それぞれにこの日を心待ちにしていたプレイヤー達だ。

この世界に魔法はなく、タイトル通りの剣技だけで敵を倒すゲームだ。
リアルの運動能力が脳神経に作用してゲーム内でも反映している。
身体能力に優れたものは、おのずと運動能力がそのままプレイヤースキルに宿るというわけだ。

藤井は考えた。

ソロではやはりきついだろう。
とにもかくにもまずは仲間を作ることだ。

オンラインにおいて最も重要なスキルは、コミュニケーションスキルである。
これがないと、どんなに知識が多く戦闘技術に長けていても仲間を作ることは難しい。
また、どんなプレイヤーに出会うか、でゲームの楽しみ方の幅は決まる。

藤井は、一般レベルのプレイヤーではあるが、卓越したコミュニケーションスキルと野心を持っていた。
この世界でハーレムを作りたかった。
女性に囲まれてくんずほぐれつしたかった。
男の野望は大概こんなもんである。ランプの精に願いを言えば絶対入るこの願い。
いつの時代も男ってぇのはアホである。


早速、明らかに初心者に見えるプレイヤー数名に声をかけてみた。
右も左もわからず不安なプレイヤーは、頼りがいのあるプレイヤーに靡くのは当然必然当たり前だのクラッカー。

快く仲間になってくれたのは3名。
早速パーティーを編成する。最初の仲間の人数は4人が理想だ。少なすぎず多すぎず。
もちろん全員女性キャラである。藤井を入れて4名。聞くと3名ともMMO自体初心者である。

まずは、色々と情報収集からだ。β組なんかは既に経験者なので開幕ダッシュするだろう。
レベルなどは驚異的な速さで上がっていく。
効率的な狩りかたを知っているからだ。
そんなスパルタで初心者がついてこれるわけはない。
まずはのんびりとこの世界の空気を味わうことから始めるのがいい。

しかしレベル性MMORPGおいて、とにかくレベルは最重要なファクターである。
何を持ってもレベルが高いプレイヤーが信頼される。

初めて最高レベルに到達したプレイヤーなどは神格化されたりもする。
リアルの時間を犠牲にしなければ手に入れられない栄冠だ。

でも藤井達には関係はない。そも藤井にとって攻略などに興味はないのだ。
目的はハーレム。それしかなかった。

NPCに聞き込みをしながら大体の雰囲気は掴んだ。
まずは、この4人で狩りをしようと藤井は提案した。

3名それぞれのリアルはあくまで自称であるから、真実はわからない。
背の高い色黒美人のfeirin(フェイリン)。自称、大阪でOL。
小柄で可愛らしいツインテールのmeisa(メイサ)。自称、都内の家事手伝い。
最後に長い金髪とクールな瞳が印象的なreira(レイラ)。千葉の女子高2年だと言う。最年少だ。

当然のこと、ゲームのアバターであるから皆相応に美しく可愛らしい。
しかし─中身はオサーンという可能性も十分にある。
ネカマ上級者はとにかく女より女らしいので厄介だ。

ともあれ、この時点であれこれ詮索するのはマナー違反だ。
藤井はネトゲ初めて20年。酸いも甘いも真っ黒もそれなりに極めていた。
空気を読まないようで読める天才であった。
気くばりが半端ない。
気を使うより腰使えとか言われるぐらい気を使う。
それに修羅場も幾度もくぐって来ている、いわば歴戦のオンライン勇者だった。

この時点でメンバーの中身が男か女かは重要ではない。

まず使えるか、使えないか。それだけである。
強い奴、賢い奴は取り込んでおいて損はない。
ギルドをもり立てていくにはやはり、スキルの高いプレイヤーは不可欠だ。
藤井だけが経験者だとしても、要はやる気と要領と頭の回転の速さでなんとでもなるのがMMOだ。
MMO初心者だったのが、一か月の廃人プレイで軍師級とかよくある話。

レイラが言う。

「フゥさん、あたしはまったくの初心者なのだが足手まといにならないだろうか?」

口調がまさにキャラに似合って格好いい。衣装も短いタイトスカートにスリットが短く入り、すらりとしたプロポーションを際立たせている。
現実にこんな娘が目の前にいたら、男は誰しも前かがみになるだろう。

「誰だって皆初心者さ。黙って俺についてこいよ」

リアルなら超絶うざい台詞もゲーム内ではすらすら言える。

「そ、そうかな…。じゃぁよろしくご教授頼むよ師匠」

レイラに続いてフェイリン、メイサも「お願いします!」と頭を下げた。

藤井は思った。

「気持ちえ〜〜〜!めっさ気持ちえ〜〜!」

毅然とした態度は崩さず、「まかせとけ!」と親指をたてる。
リアルで見たら殴りたくなるその笑顔。
しかし、ここはアインクラッド。なんでも許されヒーローにもなれる世界。

だ・が!

2時間ほど狩りをして、レイラがちょっと用事があるから落ちると言った。
とりあえず、今日は様子見と言うところなので、じゃあ解散するかという流れになる。

「あれ?ログアウトできない」

メイサがツインテールを揺らして困ったポーズを取っている。

「メニューの下のほうにボタンがあるはずだよ」

レイラがぴっぴっと右手でウインドウを広げてスクロールする。

「あっ、ほんとだ。ログアウトのコマンドがないね」

「ええっ!」

フェイリンも驚きながらメニューを開くがやはり同じ。


「ちょっとぉ、これバグだよね」

「多分…すぐGMアナウンスがくるんじゃないかな」

「初日からこれなのにゃ〜。んもうぅ!」

3人娘達は呆れながらその場に座り込んだ。
互いに夕飯や、買物など予定があったようだが、強制ログアウトすらできないとは困ったもの。
藤井もメニューを見たが同じくログアウトできない。
特に予定はないのでこのままでもいいかと、草原に寝転がる。

いい風が吹いている。
ここがオンラインの仮想世界とは信じられないほどのリアリティ。

ログアウトしたら、とりあえず冷蔵庫にある食材で何か作るか。
そう考えていたら、いつのまにかうたた寝をしてしまっていた。

どれほど時間が過ぎたのか。

メイサに揺り起こされて藤井は目覚めた。

「フゥさん!起きて!!大変だにゃ」

「んぁ…?」


瞼を擦りながら立ち上がると、違和感に気づく。
最初のログインした時に降り立つ出発点の広場にいる。
いつのまにか狩り場から強制的に飛ばされたのか。
しかしなんでまた…。

いきなり強烈なボリュームでアナウンスが流れた。

「ソードアートオンラインに集いしプレイヤーに告げる」

GMコールか。皆、ログアウトできない不具合に対するメンテの通知だと思ったろう。

正面の高台に一人の男があらわれた。

「ちぃ〜〜〜っす、プレイヤーの皆々さまがた」

白いマントをはためかせながら、チャラい挨拶をする男。
数千を超えるプレイヤーの視線は、この男に集中した。

「ども茅場晶彦っす!このゲームの開発者っすー」

プレイヤー達がざわめく。
なにかのエクストラ・イベントだろう。開発者の登場にプレイヤーの表情が安堵に緩んだ。


「え〜〜、今現在ログアウトができない状態になっていると思いますが、それ不具合じゃねーからww」


はぁ?


プレイヤー達は口々にこの不可解な言葉の意味を理解できなかった。

「つーかぁ、リアルの身体から無理にナーブギアを外したら、おめーら死ぬからww」


─────────────────


一瞬の静寂。

なんだとぉーー!!!

地鳴りのような怒号が茅場に向かって浴びせられた。

「ふざけんな!」

「殺すぞてめー!」

「なめんなボケ!」

「はよ解放してー><」

「ピザ頼んでんだぞ!勘弁してくれえ;」

様々なプレイヤーの怒りの声。

その中には、まだ何かのイベントだと思いこんで、へらへら笑っているものもいた。


藤井はその様子を見ながら、まだ状況を理解できないでいる。

「ええっと…ログアウトできないつうことは…ここから出られないってことか」


「冗談でしょ…。冗談だよね…。あたし明日から家族と旅行なのに…」

今にも泣き出しそうないきおいで、メイサがその場にへたりこんだ。
フェイリンは広場の中央を見ながら、困惑した表情で無言で爪を噛んでいる。
レイラは表情を変えずに成り行きを見守っていた。

「でね、もうひとつショッキングなお知らせ〜。ここで死ぬと生き返れないっすよ。リアルのナーブギアが脳の神経を焼き切っちゃうから、死んだらはいそれまでよっす。あぼーんっすwww」

茅場のこの言葉に、へらへらと笑っていた者達も顔色を変えた。

「まじかよ…」

小さいどよめきと同時に、波紋のようにざわつきが拡大する。

その瞬間、全てのプレイヤーアバターのテクスチャーが電磁気を浴びて歪んだように見えた。
バリバリッと音をたてて、光の粒子がアバターの身体全体を包んだ。

「うわっ!」

「なんだぁ!」

「きゃぁ!!」


短い悲鳴がそこかしこに響き、パニック状態になっている。

一瞬のことであったが、それが収まったあとに今度は大きな悲鳴や絶叫が膨れ上がるように渦を巻いた。

「なんじゃこりゃぁああああ!!!!!!」

自身のアバターが変化している。
今まで美麗な8投身イケメン&美女が、普通のあんちゃん、ねーちゃんになっていた。

リアルの己自身の姿になっているのだ。
ネカマ、ネナベだった者も元の姿に。

若い者が大半をしめていたが、その中にはおっさんおばさんもいた。ジジイババアもいた。
小中学生と見える者もいる。


藤井も例外なく元の姿に戻っている。
もちろん3人娘もリアルの姿だ。


「……もしかして師匠…か?」

目の前の黒髪の少女が藤井を見て言った。

「お前レイラ…か?」

女性がうなずくと、ふぁさっと長い髪を軽くかきあげた。
まだ10代には違いない。
レイラはスラッとしたスレンダーな少女だった。
目は多少きついがアバターにも劣らない美貌である。
身長も170cm近くあるだろう。
モデルか何かやっているのかもしれなかった。

というかありえない奇跡を藤井は目のあたりにしている。
ネトゲにリア美なし!を信条にしていたのだが、これからは改めなければならない。

「さすがにおっさんだな。師匠」

レイラの男口調は変わらない。苦笑しながらも、藤井のリアルの容貌にさほど驚いてはいなかった。
というより、アバター時よりクールな印象を受ける。

「そりゃそうだ。三十路は過ぎてんだからな」

開き直ってメイサとフェイリンを探して周囲を見渡す。

すると背後から肩をとんとんと叩かれた。

「にゃぁ」

振り向くと、小さくて丸っこい女性がいる。
歳は20代半ばというところか。
メイサだ。こちらもリア女だったか。

「フゥさん、リアルはやっぱりって感じー」

そう言いながらケタケタ笑い出した。
見透かされている。アバターとリアルとのギャップに堪えきれずに爆笑していた。

「おめーも詐欺だろ。なんだその丸い体型は」

「ぽっちゃり系です。今の流行ですにゃ!」

「ですにゃ!じゃないよ、まったく…」


最後にフェイリンはと見渡すと、こちらをおどおどと見ている眼鏡をかけた女性がいた。

「フェイリン?」

藤井が言うと、顔を真っ赤にしてコクコクと頷いた。
下を向いて無言のままだ。
アバター時はかなり気さくに話していたのだが、リアルは極度の人見知りなようだ。
30歳をいくらか超えているように見える。
OLということだが、こんなんで仕事できるのかと心配になる。

「って…暢気にしてる場合じゃないって!茅場の話はまじなんか」

「この世界の死はリアルと直結しているとか…そんなこと言ってたよね」

メイサが怯えた顔で身体を震わせる。

中央広場の高台に目をやると、茅場がニャつきながらプレイヤー達の狼狽ぶりを眺めていた。

「ひゃーっははは!ドウデスカー!!これがものほんのゲームっすよ、生死をかけたマジゲーム。ワクワクするっしょ、ゾクゾクするっしょー」

リアルの姿をさらけ出したプレイヤー達の動揺は収まらない。
そんな様子をあざ笑いながら、茅場は両手を広げながら叫んだ。

「では、皆様!存分にこのリアルオンラインをお楽しみくださいねー!あ、そうそう100層のダンジョンをクリアできたらログアウトできるっすよー。ではそれまで頑張って生き残ってちょんまげ!シャラバーイ!」

そう言って茅場はどこかへ転移するように消えた。

遊びじゃないゲーム。この時点から真のサバイヴァルゲームが始まった。
藤井は頭をフルスピードで回転させる。

戦争でも災害でも頭の切り替えが速いものが生き残る確率は高い。
そしてあきらめないことだ。諦めたものから死んでいく。
これはゲームという名の生存戦争だ。

藤井はこのパーティを何とか強くして仲間を増やそうと考える。
まずは堅牢な体制を作り、効率的なシステムでレベルを上げていくのが先決である。

死んだら終わる。回復アイテムも大量に買い込むこと。
金の稼ぎ方、安全な狩りのやり方。

そして一番は、他ギルドとの摩擦をなるべく避けること。
ただのゲームだったらまだいいが、これはもはやゲームではない。
少人数の場合、弱小すぎても舐められる、しかし目立ちすぎても面倒ごとは多くなる。

最初はじっくりと力を蓄えていくことが、急務の課題だ。
β組などは、D攻略に精鋭部隊を編成するだろうが、そんなものは戦闘キチガイにまかせておけばいい。

まずは、安全に、快適に、この世界で暮らしていくことが先決である。
藤井は徹底的なリアリストである。
己のできる分を超えての冒険は決してしない。

「現実を受け止めよう、とにかく当分ここで暮らすことを前提に動くべきだ」

メイサは泣き出した。フェイリンもグスグスと泣いている。
無理もない、突然こんな状況になったのだから。
おっさんだって泣きたいよ。ってか俺一人暮らしなんすけど…。

まぁ…会社の誰か訪ねてきて何とかしてくれるだろう。くれるんじゃないかな。
くれないと困るぞおい!

レイラは最年少だと言うのに、相変わらず落ち着いている。
てか、こいつほんとに17歳か?と藤井は訝しむ。
大人より大人っぽいので、一回り以上も下の娘に気圧されてる感じがして何か悔しい。

「師匠、まずは金を稼いで家を買うべきだな」

「家?先に装備じゃねーのか、この場合」

「初心者ながら言わせてもらうと、まずは住む拠点をしっかりしておいて、徐々に装備の充実を図るほうがいいんじゃないかな。どうせ戦闘なんか高レベル帯の敵は倒せないし」

「ふむぅ。それもそうか」

「女性が3人いるから、まずは落ち着く場所が欲しいんだよ」

レイラがクールながらも少し微笑みを浮かべてそう言う。

「レイラたんにさんせーい!メイサもそう思うのにゃ。フェイたんもそうだよね?」

メイサに促されてフェイリンはコクコクと頷く。

「じゃ、まぁ階層を決めて家を買う金を貯めるか。それまでは節約しないとなぁ。金はまとめて誰かが監理しとかんと」

「会計とか、あたしは苦手だぞ。恥ずかしながら…数学とか赤点ぎりぎりだし」

「メイサは家計簿つけるぐらいしか…」

フェイリンがいきなり手を挙げた。

「あのっ、あのっ…あたし会社で経理やっていて…株も少々やってます…」

「おぉっ!!」

3人はフェイリンの意外なスキルに声をあげた。
何よりフェイリンのリアル後の初めての発した声に驚いた。

金は貯めるだけではダメだ。貯めて眠らせているだけの金は死銭である。
金を活かすのは運用してこそである。
それはこの世界においても変わらない。
まずは、金を貯めて情報を集めていくことを日常の課題とすることと決めた。

ギルド名も決めた。

「サファイヤ・リング」

命名はレイラだ。藤井は「ナカダシマン」と名づけようとしたが、レイラにグーで殴られて諦めた。
美人女子高生に殴られるご褒美。藤井はまさに羽化登仙の境地にいた。


半年が過ぎた。ギルドは女性陣の丁寧な勧誘と、頑張り鵜により順調に人が増えていった。
フェイリンの会計手腕も大したもので支出のバランスもよく、転売などの利益で15層にある住宅街に一戸建ての大きな家を買うことができた。
今では、総勢10名ほどギルメンが常駐しちょっとした中堅規模のギルドになっている。
もちろん、全て女性である。男は藤井一人だけであるが、表向きはレイラがマスターということにしてある。
藤井は元来、表より裏で動くほうのが好きだった。
一応目的はそこそこ達成したと言える。別にギルメンが恋人となるわけではないが、女に囲まれた生活には違いはない。
藤井のテンションは達成された目的に反して急激に低下していった。

ある昼下がり。今日はギルドの活動はオフの日である。
藤井は郊外にある沼に釣りに出かけた。
狩りでもいいんだが、たまにはゆっくりと考える時間が欲しかった。
夕方近くになってもまるで釣れない。
この沼には主が生息しているというが、魚一匹跳ねることはなかった。

煙草に火をつけて、空を見る。快晴の空に雲が流れていく。

昨晩のギルド連合の定期会合である報告を思い出した。

報告によると攻略組と言われるβ組が45層まで攻略に成功したという。
大したものだと思う。
ああいう奴らが、物語の主人公になるんだろうなぁ。

しかし─下手打ったら死ぬんだぞ?洒落じゃねえしよくやる。怖くねぇのかな。

だがうらやましくもある。未知の敵をなぎ倒して武名を上げる。
それは死と隣り合わせのタイトロープだ。
もちろん、大多数は藤井達のように生活を前提として安全マージンを取りながら戦っている。

ありていに言えば、攻略組に運命を丸投げしているだけである。
でも実際は当たり前にそうなる。誰しもヒーローにはなれないし、
ここで死んでも意味はまったくない。つかゲーム中にアボーンされたただのアホだ。

男として血はたぎらないでもないが、ゲーム内においてもおのずと己の限界というものは見えてくる。
攻略組のような鬼のような強さもないし知略もない。
そこそこ強い。それだけであった。

釣り糸を垂れながら、そんなことを思う。

「釣れますか」

いきなり声をかけられて、ひっくり返りそうになる。
思わず釣竿を落としそうになった。

見ると、黒いコートを着た少年が立っていた。
中学…いや高校生かな。
可愛い顔をしている。ジャニタレのようだ。
ジャガイモのような顔をした男性プレイヤーが多い中、久々に美形な男を見た気がする。

「いやぁ、さっぱりだね」

藤井は竿を持ち直して、無愛想につぶやく。

この少年、相当レベルが高いな。
藤井は直感でそう思った。

黒いコートに背中に背負った剣。見た目は黒髪の少年…。
あっ、確か…。

藤井は少年をジロっと見て釣り座を置いた。

「あんた、もしかして攻略組のキリトさん?」

「あ、まぁ…そのキリトです」

「ふぅん、噂じゃ凄い剣技使いだそうだが…。確かあの血盟騎士団のアスナにも劣らない腕だと」

「ははは…。噂ですよ噂。そんな大層なもんじゃいないです」

藤井は、そういって謙遜するキリトを見てねたましくも思った。

若くてイケメンで強くて…女にもてて…。
こいつが主人公なら俺はせいぜい通行人A、よくて取り巻きの一人ってとこか。
生まれもった天分には凡人はどう足掻こうが適わんな…。

しかし、現実に帰還できる微小な望みは、この主人公達にかかっているのだ。
俺らではどうしようもない壁を越えて高みを目指せる者。

「悪いなキリトさん」

「えっ!なんですか一体」

「俺も始めはこの世界で天下とるぐらいの気概はあった。が、ログアウトできない、死んだら終わりってことがわかった瞬間、保身に走った」

「………」

「そりゃ男だったら、夢見るさ。敵をなぎ倒してどんどん強くなる。死をも厭わず突き進むとかね。でも俺にはもうできない。怖いんだよ死ぬのが」

「それは…誰だって死ぬのは怖いと思いますよ」

「怖くて行動しない、でも生き残る戦いはやめたつもりはないんだが…、前線で戦ってる君らを見るとどうもね。自分が情けなくなる」

「………」


キリトは押し黙ったまま、沼を見つめていた。
日常に死を感じて生きているものは、どこかネジが切れているのかもしれない。
纏っている雰囲気が、どこか陰っているように見える。


「師匠〜〜!」

レイラの声だ。

こちらを見つけて走ってくる。

「師匠、こんなとこにいたのか」

「ああ、今日は坊主でさっぱりだ。ああ、こちらは攻略組のキリトさんだ。お前も知ってるだろ」

レイラは息を整えてキリトを見ると、うろたえもせず丁寧に挨拶をした。

「お初にお目にかかります。サファイヤ・リングのレイラと申します。お会いできて光栄です」

「あ…どうもキリトです。サファイヤ・リングのレイラさんなら俺も知ってますよ。黄昏の剣姫の通り名は有名ですから」

「恐縮です。以後お見知りおきを」

「こちらこそ」


こうしてみると美男美女でお似合いのカップルとも言える。
背丈が同じくらいに見えるが、レイラは女性にしてはタッパがあるのしょうがない。

レイラはあれから恐ろしいほどの上達ぶりでレベルと腕を上げていった。
その剣捌きは緩やかでいて鋭く、妖艶な動きで敵を倒していく。他のギルドの手伝い要請がくるほどで、黄昏の剣姫と呼ばれるようになった。
つーか誰がつけるんだこんなあだ名を。

とにかく藤井などはもう師匠と呼ばれるのすら、恥ずかしくなる域に達していた。
メイサとフェイリンは戦闘スキルはそれほどでもないが、各種生産スキルを上限まで上げている。


「そろそろ夕飯だよ。帰るぞ」

レイラはそう言うと道具を片付けながら先に戻っていった。

「ああ、わかったわかった」

藤井はキリトを見ながら。軽く頭を下げた。

「じゃまぁ、かみさんが来たので、帰りますわ。攻略頑張ってくださいな」

キリトは目を丸くして驚いた。

「かみさん…?って、まさかお二人結婚してるんですか?」

「ああ…先月に。恥ずかしながら、ちと若い女房ですけど、俺には過ぎたもんで。そのためだけに生きてても悪くないなと思ってるんですわ。我々は大いなるモブですから」

「なるほど…。それもまた一つの戦いかもですね」


藤井は少しはにかんで笑顔を見せた。


キリトはまだ一人立ちながら思っていた。
拳を握りしめながら思った。

「モブでも勝ち組か……。くっ!」
↑ちょっと悔しい

この後、キリトとアスナが結婚するまでには1年以上のタームがある。

藤井とレイラが何がきっかけで盛り上がってそうなったのかはわからない。
しかし結婚した後は、ギルメンもうざがるほどのラブラブっぷりであった。
あのクールなレイラが表情を崩して藤井に甘えるなんて想像できないだろうが、
とろけそうないきおいで藤井を慕っていた。

それ以来、藤井はすっかり隠居生活になれてしまい、戦闘もせず生産もせずほとんどレイラのヒモとなった。
周囲から非難囂々であったが、レイラはまったく気にもしていない。
藤井は夜の営みがものすごいからである。

そのうち藤井は他の女とも浮気をするようになった。
魚ばっかじゃ飽きる。たまには肉を食わないとなど意味不明なことを言って女を口説いて手込めにした。

藤井は性技の味方と通り名を持つようになり、浮気を知ったレイラは泣いた。
レイラにとって藤井は全てだった。リアルに復帰しても離れる気はなかった。
言うなれば愛が重すぎた。故に盲愛していたのだとも言える。

となると、行きつく先は冥府魔道しかない。

レイラは変わらず藤井を愛した。しかし次第にそのけなげさが鬱陶しくなってきた。
普通であれば美しい若い娘を嫁にした幸運に男は狂喜乱舞するものであるが、如何せんレイラはSEXに淡白であった。
それが藤井には物足りなかった。
もっと色んなプレイをしてみたかった。一度、浣腸プレイを強要したら反対にケツに木刀をねじ込まれた。
愛故の悲しき顛末である。
それから藤井の公然とした浮気が始まったのである。


その日も藤井は別のギルドの娘とホテルにしけこんだ後、数ラウンドを消化して一人で出て来た。

水辺の沿道を歩きながら、鼻歌を歌っていると、なにやらドンッとぶつかってきたものがある。

「おいっとぉ…」

なにか背中のあたりが痒い。
腹のあたりを見ると、鈍い光を放つ剣が生えている。

血が一気に噴き出して、HPがみるみる減っていく。

「え…?え?」

ガクッと膝をつくと、目の前には泣きながら剣を握っているレイラがいた。

「レイラ…お前」

「師匠…!」

レイラは藤井の首に切っ先を振り下ろした。
藤井の首が飛び、HPは0になる。

そこそこ悪くない人生だったな。泥につかった人生だけど、一度きりで終わるなら。
思考がそこで途切れ真っ黒にブラックアウトした。

ブブブッと藤井の首と胴体が揺れ始め、細かい粒子になって砕け散った。

「うわぁぁああん〜〜!師匠!師匠〜〜!」

レイラはうつ伏せになって泣いていた。
いつまでもいつまでも泣いていた。


その後、キリトがラスボスの茅場を倒し全てのプレイヤーがリアルに生還した。

回復したキリトは、その後、時を待たずにアルヴヘイムオンラインへ身を投じる。
たまに、あのモブのおっさん、藤井の姿が頭をよぎる。
モブの勝ち組のおっさんは、あの女子高生とリアルで結婚したのだろうか。

そんなことを思いながら、キリトはアスナの眠る病院へ自転車をこぐのであった。


【終】

テーマ : オンラインゲーム
ジャンル : オンラインゲーム

プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

カレンダー
01 | 2014/02 | 03
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 -
最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ
リンク
最新コメント
ブログ内検索
RSSフィード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。