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鼻から牛乳

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表通りに灯る赤提灯ひとつ。
カウンターだけで5〜6人も入れば満席の狭い焼鳥屋。

そこで、蓬髪白髪の侍がいる。

顔にはほどなく皺が刻まれている。
俺だ。カウンター上に焼鳥の串が3本のっけてある皿があり、コップ酒がある。

客は3人いる。

奥には俺。ひとつ席を空けて、常連のマソという若いカブキ者。
入口手前には、見たことの無い若い女。

俺も歳をとった。
30ぐらいで死ぬと思ったが、しぶとくまだ生きている。
徳川政権は既に家光公の時代だ。

俺は酒をぐっと飲みながら、焼鳥を一本皿から取った。

誰もしゃべるものはいない。

カウンターの中の店主は黙々と焼物をしている。

ちらと横を見ると、マソはカウンターに顔を落として細い声ですすり泣いていた。
大方、また町娘に振られたのだろう。

マソは前につきあっていた娘に逃げられたばかりだ。
ナニをする時に、女子高生のコスをさせて「これからSEXによる体罰を与える」と冗談をかましたら、
即座に通報されたそうな。
昨今は洒落が通じねえ娘が多くなって、余裕がなくなってきたんだろう。可哀想に。

俺なんざもうこの歳では、水涸れどころか壊れた水道の蛇口にも用を足さないことが多い。
若いってえのは、傷つくことが思いでで後になってみればそれすらも懐かしく思えるものだ。
何もないのが一番いかん。

「おい、マスターよ。冷奴ひとつ」

「へい」

店主は愛想笑いするでもなく表情を変えずひとつ返事をする。

いつまでたっても愛想のねえ野郎だ。
ここに通ってもう半年だと言うに。

こいつは、ここを始める前は今川所属の大層な重鎮だったと誰かに聞いた。
しかし自ら素性を騙ることはしない。俺より10ほど下だが、相応に歳は取っている。
それでもまだ若い。短髪に恰幅のよい体型。
絶倫でっせぇ!と言わんばかりの生気を身に纏っている。うらやましい限りだ。

店主の名前は藤井駿河守と言った。
3年前に出奔してこの店を開業したらしい。

冷奴が出てきた。裏手にある藤原豆腐店の代物だ。
この店主は愛想は悪いが、料理は美味いし魚の目利きも確かである。
あの豆腐屋は、甲府でも1、2を争う名店だった。しかも安い。
無表情の顔で何もいわずに料理を出すが、置き方も粗雑ではなく丁寧なところも気に入っている。

ネギと鰹節のふりかかった奴に軽く醤油をかけて角を崩してつまむ。
やはり美味い。落ち鮎を食いたかったが、今日は仕入れてないと言う。
しかたなく、焼鳥を肴にしているわけだ。

すすり泣く声が途絶えた。
マソは泣くことに飽いたようで、俺をみると話しかけてきた。

「凸のじっさま。最近どうだい」

今まで泣きべそをかいて醜態を晒していたのを忘れたような軽口だ。
立ち直りの早さがこの男をこの世に留めている要因かもしれない。

「あ?別になんのこともねえよ…。天下泰平 すべて世は事もなしだ」

「だろうなぁ。こんな葦簀(よしず)で囲った店で酒を呑んでるようじゃな」


カチン(死語)と来た。どうも歳をとると若い衆の物言いが癇に障る。

「こりゃ小僧!俺を見下したような台詞は吐かせん。それに、そのしょぼい店で泣きべそかいてつっぷしてるおめぇに言われたくねぇもんだぜ」

「ひょひょひょ。怒るなよ爺さん。言葉のあやさ。それよりよ…」


マソは悪びれもせず隣に寄ってきて、小声で囁いた。

「あの娘って誰だい?ここいらじゃみねえ顔だ」

出口側のカウンターに座って上品に猪口を傾けている女のことだ。


「知らんよ。一見だしな」

「ふぅん…。ここには似つかわしくねえタマだな。まさに刈上げのダルって感じか」

「ダルビッシュは刈上げじゃねえよ。それに掃溜めの鶴ってんだ馬鹿め」

「とにかくいい女だよな。ちっと粉かけてみっかね」

「お前にゃ無理だ魚住」


娘をよく見ると、確かに器量の良さではこんな店には不釣り合いだ。
どこかの大層な座敷で酒を注いでるほうが似合うだろう。

「ようよう、マスター。あの娘はここいらの者かね?」

店主の藤井はマソの問いに、首を振って答えず。知らないといった振りだ。
知っていたとしても、他人のことをべらべらとしゃべるとは思えないが。

「マスター、すみません。おかわりを」

娘が空の徳利をつまんで左右に揺らしながらおかわりを注文した。
何とも鈴をころがすような声だ。

藤井は、やはり「へい」とだけ短く返事をして燗をつけはじめる。


「姐さん姐さん。あんたここいらじゃ見ない顔だが、甲府は初めてかい」

マソが声をかけた。このような声かけが如何にも慣れている。
実際ここでひっけた娘も数名いた。


娘は、マソを見るとにっこり笑って答えた。

「あい。わたしは紀伊からまいりました」

「紀伊?そりゃまたえらい遠方から来たもんだ。なにしに来なすった」

「ええ…。ちょっと探している人がいて…」

「なんでぇなんでぇ。想い人かよ、お安くねぇなぁ」


からかう口調ですっかりマソのペースだ。

ある娘の証言によると、気づいたらベッドの横にマソがいたと言う。
マソは会話のテンポで口説く流れをつくる天才ではある。
これで特殊性癖がなければ、さぞかしもてるだろうに…。

「いえいえ。そんな洒落たものではありません。探しているのは父の仇です」

ガシャーン!!

娘がそういった瞬間、カウンター内からガラスの砕ける音がした。
藤井がグラスを落としたのである。

「あいすみません…」

そう言って藤井は片付けるためカウンターの下に身を埋めた。


「へぇ、父親の仇をねぇ…。そりゃまた豪儀な…」

マソが一瞬の静寂に耐えきれず、ぼやくようにつぶやいた。

娘の言葉で明らかに藤井の様子が変わった。
俺はそこそこ生きてきて、人も多く見てきた。

藤井の動きがおかしい。まるでぎこちないマイケル・ジャクソンのようになっている。
まさか…この娘は藤井を討ちに…?

若き日の禍根か。

こんな若くて器量のいい娘がこんな店にひとりで入ってくること自体おかしいとは思った。
人はそれぞれ何らかの事情を抱えているものだ。

藤井はここに来る以前は、相当やんちゃをしていたようだ。
斬った人の数も相当数だろう。俺にはわかる。
あのふてぇ眉毛はそれを物語っていた。

戦国の世はもう終わった。しかし、家族を殺された者にはまだ終わっちゃいないのだろう。

かくいう俺も相当数の人間を殺してきた。
死ぬ奴は弱いから死ぬ。そう思って殺しまくった。
猪突で徒党を壊滅させたことも何度かある。
恨まれただろう。やられたほうは悔しかっただろうな。
逆にやられたこともあったが。

怨みなら俺も藤井に負けず劣らず、大勢の人から買っている。
だが、しかし今はもう…。



そこまで考えをめぐらしたが、さすがにもう頭が回らない。
歳をとると色んなことをかたっぱしから忘れていくのである。

それに人のことなどどうでもいい。
父だろうが乳だろうが娘は巨乳ではないし、興味もなかった。
俺は巨乳王になりたかったのだ。夢破れて今じゃこの有様だが。

とりあえず、酒がなくなった。酒を頼もう。

マソは相変わらず根堀葉掘りと娘に問いかけている。

藤井は、カウンターの真ん中付近で直立しながら、きょどっている。
顔は正面を向きながら目だけ左右に動かしているさまは、Mr.ビーンのようで吹き出しそうになった。


「で、仇の名前はなんてぇんだい?」

マソはいつのまにか、娘の横に座って肩ひじをつきながら酒を注いでやっている。
とっぽい奴だ、まったく。


「名前は……わかりません。ただ、その人はまれに見る巨乳愛好家としか…」

「ええっ!?」


マソと藤井が同時に声をあげた。
酒を頼もうとした瞬間、ふたりの突き刺さるような視線が俺を射抜く。


娘は俺の顔を見て、くわっと目を見開いた。
娘の顔が吉田さおりの顔に変化した。

「見つけたよ!父さんの仇!!」

「あ?」

俺はわけもわからず生返事をした。

娘の暗い双眸から放たれた一筋の光線が俺の体を貫く。

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「それで…?」

「それでも何も終わりだよ。これで終わり」

「へ?」


目の前には、妹分のかずはがいる。
きょとんとしてわけがわからないといった表情だ。

「オチがないやーん!その話。藤井さんやマソタンが無駄ぁ」

甲府の茶屋で団子をほうばりながら、かずははぼやく。

かずはのぼやきをよそに俺はつぶやく。

「ふっ、確かにな。だが藤井さんならあるいは…」


俺はこの荒唐無稽ズル向けなストーリーに秘められし暗喩を、藤井さんが気がついてくれることを望む。
隠されたアナグラム。そして言葉のはしはしに鏤められたキーワード。
果たして何人がこの仕掛けられたギミックに気づくのか。

それらを解明できた時に、この物語はもうひとつの真実を現す。
さぁ、考えろ!豚共。


もちろん
そんなわけはないのであった。

ちゃらり〜鼻から牛乳〜。

おちまい。


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テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

夏の終わり

月の明るい晩である。

月をじっくり見てごらん。
ほんとは丸くないんだよ。

そう謳っていたのは何かの童謡であったろうか。

俺は月の光をさんさんと浴びて、縁側に座している。
まるで昼間の明るく、月光の黄金光は砂のように流れ落ちていく。

なんちゃって、凸ちゃん詩人ね。きゃっ。
と、口には出さんが自分で思って赤面した。
いい歳したおっさんが、一人で月夜にはしゃぐ姿はとても人には見せられない。

しかし夏も終わりだな。

秋の気配が心地よい。どこかで凛とコオロギが鳴いている。
藤井さんも泣いている。

最近、ストレス過多でインポになったらしい。
哀しい男よ。誰よりも性豪故に。

目の前には川中島とラベルが張られた一升瓶。
一人座して酒をつぐ。

とくとく。

酒の流れのこゆる音だ。
耳ざわりが良い酒は美味い酒だ。

嫋々とした夜だ。月は明るく美しく。
そして手元には漢の酒。

ただひとつ足りないとしたら…。

嗚呼。こんな時に傍らに小股の切れ上がった姐さんでもいてくれりゃ。
こんなしょっぱい人生でも、石に金(こがね)をかふるもの。
巨乳だったら尚更いい。いいったらいい。

そう思いながら、肴の漬物を齧る。
がしっと齧った瞬間、何か違和感を感じた。


「ぶへぇ!こりゃしょっぱい」

漬けた胡瓜が塩辛すぎた。

そういえば、これは三浦がくれたものである。
あの野郎…胡瓜をしょっぱくつけるとは許せん。
茄子なら許したがな。
今度会ったら浣腸してやろう。そうしよう。

それにしても…本当に静かないい夜だ。

いい夜に出会うってのは人生でも早々ないものだ。
それに出会えたなら、人生の半分は十分に味わえたということだ。


こんないい夜には、あれをやりたくなる。

いいだろう、ご同輩。こんないい夜だ。
天も見逃してくれるさ。

俺はソウルフルなリズムで体を揺らしながらくちずさむ。



「ちっ、ちっ、ちっ、、、」



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「すぽーん!!」



夏はもう終わっていたな。

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だぼっ!

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明日からようやく夏期休暇。
といっても、二日だけで土日あわせて4連休。

あと三日は9月にずれこむ予定。

なんか涼しくなってきて夏は終わった感があるなぁ。
盆過ぎると何か妙に寂しい気分になるよね。

しかし、祭りに行って事故でなくなる人や、BBQで川で溺れる人とか、熱中症でそのまま逝っちまう人やら…。
事故のニュースをテレビで見ていて、まさか自分が…とは思わんよね。

まったく人の運命はわからんものだ。

エジプトの暴動を撮影していたカメラマンなんぞ撮影していて狙撃されて死ぬとかあったしなぁ。
それまで生きてきた人生が、そこで全て終わるためだけに用意されていたかのような。

友人のライターが亡くなってもうすぐ1年たっちまうけど、地元の駅前の喫煙場所を見ると、ひょっこり現れそうだ。やはりいまだにリアリティがないんだよな。風のように逝っちまったから尚更そう思うのかも知れないが。

若い頃、幾度となく死ぬ一歩手前のとんでも行為をしておきまがら、自分がいまだにのうのうと生きてるのは憎まれっ子世にはばかると言ったところだが、どっこい生きてるシャツの中。

先日、お袋の再手術で立ち合いをしたが、病院内で動けなくなったお年寄りや痴呆になっている老齢の人を見ていると、さすがにもう終わらせてやるのも人情ではないかと思えてくる。

齢八十を超えて、なお壮健という方もいるにはいるが、動けなくなって下の世話まで親族に面倒をみてもらう人生の終わりかたってどうにも哀しい。

しかし、一方では自殺は絶対だめ!と言う以上、とにかくしぶとく生きろと大いなる矛盾が生じてくる。

老いは誰しも訪れる。
若いうちは己には無関係のものさと笑い飛ばしていたものだが、機械の身体をもらえる星でもなければ命の灯は尽き果てるが必定。

亡くなった友人は飲むとよく言っていた言葉がある。

「あとは如何に死ぬかだな」

如何に生きるかを考えて、如何に死ぬかを考える。

人生はそれの繰り返しなのだろう。
幸い、知人が事故で亡くなった話は聞こえてこない。

皆息災であれ。そう願う今日この頃なのである。


あ、これ何かのフラグがたった気がする。
ま、いっか。
あとは藤井さんにまかせよう。

そういうことにしておこう。


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夏男

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夏は男の季節だ。
異論は認めない。

夏男といえば藤井さん。
冬男と言えば地獄凸。
毎日がエブリディならタッチャマソ。

そう言えばツカさんこと周防玄徳が、ガロFinalで23万ほど勝ったそうな。
たかるなら今でしょ!

アントキノ猪木さんが一葉と接近遭遇したという。
最高でしたか猪木さん。かずはに言ってやってくださいな。
「やれんのか本当にお前」と。

ともあれ連日暑いので皆様身体にはご留意くださいませ。

というか、もう残暑か。

夏の終わりも見えてきたが、いまだとれない夏休み。
社畜は辛いよ寅次郎。

FF14がかなり評判がよろしいようで。
信オンにもドラスティックな改変を望む今日この頃。

こう、仮面ライダーみたいにかっこよく変身とかできるスキルとかありゃいいんだけどねえ。
もちろん、サイヤ人みたいにパワーアップしてさ。

と、虚しい妄想を膨らませながら、俺の夏は過ぎてゆくのであった。
合掌。




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流し僧兵

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僧兵タツヲがうだっている。

暑い。クーラをつければいいのだが、つけっぱにしとくと関節が痛くなる。
だから極力つけない。

窓を四方全快にしておけば風はそこそこ入って来るのだが、それにしてもこの暑さには焼け石に水。
汗がダラダラ滝になる。
中年男が部屋の中で汗をかく図はどうにも見苦しい。

しかたないので、浴槽に水を溜めて水風呂と洒落込んでみた。

うふぅ。冷たくて気持ちがいい。
外気の暑さと相まって、水が身体に染み込んでくるようだ。

ざぶっと水からあがるとさらに気持ちがいい。
しかしタオルで身体を拭く間に、暑さはブーメランのように戻ってきた。

見る間に今までの冷気が蒸発して消えていく。
一時はいいが、さらに暑くなってきたので、思わず禁忌を犯してエアコンのスイッチを押そうとするが、すんでのところで踏ん張る僧兵。

だてに僧兵してないぜ。ガマンだガマン。
だったら区営のプールにでも行けばいいのだが、一人でいくにはさすがにだるい。

そうだ!
暑けりゃ涼しい食べ物を食えばいいのだ。

ひらめいたタツヲは冷蔵庫を覗き込んでみた。

アイスの買い置きは…ない。

冷中華…あるはずがない。豆腐…ない。かき氷…作るマシーンがない。
心太…好きじゃない。

タツヲは思案にくれた。

「う〜〜む;となると…あれしか…」

そーです、そーいうときは、そーめんです。

安くて早くて食べやすい。
よくぞ日本に生まれけりと言わしめた、あのそーめん。

確か、田舎から送ってきたそーめんがまだあったはず。

タツヲはテーブルに置いてあった宅配の小箱をゴソゴソ探す。

あった!「白糸の滝」。ふふ、これでメインは手に入れた。
あとは、そーめん露と薬味だが…。

白ネギはある。チューブ入りネリ生姜もある。
胡瓜、トマト、茄子などもあるな。薬味はおkだ。

あとは露だが…あ、あった!前に買い置きしていたのがあった。

神よ!

タツヲは天を仰いで、この幸運を神に祈り感謝した。
つーか、僧兵なのになんで神?仏じゃないのかとつっこみを入れている暇はない。

材料は揃った。

しかし…ただのソーメンじゃつまらん。
なにせ僧兵が作るソーメンだぞ。
一風変わったものにしないと、ミクシーのネタにもならん。


そうだ!
流しそーめんとかどうだろう。

外に長い竹があったな。あれを斬って継ぎ足して、キッチンからソーメンを流す。
簡単やん!いけるやん。

そうと決まれば、まずは竹を斬って土台作りだ。
よーし!みなぎってきたぁ。

無為な時間は人を腐らせる。反対に明確な目的を持った行動は活力を与える。
タツヲは今、テンションタツヲになっていた。

やる気があればなんでもできる。
まずは流しそーめんから始めて見よう。

早速、タツヲは外に放置されていた竹の筒を部屋に持ち込んだ。

「うーむ…鉈が必要だなこれは」

そう言えば、この前、凸達が遊びに来た時に鉈を置いていったよな。
あれが使える!

「あったあった」

なぜに凸達が、鉈を持って遊びにきたのかは深くつっこまないで欲しい。
世の中はそーいうもんだからである。

竹を半身に斬る作業はことのほか骨が折れた。
こんなことをしてると、まるで自分が木こりになった気がしていた。

くだらないといえばくだらない。そーめんごときでなんでここまで苦労をするのか。
しかし、男はくだらないことに命をかけるモノである。
ましてや僧兵。多くの僧兵は炭山で、ほとんどその一生を終える。

まるでぼうふらの人生だ。
炭にまみれて青を出す。対話が来るのは三日に一度。
しかし、僧兵は不退転の英傑でもある。僧兵は決してあきらめない。
まるでドリランドのハンターの如く。

ガムテープとサランラップでつなぎ目をあわせて、いびつながら隣の部屋とキッチンの蛇口の橋渡しは出来た。

竹の先にはテーブルに置かれた、底の深い信楽焼の器が置かれている。
蛇口から水を流してみた。
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ちょろちょろと水が流れ、器にゆっくりと水が染み入るように沸いてくる。
継ぎ目も完璧。もれてもいない。

やった!やったぞ!

あとはソーメンを作るだけだ。
といってもそーめんは、2分ほど湯がくだけ。

あとはネギを刻んで、はいお終い。


湯がき終わったそーめんをざるで掬って、さぁさ、いよいよ僧兵式の流しそーめんのはじまりでぃ!
どんなもんだい馬鹿野郎!僧兵が本気をだせばこんなもんだぜスーアンコ。

タツヲはかち割った氷と冷水の中にソーメンをぶち込んで、竹のてっぺんから流してみた。

「ひゃっはー!そーめんは全流しだー!」

束になった白い糸のようなそーめんは、するするとテーブルの器までながれてゆく。
美しい…。

まさに至福の時である。

あっ!そっか。
流してるだけじゃ意味ねえ。

流した瞬間に回り込んでそーめんを掴む!
これはかなり高度な技だが、俺は僧兵。なんくるないさ!!

水を少量流しながら、ソーメンをひとつかみ取って流す。

箸と露の入った椀を持って滑るようにそーめんを追いかけた。

しかし─
少しずつ水が漏れていたようで、床はびしゃびしゃに水に濡れていた。

そーめんを取ろうとした瞬間に、ずるっと滑ってそのまま一回転をする。

「うぉっ!?」


当然のこと、そのまま竹の水路を身体でへし折り、更に床に頭から激突。
刹那の出来事だが、タツヲにはやけにスローに感じたという。
全盛期の巨人の川上哲治がボールが止まって見えたと言うが、タツヲもその境地に達していたのかもしれない。
眼鏡が割れた。盛っていた箸と椀を放りだした瞬間に、
ソーメンは、タツヲの頭にふりかかり、まるでショッカーの怪人だ。
まさに惨憺たるものとなった。

ここで化物語風に回想をしてみる。

タツヲは涼みたかった。しかし、クーラーは使いたくない。
なぜタツヲはそーめんを食おうと思ったのか。
涼しいと感じたいからである。普通なら「暑い」と感じたからそーめんを食すという行動をすると思いがちであるが、これは違う。
これは行動分析学における「行動の原因は、行動の直後にある」からだ。
そしてタツヲはソーメンを食するとこまで辿り着いた。

しかし、滑って転んで眼鏡を割って頭を打って食することは叶わなかった。
もし、タツヲがこの時、「ひとりそーめんの虚しさ」を認識できていたならば…。
たらればは意味が無い。僧兵という特化を選んだ時点で運命はきまっていたのだ。

僧兵の僧兵による僧兵のためのひとりそーめん大会。
その野望はそーめん露とともに掻き消えたのである。
迷いまいまい、なでこスネイク。
タツヲの野望は、白糸ともに流れて消えた。

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タツヲは呻いた。腰もしたたかに打ちつけたらしく当分立ち上がれない。

「ぐぅぅ…」

絵文字にするとこんな感じ。

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なんか可愛い。


隣の部屋からどんどんと音がする。

「いーかげんうるせーぞ、コラぁ!殺すぞ!!」

隣の住人が発狂している。そりゃこれだけ騒げば怒るわな。


その時ガチャリと玄関のドアが開いた。
玄関はそのままキッチンとなっているので、この惨状は丸見えだ。

しかし、タツヲはしたたかに頭を打ったことで意識が朦朧としていた。
聞き覚えのある声がした。

「おーい、タツヲ!流しソーメンのマシーン買ったんで、流しそーめんでもやろうぜ」

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凸の声だ。あとは願太の声もする。


「うわっ!!なんじゃこら!?」

「タッチョンwwwそーめんまみれじゃんw」

「タツヲ、何かのパフォーマンスかこれ…」

「でも、なんか涼しそうだねw床一面水浸しだし」

「流し僧兵か…。タツヲ、身体張ったギャグ身につけたなw」

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薄れゆく意識の中で、タツヲは想った。

こいつら本気で馬鹿だろと。


その後、気がついたタツヲら3人は、惨状の片付けにひと苦労したが、最後に流しそーめんマシーンでそーめんを食した。


暑い夏にはそーめんはやっぱりいいものだ。
暑さ寒さも彼岸まで

ちゃんちゃん。

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烈風伝酔夢譚

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藤川みさおは己の武家屋敷で不乱に書を読していた。

表題は「烈風戦国楚竹書」とある。
烈風伝の歴史がかいつまんで記してあるものだ。

著者は「烈風某」とある。
おそらく─烈風時代に名を馳せた烈風記者なる酔狂ものが書き記したものと言われている。

みさおは現在のような仕様に至るまでの経過は知るべも無い。
五年ほどの未熟な経験でも、今の世界では十分に熟練者と呼べるだろう。

今さら昔を偲んでもせんないことだ。
仕様は変わり、時代も変わり、人も変わっていく。

今の世に生きるもののふにとって過去はただの過去である。
常に更新される情報は、常に消費され消え去っていく過去を上書きする。

しかし、みさおは知りたかった。

経験者が夢見ごこちで語る、初期の戦国時代。
大国がそれぞれ乱立し、群雄割拠した絢爛豪華な戦国絵巻を。


─数日前。

甲府の居酒屋で知人達と酒の席を囲んだ。

「結局さぁ、みさおっちは初期をしらねぇからなぁ〜」

知人の地獄突が、意地の悪い口調で得意げに鼻を鳴らす。
既に空の銚子が2つ転がっている。

地獄突は現在は休止をしてインはしていない。
PS初期の初日組だが、みさおに対してことあるごとに回顧録を語る。

「初期は本当に人が多かったからなぁ。色々不便もあったが、それがよかった」

「ふぅん…」

そう、あいづちを打つが、いまひとつピンとこない。
そう言われてもみさおにはわからないのだ。

みさおがこの世界に降り立った頃には、既に早馬は実装され、黄泉クエもボスの沸き待ちなどは撤廃されていた。
既に戦国の世は、突の語る初期世界とはまったく変わったものになっていたのである。

地獄突は遠い目をしながら続けた。

「あの頃の合戦をみさおさんに見せてやりたいよ。そりゃあもう興奮したっけ」

いつもの調子でしたたかに酔っている。
突に限らず、初期からの経験者は異口同音に同じことを口にする。

経験が長いから、知っているからと言って、偉いというわけではないだろう。

みさおが常日頃、腹に抱えている言葉である。
要は密度の問題だ。5年やってようが、10年やっていようが、濃縮された1年の経験に勝るとは想えない。
経験者に対するリスペクトがないと、一門の奥多摩になじられ、時たま口論となる。
みさおの帰属意識の高さも手伝って、所属する織田のありように関しては誰よりも熱が入り、それゆえ同国の者との軋轢もしばしばであった。


「あたしは今しかしらないもの。過去のことを言われてもわからないよ」


黙って聞いていた僧兵のタツヲが口を開いた。

「初期とはまったく違うものになったいるからなあ、今の信は。このカタソバにしても、僧兵さくらでレスキル名人として川中島では上杉方に徹底マークされた極悪人だけど、今じゃ課金すらしてない無趣味人間だし」

それを受けてカタソバが続く。

「俺あんとき最悪っすよ。転生もらっている奴から片っ端から殺してましたしね!」


数日前に、このような会話があって、みさおは過去の歴史をひもといている。
知ったところで、現状に何ら影響もないが、確かにその時代のその場所にいたならば、運命も大きく変わっていたかもしれない。


武田と上杉の烈風史上最大の大合戦。
800人以上を動員して、常に回線が不安定な状態。

今では考えられない規模である。

さらに遡れば、斉藤連合と武田連合の永木にわたる遺恨の戦い。
朝倉と本願寺の雪合戦。徳川、織田の潰し合い。伊賀の孤高の合戦や飢え過ぎによる雑賀侵攻など、まさに各地で勢力図が塗り替えられること、枚挙に暇がなかった。

加えて、フィールドボスの充実、TD実装時の徒党編成のカオスっぷり、イザクエで心折られて引退する人々…。
装備にしても、255−50が神付与で宝玉などはない時代。稲葉の門前で募集を叫ぶ大勢の党首たち…。

合戦で死ねば飛ばされ、走るしか無い。墓場で行進を配る神達、霊石を配布する陰陽、合戦場で陣表を出して戦況を伝える伝令班、低レベルだが、味方を鼓舞してモチベーションをあげる先導者。


シンプルだったが、そこには確かに「戦」があり、「戦国の絆」があったと最後に記されている。

そこで、パタリと書を閉じた。

燭台の蝋燭が芯が見えるほどに短くなっている。
もう何時だろう。みさおはこめかみを揉んで一息つく。


結局、回顧録でしかないものだが、人と人が繋がっていた証が見てとれる。
何気ないクエストや狩りの中にも小さな冒険、発見があった時代。

みさおはその当時、まだモンハンをやっていた。
肉をぐるぐる回して喜んでいたのだ。

なぜにここまで戦国にはまったのかは、つきつめるとわからない。
単純に好きだったからといえばそれまでである。

うらやましくもあるが、ないものねだりをしていても始まらない。
しかも、自分は今の仕様を楽しめているわけだ。

「年寄りは…すぐ懐古するものよね」

今度、突達に会ったら言ってやろう。

「あたしは今の信が好きなの!」と。

過去はいいのだ。未来に生きるのだ。
どうしたって信長様に忠誠を誓っているのだから。
世の有り様は変わっても、人は心は変わらない。
みさおはそう信じている。

外が少し明るくなってきた。
そろそろ寝ようかと腰をあげた途端に、みさおは、あっ!と思った。

そういえば…初期の晒しのことも書いてあったっけ。
これを知らずに烈風は語れない。
突もしばしば話題にしていたことだ。

みさおは書の巻末の歴代晒しの事柄を探してみた。

571 : 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー![sage] 投稿日:04/12/05 21:33:35 ID:5KL/7zPs [6/10回]
>>565
粘着してるの藤井一派だから。
昨日かおとといの烈風スレに藤井来て訳わかんないこと言ってたけど
てめらの一派がうざくて主力出て行ったの気がつかない振りしてて笑ったよw
なにが「俺がレベル上げて中堅引っ張ればよかった」だよ。
レベル上がった今も誰もついていってないじゃないかよw
糞虫以外。

585 : 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー![sage] 投稿日:04/12/05 22:50:26 ID:5KL/7zPs [7/10回]
>>584
藤井乙
はやく首でも吊っとけよ



「ぷっ!こんな初期から……。なんだかんだで藤井さんってすごい人だったのねぇ…」

みさおは、あくびをひとつして寝床に向かった。

東の空が白んできた。
風もどこか秋の気配を含んでいる気がした。

おちまい。





テーマ : オンラインゲーム
ジャンル : オンラインゲーム

無敵看板むらむすめ



8月某日。

マソが金沢のカラオケ屋で牙狼の歌をソロで熱唱している頃─

紀伊のとある道端。
僧兵のむらむすめが、「ガツン、とみかん」を買って帰る途中で、うつむきながら歩いて来る侍がいた。
何やら肩を落としてしょげ返っている。

よくよく見ると、武田の軍学侍、地獄突であった。
なぜ武田の侍が紀伊などに?

とまあ、それはどうでもいい。
むらむすめは、みとがめて声をかけた。

「あら、突さん。どうしたんですか、こんなところで…」

突はむらむすめに声をかけられて、顔をあげたが目はうつろ。

「やぁ…むらさん。こんにちは…」

そう言うと青い顔をしながら、通り過ぎようとする。

いつもなら、ドラクエでメタルスライムを見つけたようにはしゃいで寄ってくるのに、これはおかしい。


「あ、ちょっと突さん!待ってくださいな。そこらでアイスでも食べません?」

様子がおかしいので思わず引き止めてしまった。
いつもなら軽く挨拶をして別れるところだが。

「え…。あぁ…いいすね。暑いすからねぇ…」

突は力なく答えると、先に見える大樹に向かって歩き出した。

むらむすめは、ぴょこんぴょこんと並んで歩いた。

突のいかにも辛そうに歩く姿は、まるでゾンビだ。
歩調もゆっくりとして、身体を左右に揺らしながら歩いている。

「どこか具合でも悪いんですか?」

むらむすめが、そう聞くと、突はだるそうに「いや別に」と短く言う。

いつもの元気なセクハラ親爺の面影はない。
これはおかしい。

大樹の下に辿り着くと、日陰になっていて日差しから逃げるにはちょうどいい。

袋からごそごそと、買ったばかりの「ガツン、とみかん」を2本出した。
店でドラアイスをもらっているので、溶けたりはしていない。

「はいどうぞ」

はぁ、と息を吐きながら大樹に身を預ける突に、「ガツン、とみかん」を差し出す。

「ありがとう」

突は受け取ると、ガシガシと齧りながら舌鼓を打つ。

暑い日には、アイスキャンデーは最高だ。
そんなことを言うと、いつもの突なら「小学生は最高だぜ!」とか意味不明のセクハラをしてくるのだが、無言でアイスを齧っている。

むらむすめは、ぱくっとアイスを口に含むと、口の中に広がる無尽蔵な冷たい甘みに幸せを感じた。

突は既に食べ終わってバーを手で遊ばせている。
もう一本どうですかと、むらむすめが、おかわりを与える。

突は短く礼を言って、またガシガシと齧る。
もう一本もう一本と与えるうちに、結局全部なくなってしまった。
むらむすめが食べたのは結局2本だけである。
身体も十分冷えただろう。突の顔に生気がいくらか戻ったように見えた。

アイスを全て食い尽くしても、なにやら突はものうげである。
いつもと違うのですっかり調子が狂ってしまう。
むらむすめも何やら気まずいものを感じて、言葉が出てこない。

すると、突がぼそっと口を開いた。


「むらさん」

「は、はいっ!」


むらむすめが、黒髪のポニーテールを揺らしてあわてて答える。


「俺さ、考えたんだ」

「はぁ…。考えちゃったんですか」


何やら深刻な話のようだ。これは地雷を踏んだのかも。
薮蛇だったかもしれない。


「わけがわからないよ。まったく…」

「え?何がですか?」

「バロム1の歌だよ。わけがわからないんだ」

「え…なんですか?バロム1???」

「マッハロッドで ブロロロロー ブロロロロー ブロロロロー…」

「……」

「ぶっとばすんだ ギュンギュギュン…」

「え…あのよく意味が…」

「魔人ドルゲを ルロルロロ やっつけるんだ ズババババーン!」

「……」

「わけがわからないよなぁ…。ちなみにサイトウタカオの原作なんだよね」

「いや、どうでもいいんですけど…何か悩んでるんじゃなかったんですか」

「いや?別に。暑くてだるくて死にそうで喉が渇いていただけ」

「…心配して損しました!」

「「ガツン、とみかん」って美味いよなあ。でもスーパカップをこの時期は捨て難い」

「あれは太りますよ」

「そーなんだよ。あれ食い過ぎるとやべーんだよなぁ」


むらむすめの杞憂は邪推に過ぎなかった。
単純に暑さにやられて朦朧としていただけだったのだ。

「そういえば…無敵看板娘の作者が自殺しちゃったんだよなぁ」

「無敵看板娘?漫画か何かですか」

「うん。少年チャンピオンで連載していてアニメにもなったんだがね」

「そうなんですか。うちはそーいうの疎くて…。まだ若い人だったんですか?」

「まぁ…34歳だから俺からすると十分若いね」


突が自嘲気味に笑うと、むらむすめもつられて笑う。


「くすくす。突さんから見れば大概の人は若くは見えますよねぇ」

「ふん。歳の刻みは俺にはないのさ」

「でも、若くて才能のあるのに自殺しちゃうなんて勿体ないですねぇ」

「うんー。勿体ねぇしどうにもやるせないね。読者も多く応援してくれる人もいただろうに」

「自殺する人に同調はできませんが…やはり自殺したくなるだけのものを抱えていたのでしょうね」

「諸行無常であるなぁ…。無敵看板娘は好きだったのに…。言いたいことは多々あれど、やめておこう。でも、自殺した人にご冥福はない」

「かもしれませんねぇ…」


空気が湿ってきた。日はいつのまにか雨雲に覆われている。
時期に雨が振るだろう。

風も出てきた。
突は立ち上がって、むらむすめを見るとかいぐりしながら頭をなでた。

「むらさんって、ドラクエで言うとはぐれメタルみたいだな」

「え、なんですかいきなり!」

「と、藤井さんが言ってた」

「嘘ですね!何でも藤井さんのせいにすれば済むと思ってません?夏のせいとかありえませんからっ」

「んじゃマソにしとくか。みさおさんでもいい」

「誰でもいいんですかっ」

CSDVSAV



いつもの他愛も無い会話である。
崩れない日常がある。
しかし、むらむすめの胸中にはそこはかとなく寂しさが漂っていた。

うちの「ガツン、とみかん」…。もう無いのね…。


黄昏れていく落日は、むらむすめの心を強くうつ

わけはないのであった。


むらむすめは、その後、突にハーゲンダッツの箱入りを買わせて帳尻を合わせた。

突は泣きながら領収書をもらっていたと言う。

ちゃんちゃん!





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殿(しんがり)は藤井さんにおまかせあれ

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地獄突はふと気がついた。

さっきまで並走していた藤井が見えない。

「ありゃ?はぐれてしもうたか」

一本道ではぐれるとは面妖な。
さても、神隠しの如く姿は見えず予兆もなかった。

伊賀忍軍にでも攫われたか。

しかし、それなら首だけとったほうが楽だ。
藤井のような侍大将クラスを攫ったところで、持て余すだけで戦局に何ら影響もしないだろう。

ましてやここは殿。

殿こそ戦の華ではないかと、どこぞのカブキものが言い放ったがとんでもない。
殿なんぞ御免である。

地獄突は格好良く死ぬより、格好悪く生き延びるほうが結局は勝ちだと思っている。
生に対するみっともないほどの執着心が、木曽川、川中島と名だたる大合戦を生き延びてこれた証だ。

ましてや自決などもってのほかである。
土下座どころか、敵の足をなめても生き延びたい。
生きていれば何とかなる。そう思っている。

故に周囲からは「糞蠅」などという戦国の男子としては真に不本意なあだ名を拝名するに至っている。
しかし、笑うなら笑えと気にもしていない。
蠅だろうが糞虫だろうが、生きているからラッキーだ。

死にたくない。その一点だけは誰にも負けない自信がある。

地獄突は後方の闇を振り返りながら、藤井の安否を想った。

「饗談の乱派者などに遅れをとる藤井さんではないはずだが…。あっ!まさか」

そこへ、速度を緩めて前線より後退してきた侍がいた。

同じ侍大将の三浦である。

「おおう、とっつあん。殿御苦労!」

「御苦労じゃねーよ!藤井さんが消えちまったんだよ」

「何?藤井殿が…。さてはやはりな」

「あ?やはりって何だよ」

「実は、藤井殿が徳川の密偵ではないかと内々に裏で調査をしていたのだ。徳川方の女性と逢い引きをしているのが何度も発見されている」

「なんだとぉお!!!」

「だから殿をまかせて様子を見ることにしたようだ。旧知の仲のお主にも嫌疑がかかっておったそうな」

「ちょっ!んじゃ俺は藤井さんのとばっちりで殿やらされてんのか」

「そのとーり」

「…早く言えっつーの」

「とにかく、お主の疑いは晴れた。藤井殿はお尋ねになり、捕縛されたら打ち首だろうな」

「というか、殿にいる俺たちのがやべーだろこれ」

「ふふ。殿こそ戦の華、漢の生き様だろう。死して本望。拙者ホモじゃねーけど」

「やだー!死にたくねぇー!!」

突は手綱に力を込めて闇夜を切り裂くかの如く疾走し咆哮した。

「ふじいいぃさんめぇぇええ!!!!生きて帰ったら覚えてろよぉ!!」

その慟哭にも似た叫びは、陰っていた雲から覗いた月にも届くようであった。



その頃、藤井は既に鎧を脱ぎ捨てて国境の峠にいた。

「おい、露葉(つゆは)ここだ!ここ」

藤井が声をひそめて呼ぶと、薮の中から百姓姿の女がするりと出てきた。


「あんた…。よく無事で」

月明かりに見える女の横顔に安堵が映る。
心底ほっとした様子で抱きついてきた。

「殿はあの突とかいうおっさんにまかせてずらかってきたんだね。ほんによかった」

「ああ、殿なんぞで命を落とすくらいなら、俺は露葉の上で腹上死したほうがましさ」

藤井はそう言って尻をなでながら、露葉を強く抱きしめた。

露葉は低い声をだして喘ぐと身体を引き離した。

「ばかっ…こんな時に!」

「へへ…。お楽しみは後にして、まずはここからずらかる算段だな」


藤井は悪びれず、懐から白い紙を拡げた。

「この先には関所があるが、迂回しながらこの川を渡ろう。川を渡りきっちまえば戦場とは無縁のパライソだ。そこでお前と夫婦(めおと)になって、今度こそまっとうに暮らすんだ」

「どこだってあんたとなら…」

露葉は藤井の腕にしがみついてゆっくりと頷いた。

「いこう」

「あい」


二人は関所をぐるりと迂回して、川の流れる東南へ歩いた。
山道の歩行はさすがに厳しいものであったが、それでも月明かりが出ているのはありがたかった。

半刻ほどで、河原に出た。ここらは高天原となづけられている場所である。

「大丈夫か、露葉」

「はぁ、はぁ…。だ、大丈夫。少し息がキレただけ」

露葉の小さい肩が震えながら上下していた。
さすがに女性の身でこの山越えはきつい。頬が桃色に上気してほんのり桜色になっている。
月明かりに照らされて、なんとも艶っぽく見える。

対岸は真っ暗で川の流れはことのほか緩そうだが、川底は結構ありそうだった。
ところどころに大きな岩が隆起してはいるが、それを伝って渡れるほどのものではない。

藤井はどこかに橋のようなものがないかと見渡したが、さすがに易々と関所越えをさせないための地形である。
明るいうちならまだいいが、こう暗くてはさすがに危うい。

しかし朝まで待ってたら、必ず見廻り組に見つかるだろう。
チャンスは今しかなかった。

この向こうに未来がある。

息を整える露葉を見ながら、長い木切れを薮から探し出してそれを頼りに何とか対岸まで渡ろうと考えた。
暗い川を見ながら、決心がついたように川に入ろうとした時、背後でがさりと音がした。

振り向くと、そこには着崩れをした浪人のような男が立っていた。

長刀を右手に下げている。


「お、おまえ…マソ、マソじゃないか」

「けひぃ…。ご無沙汰でやんすねぇ藤井さん」


マソと呼ばれたこの男。藤井とつるんで悪逆算真を繰り返していた不埒者である。
二人で郎党を束ねて、一時期は東海一の山賊と怖れられていたが、藤井が山賊暗しに嫌気がさして抜けてしまいあろうことか武田に仕官をした。

マソはそれ以来、裏切られた思いで藤井を憎んでいた。

「お前なんでこんなとこに…」

マソはそれには答えず、露葉を舐め回すように凝視した。
そして舌なめずりをしながらゆっくり近づいて来る。
露葉はマソの狂気を感じ取ったのか、がくがくと震えている。


「けひゃああ。藤井さんよぉ〜、俺らを裏切ってパライソに逃げ込むなんざぁ、つれねえじゃねぇかよぅ」

ふらふらと、おぼつかない足取りで近づいて来るマソに藤井は制して叫んだ。

「マソォ、もうあの頃の俺とは違うんだ!ほっといてくれ。俺はもう剣を捨てる!パライソで畑でも耕しながら静に暮らしたいんだよ」


それを聞いたマソは、顔を醜く歪めて泣き叫ぶように喚き散らした。

「はぁあああん!?何、寝言ぶっこいちゃってるのこのチンカスはよぉ!!てめぇーだけ楽隠居決め込んで女とくんずほぐれつなんざ、天が許しても俺ぁ許さねえょ!!」

マソが絶叫しながら刀を振り回して、突進して来た。

「マソ!やめろ!!」

「逃げ出した先に楽園なんざねー!死ねやぁ!!!」


マソが袈裟切りに、刀を振り下ろすと、「あうっ!」という短い悲鳴とともにどさっと人影が崩れ落ちた。

「露葉ぁ!!!!」

なんとマソが斬り降ろしたのは、露葉であった。
致命傷である。鮮血がぶしゅうと河原の砂利に飛散した。
藤井の身代わりとなってかばったのである。

「うわぁぁああああ!!!!!!」

半狂乱になりながら露葉を抱きかかえながら、藤井は名を呼ぶ。

「おいっ!露葉、露葉、しっかりしろ!!こんな!こんな…!頼む、死ぬな死ぬな死ぬな死ぬな!!」

露葉は、藤井の頬に手を当てている。体温が急激になくなっていく感覚。
迫り来る死に露葉は満足そうに

「あ、あんた…あんただけでも…に、げて…」

首ががっくりと落ちた。
にっこり笑いながらこときれた露葉の顔は、安らかに眠る慈母のようであった。


藤井は天を仰ぎながら、魂が吹っ飛ぶくらいに叫んだ。

「露葉ぁあああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

闇が泣いていた。




「はっ!?」

その頃、武家屋敷にいた藤川みさおの脳裏に何かがよぎった。

「今のは何かしら…胸がざわざわする」

しかしそう思ったのは一瞬で、次の瞬間にはお洒落装備の色染めに考えを戻していた。


その後、藤井と突がどうなったのかは歴史には記されてはいない。
ちゃんちゃん!

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ウルトラな人々



長男の兄貴から電話があった。

「山入るからお袋のことはよろしくな」

あの歳になっても山での演習をやるのかと言ったら、当たり前だと言われた。

「清々しいまでのブルーカラーだのう」

そう言うと、まぁなと一言。

震災で兄貴に連絡をしても繋がらない。福島の原発近くで炊き出しをしていたという。

兄貴の部隊は直接の瓦礫撤去や救助には回らなかったそうだ。
別の救助部隊はかなり精神的にやられてしまった人もいたそうな。

海沿いのボロボロになった自宅の前で、うずくまった母親が冷たくなった息子の亡骸を抱いていたという。
映像にはでなかったが、胸が引き裂かれそうなシーンだ。

それを目の当たりにした自衛官は、心を病んでしまったと言う。
目にした現実があまりにも哀しく壮絶だったからだろう。
訓練された自衛官だって人間である。

自衛隊は助けるのが仕事だ。そのために給料ももらっているし莫大な国家予算で訓練もしている。
しかし、あの時だけは仕事だからやるのではなく、人として突き動かされた本能で動いてたのだろう。
誰だってそうせざるを得ない状況だからだ。

しかし自衛隊がヒーローと讃えられる事態は、あまりよろしくない事態である。
何もないのが一番いいのは当然だ。しかしながら、有事の際にしっかり仕事ができる、助けてくれるのはやはり自衛隊だろう。

兄貴はずっと自衛官だった。
湾岸戦争時ももしかしたら行くかもしれないとぼやいていた。
行くことになったらにげようかなと嘯いてもいた。

そんな兄貴を見ながら、まぁなんと気楽な仕事だとひやかしていた。

この映像の中にはまぎれもなくウルトラな人達がいる。そして現地の人を勇気づけるヒーロー達がいる。
震災に関して想いが風化しがちだが、自衛隊のみならずボランティアや海外支援など様々な見えないヒーローがいた。

といっても兄貴はヒーローでもなんでもなく、ただのおっさんで3人の子どもの父親だ。
でも、被災地の人には炊き出しをして暖かい飯を配る兄貴もヒーロに見えたのかも知れない。

人は輝くときに金ぴかになればいいと言うが、俺もいつかはなれるのだろうか。
スペクトルマンになりたかった俺は、いまだにそこで立ち止まっている。
何ものにもなれない自分がいる。

しかたないので藤井さんに聞いてみた。


「藤井さん、藤井さんのヒーローってどんな奴?」

「そりゃキューティーハニーでしょ!」


色々だめだこの人。さて、今夜は宮城の酒でも飲むかな。

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Rnck!n My コミフェス

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俺たちはその頃、夕刻の大崎駅ビル内の焼き鳥屋にいた。

コミフェスの帰りである。反省会をかねて軽く一杯とお疲れさん会である。

疲弊した面持ちで、タツヲ、凸、カタソバ、みさおが掘りごたつのテーブルに座っていた。
しかしタツヲの雰囲気がなんか違う。肩に白いタオルを巻いて斜に構えていた。

「最高でしたか」

タツヲが言う。

凸を含む3人はきょとんとしてタツヲを見た。

「いや…最高っつうか…」

凸が首を落として力なく笑った。

とにかくすごい人の波だった。いきはよいよい帰りも怖い。
東館の同人ブースなど人がまともにあるけるスペースはなく、まるで中国の海水浴場だ。
隙間がない。まさにその形容がぴったりくる。空気が薄く、とにかく熱い。暑いではなく熱いのだ。
汗は瀧のようにとめどなく流れ、どこを見ても人人人。

仮に10代の肉体だったとしても、これは辛い。
凸はこれなら、まだ極真の一般稽古のが楽だと思えた。

とにかく疲れた。

タツヲは眈々と語る。

「カタソバ、どうだった?」

「は?」

「俺なんかは、こう…会場に入ってからは、いって、いって、いってるわけですよ」

「はぁ…?」


タツヲは両手を汽車の車輪のように前後で回転させている。

それを見てカタソバは困惑した。

「こうあの…いって、いって、いって、いってるわけですよ」

「……???」

「いって、いって、いって、いった時に…どうですかコミフェス」

「え…意味が(笑」

凸とみさおは口を抑えて震えている。笑いをこらえきれないのだ。
多分、これは永ちゃんの真似だろうと思われるが、超にてねぇ。つーか誰だかわからねえ。


「えっ…コミフェスの感想ってことっすか?タツヲさん」

「いって、いって、いって、いってるわけですよ。どーんっという感じですよ」

「いや、その…(笑」


凸が小声で笑いを堪えきれずに言う。

「誰やねん(笑」

みさおはうつむきながら、涙をながして笑っていた。


「いや、あのタツヲさん、コミフェスのことっすよね?」

カタソバがそう言うと、タツヲは運ばれて来たキンキンに冷えた生をぐっと飲み干してゲップをした。

それを見てカタソバが思わず吹き出した。
釣られて凸とみさおも吹き出した。


「おK!質問を変えましょう。カタソバが会場入ったときに、企業ブース、どぉーん!エロゲー、ばぁーん!コスプレネーちゃんの乳びぃーんと、いっていってどうですか」

「…え、えーと、ナンスか?(笑」

「こう、いって、いって、いった時にどうですか。カタソバとしては」

「はぁ…いや、よく意味がわからないっす」

「まぁ俺も20年、30年もコミフェスいきますけど、いって、いって、いった時にどお−んですよ」


もはやわけがわからないので笑うしかない。

「何をいってるのかしらタツヲさんは(笑」

「つーか矢沢ってこんな感じでしゃべるっけか?(笑」

3人ともタツヲのおかしなモノマネで笑い転げている。

結局、2時間も見て回らなかったが、それでも十分だった。
というわけで、初のコミフェス来場はすげぇ疲れたなり。
疲れたけど、コスプレ見れたし、結城さんや水鏡さんに会えたしなかなか楽しめた。

しかし東館のあの人の密集度はもはや地獄だ。
夢にでそうで怖い。

でもまぁ確かに、強烈なエネルギーと魂は感じたよ。すげぇなと思う。

藤井さんも一度は行ってみるべし!


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昨日の俺たち↑




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信On創作ショートショートストーリー 夏の陣【その弐】



よぉ!

毎日暑いなご同輩。夏は暑いさ当たり前。

昨晩もよー、仕事から帰ってきてよー、茄子と豚肉の和え物と、海鮮風パスタを作ったんだが、まぁとにかく汗がだらだら吹き出す始末。この時期、火を使うのはほんとたまらんわ。あえてエアコンかけないで作るから尚更。
その後のビールがうめーんだけどね。

んじゃ暑いのでホラーといくか。
ホラーの血を浴びた藤井さんは俺が斬る!


呪怨

つよい恨みを抱いて死んだモノの呪い。 それは、死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、「業」となる。 その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる。

不動一葉がその男に会ったのは、関ヶ原のクエの時だった。

特化は武芸。とにかく野良徒党なのによくしゃべる。
まるで穴の空いた風船のごとく次から次へとよた話。

今時の野良徒党など、作業をこなすルーティンでしかない。
片言の会話すらわずらわしいのだ。
何ともお寒い状況だと思われるが、10年も経ったMMOなんぞ皆そんなものである。

徒党で完全に浮いてるのだが、気にせず一人テンションをあげる武芸。
一葉は従来の天然ぶりが手伝ってか、いちいちこの武芸の所作に相づちをうつ。
人が良すぎるのか、なんも考えていないのか。
これで誤解を招くこと多々あるだろうと、兄貴分の凸などによくたしなめられた。

クエが終わると、対話で知人登録を申込んできた。
一葉的には、結構ツボだったらしく断る理由ないので、申請を快諾して受入れた。

一週間も経った頃、その武芸から対話がきた。


「やぁやぁ、この前はどうも」

「あらん、こんばんわぁ」



一葉は屈託なく答えると、武芸はいきなりとんでもないことを聞いてきた。

「ねぇねぇ。一葉さんは彼氏いる?」

「えっ!?」


よくあるパターンだ。ネトゲ内ではリア女は四葉のクローバーをみつけるより難しい。
今はそうでもないようだが、少なくとも昔はそうだった。

そして、こうやってずけずけとリアルに踏み込んで来るプレイヤーも数多くいる。
親密度が増せばそれもありなのだろうが、1回こっきりのクエで一緒になっただけであるのにこれはない。

「ええっと…」

一葉は口ごもった。

そう言えば以前にもこんなことがあり、凸に相談したことがあった。

「隙がありすぎるんだよビッチ!」

そう怒られたが、自分ではよくわからない。
よくわからないが悪口を言われてるのは分かった。
悔し涙がでてきた。

あまりにも悔しかったので、凸の屋敷の茶釜に大量の唐辛子をぶち込んでおいた。


「ぐあーーーーーーーっつ!!!」


甲府の町に何ともいえない苦悶の悲鳴が鳴り響いた。

数日後、口をタラコのように腫らした凸が泣きながら水を飲んでいたのを見かけた。
計画通りだった。

なんとも怒らせるとおっかねぇ女であった。

武芸はじれてまた聞いてきた。

「ねぇ、いるのいないの?」


うざーっ!

かずはは呆れた。小学生かこいつは。
さすがにうっとおしいを通り越してる。


こういった手合いには直球に限る。

「いますけど何か?」


突き放す様に言い放つと、しばらく武芸は無言だった。

ふぅ…。信オンをなんだと思っているんだろう。
女をひっかけたけりゃ、外に出て街で軟派でもすりゃいいのに。

絶好に入れようかしら。

そう思っていると、武芸から対話がきた。

「嘘だね」

「あ?」

「君は嘘をついてる」

「…あ、あの〜〜…」

「君はシングルだ。そして僕達は結ばれる運命にあるんだ」

「……あの…」

「照れてるんだろ?わかるよ。俺も初めはそうだった…」


きめぇえええええ!!!!!!!!
何こいつぅ;まじきもなんすけどー;。

つーか、これやばくない?ストーカー?
ネタだとしても悪質で笑えない。

絶好いれよう。そうしよう。

一葉は無言で武芸を絶好に放り込んだ。

その瞬間、もう一度対話がきた。


「いつでも一緒だよ」

「……」


一葉はまじで怖くなった。気丈なようでいても所詮女である。
しかもネットをカイザイした嫌な事件もこのところ続いている。
絡み付くような嫌な視線を感じる。思わず背筋が寒くなった。

絶好に放り込むと、早々にログアウトをした。

その後、その武芸からは対話はもちろん、野良でみかけることもなかった。
一葉はそんなことがあったこともすっかり忘れ去っていた。


蒸し暑い夜だった。
インして私設に入るとタツヲと三浦がいた。

例によって挨拶だけしてあとは放置だ。

さて何をやるかと考えていると、姉貴分のみさおから対話が来る。


「こんばんわ〜」

「みさおさんだぁ!こんばんにゃ」

「かずはちゃん、知ってる?最近話題になってる怖い話」

「ううん、知らない〜」

「一門で話題になってたんだけど…信やってた人が一ヶ月ほど前に自殺したらしいの」

「ええっ!?」

「それも真紅でね…。その人ってちょっと精神的におかしい人だったらしくて、ハラスメント行為でGMからしょっちゅう警告されていたみたい」

「なんで自殺したってわかったの?」

「ちょっと前にテレビのニュースでやってたの見てない?オンラインゲームをやっていた自営業の40代の男性、謎の自殺!っていうやつ」

「あー、あれかぁ。特に気にもしなかったけど…」

「なんかオフ会で一度会ったことがある人がいて、特定したらしいのよねえ」

「ふぅむ。なんで自殺なんかしたのかしら…」

「ある女性に冷たくされて絶好されたからと遺書に書いてあったと警察が公表していたわね」


一瞬、息が詰まった。背中を走りぬける強烈な悪寒。

忘れていた恐怖が鮮やかに甦る。


「……絶好?まさか…その人って、特化は武芸とかじゃないよね…」


キーボードを打つ手が震える。
モニター上のフォントも心無しかぶれているように見えた。


みさおは答える。


「…武芸だよ。かずはちゃん、もしかして知ってる人?」

「………;」


まさか…。

あの武芸の人だろうか。
でも、一度クエで一緒になっただけのことだ。他に接点も無かったし親密度もほとんどない。
普通に考えたらそうだ。あくまで一般的な常識での範疇では。

しかし、狂人には常人の論理は通用しないのだ。
「馬鹿」と言われただけでナイフを持ち出し、「いい人だね」と言われただけで運命を感じてしまう人もいる。

とどのつまり、関ってしまったのが運が悪い。


でもそれって…あまりにも理不尽だ。それってどうなん?それって日テレ(古い)


でも、じゃぁ、あたしが絶好入れたから自殺した…!?

その瞬間、画面が揺らいで、かずはのキャラの背後に何やら黒い陰が浮かび上がった。

その黒い陰は、まさに……

い、いやぁああああーーーっ!!!!!!

かずはは、モニターの前で悲鳴をあげた。
その瞬間、意識が薄らいで、昏倒して床に倒れた。
何かが首の周りに這いずる感触を感じていた。


数分経ったが返信がこないので、みさおが心配して対話を送った。


「かずはちゃん、大丈夫?」


プレイヤーは存在しないとログが出る。


「怖くて落ちちゃったか…。にしても、武芸って変な人が多いってほんとよねぇ…」

みさおは、独り言のようにつぶやくと、一門チャットに戻っていった。


その日から、かずはも消えた。

いつしか甲府の奥の両替で、武芸と寄り添うように立っている女薬師を見るようになった。
見かけるのは、決まって午前2時頃だ。それも一瞬。

所作もせず無言で立っている二人は数秒で消えるそうだ。


一門にて。

「凸さん、かずはちゃんて全然みかけないけど元気?」

「さぁ…。でもメールはこの前来たなぁ」

「あら、メールが来るってことは大丈夫らしいね」

「何か旅行に出てるらしい。涼しくてすっごくいいところだから、にぃにも早くおいでよと書いてあった」

「……早くおいでよって」

「藤井さんを連れてけよと返したら、そうする!って返信きたよ」

「……藤井さん;いい人だったのに…。ま、いっかー藤井さんだし」

「ま、いいよな。藤井さんだし」


近くでひぐらしが哀しそうに鳴いていた。


【おしまい】

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信On創作ショートショートストーリー 夏の陣【その壱】


唄はいつもながらかっこいいんだがPVもうちょっと何とかならんかったのかこれw
武士が強化されたらしいな。ということで武士の花。

コミケ2013

葉月─現在の八月。
織田城下である那古屋も昼にもまだだと言うのに、厳しい暑さである。

そこらの軒先で水打ちをしながら凉をとろうと、長屋の住人や奉公人が柄杓で水をまき散らしている。
土が水を吸収して気化熱で気温を下げるといった合理的な手段だ。
これがコンクリやアスファルトだったら水打ちなどほとんど意味が無い。

文月の中頃までは寒くなったり、暑くなったりとはっきりしない天気が続き、今年は冷夏になるのではと予見もされたが、ここにきて連日の猛暑だ。

庄屋「藤井」で番頭をしているタッチャマソも、丁稚に水打ちをさせながら、舌打ちをしていた。

「あ〜〜;あっち。今日もあちぃなぁ。こう暑くちゃ摩羅もたたねぇぜ;」


なにせ、この時代はクーラーはもちろん扇風機すらない。
昔の人は糞暑い夏をどうやり過ごしていたのだろうと、興味も沸くところだが、それはまたの講釈にて。

さて、その暑い中を団扇をパタパタと扇ぎながら歩いてくる女がいた。
女はマソを見かけると、タタッと目の前に走りよってきた。


「おや、こりゃ藤川のみさおさんじゃありやせんか。今日はどちらに?」

「こんにちはマソさん。今日もあっついわねぇ…。ちょっとタツヲさんに用向きで甲府までね」



マソはほほぅと合点がいったように頷いた。


「ほ!あの僧兵のタツヲさんのとこですかい。するってぇとあれですかい、例のC84ってイベントの…」


「察しがいいわねぇ。それよそれ。あたしも行くのはもうかなり久々ですからねぇ」

「はは(笑)。みさおさんが行ったのはもう20年ぐれぇ前じゃないんですかい」




そう言い放った瞬間、マソは「しまった!」と後悔した。

みさおの負のオーラが通常の3倍にふくれあがったからである。
しかし、みさおは冷静に笑っていた。はたからみれば、顔をひくつかせながらの笑顔は顔面神経痛のようである。

軽卒な言葉は死を招く。
仮面ライダーに出てきた怪人シオマネキング がマソの脳裏をよぎった。

みさおは笑いながら、袂に中で印を結んでいる。
明らかに何かの攻撃術をマソにくり出そうとしていた。

「ほほほ…。マソさんは相変わらず面白いわねぇ。でもね…20年は言い過ぎじゃない?」


「あ…、いやこりゃジョークでさ。アメリカンジョークっすよ(汗」



身の危険を感じたマソは、ほいじゃ仕事があるんでと店の奥に逃げて行った。


「ちっ…猿が」


みさおは苦々しく罵詈を吐いて踵を返した。

軒先の風鈴がチリンと鳴った。
しかし、暑さは変わらない。遠くの景色が蜃気楼のように揺らいで見える。

町は外に出ているものは少なくなり、日陰で涼をとる人足ぐらいしか見かけない。


「さて、急がなくちゃ…」

みさおは団扇を大きく仰ぐと、早馬のほうへと向かった。


その頃、甲府ではタツヲと地獄突が屋敷で何やら話をしている。

隣の座敷では周防玄徳がごろんと仰向けに寝ていた。
この暑いのにどうしてこうも無防備に寝られるのかまったく不思議である。
コーホーとダースベイダーのように息を吐きながら、すやすやと爆睡していた。

タツヲが机に拡げた会場マップを見ながら神妙な顔をしている。


「当日は、飲食類は持って行くしか無いぞ」

「ほう…」

「トイレもかなり並ぶぞ」

「きっついなぁ。まぁそりゃああいうイベントは基本そうだろうが」

「コミケに行くには断固たる決意が必要なのさ」

「お前なんで半笑いなん?」



タツヲは昨年、マチュピチュに一人で行った。
しかもそれが海外初の旅行だった。そのことがタツヲに大いなる自信をもたらしているようだ。

「とにかく飲料水は持参な。コンビニなんかもとても買物はできないぞ」

「まかせとけ。予備知識ならげんしけんを観てばっちりだ」

「あんなもんじゃない!現場は戦場だぞ」

「いや、俺はただ雰囲気がどうなのかなと見に行くだけだが…」

「一流のコミケッターは、最終日に勝負をかける。これ豆な」

「俺コミケッターじゃねえし。それに一流とか(笑」

「いけばわかるさ。そして味わうがいい。本物の地獄をな」

「行く前から気を削ぐようなこというんじゃねぇよ。ところで…みさおさんはまだか」


突は溜息をついて、冷やした茶を飲んだ。
屋敷の中もやはり暑い。
座っているだけで汗がこめかみから雫となって流れ落ちていく。

麦酒が飲みたかった。それもとびっきりにキンキンに冷やした麦酒。
もっともこの暑さでは、幾ら飲んでも身体が冷えるということはないだろうが。


「あと一時間ほどで来ると信書がきてた。あの人も元気だなぁ」

「あの人から元気を取ったら、なんもないだろう(笑」

「そりゃそうだな。はっはっはっ!」


二人して大笑いをした。


ガキィン!!!

タツヲが大笑いをしていると、何か大きい金属音がして地獄突がいきなり固まった。


「お、おい…突さん。どうした!」


タツヲが声をかけると、突は白目をむいてその場に崩れ落ちた。

その後ろには金属バットを持った、みさおが鬼の形相をして立っていたのである。


「ひぃっ!?」


タツヲがするどい悲鳴をあげた。
みさおはまるで生成(なまなり)の能面のごとく白い顔で微笑んでいる。

金属バットについた血が生なましく禍々しい気を放っている。


「タツヲさん、お久しぶりですね。ふふふ…」


みさおは幽鬼のごとく静かに佇んでいる。
むきつけにぶっ倒れている突を足で踏みつけて、金属バットを放りだした。


「み、みさおさん…。は、早かったね来るのが」

「いつも遅刻ばかりじゃ悪いでしょう。あたしもやる時はやるんですよ。うぷぷぷ」


すると突がいきなり起き上がって、みさおに詰め寄り、襟を絞めあげた。


「いってぇえな!この糞オタク女。バットで殴る何ざ鬼かおめーは!?死んだらどうすんだよ!ええ?」


するとみさおはその手を振り払いながら、落ち着きをはらって言った


「時はきた。それだけだ」


その瞬間、タツヲがぷっと笑った。

突は呆れて憮然としていた。だめだこりゃとかぶりを振って頭をさすりながら寝ている周防を呼んだ。


「起きろよツカさん!いつまで寝てんだ。打ち合わせすっぞ」


周防に突の声は届いていない。

周防は夢の中にいた。そして藤井とともにカラオケ屋で聖戦士ダンバインをデュエットしていた。


「オーラバトラー!!」

周防はいきなり叫んだ。周防を起こしに行った突はうわっ!と驚いてひっくり返った。
周防は寝言で歌を歌っていたのである。


それを聴いたみさおは、クスッと笑って

「まだまだね」

と厳しい判定を下した。

当日の打ち合わせをしながら、みさおは出展していた時の興奮を思い出していた。
何もかも輝いていたあの頃…。あたしの青春。何もかもが…。
遠い記憶、せつない想い。その全てがあそこにはあった。確かにあった。あった気がする。
あったかもしれないような。ないと困るぞ。


「みさおさんって経験者なんだよな?特に説明いらんよね」


タツヲがそう聞くと、みさおはあわてながら、とんでもないことを口走った。

「わっ、わたし、しょっ、初心者です><!!」


さて、もう今週末から始まるらしいがどうなることやら…だな。











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お前らにメッセージ



若さの秘訣かい?

それならギャバンを聴いてくれ。
本日は忙しかったのでこれまで。

では良き週末を!

テーマ : 日記というか、雑記というか…
ジャンル : 日記

マイブーム

信オンが天下夢幻の章にアップグレードされたが、どうにも食指が動かない。
飽きたというより、ネトゲ自体やる気が出ないのである。
とは言え、やる気になったらやるだろう。

そんなわけで、最近ちょっとしたマイブームに時間を割いている。

特撮ヒーローの主題歌の視聴だ。しかしいい時代だね。
なんでもヨウツベにあがっているし、こんなもんもあるのかと驚いたり懐かしがったり。
あっという間に時間はすぎてしまう。

その中で、あれ?これは観た記憶がないなというものがあった。
昔のヒーロものは、歌詞の内容がとにかく正義と勇気。
そして愛と絆と仲間とか。

今では、ダイレクトになかなか言えない日本語が、
素晴らしいメロディラインに乗って僕達の胸をたぎらせたものだ。



しかし…

このサンダーマスクの主題歌は……ない。
つうか歌が下手すぎる。聴いた瞬間これはひどいと口に出してしまった。
しかも曲自体も抑揚があまりなくて、やっつけ感がある。めずらしくひどい歌だ。

逆に印象に残るんだが、これはいくらなんでも素人が歌うよりひどい。
面白いからいいんだけど。それにこんな特撮は観た記憶がない。
当時の静岡では放映されてなかっただけかもしれないが。

これなら藤井さんが歌ったほうが10倍ましだろう。
他の特撮の主題歌は優劣あれど、かなりクォリティが高いんだけどな。
めずらしい作品だ。



さて、ここでたびたび紹介してきた男がいる。
信オン真紅に棲息する三浦という男だ。奴は九州男児ということしかわかってはいない。
奴のあだなは、ミウラーマン。
それを聞くたびに、やはり俺はこの特撮を思い出してしまう。



いまだ!キックを使え、目だ!
いまだ!パンチのチャンス、腹だ!

ミラーマンの歌詞をよくよく考えてみると、キックを使えとか言ってるわりに、目だ!とかおかしくね?
パンチはまぁ、ボディーしなボディーにでわかるんだが。キックで目は狙えねーよ実際。

三浦をみるとミラーマンの顔がどうしても思い浮かんできてしまう。
これは確かにおっさんほいほい。

皆様方も暇なときは特撮の主題歌を聴いてみたらよろしかろう。
結構な御大が作詞作曲していて、これは子どもに聴かせたいと思える内容もかなりある。
特にウルトラマンレオの前期の歌とか、福島原発を止めに行った男達を思い浮かべてしまう。


まったくの余談になるが、2年ほど前から「地球温暖化対策」に伴う業務がかなり多い。
企業間のCO2排出量の取引制度なるキャップ&トレードなど、知らなかった。
CO2排出量規制は、温暖化対策に対して世界でも既に進めている策定である。

俺も今まで意識していなかった環境意識が芽生えてきた。

お前はスティングかー!と言われたら俺は禿げてねーよと言い返す。
まぁー、温暖化による生活レベルでの影響も顕著に出てきているし、
なんとCO2排出量取引制度には税がかかってくる。もちろん、一定規模の企業や事業所にだがこれは我々の収入や物価にも影響がでてくるのだ。
じゃあやはり一人一人の意識も大事だろう。
地球という生命体に毒を垂れ流して生きている人間も少しは考えないと天罰くだる。
天変地異はその贖罪かもな。リュウグウノツカイもやたら見つかるしこれは来るで。


地球が怒っている。
藤井さんも怒っている。
マソはオナニーしている。
みさおさんは息を吐く様に信をする。
かずはは吸い込む様に飯を食う。


俺は…俺は地球のために何ができる。

そうだ!息を吐くのをやめりゃいいんじゃね?
そーよ、そーだわ横浜のよーこ横須賀。


んなこと

できるわけねーだろうよ、べらぼうめ!


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プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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