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侍のいない日本



最近の日本の政情、外交を見ていてちとある信オンの思い出が蘇った。

俺は昔、信オン内である外人二人組に遭遇した。
一人はスティーブと名乗り、もう一人はベンと名乗っていた。

流暢な日本語を操り、初対面なのにやけに馴れ馴れしかった。
国籍はアメリカということだったが、今思えば手慣れたゲーマーのRPだったのかもしれない。

しかし真偽はともかくも、ネトゲ初心者の俺は彼らを外人だと思った。
それはそれでいいのだ。

彼らと知り合ったのは、人が滅多にこない美濃の奥深い山中だった。
奴らはヒノキをスクワットしながら伐採していた俺の横で、二人で周囲会話を始めたのがきっかけだった。

「やぁベン。飽きもせず今日もヒンドゥー・スクワットかい?」

「やぁ、スティーブ。そうなんだよ。おかげで僕の腹筋は虫のように割れてしまったよ」

「おぅベン、それなら僕なんかとっくにお尻がまっぷたつさ!HaHaHa!!」

HaHaHa!!じゃねえ。
つまらないのとうるさいのと、くだらないアメリカンジョークが耳ざわりだった。

場所を変えよう。
俺はそう思い、キャラを動かして移動しようとするとスティーブと呼ばれた奴から声をかけられたんだ。

「ヘイ!YOU。そこのサムライマン。もう伐採は終わりかい?」

いきなりそう言われたので返事に窮してしまった。
おめーらがうぜーから場所変えるんだよ!とはさすがに言えねえ。

「ああ。今日のノルマは達成したからね」

「OH!ファンタスティックだね。ところでどうだい、僕らと少し遊ばないかい?」

「遊ぶ?狩りでもしようっていうのかい」

「YES!高須!同じ場所で伐採したのも何かの縁だろ。えーと、君はジゴク…トツ?ヅキか」

「トツでいいよ。みんなそう呼ぶ」

「じゃあ、トツ。自己紹介といこう。僕はスティーブ、見ての通りマジシャン、陰陽師さ。あっちにいるのは、友人のベン。古くからのゲーム仲間なんだ」

ベンが近づいて来て俺に平伏している。
信には握手という所作がないので、平伏が一番親しみを現す合図と思っているらしい。

「よろしくトツ。ベンだ。鍛冶屋のベン」

「ああ…よろしくお願いします」

それから3人で2〜3体の雑魚狩りを開始した。

いまさら言うまでも無いが、ネットゲームの楽しさは、如何に気のあう友人に出会うか。
これに尽きる。

難儀なクエスト攻略も、合戦における高揚感や満足感、対人大会での勝敗の有無。
それらはすべて、これに帰結する。

楽しい。まだ友人も少なく、野良で狩りばかりしている俺にとってこれほど楽しい時間はなかった。
様々な場所に行き、時には強敵にボコられ、ある時は紙一重で小ボスを倒したり。

チャットをしながら、ネットゲームの楽しさが全て集約したような充実したひとときを味わったんだ。

スティーブはちょっと毒舌でブラックユーモアを交えながら、高い見識をひけらかす。
ベンは冷静沈着でクールな反面、少しドジなところがありユーモアが一杯だ。

俺はちょっとあることが気になって質問をしてみた。

「なあ、お前らって外国人なのになんで信オンなんて始めたんだ?洋ゲーでも、ディアブロとかWOWとかすげえのが色々あるだろうに」

そう聞くとスティーブは一言「SAMURAIだよ」と答えた。

彼らは信オンにサムライを探しに来たと言う。

スティーブは続けて言う。

「今の日本人、ださいよ。短足の上に腰バキしながらアメリカ人の真似して金髪とか、まるでビールをかぶった猿だぜ」

「スティーブの言う通りさ!それらの事実は僕らが腹を抱えて笑うのに十分な事柄さ」

言葉は違っていたが、似たような歯に衣を着せぬ内容をずけずけと言ってくれやがった。

<ほぅ、この野郎ども…。結構言いたい事言ってくれるじゃねえか>

俺もさすがにむっときてしまった。
愛国心やナショナリズムなど、韓国人の毛ほども持ち合わせちゃいねえが、そこまで言われたらさすがに腹もたつ。
やはり俺も日本人なんだな。

「HAHA。怒るなよトツ。だから僕らはここにサムライを探しにきたのさ」

「スティーブ、日本にゃもうサムライなんざいやしねえよ。残念ながらここにもな」


スティーブは狩りをストップさせて、ひと呼吸おいた。

「いやいるよ。サムライはいるさ、なぁベン」

「ああ、絶対いる。だって日本人にはモノノフのDNAが流れてるんだからな」

「お前ら……」


俺は猛烈に感動した。サムライのように気高き魂など、戦後の高度経済成長とともに、ドブに捨ててしまった日本。
しかし、異国の奴らはそれでも尚、日本にサムライの魂が残っていると信じている。
ありがたい。


「トツ。お前も立派なサムライさ」

スティーブはそう言いながら、うなずく所作をする。
ベンもまた同様に頷いている。

これが日米安保条約と言う奴か!
感動しながらアホな勘違いをしていた俺に、スティーブとベンが俺にお辞儀をする。

「THANK YOU SAMURAI!今日はありがとう」

「こちらこそ!またなぁ」


なんと気持ちのいい連中だろう。ここにクラリスがいたら言うことはない。
奴らと別れたあとも心地よい余韻が身体を吹き抜けていく。
たった一日だったが俺たちは親友となった。

SAMURAIか。いいもんだなぁそう呼ばれるの。
馬鹿野郎、やっててよかったぜ侍!


しばらく時が経って、あるゲーマーのブログを発見する。


アメリカ国籍の日本人のネットーゲーム日記だった。
記事はこう書かれている。

私も色々ネットゲームをやってみたが、リアルの事情で引退をする決心をした。
中でも日本のネットゲームにエキサイティングなものがあった…

つらつらと綴られているが、要は引退しますさいならという内容だ。

そこで信長の野望を少しやっていたことがあると書かれている。
烈風鯖で一人の侍プレイヤーに会ったと書かれていた。

これは多分ベンが書いたブログだろう。スティーブはブログなんて書くようなタマじゃない。
俺は懐かしさが込上げて来た。ベン、スティーブも元気なのかと問いかけたくなった。

俺の名前を出して懐かしんでくれている。

ベンよ俺も元気でやってるぜ!でもな……

地獄 尻じゃねえよ。突だよ突!!

コメントに 

尻×
突○

そう書こうと思ったが恥ずかしいから止めておいたよ。
地獄の尻とかしまらねえなぁ、まったく。


侍の国が再び蘇るのはいつのことやら。
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しろくまカフェと藤井さん

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夕暮れのシロクマカフェ。
カウンターに座る常連のペンギンさんとパンダ君。

「パンダ君。信長の野望ってゲーム知ってる?」

「うう〜ん。知らなぁい」

「そう。パンダ君、ネットゲームってやったことある?」

「うう〜ん。ないよ〜」

「そっか」

表情を変えずに今度はシロクマに聞いてみるペンギンさん。
そもそもペンギンの表情などあるのかどうか。

「ねぇ、シロクマ君は知ってる?信長の野望」

「知ってるよ。これでしょ」


そう言って、ジャイアント馬場の真似をするシロクマ。

すかさず「それはアポっ」とつっこむペンギン。

同じような駄洒落を数回続けるシロクマ。もう儀典的な恒例行事。
ペンギンさんはいちいちつっこんであげる優しいペンギンだ。

横で聞いていたアルバイトの笹子さんが口を挟む。

「わたしやった事ありますよ。戦国武将のゲームですよね」

「そうそう。それのオンライン版なんだけどさ」

「ペンギンさん、ゲームやってるのぉ〜?」

笹を食べながらちょっと興味を示したパンダ君。

「うん。友達に誘われてね」

「へぇ〜。まさかペン子さん〜?」

「違うよ。下田の海で知り合った藤井さんって人なんだ」

「それ人類なのぉ?」

「……君、かなり失礼だね。ちょっとエッチだけどすごくいい人間だよ」

「そうなんだぁ」

ムッとして答えるペンギン。しかしペンギンのムッとした表情などわかるわけもない。
天然のパンダ君の言動なのでいつものことだが、呆れるくらい失礼である。
そんなパンダの悪びれない態度にあきらめているペンギンさん。

「それで、その藤井駿河守さんから奨められたんだね」とシロクマ。

シロクマののんびりとおだやかな口調で云われると、とがった心も和んでしまう。


「うん。って、なんでシロクマ君が藤井さんの下の名前まで知ってるの?」

「なんとなく」

静かに微笑むシロクマを見ていると瑣末な事はどうでもよくなってくる。

「…まあいいや。とにかく僕こう見えても戦国時代にはちょっとうるさくてね。やってみようかと思うんだ」

「へぇ。どんな武将が好きなの?」

「そうだねぇ。やっぱり伊達政宗とかかな」

「わたしは九州三国志の大友宗麟とか好きですね」

「笹子さん渋いね」

「わたしも中学生の頃ちょっと嵌って遊んでました(笑)」

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屈託なく笑う笹子の笑顔にいつもののんびりとした時間が過ぎていく。

「早速、ゲーム用のパソコン買わないとなぁ」

ペンギンさんは今からわくわくしている。

「いいね」とシロクマ。


そこでパンダが一言。


「ペンギンさんってマウス、クリックできるのぉ?その手でぇ」


「…………」

のどかな雰囲気が一瞬にして氷河に変わる。
パンダを抜かして全員凍り付く。

ペンギンさんはうつむいていたが、いきなり携帯電話をぴこぴこと操作した。
誰かに電話をかけているようだ。

「もしもーし、藤井さん?どこかにペンギン用のマウスって売ってないかな!」

「あるわけなすwwww」



こうしてペンギンさんの信オンチャレンジは夢と消えたのでありました。

おしまい。


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信On 鍛冶屋物語【冬の終わりに 参】

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娘は部屋に入ると丁寧に指を揃えて平伏した。

「雫(しずく)と申しますぅ」

どこかの武家育ちであるのか挙措(きょそ)に、妙な優雅さが見てとれる。
育ちは関東ではなさそうだった
髪は長く背中に垂らし、眉が黒々して尋常な顔立ちである。

娘は脇に太刀を携えている。
音もなく摺るように前に進むと、忠明の前に無言で太刀を置いた。

「ふむ」

忠明はひとつ唸って刀をとり、鞘を払うと懐紙をくわえて、刀身を障子にかざして見る。
じっくりと鑑た。

斬が見たところ、姿はやや反りが浅く見栄えがあまりよくないように思える。
だが、色は冴えて明るく、武骨で地味ではあるが刀身にあふれてくる気品は圧倒的なものがある。

これが長曽禰虎徹の佩刀(はいとう)、「虎徹」だった。

忠明は、虎徹を鞘におさめ、柄を先にして斬のもとに押しやった。
斬は虎徹を鞘から抜き放って、忠明にならってじっくり鑑ている。

斬は常々、刀剣は殺戮の道具であると思っている。だから嫌いだ。だが、反面、芸術品としての一面も併せ持つことは理解していた。
芸術品であると同時に、厳しく実用品でもある。

そのどちらも有する刀剣の完成系が目の前にあった。
ほれぼれするような出来だった。

「これが虎徹ですか」

「作刀にむらがあるのが、虎徹の欠点だがこれはいい。まさしく逸品だな」

「虎徹は贋作が多いと聞きますから」

斬は、虎徹を鞘におさめて目の前にゆっくりと置いた。
娘は表情を変えずに静かに座している。


「順番が逆になってしまったが、まず紹介しておこう。この娘は長曽禰一族のものだ」

「長曽禰一族!?」

「元々、近江に縁のある酒井様の本家と長曽禰一族とは関ヶ原以来昵懇の間での。この贋作造りを頼まれた時に、現在、長曽禰には祖に追従する後継者がおらぬ。このままでは、長曽禰の名が世から消えてしまう。唯一、天分のある者がひとり一族にいるのだが、まだ若く経験も浅い。それでワシのところにしばらく後学のために置いてくれないかと、切に頼まれたのだ」

「それで虎徹がここに…。しかし女子に刀鍛冶など」

「それよ。祖虎徹は縁者にその秘術を相伝しておらぬ。悉く天分がなかったようだ。虎徹の晩年の杞憂はまさにそこであったろうな」

「この娘にはそれがあると?」

やや困惑した顔で斬が問うと、忠明は一言「ある」と力強く言った。

雫と名乗った娘は、無言で斬を見つめていた。
射抜くような強い眼だった。

まだ十五〜十七に見える。幼いが意志の固さが表情に現れていた。
見られているだけで窮屈な気持ちになってくる。

<なんなんだこの娘は>

この当時の男には例外なく、女卑という意識がある。
どの分野の職人でも、女が職人をやることなど考えられなかった。
あまつさえ、年端もゆかぬ若い娘が刀工などとは戯言にも程があると思った。

「雫よ。これはワシの弟子だった北斗斬という刀工だ」

忠明は、憤懣やるかたなしと言った斬の気をそぐように娘に声をかけた。

娘は再び平伏しながら、ゆっくりと顔をあげて挨拶をする。

「不調法者ですが、よろしゅうお願いいたしますぅ」

近江弁の抑揚でのろのろとしゃべる。

斬はますます馬鹿にされている気分になってきた。
こんな小娘に軽く見られるぐらい、自分の業に自信がないのも苛つきの原因だった。
斬は軽く会釈しただけで、無言で娘を見つめていた。

娘はニコリともしない。何とも可愛げのない女である。
そう言えば、面差しがどことなく前の女房に似ている。
女房も滅多に笑わない女だった。
思い出すと苦いものが込み上げてくる。

要するに気に入らないのである。
こんな小娘が、同じ土俵に立って仕事をするのかと思うとぞっとしない。

忠明は腐る斬の顔をみて困ったように頭を掻いた。

「斬よ。何か言いたそうな顔だが、小事はまず置いておけ。とにかく今は藩の大事だ」

「はぁ…。しかし、贋作がそれとどう関係あるのです?」

「…喧嘩じゃよ」

「喧嘩?」

「酒井様の刀剣道楽は家中でも評判であった。ご自身も確かな見識を持っておられるし、古今東西の名刀を収集しておられる。先頃の試刀会が取り行われた折りに、酒井様が側近のものと刀剣談義に興じていたところ、水を指して来たのが例の村上秀実殿だ。そこで、では天下の名刀と言えばという話になり、それならば虎徹だろうと酒井様は答えた」

「ははぁ、それで…」

「察しのとおり、これに村上殿が、虎徹は100本あったところで、そのどれもが贋作ばかりでまず本物はない。本物を見た事もないのに、どうして虎徹の技倆を語る事ができようと挑発をされてな」

「酒井様はなんと?」

「他ならぬ村上殿に言われては、収まりも着くまい。烈火の如く怒ってならば、次の試刀会までに真の虎徹を見せてやると言い放ってな。その代わりに、家卒全員の前で土下座をして謝罪してもらうぞといきまいたらしい」

「なんとも…」

「まったく、売り言葉に買い言葉での。村上殿はここぞとばかりに、ではそれが適わなかった時には、先の政務報告は我らが先にやらして頂きますぞと交換条件を出して来たのだ」

「なんと!?」

「政務報告は先と後では後のほうが印象は圧倒的に不利になる。村上殿は酒井様のいささか軽卒なふしを見抜いて、揺さぶりをかけてきたのだ」

「藩の政務を刀の真偽如きで…。しかし、では、ここにある虎徹を村上様にお見せすればよいのでは」

「さればよ。この虎徹は、長曽禰にたった一本残っていて奉納されし宝物でな。酒井様が先の事情を話して是非にと所望された折、長曽禰の長が雫に持たせたのだ。しかし…」

忠明は言葉をきって、雫に向かって云った。


「見せてやりなさい」


雫は、こくんと頷くと後ろを向いて着物の帯をほどき始めた。

「なっ…」

斬の動揺など歯牙にもかけずに、するすると帯をほどくと、着物をずらして白い背中をあらわにした。

すると肩甲骨から腰のあたりにまで斜めにうっすら刀疵が見える。
白く小さな背中に痛々しく、這ったような傷が生なましく張りついている。
傷は浅く塞がってはいるが、最近のものだ。

「こりゃぁ…」

斬の思わず洩らした声で、雫の身体がぴくっと動いた。

雫の肩は小さく震えていた。


【続く】

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まずい藤井でふぇいが泣く



ちょっと休んで替歌タイム
引越が終わったらちょっと復帰しようかと
会いたい人が結構いるんだよなぁ

ま、落ち着いたら信で会いましょう

大沢誉志幸はやっぱいいなぁ
アルバム買い直そうかな

彼女には判らない(Why Don't You Know)
歌:大沢誉志幸
作詞:銀色夏生
作曲:大沢誉志幸


Why Don't you Know I Love You?

クエの予定を聞きたがるのも
グラの形をすぐ変えるのも
他のネトゲに興味をもつのも
おかしくもないのに芝生やすのも

You Know I Know
You Know I Know
信を愛してないからだろう

夜更けに募集をかけてくるのも
意味も知らずに指示するクセも
ボッタのわけを言いたがるのも
生産してる?って何度も聞くのも

You Know I Know
You Know I Know
信を 愛してないからだろう

知ってるんだぜ知っているのさ
信のパッチはからまわり
煽りの言葉も教わったとおりさ
ついでに いつも ふぁびょって

「晒した数を 忘れやしない」

Why Don't you Know I Love You?

いつも途中で投げだすクエも
狩りの好みを聞きたがるのも
思わせぶりに所作をするのも
解散まぎわにごねるしぐさも

You Know I Know
You Know I Know
信を 愛してないからだろう
知ってるんだぜ知っているのさ
君はいつでも淋しくて
とてもソロじゃいられやしないのさ
おまけにちょっとメンヘラで

「復帰の時期を 気にしてる」

Why Don't you Know I Love You?

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信On 鍛冶屋物語【冬の終わりに 弐】

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「ときに、お品ちゃんの具合はどうだね」

タバコ盆に火を落としながら、斬の師匠である忠明が聞いた。

白い顎髭を蓄え、髪は真っ白な白髪を後ろで結わいている。
細面の顔には火で炙られた皺が幾重にも重なって、実際の年寄り老いて見える。
小柄だが、数えきれないほどの鉄を鍛えてきた腕は、老いても尚頑強に見える。

刀工名人と言うと、気性は荒く偏屈というのは定説だが、忠明はもの静かで仕事以外のときはいつもニコニコしていた。
こうやって座っていると好々爺の学者に見える。

斬は頭を下げながら、遠慮がちに忠明と目を合わせた。

「へぇ…。最近は少し良いようで、たまに起き上がって縁で陽を浴びたりはしています」

「そうかい。そりゃよかった」

借金をほうぼう頼み込んだが、まるで疫病神のごとく追い払われて、仕方なく師匠の元を訪ねた。
斬はここに来るのが一番心苦しい。

しかし、お品の治療費、炭屋などへの借金でどうにも首が回らない。
二日前の米びつの底が見えたわびしさは、何にも例えようがなかった。

斬は出された茶にも手をつけず神妙な顔をして正座している。

お品が床に伏せってから、忠明のもとに度々金の無心に訪れていたが、既にもう3回目である。
最初の無心は下請けの手間賃の前借りだった。仕事さえすれば何とかはなる。
しかし、最近は数打ちの注文は減る一方で斬に仕事は回ってこなかった。
一方的な借金となり、額もちょっと数を叩いて返せる程度ではなくなっていた。

それでも。
それでも誰かに頼るしか他はない。

親戚もなく、天涯孤独の兄妹である。唯一、身よりのように面倒を見てくれるのは忠明しかいなかった。
忠明もそんな事情をよくわかっており、返済の催促などはしなかった。

忠明は斬をじろりと見て、茶を啜った。

「大殺界だな、斬よ」

「は?」

「やることなすこと、へこみ倒す運気のことさ。占いの世界じゃぁこいつはどうにもならないとある」

「……」


六星占術では言う大殺界とは、何を始めるにも何をやるにもよくないとされる運気のことである。小殺界や中殺界と異なり、3年継続するという。

斬に占いの素養はなかったが、意味はなんとなくわかっていた。


「ま、ヤケにはならないことだ。明けない夜はないと言うしな」

「へぇ…。あんがとさんです」

「でな…。無心の話なんだが、ま、なんとかしよう。それで…ワシからもお前さんにひとつ相談があるんだ」

「は、そりゃもう師匠の頼みなら」

斬は大袈裟に平伏して即諾した。
無心の都合が出来た事で幾分か胸が軽くなったせいもある。


「で、仕事ってぇのは、いくつ叩けばいいんですか」

「いや数打ちじゃない。贋作だよ」

「贋作?それは…」

「虎徹さ。虎鉄の贋作を打つんだよ」

「えっ!」


斬は目を丸くして声をあげた。


虎鉄は現代の鍛冶・研ぎ師が口を揃えて絶賛する名刀である。

長曽禰虎徹の作刀にはあえて「古鉄」と切銘したものもある。
質の高い古鉄を用いて鍛えに心血を注いで生まれる、粘りと硬さ。
それこそが、虎徹を名刀たらしめる所以であった。

斬が驚くのも無理はない。

師匠の忠明のような名人が打つのならまだしも、四方詰めの経験などほとんどない斬には、虎徹ほどの贋作など鍛える自信はなかった。


忠明は、斬の反応を予見していたように一つ咳をして間をとった。

「落ち着け。実はこの注文は筆頭家老である酒井様からの内密の注文なのだ」

「ご家老から!」

「故に信用できる者にしか頼めぬ」

「でも、なんで俺なんかに…。俺より腕のいいものなら、師匠の弟子達だっていくらでも…」

「まぁ聞いてくれ」

忠明は沈痛な面持ちで斬を見ている。
哀しい目だった。

なんでこんな目をするのか。
斬にも、これがただ事ではないことが予測できる。


「我が生実藩は、森川公逝去のあと、藩の実権を廻って2つの派閥が争っている事はお前も存じておるだろう」

「はい。家老の酒井様と年寄の村上様ですね」

「ワシは酒井様より長年のご寵愛を賜り、いっぱしの刀工として名をあげる事ができた。酒井様は刀というものをよく知っていらっしゃる方だ。ワシが今日あるのは酒井様のお目掛と言っても過言ではない」

「……」

「現在、藩にはあらゆる問題が積算しておる。特に財政問題だ。村上派は、藩内の財政逼迫をタテに改革案を押して来ておる」

寛永4年に譜代の森川重政は、上総国・相模国・下総国内においてそれぞれ1万石を与えられて大名となり生実藩を立藩した。重俊はその後、老中にまで栄進したが、昨年の寛永9年1月25日、徳川秀忠に殉死した。
跡目には、長男の森川重政が家督を次ぐ事になったが、年貢負担をめぐっての争論が起きるなど藩が混乱した。

逼迫した財政を立て直すには、大規模な農地改正の改革が必須と推してくる村上派と、まずは知行の見直しと治水工事などに伴う流用金の調べを徹底的に見直しをしようとする酒井派が、敢然と対立していた。

村上派が、強攻に改革案を勧めたい訳は、農地改正に伴い流用金の流れをうやむやにしてしまうことだと噂された。一部では、勘定方を抱き込んでの不正流用を仕組み、工事などに流用される金の一部の上澄みを翳めているとのことである。
事実であれば、藩をあげての大騒動になる。
しかも、家督を引き継いだ矢先のことだし、対立する派閥としても藩の体面を考えると公に問いただす時期ではない。身内の恥を面に晒すようなものだ。このような噂が公に広まりでもしたら、それこそこんな小さな藩など即座に廃されてしまうだろう。

村上派は、それをいいことに極端な改正案を持って来て不正を覆い隠そうというのである。
要は金の流れを隠すにはそれ以上の金を注ぎ込む事業を設ければ良い。
長期的かつ大規模な工事をするには、藩はもう借金をしなければならない。
近隣の藩からの莫大な借り入れによる勘定操作など、改正が行われればどうにでもごまかしはきく。

「まったく許しがたいことだ。武士の風上にも置けん」

師匠の柔和な顔が、皺ととともに鬼のようにつり上がる。

斬は、じっと話を聞いていたがいまいち要領を得ない。
酒井に恩義があるのは十分に理解したが、それが虎徹の贋作とどんな因果があるのか皆目見えて来なかった。


忠明はしゃべり疲れたようで、一息つくと、茶釜から湯をすくって啜った。

「さて…」

真っすぐに斬を見ながら、ぱんぱんと手を慣らして「入っておいで」と戸の向こうに声をかけた。

引き戸がすーっと開いて、若い娘が頭を下げてかしずいている。
顔をあげると、目に強い光を持つ印象的な顔立ちの娘だった。


【続く】




うわー;真面目に書くとめんどくせーな。
内容はごった煮のフィクションなので突っ込まないように。
よろしくお願いします。



↑うたたね用

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信On 鍛冶屋物語【冬の終わりに 壱】

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北斗の斬が表通りを歩いていると、「おい」と声をかけて来たものがいる。
炭屋『吉兆』の親爺 吉兵衛だった。

斬は、力なく笑って「どうも」と会釈をした。

「北斗さん、いい加減溜まってる"ツケ"を支払ってくれませんかね。言いたかないけどね、このままじゃァ鍛冶炭をおさめるどころか、つきあい自体を憚らせて頂くことなりますよ」

「はぁ…」

「あたしだって、あんたのところとは長いつきあいだしね。そんなこたァぁしたくはありませんよ。でもね…あたしだって商売だ。婿養子だし肩身の狭い身なんです。帳簿を見るたび女房が何かとうるさいんですよ」

「あいすみません…。十日ほど待ってもらえれば、何とか半金ぐらいは工面できるかと」

「きっと頼みましたよ。でないとあたしが女房に絞め殺されちまうから」

吉兵衛は首を締める仕草をして、そそくさと川津町のほうに歩いていった。


斬は、刀工の鍛冶屋だった。

鍛冶町にある組屋敷を住まいとし、両親とも既に5年前に他界している。
いまは歳の離れた妹と二人暮らしをしている。

組屋敷とは軽輩が組頭統率のもとに一カ所に住む棟割長屋である。
実態は、住人のほとんどが内職で食いつなぐ貧乏長屋だった。

一軒あたりに必ず2〜30坪の空地がつき、そこで野菜などを作って生活の足しにしていた。
ここを奉公に出ていた頃の親方のツテで借りている。
斬は年季明けが住むと、空地に鍛冶場を設けて仕事場としていた。

貧乏ながらも二十八のとき見合いで所帯を持ったことがある。
しかし、女房は一年ほど前に物狂いで川に身投げをして死んだ。
静かで控えめな女であったが、いきなり夜に飛び出していき翌朝木場の川岸に死体で流れ着いていた。

以来、斬はずっと独り身だった。

斬は刀工になどなりたくはなかった。

生前、親が刀工名人の忠明という者と懇意にしており、強制的に奉公を命じられた。
物心ついた頃から鍛冶場に出入りしていたから、親からは刀造りがよっぽど好きに見えていたのだろう。

十五年奉公した。いっぱしの職人になり、腕を認められてからも、刀造りは嫌だった。
刀はどうつきつめても人を斬るための殺人の道具だ。

心を磨く。魂を磨くなどと侍は建前に言うが、磨くだけなら刀じゃなくてもいいんじゃぁないかとさえ思っている。だが、自分には他に取り柄がないのもわかっていた。
食べるためだけに造る。
親方はそんな斬の性根を見据えていたのか、何年経っても四方詰めの鍛刀法はまかせなかった。


独立してからの斬への注文は、甲伏せ(こうぶせ)の数打ちが基本だった。
仕事は大概は親方の受けで仕事をもらっている。

甲伏せとは、皮鋼(かわがね)を柏餅状に曲げ、その中に心金(しんがね)をいれて包み、火中で熱して鍛着させる方法である。最も簡単な鍛刀の法といえた。

いわば量産型の二流刀だ。楽に日銭を稼ぐ手段であり、有名な刀工ですらその誰もが数打ちを造ったという。
しかし、長光などの名の聞こえた甲伏せならまだしも、斬は世間では名も通らない刀工だった。
手間も安く足下を見られる。材料を買うにもぎりぎりの採算で回しているので、生活はお世辞にも楽ではなかった。最近は、注文もなかなか取れず、炭屋への支払いも滞っていた。


悪い事はかぶさるように降り掛る。
妹のお品が、先月から胸の患いで床に伏せるようになった。

半年前から隣町の大工の若頭との縁談が進んでいた先のことだった。
お品と相手の男は年季奉公が開けたら、一緒になろうと約束を交わしていた。

しかし、お品が胸患いと聞きつけると、相手の親は労咳持ちの娘などとんでもないと、一方的に縁談を断ってきた。
斬は、声を荒げて必ず治るからと説得したが、頑として聞きつけなかった。
若頭の男は姿を見せることなく、縁談はご破算になった。

床に伏せるお品にそのことを告げると、お品は布団の中で静かに泣いた。
布団の端を掴んで、顔を伏せて声を殺して泣いていた。

兄としてどう声をかけてやればいいのかわからなかった。

自分が情けなかった。
やりきれなかった。
たった一人の妹の幸せすら風のように攫っていく運命が憎かった。

ささやかでいい。
平穏で当たり前の日常を望んでいただけのことなのに。

斬は鍛冶場にいても、ただ座ったままで考え込むことが多くなっていった。
傍らの打ち卸した数打ちの一振りが、鈍く光って嗤っているように見えた。


【月曜に続く】

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【あい〜して〜る〜】信On 失恋レストラン19【トーテムポ〜ル】

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ところで、既に突達はハートブレイクカフェにいた。
辿りつくまで紆余曲折あったが、なんとか辿り着いていた。

中は何の変哲もないカフェである。
ギロッポンのハードロック・カフェのように壁に歴代の信オンの要人がパネルになって飾られていた。
何故かチョッチョッリーナの写真も飾られていた。

その中でも目を引いたのは、全鯖屈指の攻略名人、肉饅氏の遺影である。
烈風の一時代を築いた立役者であり功労者だ。

突はパネルを眺めながら、結構イケメンだったんだなと感慨を深め、手をあわせた。
やすらかに…肉饅君。

つーか、肉饅君まだ死んでねーし。鬼やべーし。


「ここが失恋レストランかぁ。何か拍子抜けじゃね」

モモが周りを見回しながら、ぶぅぶぅと悪たれる。
3LDKほどの間取りにカウンターと客席をあわせると20人ほどで満席となる造りだ。

店内は白く明るいトーンで清潔なイメージで整えられている。
テーブルと椅子は檜造りで、どことなく暖かみを感じさせた。

確かに…普通といえば普通すぎる。

しかし、もう夕暮れの時間帯に客は突達だけであった。
どっからどう考えても罠である。
事前に俺らのことは報告が入ってるだろう。

さて…ここからどう動くかだな。
突がそう考えていると、水を運んで来たウェイトレスを見ながら、源が涎をたらさんばかりだ。

胸がでかい。アンナミラーズばりの制服が余計にそのふくらみを強調している。
こりゃ、若い奴にはたまらない。

「あ、あの娘の乳!腰!尻!最高じゃね?最高じゃね?」

まるで繁殖期の犬か猫のように顔を紅潮させてきょどっている。

「うむ…。確かにいい胸の形だな。ありゃぁ…C-87といったところか。あとは髪型がポニテだったらモアベターなんだが…」

突もあいづちを打ちながら、品定めをするようにウェイトレスを目で追っている。
まったくどうしようもない。

「な?な?いいよなあの娘。っくしょう…。なんとかならねえかなぁ」

抑えきれないとばかりに源が身をよじる。
今にも腰をカックンカックンさせて、お猿の篭屋を歌わんばかりだ。

「源はまだまだ性春時代だのう。ワシは胸より足だがな」

「乳…。あの乳いいなぁ…。揉みテェなあ…」

ウェイトレスの全身を舐めるように見つめる源の姿は既に性犯罪者だ。
2年も禁欲していたのだから、気持ちはわからないでもないが、いま目の前のおっぱいがあったら、源は飢えた猛獣のようにむしゃぶりつくことだろう。

モモが呆れ顔で口を挟む。

「うむじゃねえって!あんたらさぁ…今は乳よりもふぇい姉さんを助けることが先決だろう。いい加減にしなよ!」

「そうだそうだバカヤロー!いい加減にしろよテメーラ」

己の事を棚にあげながら突が源の頭をひっぱじいた。


「いてっ!てめー上等だコラ!!」

巨乳のウエイトレスに見とれていた源は、いきなり頭をひっぱじかれた、我に返って突につっかかっていく。


「おおっ?やんのかエロガキ。5杪でミンチにしてやんよ!」

「目上だと思ってら大人しくしてりゃつけあがりやがって…。この老害ジジイ、いい加減、忍耐も根性も品切れだぜ!!」

「上等だ!!!ピストン小僧!歌舞伎町のPマシンで叩き出した155kgの鬼ヤバイ伝説の拳をくらってみるか!?」


睨み合う両者。モモと秋山は、やれやれと言った感じで気にもかけず、オーダシートを見ている。

突と源が取っ組み合いの戯れ合いをしていると、ウエイトレスがあわてて駆けつけて来た。

「あの…お客さま。申し訳ございませんが…店内ではお静かにお願いします…」

争いの場に慣れていないのか、ウエイトレスの娘は、遠慮がちに二人をたしなめた。
怯えた目でもじもじしている。
タイトスカートから、かもしかのようにのびる形のいい足が小刻みに震えていた。
小動物のような可愛さだ。まるでリス。シマリスのように可愛い娘だ。
娘のネームプレートには、嶋子と書いてあった。

突と源は顔を見合わせて、お互い胸ぐらを掴んでいた手をぱっと離した。

すると突はいきなり娘の手を取って、馴れ馴れしく声をかけた。

「君可愛いねぇ。バイト何時で上がるの?その後、飲みにでもいかない?」

思うに、おっさんの若い子への軟派ほど見苦しいものはない。
呆然として見ていた源は、胸くそ悪くなって突に後ろから蹴りをいれた。


蹴られたケツを押さえながら、ゆっくりと源に向き直った。


「いてぇな…コラ。人の恋路を邪魔するとは、野暮ガキはまじでいわされんとわかんねーらしい」

「糞ジジイのヘタクソな軟派を見せられて余裕こけるほど人間できてねーんだよ」

数秒お互いが無言で睨み合った。

ドンッ!と周囲に気が満ちる。
さすがにこれはまじである。まじと書いて真剣。恋敵とかいてライバル。
ランバ・ラルとかけて年齢35歳。
えっ!あれどうみても50歳のオヤジだろう!!とまぁそれはどうでもいい。

とにかく、先ほどまでの戯れ合った緩い空気ではない。
殺気だ。重く膨れ上がった殺気が二人の間に広がっていく。

突は長脇差を抜いて顔のやや右に位置させて、切っ先を上に向けている。
左足を前に出して構え八双に構えた。
突がこの型を愛用するのは、上段への繋ぎが楽だからである。
切り返しの繋ぎの剣速では、若い者には劣ってしまうためだ。

源は軽く腰を落として居合い撃ちの構えをとっている。
怪談レストランのギャルソンをまっぷたつに切り裂いた閃光のような速さの抜刀術。
剣速での勝負では絶対の自信を持っている。
先を取れば打ち合いでまず負けることはない。

これを見てさすがに、秋山とモモが腰をあげて止めようとする。

「おいおい。二人ともまじぎれでやりあうなんざ愚の骨頂だぜよ」

「ちょっ、突さんも源さんも少し落ち着きなよ」


そんな二人の声も聞こえずといった風で二人の間合いが少しずつ縮まっていく。
ウエイトレスは膝をがくがく震わせながら、おろおろしていた。

「いくぜガキ」

「こいやおっさん」

一瞬にして二人の間合いが0になる。

ガキィン!と耳に高音の斬撃が飛び込んで来た。
その斬撃の行方はお互いの身体ではなく、なんと横で見ていたウエイトレスに向かっていた。

「ぐぬっ」

「むぅっ」

突と源の一閃は、ウエイトレスを刺し貫いたかに見えたが、剣の先にはウエイトレスの姿は無い。

上方に飛び上がった影。
その影は宙高く飛び上がり、二人の斬撃を紙一重でかわしている。
先ほどの金属音は、突と源の剣が、目標の一点に向かって互いに交差した音だった。


先ほどのウエイトレスの衣裳と変わり、クノ一装束の女が立っている。
なんとも、露出度の高い装束で、涼やかな眼で微笑んでいる。

「アホづら下げた、べーすけコンビかと思ったら…。なかなかやるわねぇ。いつから気がついてたのかしら」

突と源はウエイトレスの殺気を見抜いて、ひと芝居打ったというわけだ。
モモと秋山もしかり。

二人が本気でやりあおうもんなら大事である。モモがすかさず呪縛で止めているだろう。

クノイチは、感心したようにヒューと口を鳴らした。
女の口元の左にある泣きぼくろが、艶っぽさを際立たせている。
豊満な身体に片目を隠した長いさらりとした前髪。栗色に輝く髪は反射によって金色に光る。
恐ろしく綺麗な女だ、しかしこれだけ綺麗だと大概の男は気後れする。
綺麗な薔薇にはなんとやら。女郎蜘蛛という形容があるが、まさに綺麗な男食いの蜘蛛であった。
歳は20代後半に見える。

秋山は女を見て、ほうけたようにため息をついた。

「可憐じゃ…」

カリオストロの五右衛門かお前は。
女にやけた秋山の顔はさすがに形容しがたく無様である。

「水を運んできた時にな。わずかな殺気が残ってたからな。それより…」

突はその女に興味なさそうに頭を掻きながら、肘で源をつついた。

「源よ…。どうだいこれ。ごっつお前のストライクじゃねえのか」

しかし、意外なことに源はかぶりを振ってダメだしをする。

「あかん─。もう10年若けりゃしゃぶってもええがのう。これ、若作りしたおばさんやん。チェンジや」

そう言って、源は鼻で笑った。


この瞬間、源は世界中のおばさんを敵にまわしたことになる。
考えるだけで恐ろしい。
総じて若い頃は、己の最大の特権である若さという剣を大上段に振りかざすものだ。
老いは誰でもやってくるというのに。

突はさすがにクノイチが気の毒になって声をかけようとした。

「あ…あのな姉さん…こいつは」

クノ一は突の慰めを振り払うように無言で微笑んでいる。
先ほどの笑顔とは異質の菩薩のような微笑みだ。
そして氷が突き刺さるような冷えきった声で語りだした。

「私は懲罰倫理委員会、実行部隊の一人、オラシオンセイスの照前露間絵(テルマエ・ロマエ)と申すもの…。あなた方を殺せとは親方である半蔵様からは命じられてはいません。しかし…」

クノイチの姿は消えて、気がつくと背後をとられた源が、懐剣の切っ先を喉元にピタリと押し当てられている。

「真意はなるべく殺すな…と言うことです。死ぬのはそっちの勝手ですしね」

源はピクリとも動かない。いや動けない。
少しでも動けば、懐剣の切っ先は確実に喉元をかっさばくだろう。

源は、股間のモノを掴まれて、顔をクノイチに舐められている。
長く赤い舌が蛇のようにくねくねと源の頬を這っている。

「あたしはねぇ…。あんたみたいな若い子って嫌いじゃないの。んふふふ…。でも口には気をつけないと死んじゃうゾォ…」

そう言って源のモノを一層強く握りしめた。
突もさすがに動けない。それにこのクノイチは相当の手練だ。
あの斬撃を交わしたことといい、容易く源の後ろをとるとは。

源は真っ青になった。細かい汗が額に浮かんでいる。

「わ、わ、わかったわかった。失言でした。反省してまーす。わたし謝る。あなた、素敵、綺麗、可愛い、ビューティホー、エクセレント、シンガポール、カムチャッカ!トーテムポール!これほんと!ほんとのこと!!」

源は、怪しい中国人口調でわけのわからない事を適当にならべまくって謝罪をした。
切っ先が更に喉に食い込んだように見える。

源は尚も続ける。

「いやまじで!まじまじ、おおまじで!!姉さんの、その妖艶な色気で俺のトーテームポールもビンビンだし!鬼やべーし!チン○ビンビン物語っすよぉ!!」


さすがに空気が固まった。
レッズ、ミヤビと寒いギャグを飛ばす伝説の男達を見て来たがこれはひどい。
セクハラを超えている…。


モモと秋山は、こりゃ死んだなと思った。

突は頼むから死んでくれと思った。

クノイチがそれを聞いて顔を真っ赤にして震えている。
相当怒ってるようである。そりゃそうだ。


「ぷっ!あーっはっはっはぁ!」

クノイチは源の喉元から懐剣を離して、腹を押さえて大笑いをしている。

「馬鹿じゃないのー、何よそれ…。あはっ、あははっ…ビンビン物語って!バーカ」

女が爆笑している…。なんとツボだったのかあれが。

こうやって女はおちてくんだよなあ…。
突はため息をついて力を抜いた。
全身から緊張感が抜けて疲労がおしよせる。

けらけらと笑っているクノイチは、まるで少女のように可愛らしかった。
やはり女は笑ったほうが可愛いというのは定説だ。笑う女はいくつになっても可愛いものだ。


源は急死に一生とばかりに首をさすりながら安堵した。

「ふぅ……」

源は3人に向かって親指を出して片目をつむる。

「な?」

な?じゃねえだろ……」

呆れた奴だ。

突と秋山とモモ。

3人は揃って「頼むから源を殺してくれ」と切に願っていた。

「チッ!」

無事な源を見ながら、3人は舌打ちをしながら座り直す。

源はそんな3人の心中など委細かまわず、あのクノ一とどこで一発決めようかとそれしか考えていなかった。

クノイチは、笑い終わると態度を改めて「大変失礼しました。ただ今、親方様に会って頂きます故」
そう言うと一礼して、源に軽くウィンクをして奥に下がっていった。
どうやら源は気に入られたらしい。

「ゲッツ!」とダンディ坂野のパフォーマンスを真似る。
3人はうつむきながら「死ね!師ねじゃなくて死ね!!」と心の中で反芻している。

秋山は面白くなさそうに、出されたアイスコーヒーをがぶりと飲む。
ブラックで飲むアイスコーヒーは苦手だが、今の秋山にはちょうどよかった。

とにかく服部半蔵だ。徳川忍軍をたばねる戦国の雄。
突も会うのは初めてだった。

徳川がこの一件に絡んでるとなると…。
相当根深そうだなこりゃあ。

そう考えながら、何か忘れているような気がしていた。
大事な何かを。

もちろん、
ふぇいの心配など1mmもしていなかったのは言うまでも無い。

【続く】

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【山ふぇいふぇい】信On 失恋レストラン18【大いに吼える】

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固まった集団の中から一人の娘が進み出て来た。

娘はまだ、あどけない少年のような顔立ちで黒い瞳に怯えが見える。
つぼみのような口を震わせながら、ふぇいの顔をじっと見据えていた。

「あの…もしかして、ふぇいふぇいさんですか?あの特攻一番槍の」

「ええまぁ。あたしが、そのふぇいふぇいで間違いはないけれど…何であたしの名を?」

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↑ふぇい:画像はイメージです。念のため

そう聞いた途端、娘の顔に赤みが差し、後ろに固まっている集団とともに手を取り合って喜んでいる。

「どうしたってのさ一体…」

ふぇいは合点がいかぬ様子で、娘たちを見た。

娘たちは、安心したらしくふぇいの周りによってきた。
どの娘にも安堵の表情が見える。

「ふぇいさんって綺麗…」

「ううん。可愛い!」

「けっこう胸があるんですねえ。えいっ」

娘達はパンダのふぇいふぇいのようにものめずらしく検分している。
中には身体に無遠慮に触ってくるものもいた。
よほど心細かったのだろう。

ふぇいは烈風時代からその悪名だけではなく、名は天下に轟いていた。
雑賀時代は、問答無用のご意見番のカリスマとして多くの信望を集めている。
その反面、他国からの誹謗中傷の誹りを一斉に浴びていた。
しかし、そんなものはどこ吹く風と真っ向から受けてたった。

いつしか、ふぇいは烈風のアイアン・メイデンと呼ばれ、その地位を確立していったのである。
烈風新聞にも、連日名前がでないことはなかった。

「ふぇいたんがやって来る!ふぇい、ふぇい、ふぇい!」とキャッチコピーのついた見出し記事では、未曾有のブログ対決として、他国プレイヤーとの一騎打ちも報じられ、数ある烈風の歴史にもその名を刻んで、殿堂入りを果たしている。
いわば生ける伝説となっていた。

そんなふぇいが現れて、もしかしたらと娘達ははしゃいでいたのかもしれない。
暗くじめっとした地下牢で、娘達はふぇいを救世主でも見るかのように眼を輝かせている。
笑顔で擦り寄ってくる娘達は皆それぞれ愛らしく可愛かった。

しかし、今の状況はその娘達と何ら変わらない。
ふぇいは、囚われたただの女だった。

「やっ;ちょっとやめておくれよ。あたしは動物園のパンダじゃないんだから!」

ふぇいがそう叫んでも聞いてはいない。
これはさすがに鬱陶しい。
ツボに触れられて、「やっ、あんっ」などと色っぽい声が出てしまった。
しかし、そっちのほうの趣味は無い。ボーイズ・ラブは読むけれど百合とか勘弁、無理無理超無理。
次第にはだけていく、胸元を抑えて、もうやめてと怒号する。

衣類は作務衣から町娘などが身に付けている、普通の着物に着せ変えられていた。
誰が着せ替えたのか。それすら恥ずかし悔しい。恥辱の怒りがこみ上げてくる。

ふぇいは、まとわりつく娘達を振り払って、暗い牢の隅に移動しようとすると先客がいた。
群がってきた娘達とは違い、静かに眼をつむって瞑想をしている。

若武者のように髪を後ろで縛り、鉢巻をつけている。
衣服は何故か浴衣であった。

「あら、あなたは…」

ふぇいがそう言うと、その娘は静かに眼を開けてふぇいを見ている。
面長の顔立ちにややきつめの切れ長の眉だが、印象はふんわかと丸い。
娘はにこりと微笑むと、頭をぺこりと下げた。

つられて、ふぇいも軽く会釈をする。
はっと、はだけた足や胸元に気がついて、衣服を整えて髪を掻き揚げた。
娘の律とした姿勢がふぇいの身を引き締める。

「ふぇいさんですね。突さんから噂はかねがね…」

娘が丁寧な口調で挨拶をした。鈴の音が転がるような声だ。

「あれまぁ…あなた、とっつあんの知り合い?」

「こくり(´-ω-`)」

「ってことは、武田なのね」

「こくり。武田の双剣士。霧島清音と申します。(=゚ω゚)ノコーン」

「……おかしな娘。やっぱ、とっつあんの知り合いだけあるよ」

くすくす笑いながら清音と名乗る娘の頭をなでた。
少し身をすくめて、気持ち良さそうに頭をふる。
まるで犬か猫のようだった。

清音は口をふくらまして反駁する。

「あの人と一緒にしないでください〜。もぐもぐ(○'ω'○)」

「そういやあたしも聞いたことある…。あなた、確かコロッケとかいう巫女と仲良しさんでしょ」

「こくこく(`・ω・´) でも、葵さんは今いませんけどね」

「とにかく…。ここはあの教団の地下牢なんでしょ?なんでアンタ達はここに…」

「しゅん…。話せば長いことながら…○(´・ω・`) 」


清音が話し出すと、先ほどまでの華やいでいた空気は一変して、他の娘達のすすりなく声が聞こえる。

清音は趣味のお稲荷廻りをしている最中に捕まってここに連れて来られたらしい。
あとの娘は、彼氏とレストランで食事をしていたら、急に睡魔が襲って来て気がついたらここだったということだ。

あたしがやられたあれか…。

清音はともかく、5人の娘達はレストランの優待券をもらって招待されたカップル達だった。
その彼氏を思い出しながら、名前を連呼して泣き伏せる娘もいる。
彼氏がその後どうなったかは皆目わからない。

しかし、あのカロッェリアとかいう糞野郎が言っていたことが気になる。

「超・能力因子」って何のことだろう。
それをあたしが有している?有しているからどうだというのだ。

ここに捕らえられた娘達もそれを有しているのだろうか。それって一体、それって日テレ。
どれくらい眠っていたのだろう。
身体が重く、少し頭痛がした。地下牢の冷たく固い床のせいで背中も痛かった。

聞けば娘達は連れて来られてから三日は経っているらしい。
与えられるのは、日に三度の水と食料。厠は牢の奥に扉がひとつあり、そこが厠らしかった。
夏とはいえ、陽もささない地下の薄暗さは冷気さえ感じる。

とにかく武器などの装備は全て剥ぎ取られているし、どうにもしようがない。

「どうにかしてここへ抜け出さないと…」

清音にしても脱出するために何か方法がないかをさんざん考えたと言う。
しかし四方を石で固められ出口は一つ。あとは奥壁に小さな格子窓があるくらいだ。
まさに八方ふさがりである。

どうする。
どうなる。どうなっちゃう。

もしかしたら、このままだと陵辱されながら拷問を受けるのかもしれない。

怖い。

どうしようもなく怖かった。

やだやだ!絶対やだ!!
あんな奴らに汚されるくらいなら舌を噛み切って死んでやる。
そう考える自然と身体が固くなりおぞけが走る。

清音がふぇいを見て心配そうに背中をさする。

「こん…。ふぇいさん、震えてるんですか?」

「し、心配ないよ。必ずあいつらが助けにきてくれるはずさ。きっとね…」

清音の手を取りながら、力なく微笑んだ。
眼をつむると仲間達の顔が浮かんで来る。

突、モモ、秋山。

彼らは今どうしているのだろう。

きっと、あたしを探して血眼になってるはず。間違いない。
なんだかんだでやる時はやる男達だ。

ふぇいの脳裏に彼らとともにあった日常が浮かぶ。
しかし、そのどれもが到底頼もしく、ピンチに駆けつけてくれるような素行は皆無だった。

考えてみれば、女をみすみす攫われるような奴らだ。
まったくあてにはならない。どうにもならない。情けない。

かよわい女ひとりさえ守れないふにゃちん野郎どもに一片の期待をすること自体が不毛である。
無事にここを出られたら、全員金玉を握りつぶしてぎゃふんと言わせてやる。

ふぇいは、そんなわけのわからない怒りがこみ上げて来た。

「……来て…くんないかもしれない…わね」

そうつぶやきながら肩を落とした。

「きゃうん。所詮、突さん達ですからねぇ…。期待はできません」

清音は膝を抱えるふぇいの肩を気の毒そうに抱いてなだめた。

ふぇいは、己を鼓舞した。
ここであきらめたら、ふぇいふぇいの名がすたる。
あてにならないへたれを待つほど、のんびりはしていられない。
やれることはやってみよう。そう考えた。

囚われている娘は全部で6人。ふぇいをいれると7人だ。
ふぇいを娘と数えるかは別にして娘7人で徒党が組める。

よし!やってみよう。
ここをみんなで脱出だ。

すっくと立ち上がって、くるくる回ると両拳に力を溜めて
「あーーーーーーーーーーーーっ!!!」っと大きな声で咆哮した。

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地下牢全体に大音響が響き渡る。

清音を含む娘達は飛び上がって驚いた。

叫び終わった、ふぇいは何かを確信したように「よしっ」と拳を握る。


その頃、教団の備品室のある一角から青白い光が放たれていた。
ふぇいから剥ぎ取った束帯が棚に置かれている。

その束帯から、発振器の光が漏れているのである。

しかし、ふぇいは教団に囚われ、突達は懲罰倫理委員会の有するカフェを目指している。
突は発信器によってふぇいの位置を特定できると豪語していたが、果たして本当にふぇいを救い出せるのだろうか。
そして、当初の目的であったタッチャマソの本体を救いだすはずだったのだが、当の本人はアップル教団内部で女の尻をおっかけている。それすらも突達はいまだ知らない。

アップル教団と懲罰倫理委員会。相対する二つの組織と裏でうごめく公儀の陰謀。
そしてタッチャマソの陰茎を巻き込んで、物語は更なる混沌へと加速する。

そして、書いてる本人もどうオチがつくのかわからないのであった。
唯一わかっているのは、ふぇいが誰かとちゅっちゅっするということである。

藤井さんよ、夏休みは終わりだ!


【続く】


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信On SS番外編 願太編【冤罪?有罪?もうお終い! PART.2】

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居場所は自分で創るものだと人は言う。
僕はそうは思わない。
居場所など人である限りないどこにもないのだ。
居場所を探すよりネグラを探すほうが人生は有意義だろう。
だって人生の半分以上は寝て過ごすのだから。

ニシ・ン・ジョー 2012



その日の願太は忙しかった。

高レベルの陰陽はこの時代はスターだ。
もてる。超もてる。
パプアニューギニアにいる妖怪モテモテだ。
侍もそれなりにもてたが、やはり華は陰陽だ。
特に火力の高い火陰陽、煉獄陰陽がもてた。

願太がその時、火陰陽だったか知る由もない。当人ももう忘れていることだろう。
丹などももちろんバラ持ちである。5輪丹すら当然ない時代だ。
属性丹と強壮丹を持てるだけもって狩りをする。
古き良き時代だった。

狩人2丹、その後は上野屋敷で1丹。
フリーの陰陽であればすぐさま対話が飛んで来る。

まだ若く体力・気力が充実していたあの日々。
休日などは、狩人連続5丹なども経験した。

さすがに疲れるがそれでも心地の良い疲労感がある。
狩りをしながら初めて徒党を組む人と、知人登録をしたり雑談をしたり。
MMO RPGにおいてレベルが上がりにくいというのは、プレイヤーのモチベーションを持続させるカンフル剤だ。

今ではあまりにもチープにレベルがあがる措置が施され、レベルの価値観が損なわれている気がする。
それも時代の趨勢か。それとも単に老いたのか。

ともあれ願太のMMOライフはバラ色だ。

たわいのないことでも喜びに繋がる。
丹がキレて狩りの終わりを告げる党首。

「では道中お気をつけて。またよろしくお願いします」

党首が慇懃に挨拶をして解散のコールをする。


陰陽は移動スピードの上がる技能があるからいいのだが、侍鍛冶などは行進がないと鈍足な時代だ。
早馬もない時代だ。神に行進をかけてもらいえっさかほいと移動する。
市もないので神足薬などなかなか手に入らない。

ともあれ、今日も狩りが終わってそんな充実感を味わえた一日だった。


甲府に戻って来ると、いきなり対話がきた。


武田の知人であるリアル女性プレイヤーからだ。
ここではあえて、桜子(仮名)としておこう。

桜子は噂ではリアルでもかなりの美人であるとの情報があった。
既にオフ会などもやっていたプレイヤーも多い。
別の知人がそのオフで桜子の印象を願太に教えてくれていた。

「願太さん、こんにちわ〜」

「こんにちわ桜子ちゃん^^」

どうという関係でもなく、ただの仲の良い知人同士だ。
特別な感情はない。しかし女性プレイヤーでリア美ちゃん。

ここで希代の色事師タッチャマソなら、こんな美味しい獲物は見逃さない。
BGMにDURAN DURANの「美しき獲物」のテーマが流れ、まさにハンターの眼をした肉食獣になるはずだ。
しかし、それすらRPの彼にはベタッとしたいやらしさは無い。
小学生がスカートをめくる感覚で下ネタを連発するのだ。


願太はもちろん、タッチャマソのようにはじけるキャラではない。
下ネタ話には加わっても、セクハラまがいのことは口にしない。

……しないと思う。しなかったはずだ。しなかったよな願ちゃん。

桜子がしばらく間を置いてまた対話をしてきた。

「願太さん、あのね、ちょっとね…」

何か言いにくそうに、言葉を切る。


「ん?な〜に?何かあるの」

「えとねぇ、少し聞いてもらいたいことがあるんだけど…」

「なになに?何か相談ごとかな」

「うん…実はね」


願太はよくこのような相談事を持ち込まれる事が多い。
キャラ的にほのぼのというか、のんびりというか、せかせかしていないのだ。
当時、武田には夫婦プレイヤーが数多くいた。

その嫁方と話す機会も多く、仲のいいのは旦那より嫁のほうだった。
つまりは主婦の井戸端につきあうスキルに長けていた。

その時、桜子が彼氏か旦那もちであったかは願太にはわからない。
しかし、プレイヤーのあいだでも相当もててたらしいと噂はあった。

あっちの話だろうなぁどうせ。

そんな事を考えながら、願太は話を聞いてやる事にした。

話はこうである。

野良の狩人徒党で知り合ったプレイヤーからしつこく対話が来て困っている。
メアド交換しようとかオフをやろうとか。
頼みもしないのに、ドロップアイテムを押し付けてきて、インするとすぐに対話がくるという。
徒党内でうかつにリアルを話してしまったのが、いけなかったと悔やんでいた。

早い話がストーカまがいのプレイヤーに粘着されているということである。
ピシッとはねつけられれば問題もないのだが、桜子は気が大人しく、きついことは面と向かっては言えないらしい。

願太は、それなら俺がその男にビシッと言ってやるよと気合いをいれた。
男、願太。ここで立たねば何とする。女の涙は男の傷み。
守ってあげようあなたの笑顔。

そんな臭い事を言ったかどうかはわからない。
わからないが、人肌ぬごうと思った願太は次の日に行動にでる。

桜子に静電気のようにまとわりつくストーカーの名前を聞き出し、対話を入れた。

「かくかくしかじか、それぞれだから、今後彼女に関るのはやめてもらえないかな」

できるだけ丁寧に抑えて告げた。そのストーカーの名前をここでは、照山としておこう。
照山は侍だった。この当時、侍と陰陽のカップルはかなり多かった気がする。
狩人で仲良くなり、あれよと言う間に相思相愛カップル一丁上がりってなもんである。
侍の照山と桜子は数週間前に、狩人徒党で一緒になり、しばらく固定のように共に狩りをしていたという。

照山が願太からの対話を受けて静かに言う。

「あの…。それ桜子さんから言われたんですか?」

「そうです。本人からです」

「…そうですか。仲の良い知人だと思って面倒を見ようと思っていたんですが…ありがた迷惑だったようですねえ。わかりました。今後桜子さんには一切関りません」

「えっ、あ…まぁそうしてもらえると助かります。誤解なのかもしれませんが本人が怖がってるもので」

「いえ。私も慣れ慣れしかったのかもしれません。では、あなたも…いやいいんです。失礼します」


願太は対話を終えてためいきをついた。
話した感じでは、照山は至極まっとうなプレイヤーである。

もしかしたら桜子が、過剰に反応しすぎているのかもしれない。
でも、犯罪者って外づらはいいのもいるからなぁ。
ああは言ってたけど、もしかしたらエスカレートした行動にでるかもしれない。

とにかく、少し様子を見てみよう。
一抹の不安は残るが、それでも重い荷物を軽減できたようには思う。

何より、怯えている女性の不安を軽くしてあげられた事に悦びを感じた。

早速、桜子に対話して事の仔細を話すと、桜子は喜びを隠さずに何度も願太に礼を言った。

その一件から、願太と桜子は急速に仲良くなった。
恋人関係などではないが、お互いの杞憂などを遠慮なく相談できる間柄になっていた。
知人から友人になったのである。

あれから数週間経ったが、特に照山から対話があったとは聞いていない。
接触することを完全に止めたのだろう。
思えば、桜子の多少の勘違いだったのかもしれないが、それでもかなりしつこかったのかもしれない。

うざいと感じるならまだしも、恐怖を与えてしまうような接し方はやはり問題がある。
照山も悪気は無かったのだろうが、あまりに急ぎすぎたのかもしれない。

「不器用だったんだなあ。気の毒に」

そう思えば、照山を少し可哀想に想う気分になる。
勝手に知人登録をして警戒をしていたが、ここ一ヶ月はイン率も少なく、週末にちらほらインしているぐらいだった。


とにかく、結果はオーライで桜子も毎日安心してインしている。
願太は桜子のインを確認すると、まっさきに対話をいれて色々と状況を確認していた。

平穏な日々が流れていく。
桜子を雑談をしていると、オフの話も出て「いつか会いたいねー」とかも言ってくれている。

そんな日が来るのを楽しみに、願太は信ライフを満喫していた。


ある日のこと。


願太が例によって軒先にぼーっと突っ立っていると、知人達が目の前を通りすぎる。
所作を送って挨拶をするが、誰も答えてくれない。

「あれ?」

いつもならすぐさま所作や対話が来るのに。

生産ギルドの仲間や、部隊会話などでも顔見知りは多いのだが、その日を境に願太は知人から対話や所作がこなくなった。

桜子などに対話を送っても、「いま忙しいのごめんね」とか言われてチャットもできない。
来るのは野良からのお誘い対話ぐらいだ。

「俺、何かしたかなぁ…」

願太には理由がさっぱりわからない。何が何やらわからない。
知人との対話のない日が続いた。

気のせいか、突っ立っている願太を避けるように知人が通りすぎていく。
願太はこれほど孤独を感じた事はなかった。

新宿の雑踏に一人立って、そこには誰も知り合いがいないという感覚。
大衆の中の孤独。
人が多いほど孤独を感じる。絶対的な孤独。
居場所がない。

人は悲しいから泣くのではない。さみしいから泣くのである
どうしようもなくさみしくて人は泣く。

願太は、今まで一人だと想ったことはなかった。
生産徒党、狩り、クエ、雑談。それをとっても誰か傍らにいたし、孤独を感じる暇などなかった。

一体何故。

なんでこうなったんだろう。考えてもわからない。
願太は泣きたくなった。いや…既に心が泣いていた。

願太は両替前に突っ立って、雑踏の中で必死に答えを探していた。
次第に気分は暗くなっていく。

しかし、ある知人からその理由を知ることができた。


理由は、

桜子に願太がしつこくつきまとっている

という噂が広がっているというのだ。

「願ちゃん、やめなよストーカーは」

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↑想いもかけない事実に驚く願太


冗談まじりにそう言われたが、洒落にならない。笑えない。
毎日僕眠れない。愛せない。

「はぁ??」

わけがわからない。

おいおい。なんだそれは。ストーカーの相談を受けてそれを解消してやったのはあるが、なんで俺がストーカー扱いされとるねん。

意味がわからない。
しかも、話の出所は桜子本人だという。

ますます意味不明である。
知人ではなくもう友人と言ってもいいはずの関係だし、無理にオフやろうとかメアド教えてとか言った記憶もないのだが。

桜子に直接問いただしたかったが、最近はインしていない。

ただ、噂は甲府中に広がっている。Tウイルスをばらまかれたスターズの気持ちが少しわかった気がする。
ストーカー願太。
そんな噂が広がって、願太は孤立無縁となった。やってないと言っても桜子本人から誤解を解いてもらわんと意味が無い。

願太は途方に暮れた。日清のカップヌードルを食いながら思案にくれるが、肝心の本人がいないのではどうしようもない。

いっそ紹介文に書こうか。

僕はストーカーじゃありません。ふぉっふぉっふぉっ。



だめだ…。ギャグをかましている場合じゃあない。
言い訳の上塗りなど無意味すぎる。

「まいったなぁ…;」

しかし、なんであの桜子が自分のことをストーカー呼ばわりするんだろう。
話していてもそんな素振りはまったくなかったし、こちらもしつっこく対話などした覚えもない。
ただ、その後どうだいと心配して対話をいれていたくらいだが…。

はっ!


願太はこの時、気がついた。

照山が会話の最後にいいかけた言葉。

「では、あなたも…」
確かにそう言っていた。照山はこのことを想定して言っていたのかも知れない。

ということは……。


数日経って、昔馴染みの知人でもある竜(仮名)から対話がきた。
夫婦で信をやっており、願太とは夫婦両方とも懇意にしてる知人である。


「願太さんおひさぁ」

「あ、竜さんおさあ!最近みなかったね」

「いや、ちょこちょこ入っていたんだけどね。ちょっと信内で色々あってね」

「色々か。こっちももうなんか大変だよ;」

「ああ、聞いてる聞いてる。ストーカー扱いされてるってことね」

「うん…;」

「それさぁ。俺もやられたんだよ」

「えっ!?竜さんも?」

「実はさ…」



竜が桜子に相談を受けたのは2週間ほど前だ。
願太がしつこく対話してくるので困っている。何とかならないだろうかという内容だった。


「おおいーー!なんだそれ…」

願太が悲鳴のような声をあげる。チャットだが表示フォントに意志がこもっていた。

「だろ?…だから俺はそんなことはないとしつこく言ったわけよ。あんたの勘違いだってね」

「ありがたや;竜さん」

「で、商売柄、説得して納得させるってのは慣れてるから、その後も説得してたわけよ。そしたらさ…」

「ストーカー扱いですかw」

「それがさぁ、うちの嫁に相談してきたんだよ、桜子の奴(爆。夫婦だってこと教えてなかったからさ」

「うはっ」

「そんで嫁が怒ってさぁ、旦那から聞いてるけどあんたおかしいんじゃないの!とぴしゃりさ」

「うへぇ〜」

「自意識過剰すぎるのと、メンヘラだったんだなぁ。ちょっとやばいねあの人。素行がみんなにばれたから引っかかる人ももういないだろうけど」

「そうだったのか…」

「願ちゃんの冤罪はもう晴れてるよ。それ以来、桜子はインしてないみたい。聞いてみると、他にも被害者がいて相談に乗った奴かたっぱしからストーカー扱いしてたらしいね」

「……」

「ま、触らぬメンヘラに祟りなしってことで。俺も嫁がいなかったらどうなってたことか(笑」

竜はカラカラと笑うと、約束があるからと狩りにでかけていった。

結局、あの桜子とのチャットはなんだったのだろう。
人のためによかれと思ってやった結果がこれか。

オンラインには様々な人種が往来する。
その中には悪意を持って人と接する輩も少なくない。

また、こちらの好意が必ずしも相手の益に繋がるとは限らない。
過ぎたるは及ばざるが如しだが、この場合はちょっと特殊であろう。

精神的に病んでいる人に対しての過剰な接触は、己のためにも本人のためにもならないということだ。

こうして願太は、はからずも、知人のトラブルがきっかけで冤罪を解くことができた。
桜子はその日から姿を消したと言う。


酒を飲みながら、願ちゃんは笑いながらそう語ってくれた。
私も大いに笑った。

なんてことのない、MMOの日常を切り取った話ではあるが、
こんなオムニバスストーリーがいくつもあるんだろうなと思った。

それこそあなたにも、私にも。

だからこそオンラインは面白い。
人がそこにいるのだから。

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【終】

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信On SS番外編 願太編【冤罪?有罪?もうお終い! PART.1】

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誤解なのか悪意なのか。
どちらも人を貶める因果を有するのだ。
そして人生すら奪う事も。
愛は惜しみなく奪う。そしてそれらは二度と戻ることはない。

サ・ド・センセー 2012



だいぶ前に地元の酒屋で、願太という信の友人からある事実を聞いた。
聞き終わった時にこれは使える!と確信をした。
その話をいつか書いてみようと思っていたがなかなかその機会はなく。

残念ながら、私はこの事件があった当時は武田に在籍していない。
武田を出奔して北条に留学中だったと思う。
かといって、武田に在籍していても願ちゃんと知り合っていたかはわからない。

触らぬ神にたたりなし。抜けてく髪にアデランスという教訓にもなりえる話だ。
げに恐ろしきは自意識過剰。そして猜疑心溢れる闇の声。

これはそんな戦国の闇に翻弄された一人の男の物語である。


信On SS番外編 願太編


今日も甲府の両替は、プレイヤー達の喧騒で賑わっている。
願太はいつものようにボーッと両替を出た軒先で突っ立っていた。

まだ入って5分も立っていない。そのうちお声がかかるだろう。
この時代の陰陽は皆そう思ってたに違いない。

願太は昨日の忍者は面白かったなと、徒党で一緒になった一人の忍者を思い出していた。

いきなり対話で
「あ、すいません。忍者ですいません。よろしかったら狩人とかご一緒できませんか、すいません」

妙にへりくだっている人だった。
面白そうだからついて行ってみたが、さすがに陰陽2だと火力で一掃するには厳しく、かなり効率の悪い狩りになった。それでも願太は効率主義には無頓着で、適当に遊べればいいやと思っている。

元来、のんびり屋なので非効率な戦闘も対して苦にはならない。
狩りが終わったあと、忍者がしきりに謝っていたのが印象的だった。

「またあんな人から対話こないかなー」

そう思いながら、モニターを見つめている。
時間が早いので知人欄のランプはまだ点灯しないほうが多かった。


この時、時代はまだ無印。初期である。
プレイヤー達はこぞって、レベル上げや四神クエストなどに精を出していた信オンの黎明期であった。
青龍の叩き合いで一日キャンプなんざざらだった。
今では考えられもしない非効率なクエである。

とにかく、この時代の陰陽は総じてレベルが上がるのが早い。
上野屋敷や狩人でメキメキとレベルが上がっていくからである。
戦闘行動は至って単純作業である。

開幕に3〜5人の陰陽が術の準備をして、侍が一緒をする次のターンで敵を一掃。
これを延々と繰り返すのだが、他の敵と違って金も経験値も効率もすさまじくよかった。

後にイザ狩りという美味い狩場もできるが、それはまだかなり先のことである。

狩人狩りは単純作業でも楽しかった。レベルがあがっていくのもさることながら、技能の習得もどんどん上がるし、狩りによって友人も増える。
そこそこ強い敵なので多少の緊張感もあるし、他徒党との取り合いになることもあった。

レベル30以上であれば、インした瞬間に対話が飛んで来ることなど普通であった。
陰陽達は、あまりの対話攻勢に匿名にするものも少なくなかった。

なにせ、青出しをしてないどころか、狩りやクエの最中だろうと関係なく対話が飛んで来るわけだ。
さすがに煩わしいことこの上もない。
その裏では泣いてる職も多い。

特化がまだない時代だ。僧、鍛冶屋、忍者などは狩人狩りなどにはなかなか誘われない。
侍・陰陽・神・薬などはレベルがあがるのが早い。
まだレベル至上主義の時代で付与なども50のものなど身に付けているものはまずいなかった。
レベルをあげれば強くなる。MMOの基本だが、とにかくシンプルだったのである。

願太は自ら徒党を作ることもしたが、大概は誘われて徒党に入るのが常だった。
生産ギルドに属して、そこそこ知人もいる。

もちろん、レベルも既に40近い陰陽なので、クエや狩りにと誘われることも多かった。

誰でもそうだが、誰かに誘ってもらったり、頼りにされるのは悪い気分ではない。
しかも、まだまだ発展途上の世界である。

願太は毎日が新鮮で楽しかった。
毎日が輝いて見えた。

もちろん
リアルが輝いていたかどうかはわからないが。

とにかく願太は、いつまでもこんな楽しい時間が終わらなければいいなと思っていた。



あの事件が起きるまでは。


そう、

忌まわしいあの事件が起きるまでは…。


【続きは月曜日】



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信On SS番外編 不動かずは編【ギルドトラブル PART.2】

【ギルドトラブル PART.2】

あれ以来、かずはは信にはインしていない。
初めてネットゲームが怖いと思った。

ぼーっと深夜テレビを観ていると、アニメのエンディングが流れて歌詞が耳に入って来る。

あの娘のこと気に入らない 嘘つき猫かぶり八方美人♪

耳に残るフレーズはまるで、あの女性からの罵倒そのものに聞こえる。
声に出して言われるより文字だけのほうが、感情が見えないぶん、はるかに辛辣に胸に突き刺さる。

今までの楽しい時間が、薄っぺらく色を失ったモノトーンの風景に感じられる。
膝を抱えてうつむいて考えるが、思考がまとまらない。

かずはは本来、誰かを妬むという感情は極めて薄い。
ただただ、純粋に楽しく遊びたいだけだった。

戦国という仮想空間に身を置いて、仲間達と縦横無尽にただ遊びたかった。それだけである。
リーダーに関しては、多少の恋心はあったことは認める。しかし、望むものはべたべたした関係じゃなくあくまでもネット内で完結するものである。

なんでこうなっちゃうのかなぁ。

そう考えると、どこまでも負の思考は螺旋を描きながら泥土に飲まれていくような気がした。

例の女性は、かずはに罵倒を浴びせたあと、無言で落ちた。
リーダーは「何だありゃ…」と言っただけで、聞いていた施設員も特にフォローはなかった。

そもそも、あの暴言がかずはに向けられたものであることも理解していないのかもしれない。
じゃ、俺たちだけでクエに行くかと誘われたが、さすがにそんな気分にもなれない。

もう落ちるからと体よく断ってかずはも落ちた。
次の日からかずははインをしなくなった。
もう一週間が過ぎている。

「なんか、リアルと同じでめんどいなぁ…」

学生時代も同じ事があった気がする。
ぶっちゃけ、ただの痴話喧嘩のようなものだが、あの頃はまだ学生である。
子どもだったあの頃と、今とは感じ方も考え方もやはり変わっている。

リアルで言葉を吐き出さない分、胸に溜まるもやもやした鬱屈は次第に大きくなっていく。

得てして真面目すぎる人は自律神経失調症になりやすいものだが、かずははネトゲをやるには純粋すぎたのである。周囲にベテランの友人でもいれば相談もできようが、ネトゲ関連で住んでいる地域の近くに友人などいなかった。


仕方ないので飼っている愛犬に問いかけてみる。
だが、犬はめんどくさそうに一言吠えただけであった。
いわゆる、人間同士の痴情の諍いなど、犬も食ワンといったところ。

しかし、さすがにこのままずっとインしないのも自分に負けているようで嫌だった。
普通ならここで辞めてしまおうと考える人もいるのだが、かずはは見た目以上にしぶとい。

後日、かずは夜の11時頃にインをした。

施設会話に入ると、いつもの挨拶が施設員から飛んで来る。
ドキドキしながら、女性の名前を検索してみたが知人欄は黒いままだった。

しばらくすると、リーダーが来た。

「おぅ、ひさしぶりー」

いつもの調子でリーダが挨拶をする。
かずはは少し安心して、リーダーに対話を送った。

「対話でごめんね。この前の○○さんのことだけど…」

「あ、あーあれねぇ。実は次の日にちょっと話し合ったんだけどさ…」

「うん」

「そろそろ、みんなにばらせとか五月蝿くてさ…。実は俺たち同棲してんだよ」

「えっ…!?」

「いや、何か言い出しづらくてさ…。もう1年前からだからいまさら照れくさいというか」

「…じゃぁ、単純に○○さんの嫉妬で死ねとか言われたわけ?同棲してるくせに」

「まぁ、多少メンヘラ入ってるからなぁ。今も別キャラでガンガン対話きてるし」

「………」

「そういうわけだから、ごめんな。迷惑かけて。あいつにはよく言ってきかせとくから」

「……うん」


同棲してる女性は、仕事が変わって勤務態勢に伴い、信をやる時間が激減したという。
信内で知り合ったカップルなので、女性のほうはリーダーの博愛主義的な優しさが気が気ではない。

特に女性には面倒見がいいので、仕事のストレスもたまって家ではかなりイライラしているという。
そこへ持って来て、かずはの出現により、完全に自分のポジションを奪われた女性は、拗ねてあんな暴言を吐いたのだという。


かずはは一気に興が醒めていくのを感じた。
結局、リーダーがペットのように可愛がってたものに嫉妬した女が、そのストレスをぶつけてきただけである。
いい迷惑だった。

私設員もそれはわかっていたらしく、そのまま放置していたが、せめて事情を話してくれても…。
わかっていたら、それなりの距離感を取って遊んでいたはずだし、女性=リーダーの彼女とも険悪にならずに済んだかもしれないのに…。
それとも、彼女のほうは、二人の関係を知っていてわたしが略奪愛にはしっていると考えたのかしら。

かずはは今まで信頼していたものが一気に瓦解していくのを感じた。
風にさらされ崩れ落ちる砂の城。
その粒砂のひとつひとつが、大切な思い出であったはずなのに、何も価値が無い塵になっていく。

かずはは人を信じられなくなった。

それ以降、私設でのかずはの居場所は無くなった気がしていた。
クエに誘われても、雑談していても楽しくはない。リーダーの彼女は姿を見せたと思うと何も言わずに落ちていく。リーダーと行動することもほとんど無くなり、自然と野良で活動することが多くなった。

結局、しばらくしてかずはは私設を抜けた。
もう、あんな思いはこりごりだった。
どこかの組織に属するということは、壁を作ってガラス越しに人と話すような気がする。
しかしそれができないと、また同じ事が起きるだろう。
覚えの無い誤解や嫉みはもううんざりだった。

かずははネットゲームを通して人と繋がりたかったのである。
クエや合戦などのコンテンツも面白いが、やはり人と繋がるのが面白かった。

今は人を信じるのが怖かった。
裏切られるのが怖かった。
距離を縮めるのが怖かった。

だからソロで活動した。他の私設からも誘いがあったが、やんわりと断っていた。
怖かったのである。


私、地獄突がかずはと出会ったのはそんな頃である。
ある時、私は後ろから声をかけられた。

なんだと思って振り向くと、不動かずはという女性キャラが立っている。
同じ武田だったので、見覚えはあったが、不動の性は結構多くて誰が誰だか印象にない。

声をかけられた内容は、いまはもうさだかではない。
というより、なんで話しかけられたのかも記憶にない。

何かのきっかけで、色々と話すようになった。
能天気と何を言われてもめげないしぶとさはさすが九州女を感じさせる。

もう烈風の時代は終わり真紅に統合された頃に、一門の話が出た。

「かずは、お前どこか一門って決まってるのか」

「決まってない〜」

「ふむ。じゃあこっちの一門に来るかよ」

「う〜ん、一門はちょっとなぁ。考えておく」


このことが、きっかけとなり、私はかずはのトラウマを知ることとなった。

ギルド内は多くなれば多くなるほど一枚岩ではありえない。軍隊ではないからだ。
それぞれの考え方があり、組織によって考える人、個を尊重するもの。
遊び方もそれぞれだ。

しかし、一番困るのは男女間のトラブルである。うまくいっているときはいいが、一端こじれると組織事壊滅させるような爆弾にもなりうる。別に男だけ女だけでも、そーいうことは起こりえるのだが、それはまあいい。

私は、かずはのトラウマを聞きだした後、妙にひっかかっていた違和感の理由を知ることが出来た。
微妙に距離を詰める事を怖がっているし、どこか話をしていてもぎこちない壁がある。

俺が、わー!おっぱいー!!とかいつも言ってるからか?
それとも、「俺の夢はチチカカ湖」とか言っていたからだろうか。

こいつ、まさか俺を変態と思っているんじゃないだろうな…。そう考えてもみた。

いや、そんなことよりもっと深い何かが、かずはの深層心理に陰を落としている。
頑なに心をとざしているのは俺が変態だからじゃないはずだ。間違いない。


「誰かを信じるって辛いよね。裏切られたら辛いもん」

そう言ってさみしそうな顔をするかずはの心は重い。
人を信じるのが怖くなったら、そりゃ辛いだろう。


「お前も…色々苦労してんだなぁ…だがよ」

「ん?」

「やーい仲間はずれ!ばーかばーか」

「ムカッ」


「ネトゲごときで深刻ぶってんじゃねぇ。ハロワいけ!」

「ハロワは人が多いのょ!溢れかえってるんだから!!」

「しらねーよ」


かずはは、私の小学生のような煽りに憤慨しながらも胸のつっかえをすっかり話してくれた。
そして幾分かすっきりしたようだった。

しばらくしてから、かずはは他の一門とかけもちで悠久一門に加わった。

そして現在に至るわけだ。
かずはは今ではすっかり骨太いプレイヤーになり、鋼鉄乙女になっている。

思ったより相当しぶとい奴だった。

私としては、最初の頃の可愛げのあるキャラのほうがよかったのではないかと思えるが、戦国を生き抜くにはしたたかに、そしてしぶとくなければ生きられない。優しくなければ生きる価値はない。

かずはは、積重なってゆく経験によって人を信じて許していくことを学んだ。
そして忘れる事も学んだ。

これからも、かずはは仮想戦国の世を自由自在に飛び回っていくことだろう。
どんなに辛くても哀しくても、そこにはやはり繋がりが待っているのだから。

組織の中で起こりうるトラブルは、なにもかずはだけではなく誰にでも起こりうるものだ。
不満や欺瞞、そして誤解。
もちろんそれだけではない。いい事も悪い事も当然ある。

だがそれがいい。

【終】

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トラブルとは、次に備えるチャンスである。
それにどう向き合うかで人の価値は決まる。戦国の乙女達よ。しぶとくあれ。

フジー・ スルー・ガノカミ 2012

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信On SS番外編 不動かずは編【ギルドトラブル PART.1】

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我々は仮想空間において一人とて欠けることなく、同じ列車に乗っている。
途中で降りることは許されない。
列車の外は暗く深い精神の泥土なのだから。

ガガー・レイ 2012




【ギルドトラブル PART.1】


「うざい。死ねばいいのに」

かずはは、一瞬何を言われたのかわからなかった。

わからなかったが、それは確実に自分に向けられた悪意だ。

<死ねってどーいうことぉ…>


かずは急速に心が冷えていくのを感じていた。

信長の野望オンライン。略して信オン。もっと略してノボンと呼ぶ。

わけねー。

冗談はさておき、
これは、信オンという仮想戦国空間の愛憎のカルマに巻き込まれた一人の女性プレイヤーの物語である。
つまりは君たちの物語だ。


私設内でのチャット会話。
この私設には5〜6名のプレイヤーが常駐しているが、チャット会話は活発なほうではない。
私設のリーダーは、仕事の都合でいたりいなかったり。

私設自体も積極的なクエスト攻略はあまりしていない。
私設員の大半がだべり目的でインしてくる社会人プレイヤーである。

かずはは数ヶ月前、リーダーに誘われて私設員となった。
下世話な話ではあるが、ネトゲにおいて女性プレイヤーは貴重だ。
多くのネットゲームのプレイヤー8割は男性で占められているからだ。
今時では女性のネットゲーマーも少なくはないが、それでもほとんどは男であると思ったほうがよい。
西武門さんは男だよほんとだよ。


ともあれ、その2割に満たないリアル女性を廻って、これまで幾多の問題や争いが起きている。
あるプレイヤーは既婚者であるにも関らず、節操なく数人の女性プレイヤーと関係を持つ。

また、あるプレイヤーは想いが強すぎてストーカまがいの行動を起こす。
恋愛の形は人それぞれだ。オンラインで出会いなんざありえないと云う人も少なくない。

しかし…昨今のネットワークインフラが堅牢になってきた現在では、出会う場所がどこであれ、リアルもオンラインも境目はないような気もする。
もちろん危険も多いわけだ。フェイスブックによって自己のパーソナルデータが全世界に流出して、人生を狂わされた人、ソーシャルメディアでの口論により命を奪われた人。

ネットに慣れた人であれば、ある程度の防御壁、つまり一定の距離をとり、自分の立ち位置を決める。
リアル女性は、あえて男キャラを使ってゲーム内での軟派の予防線をはっている人も少なくない。

だが、かずははこの時はオンライン初心者であった。
にっちもさっちもどうにもブルドック状態で危険のレベルもわからない。

当然、オンライン上の容姿や人格は、リアルにも相対すると信じ込んでいた。


「狩りに行こうか」

優しくて強く頼りがいのある人。そんな男に女はよよよとなびく。これは古今東西どこでも同じ。
ネットゲーム内でそんなプレイヤーは数多く、相手が女性とわかると態度もコロッと変える。コロコロコミックまだあった。


まぁね。……俺がそうだ。

あれ?そうだっけかなー。そうじゃないようなそうだったような…。
とにかく俺はホモじゃねえしな。正常な男だったら女を好きなのは当たり前だよな。
だって、俺は男が好きなんだって宣言したらやべぇじゃん。
というか、必死になって否定してると変な誤解を受けそうなのでこのへんでやめとこう。
まぁこれでいいのだ。明日もやるのだ。


とにかく、女はいつだって白馬の王子様に憧れるわけ。
アンソニーは馬から落ちて死ぬっつーのにさ。
あんたのせいよアンソニーが死んだのは!とイライザみたいにブルーデイの更年期障害にならないようにご注意あれ。


かずはも例外ではない。
いや、かずはというより、ネトゲにはまった人には誰しも起こりうる状況だ。

かずははリーダーと知り合って、色々教えてもらった。
狩りにいき、アイテムをもらい、時にはリアルの悩みを相談したり。
仮想空間の甘美な蜜は麻薬と一緒だ。
当然、精神的な絆も出来てくる。憧れもいつしか偏頗な愛情にすり替わり、恋に恋する5秒前だ。
尊敬、羨望、傾倒、そして愛情。これはテストに出すから暗記をしなさい皆の衆。

かくして仮想空間のネトゲ乙女は現実の相手を夢想する。
キャラと同様、強くて優しくて頼りがいがあって背が高くて高年収で顔はもこみちで。もっこりだったら喜一だね。
そんなんないよないない、あるわけないだろお富さんといっても、恋する乙女に何を言っても無駄無駄無駄ぁ!

しまいにゃ、「やだ、この人。やきもち妬いてるの?ふふふ」とか、わけのわからない勘違いをし始める奴もいる。ぐぁーっつ、頭がかっとびそうだぜおっかさんと怒髪天をついて、そのありえない幻想をぶち壊そうとするが、恋する乙女にゃ適わない。
頭元気かお前はまじでと言いたいが、疲れるのでほっておく。

確かにリアルの旦那や恋人など、言ってもくれない。言うはずが無い。
浮いた台詞を現実で言葉にしてくれるはずもなく。
キャッツキャッうふふと「愛してる」。歯が浮く火がつく腰が浮く。やだぁばかんと乙女の吐息。
そんな磨き上げた妄想のキャラからかけてもらうと、身も心も私とあなたはラビリンス。

これが、二人だけの世界なら何ら問題もないのだが、そうは問屋が卸さない。
卸さないったら卸さない。


かずはの所属する私設は1年ほど前に、リーダーが立ち上げたものである。
10名ぐらいの知人達と集まって作った、いわばよくある身内のギルドだ。

最近入ったかずはは、もちろん新参者であるが、やたらに男受けはよかった。
天然ボケと従来の明るい性格がネトゲ内でも功を奏し、マスコット的に可愛がられていた。

かずははこの私設が好きだった。
みんな親切で楽しい人ばかりだ。

オンラインゲームって楽しいな。
かずはは仮想現実の戦国生活を謳歌していた。

しかし、ものごとには陽があれば陰もある。
当たる光が強ければ、影もまたそれだけ暗くなる。


そのかずはの様子を、怨嫉の暗い炎で見つめる眼があったのだ。

私設にはかずは以外の女性もいた。
噂ではリーダーの彼女ということであったが、リーダーは否定していた。


かずははいつもそのリーダーといた。
だが、そのかずはのポジションにはもともと、以前から所属していたもう一人の女性のものだった。

その女性は、リアル事情でイン率が少なくなり、インしても軽い依頼をこなしてチャットして落ちてゆくようになった。
以前はリーダーとはいつも一緒にクエなどをこなしていたらしい。チャットもまるで夫婦や恋人のような感じで、仲睦まじい公認のような二人であったと言う。

女性のイン率が減ってからもリーダーは、その女性を誘って時間の限られた中でクエや攻略をやっていたようだ。
女性もリーダーのそんな対応を憎からず思っていたに違いない。
恋愛感情が芽生えても至極当然のことではある。

しかし、かずはが私設に来てからというもの、リーダーは女性が対話で挨拶しても「いまボス中」とか「やぁ」という素っ気ない返事しかしなくなった。

いない人より、いる人が大事というのは仕方ないことだ。
リアルで知っているわけでもなく、特定の深い関係でもないのだから。

しかし、人の嫉妬というものはそうは割り切れない。
しかも女性の場合はそれが男に向かうものではなく、相手の女に向かうもの。
これは小泉八雲の説話集にも載っている。

かといって、かずはとその女性が仲が悪かったかと云うとそういうわけでもない。
むしろ仲は良かった。
私設に入った頃はだが。

ゲーム内のわからないことを色々教えてくれたり、技能の相談にのってくれたりと、優しいお姉さんといった感じだったのだ。


その女性が嫉妬の牙を剥き出しにして、かずはに暴言を吐いたのである。

「死ねばいいのに」

仲良しこよしの私設であればふざけあって、こんな暴言も飛び出すのはよくあることだ。
しかし、その前の会話からあからさまにかずはに刺をぶつけてきている。

11時頃にインしてきたその女性は、挨拶をしてしばらく無言で放置していた。

私設には常駐しているいつもの顔ぶれがいるが、それぞれクエや生産をしながらつぶやくが聞き流す程度の会話。
いつもの日常である。

しばらくして、リーダーがかずはと、先日のクエについて楽しそうに会話をしだしたのだが、私設員の古参の一人が、相当暇らしく二人の会話に絡んできた。

「リーダーとかずはちゃんもすっかり夫婦プレイヤーだな!」

「え〜〜!あたしなんかリーダーに相手にされてないもん」

「はっはっはっ!妬くな妬くなw」

そんな雑談をしながら、今日のクエはどこにいこうかと算段していると、例の女性プレイヤーがいきなり口を開いた。


「たまには、かずはちゃんばっかりじゃなくてわたしも構ってよーリーダー」

スカイプじゃないのでニュアンスは分からないがフォント4で甘えてくる。
もちろん、かずはは気にもならず逆に面白がっているだけだ。

リーダーは、その女性に対して遠慮しながら提案をした。

「う〜〜ん;遊んでやりたいんだけど、お前最近すぐ落ちちゃうしなぁ…。簡単なクエしか手伝ってやれないぞ」

「それでもいいよー。遊んでー」

「じゃぁ藤岡屋のクエで特務をやるか…えーと、かずはも終わってないだろ?」

「終わってないけど、いいよぅ。たまには二人で行って来て!」

「いや、人は多いほどいいしさ」

遠慮し合いながら、リーダーとかずははじゃれあってなかなか目的地がさだまらない。

「じゃあ、○○に行くところを決めてもらうか」

決めかねたリーダーは、最後に女性に振ってみた。
そんなやりとりを聞いていたその女性は、いきなりキレた。


「もういいよ。行かない」

「えっ?」

リーダーはびっくりして、どうして?と聞く。

「かずはちゃんと行ってくれば?どうせあたしお邪魔虫だし」

「はぁ?お前が行こうって言ったんだろ。なんだよそれ…」

リーダーも、女性のキレ具合に多少いらついている。
自分が原因だということがわかってないようだ。

かずはは、わけもわからずきょとんとしていた。

「えっ、○○さんどうしたのぉ?なにか怒ってる?」

その瞬間、女性は決定的な一言を言い放った。

「うざい。死ねばいいのに」

言葉は時に鋭い剣となり、人の心を突き刺すものだ。
チャット文字にニュアンスを込めるのは不可能だが、伝わる雰囲気というものは大概わかる。

この暴言に私設内が凍り付いた。

冗談で言ったのではないということはわかる。
問題はそれが誰に向けられているか、だ。

間違いなくかずはだった。

真っ白になった頭。震える手で必死に次の言葉を打とうとするが、何を言っていいのかわからない。
いきなりかずはの心に刺さった剣は、これからのネトゲライフに暗い湿った影を落とすには十分だったのである。


【続く】

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【ベッドで彼は】信On 失恋レストラン17【ディーンドライブ・フォックスハウンド】

その頃マソは教団内部の機関誌を制作していた。
マソはこう見えてもいっぱしのクリエイターだった。

甲斐の屋台で傷心のマソが酔っぱらいながらクダを巻いていたのを、教団の広報担当社がなだめて話を聞いてやったところ、職はグラデザ全般だという。
ちょうど教団の機関誌を創刊しようと企画していたところにマソがいたわけだ。

それならと、腕を見込まれてマソは教団内部の広報部に所属することとなった。
他にも、名刺や事務書類、タテ看、ポスターから教団のHP制作に至るまで担当している。

「インデザインはバージョンダウンを一気にできないからめんどいにゃあ…。ほんとADOBEは糞としかいいようがにゃい!」

ぶつぶつ言いながら作業をしている。
広報室の奥の端の席だが、居心地は悪くない。

しかも、広報の制作担当のもう一人は女性である。しかも、ものすごいエロい美女だ。
B92 W61 H87 独身の24歳。気になるフェイスは竹内結子くりそつ。しかも仕事もできて広報室の実質ナンバー2である。
マソとしては失恋もふっとぶテンションギガギガだ。ふぇいのことなど脳裏から消し飛んでいる。

女性の名前は「漆原カテナチオ麗子」。セカンドネームにカテナチオとついているのは、イタリアサッカーの難攻不落の戦術よろしく、とにかく身持ちがガチ固いところからあだ名としてつけられていた。

鉄壁のカテ子。
マソはカテ子に首っ丈だった。

「マソさん、ちょっと」

カテ子が呼んでいる。
昨今はフェイスウェアと呼ばれるファッション眼鏡をかけて、スリットの入ったタイトスカート。流れるような長い黒髪を後ろで一本にしばり、白い品のいいブラウスからちらちらと除く丸くごっついふくらみは、マソの妄想を痴漢者トーマスなみに暴走させた。


「へ、は、はい!なんでやしょう」

キリッとした理知的な目がマソを睨む。
カテ子がこのような態度のときは小言と相場は決まっていた。
勿論、マソのほうが歳は上だがカテ子は委細構わず厳しい叱責をする。

しかしそれがマソには何とも言えない桃源郷である。
生きている。これこそが、生の実感をなし得るマソの絶対的な瞬間であった。


「マソさん…。何回も云わせないで!こんなお粗末なレイアウトじゃ、倫理懲罰委員会の広報誌どころか藤岡屋の瓦版にも勝てないわよ!!」

「はぁ…。すんマソん」

「…。真面目に聞いてる?今は一番大事なときなの。我々アップル教団が織田や武田を出し抜いていよいよ天下取りに名乗りをあげる時なのよ。しっかりやってくれないと、あたし泣いちゃうわよ!いいの?あたしが泣いたら大変なんだから」

「はぁ…。しゅんマソん」

マソは目尻を下げてカテ子の胸元を凝視しながら、刺のように鋭い叱咤を柳の如く受け流している。
その態度がカテ子のイライラを加速させるのだ。

「ああ〜〜〜っ;!もうイライラするわねっ。もういいわ、さっさとリテイクよろしく!!」

「了解であります!」

なんだかんだ言っても可愛いので、いくら罵倒されようがマソにはどこ吹く風だ。
というより、わざと手を抜いて彼女を困らせているようだ。
そんな彼女を見てマソはますます悦にいるのである。

実は教団に来た初日に、マソはカテ子に手を出した。
いや正確には手を出そうと思った。

ます尻を触ろうとした。
が、その刹那、コピー機にある壁の向こうまで蹴り飛ばされたのである。
マソはこう見えてもベテランの域のプレイヤーである。決して弱くはない。
そこそこ修羅場も何度も経験してきている。

しかし、カテ子の動きが稲妻のように早くて見えないのである。
一度くらいでめげるマソではない。

「おっぱいっ!!」

またしても、つかみかかろうとしたマソを、今度は資料棚のある奥の部屋まではじき飛ばしていた。
何回やっても同じことだった。掴む前に消えている。

マソはボロボロになりながら、尚もカテ子に挑んだ。
結果は同じである。マソは薄れゆく意識の中でカテ子が叫ぶスキル名を聞いた。

「ディーンドライブ・フォックスハウンド!」

疾風のスキルで常人の10倍の早さで移動攻撃を可能にするエクストラスキルだ。
全身フルボッコにされながらも挑みかかるマソ。

さすがにカテ子も鬱陶しくなってきた。

「しぶといわね…。山田さん、もうあきらめたら?」

「お、俺は…山田じゃねぇ…。タッチャ…マソ…だ。ガクリ」

気を失いながらもパンツ見えないかなとしぶとく夢想するマソ。
大した奴だ。

その一件以来、マソはカテ子に手を出すことはなくなった。
が、カテ子も根性だけはあるようだと一応は認めてくれたらしい。

マソは拳を固めて一人思う。

「カテ子たん。きっとぼくちんがモノにしてみせるからね」

突と同じく、きっと幸せにしてあげるからねと云わないところが、この男の人間性であった。


マソが教団でキャッキャウフフしている頃、ふぇいは教団内部の地下牢獄で惰眠をむさぼっていた。

しかし、ベテランプレイヤーなのに2回も不覚をとるとは何事であろう。
ふぇいも老いたのだろうか。そういえば、信を始めたころは18歳とまことしやかな噂が流れたものだが…。

暗い地下牢では、音を闇に奪われたかのように物音ひとつしなかった。
ふぇいは、教団ナンバー2のカロッェリアにより、眠り薬によって地下牢に閉じ込められていた。
地下牢は石作りの頑健な扉で閉じられている。

牢内は、意外に広い。そこには数名がちじこまって隅に固まっていた。

「う、う〜〜ん」

ふぇいが寝返りをうって呻く。
ようやく薬の効果が切れてきたようだ。

うっすらと眼を開けると、顔が3つ4つ…。

自分を覗き込んでいる顔があった。
ふぇいは、それに気がついて飛び起きる。

「なっ、なになに!なんなの!?」

ふぇいの狼狽ぶりに驚いたのか、覗き込んでいた者達は牢の隅に鼠のように逃げて固まった。
黒い塊を見るとそれはみんな年頃の若い娘である。
眼に怯えの色が見える。ふぇいを見て娘達はがたがた震えていた。

「な、なによこれ…。一体この教団は何をしているのよ;」

ふぇいは、初めてこの状況に恐怖と戦慄を覚えた。
心の中で仲間に助けを求めながら。




──その頃、突は

「ふ菓子うめぇー」

暢気に持っていたふ菓子を食っていた。

【続く】

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【池田の源】信On 失恋レストラン16【暴かれた素顔】

昼頃になって天候が危うくなってきた。
山の天気は変わりやすく、あっという間に滝のような豪雨が降り注ぐ。

4半刻ほどでそこらにいくつも小さな川ができ、下へ下へと流れ込んでいく。
山の草木が障害となり、幾分か流れを緩やかにしているが、地はぬかるんで人が歩くのも難儀な豪雨になった。

馬もさすがにこの水の速射砲には適わないようで足がなかなか進まない。
仕方ないので足取りを緩めながら進むと、しばらくして右に鳥居のある小径の奥に堂が見えた。

「ちっとあそこのお堂で雨を凌ぐか」

突の提案に誰も異存はなくうなずく。
一行はぐるりと回った山の反対側にある破寺で一時雨を凌ぐことにした。

辺りののびきった草をかき分けて、堂の中に入ると床の腐った木切れと傾いた台座に狐の像があった。

「ふぅ…。えらいこっちゃな」

秋山が悪態をつきながら、ぐしょぬれになった全身から湯気をだして手ぬぐいで顔をぬぐう。
大柄で丸い身体を揺すりながら、何ともユーモラスな動きで顔を拭いていた。

突は濡れた髪を掻きあげながら、モモに「遠藤周作の真似!」とかやってギャグをかましていた。
モモはそれを相手にもせず、あとどれくらいかなぁとつぶやいている。
ギャグを無視された突は、今度はイガグリ(頭を両手でグリグリすること)をかまして、遊んでいる。


「無視するんじゃねー、おらおら〜ぐりぐり〜」

「おっさん、やめろっての!いてぇーだろ!あっ、まじいてぇ、やめろこら」


源はその様子を見ながら呆れ顔で隅に腰をおろした。

「お気楽なのもいいがよ。あのカフェは色々とやべぇ噂があるんだが…。しかも、ふぇいたんがそこにいるってぇわけじゃないんだろ?」

「安心しろ。ふぇいレーダーがピピッときてるんだ」

「ふぇいレーダー?」

「ふぇいがどこにいるかすぐにわかるんだ」

「肉親や夫婦ましてや恋人でもないのに何故分かるんだよ」

「連れ去られる時に小型の発信器をふぇいの服に刺しといたのよ。俺ってビッグゥ?」

「ほほう。あんな状況でやりおるのぉ」

秋山が感心した顔で突を見る。


「ビッグというよりピッグ(豚)じゃねーか」

小声でボソリとモモが云うと、地獄というだけあって地獄耳の突は、モモの頭を乱暴にわしゃわしゃと引っ掻き回した。そして懲りずに北斗の拳の雑魚キャラの真似をし始めた。


「ぐふっ、俺はな。豚じゃねぇ」

「やめろよ;私のマイヘアーの天使の輪がぁ」

「いっつも一言多いんだよ糞ガキが」


兄弟のようにじゃれあっているが実際は一回り以上も歳が違う。
しかし精神年齢はどっちも変わりがなく、まるで小学生だ。

秋山は堂の中を見渡して火を起こすために木々を集め出した。
マメな男であった。まぁ、この男の場合はベツの豆も好きなわけだが、それはこの場では置いておこう。

「身体が冷えるとまずかろうしな」

そう云いながら、秋山は木々を集めて堂の手前の土間で火を起こし始めた。

源は壁にもたれかかりながら、ためいきをひとつ吐き出して眼をつむる。

「あ〜…。女食いテェー」

源が拝むように吐き出すと、秋山は源を気の毒そうに声をかけた。


「源はそうとう溜まってるようだのぉ」

「まぁねえ。ここに来て2年にはなるもんねえ。客と言えば、どこかの大名のお忍びばっかで若い女にもとんとご無沙汰だしな。秋山さんもわかるだろ今にも爆発しそうなこのエナジーが」

源は立ち上がって腰をかっくんかっくんとすごい早さで前後に動かした。
源お得意の10連釘ピストンである。
これで大概の女は蟹のように泡を吹くと豪語している。
一度それで女が意識不明になり救急車を呼ばれて困ったと聞いたことがある。

源がやっているのは、ボクシングで云うところのシャドーボクシングならぬシャドーピストンである。
目の前の相手(女とは限らないが)を想定しながら腰を動かす高等テクニックだ。
しかし端から見るとただのアホだ。
見ているほうが情けなくなる。

源はナニの最中に「お猿の籠谷」を謳うとリズムがよくなり女が悦ぶと嘯いた。

「えーっさほい、えっさほいのさっさ、お猿の篭屋だほいさっさ♪」

そう歌いながら腰を一定のリズムで動かしている。
まさにJ・Bのセックスマシン。いやモンキーセックスだ。
わいは猿や!と言いながらなおも腰を振っている。


秋山はそれを見て大笑いをして転げ回った。秋山のツボだったようである。
あまりに激しく転げ回ったため、狭い堂の中で腐った床の部分から、床下に落ちてしまうほどだった。
笑いも落ち着くと、はしゃぎすぎたことを自省するように火のところに戻って薪をくべた。

「……ほとばしるパッションは若者の特権でもあるが…。この件が片付いて町に下ったらフィリピンパブでもいくかのぉ。最近は真面目に恋愛しとったんで豆狩りもしとらんし」

「いいねぇ…。ああ、そういや、あの藤井さんはフィリピンダンサーになったという噂があったが本当かな?」


「アホかwあるわけねーだろ」

突が横槍を挟むように投げ捨てた。

「あの人にフィリピンダンサーの腰のうねりなんざできねー。なんせヘルニアだからな」

「ええ!!藤井さんって脱腸だったの!?」

モモが驚いて声をあげると、突はモモの耳をギュ〜ッとひっぱりながら額に青筋を浮かべた。
笑っているが顔がひきつっている。

「モモちゃんよぉ〜。脱腸とヘルニアってどっか似てる韻があるのかなぁ?ん〜?」

モモはいい加減にしろよと言わんばかりに耳を引っ張られて、涙眼を浮かべながらじたばたしている」
端からみたら幼児虐待だ(キャラ的に)。

ぱっと耳を離すと、モモはもんどりうって後ろに転がった。
体を戻しながら耳をさすってぶつぶつと悪態をついている。

「お〜いてぇ;自分のギャグは棚にあげてこれだもんな…」

「せめてヘルニアとペンシルバニアって似てるよね!ぐらいのギャグを言え」

「意味わかんねぇ;」

二人のじゃれあいをよそに、器用に火を起こした秋山はせわしなく薪をくべている。
雨音が先ほどより軽くなり、もうしばらくしたら止むだろうと思われた。
事実、土間から見える西の空には青空さえ見える。

突はモモをいじるのが飽きたのか、火の側によって衣類を乾かし始めた。

「おい、源」

「なんだよ」

「さっきの話だが…あのカフェってのはそんなに黒い噂があるのかい?」

「俺も客が話をしてたのを聞いたぐらいだからなぁ。詳しい話わからんが、なんでも公儀が絡んでいるらしい。」

「公儀?ってことは、徳川か…」

「痛いプレイヤーを粛正してるとかいうけどよ、実際はリア美ちゃんばっかり狙ってやがるんだ。そして飴を与えて組織内に引き込むって噂だ。そしてリア美ちゃん達は各勢力のスケベ変態大名どものお相手をさせられるってわけよ」

「スケベ大名どもから莫大な献金を集めて力を蓄えていくわけか。となると、徳川の織田侵攻が本格的に始まりそうだな」

「粛正を担当しているのが、三代目を襲名した服部半蔵でな。これまたいい男らしくて、奴の手にかかると例外なく女はころっとこれよ」

源は親指をさかさに向けて、不満げに鼻を鳴らす。

「俺のが絶対モノはでけぇんだけどな」

負け惜しみを言いながらも、服部半蔵というブランドは強烈だ。
さすがの源も敗北は認めざるを得ないようだ。
要は男の価値はナニの大きさだけでは測れないということである。
ハハッわろす。


モモがいつの間にか火の前にきて、神妙な顔して薪をくべている。
押し黙っていたかと思うと、振り向きもせずに、ぺらぺらとよく喋る源に声をかけた。


「池田さん」

「ん?」

「あんた極道かい」

「あ?坊主いま何言った?」

「いけないなぁ…。極道が嘘をついちゃあ」


源の眼は細く険しくなり、軽く腰を浮かせる。
いわゆる半身の態勢を取った。明らかな抜刀の戦闘態勢だ。
纏うオーラに殺気がこもっている。

静かにするどく源が言い放つ。

「モモさんよ。人を嘘つき呼ばわりたぁ聞き捨てならねぇな。事と次第によっちゃ…」

源が刀の柄に手をかける瞬間、モモがすかさず呪縛を唱えた。

「池田さん。あんたは嘘をついてる。インディアン嘘つかない。よしなよ茶番は」

「い、いうたなぁ〜〜!」

激昂しながら呪縛を解呪しようとしたが、生憎、解呪役をきらしているようだ。
近接戦闘を封じられた源は、モモを睨みながら飛び道具のクナイを構えた。

やりとりを見ていた突と秋山は何がなんだかわからない。
しかしはっきりわかるのは、明らかにモモの言動によって源は動揺している。

モモは昔からカンのいい奴だ。
キナ臭い話を看破するのは得意だった。

源は何かを隠している。
何をだ。


モモは冷ややかに臨戦態勢を取っている。

「संस्कृत」

呪を唱えて式を召喚した。

召喚したのは「ヒトモドキ」という人間の疑似体だった。
この式は見る人によってそのイメージを変え、その相手の琴線にふれる姿となり幻惑をする特殊式神だ。

始めはスライムのような白い液状のものが、見る間に人の形を成していく。
源の琴線に触れる姿と言えばもうお分かりだろう。

女だ。しかも魅力的なスレンダーな水着姿の女だ。
2年も禁欲していた性少年?にはこれはたまらない。

源はそれを見た瞬間、すかさず「ウッ!」と唸って前屈みになった。

「き、きたねぇぞ。俺に一番危険な果実を見せつけるなんざ…」

秋山は感心しながら頷いた。

「言葉の意味はわからんが、源のやつは相当きてるのぉ…これは」

そう言いながら秋山も前屈みになっている。

「おめーもだよ」

秋山の横顔にはうっすらと汗が滲んでいる。
相当きてるのはおめーだ!とつっこみたい。

というより緊迫しているのだが、どこか笑いをこらえきれないおかしさが漂っている。

「ほーれほれ。おっぱいだよ池田さん。面白いな〜」

モモは源を煽りながらヒトモドキに指示を与えてくねくねと艶かしいボーズをとらせている。
源は前屈して堪えきれずに両手をついた。

「く、くそっ;わかった、わかったよ俺の負けだ…」

源は敗北を宣言した。
何の勝負だかよくわからんが源はモモの狡猾な作戦に屈したのである。

「さぁ池田さん。真実を語ってもらいましょう。あなたの真実をね」

「…わかったよ俺は…」



突と秋山は顔を見合わせながら、源の次の言葉を待った。


「俺は短小だ…。標準以下なんだ…」


源は涙を滲ませながら、悔しそうに床を殴った。
壁があったら殴りたい。穴があったら入りたい。
しかしなんともしょーもない見栄であった。
タッチャマソのようにビックマグナム黒岩先生と言われる男には無縁の悩みではあるだろうが…。


「やっぱりね」

モモは勝ち誇ったように式を納めて云う。

「池田さんは鼻が小さい。鼻が小さい男は粗チンと相場が決まっているのだよ。ふふふ」


「そっちの話かよ…」

突は事の顛末に呆れるとともに、すっかり雨があがった事に気がついた。
雲の隙間から陽もさしている。

秋山は崩れ落ちた源の肩に手をかけて顔をあげるように促した。

「源よ。これからはハッタリはよせ。な?」

そう言いながらニカッとドヤ顔で笑った。
源は涙を拭きながら、うんうんとうなずきながら立ち上がった。

突は晴れ上がった空を見上げながらしみじみ思った。

源の中の人も大変だな と。


【続く】

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凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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