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花香る

戦国レシピ#15

bar01


私は甲府でBAR「SENGOKU」を営業している地獄突という軍学侍。
眠いです。ちゃちゃ、たまるか。日本の夜明けは遠いぜよ。


眠い…。

春眠暁を覚えずと言うが、まじねみー。
そしてだりー。

おっと、いかんいかん。客がいないとどうにもだらけて緩んでしまう。
陽気がいいとついつい気が緩んでしまうな。

客もまだこないし、暇つぶしに藤井さんに冷やかしメールでも送ってみるか。

私は愛用のi-Phone 4GSで藤井さんにメールを送ることにした。
しかし人間暇だとろくなことを考えないなまったく。


書き出しはどうしよう。う~ん、悩むな。
下ネタ全開の一文でもいいが、もっとメタファーを込めたいし。
下世話な中にも一片の知性をいれとかんと、面白くもないし笑えない。

総じてセンスのある文章を書く人は、返し技がうまい。
よく、「誰が上手いことを言えと」なるレスがつく文章をみかけるが、
笑いと同時に奥に光る知性を感じるものがある。

そんな時、賞賛しつつも自分の才能のなさに落胆する客観性が憎らしいときがある。
天才とは己を客観視しないものである。客観視する必要がないからだ。

ヘタクソな文章を書いていて思うのだが、やはり才能の壁を感じてしまう。
うまい人は短文で情景まで思い浮かぶような綴り方をするからねえ。
藤沢周平先生、才能を1/10でもいいから分けてくださいと懇願したくなる。

それにしても、メールなどで要件を伝えるだけならいいんだが、こーいうお遊びメールは難しい。
適当に思い浮かんだものを文章にしてみるか。

男祭り 甲府神社22:00にて

……もうネタが古すぎてわからんわこれ。

今の旬のネタとなると…

AKBとかよくわからんし、ダルビッシュとかどうでもいいし。
信関連はさっぱわからんし。

あ、でも家臣とかシステムが新しくなったようだな。
そうだ!家臣ネタでいこう。そうしよう。

家臣は既に死んでいる

……意味わかんねぇな。
北斗ネタに絡めてもどうもインパクトがない。
それに藤井さんは999が好きだから絡めるならメーテルとかじゃないとダメか。

ちぃ;たかが悪戯メールにここまで悩むとは…。
侮れないぜ悪戯メール。


めんどくさくなったので、直接藤井さんに電話をしてみる。

「もしもし凸ですけど…」

「…ちんぴょろすぽーん!僕ふーちゃん」


ぷちっ。


電話は尚更だめだった。

それにしてもあの男は歳をとらないのか。とにかく元気まるだしだ。
やはり水性豊かな土地に住んでいるからだろうか。
悪戯メールはあきらめてネットで腕時計のカタログを見ることにした。

腕時計が壊れたので新しいのを週末に買いにいく予定だ。

まぁ、そんなこんなをやりながら開店時間になってしまった。
何をやっているんだかな。

昨晩のかずは&みさおコンビと源の真珠パーティで痛飲したのが痛かった。
っつ!まだ昨晩の酒が残っている気がする。

うつらうつらと春の芳香が外気よりただよってきて、眠くなってくる。

っと、ドア鈴が鳴った。
小さく鳴るときは決まって女性だ。これは間違いない。

しかし…これは。


「ん~~?」と私はドアから漏れる逆光に遮られた体躯に目を凝らす。


それが誰だかわかった瞬間、私は「げぇっ!?」と震える声を上げていた。

「ま、まえ……」


6尺を憂に超えるその威風堂々たる体躯。髑髏の紋所に虎皮の裃姿。
戦国きっての傾奇者、前田慶次その人だ。

KEIJIDASE


なんという大物が訪れたのだ。

「あ、あの…」

情けなくおたおたする私を見て慶次はニコリとただ笑って席につく。

肩に桜の花びらがついていた。
花見のついでによってくれたのだろうか。

しかしなんとも…これは…


痺れるようないい男である。匂うような男ぶりだ。

この男が戦場で一騎がけをしようものなら、
老いも若きも、一片のもののふであるならば心躍らぬはずがない。
後に続いて斬り込んで例えそこで討ち果てても本望だろう。

「あ…い、いらっしゃいませ。何を飲まれますか?」

男惚れというものがあるが、直江にしろ奥村にしろひとかどの漢達が惚れ込むほどの漢が目の前にいる。
私のような雑兵が胸騒ぐのも当然だ。

慶次はそんな私の様子など意に介さぬ風でなんとも言えぬ笑顔で答えた。

「手前にもわかりませぬ」

そう来たか。それなら私もプロの意地がある。

「では僭越ながらこちらで勝手に…」

私はかねてより、こんなことがあろうかと越後より取り寄せておいた大吟醸【百万石】をふるまうことにした。

天下の傾奇者に似合う器などはウチには置いてはいない。
こうなったら丼でだしてやる。オラオラオラ!!

私も何やら血が騒ぐ。惜しげも泣くどぶどぶと丼に百万石を注ぎ込んだ。
そして恐れ多くも賢くも、この当代きっての傾奇者に見栄をみった。

「心して飲まれい。百万石の酒ぞ!!」

き、きまった…かな?

慶次はジロリと私を睨み呆れたように頭を掻いた。
しまった;はずした!!キセルでぶん殴られるかこれは…。

しかし慶次はキセルには手をかけず、丼をぐいと片手で掴んで注ぎ込まれた百万石の香りを楽しむ。

「いい酒だ。やるかい?俺はこれでいいぜ」

「是非!」

こんな漢に酒を勧められて断れる男なんざいやしない。
私も丼を出してなみなみ百万石を注ぐ。

「では」

「では」


CHOKO


目を併せて一気に百万石を流し込む。

「んぐっ…ぐっ…。ぷっはぁ~~」

美味い!

なんと美味い酒だ。

美女と飲む酒も美味いにこしたことはないが、本物の漢と飲む酒は格別だ。
年甲斐もなく心震え血がたぎってくる。
戦国で男子に生まれたれば槍もてただ駆けよ。まさに資源だ。


「やるねぇ!」

一気に百万石を飲みほした私に慶次が最高の褒め言葉をくれた。

「そちらこそ見事なお手前…」


言葉は少ない。
ただ悪戯に軽い言葉を発するのはこの漢との出会いを汚す。

ただ笑って酒を酌み交わし飲む。
嗚呼、何度こんなシーンを夢見ただろう。

私はまさに羽化登仙の境地にいる。
至福の刻だ。

いつまでもこうやって飲んでいたい気分になる。

ん?何か遠くで声が聞こえる。

なんだろう。目をつぶって耳を澄ます。


「……ん」

なんだ小さくて聞き取れない。

「……と…さ

凸さ…ん

「凸さん!おきてぇ!!」


「は…」



目を開けるとそこにはタッチャマソの顔がある。

「……あれ?慶次は…どこ?」

ぼぅっとしながら、店内を見渡すがタッチャマソしかいなかった。

「しっかりしてよぉ!俺がせっかくナイスなギャグで入ってきたってのに寝てるんだもん~」

「夢か…。あれが夢落ちとかねーわ…」

「どんな夢みてたのよ」

「あー。うん、まぁいい夢さ。覚めないでほしいぐらいのな」

「女っすか!」

「女よりすげぇよ」


そう言って笑いながら腰を上げる。


ん?あれ丼が洗い場においてある…。
あれは夢の中で…。

タッチャマソにコースターを出してやろうとカウンターに目を滑らせると、
テーブルの上には桜の花びらが一枚だけ印のように落ちていた。

「はっ…!はっはっははは!!」

無性に笑いがこみ上げて来た。すげぇ、すげぇよ人生は。

「…!凸さんが狂った!?まあ春だしなぁ…。しゅっしゅっしゅぅ~」

「おいマソ!」

「にゃによぅ」

「かぶくならかぶき通せよ」

「はぁ?」



マソはポカーンとして私の顔をのぞきこんだ。

テーブルの花びらは、ひらひらと宙に舞いながらどこか消えていた。




それでは皆の衆。良き週末とまたのご来店を。
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パールミッション

戦国レシピ#14

bar05


私は甲府でBAR「SENGOKU」を営業している地獄突という軍学侍。
ぬらりひょんなら藤井さん。あの日あの時あの場所で。


夜の風の春の陽気にあおられて、吹く風ぬるく夜気も柔らかい。

ということで、ひさびさに藤川のみさおさんが来ている。
そして、妹分の不動かずはも来ていた。

連れ合って来ているわけじゃなくたまたま一緒になっただけらしい。
とりあえずいるのは二人だけだ。


「両手に花だね、にぃに!」

「うぷぷぷ。凸さんも今夜は夜もフィーバー(死語)だねっ!」

私は無言で棚の補充作業をしながら、このパープリンどもの勝手な声を聞いている。
両手に花と言うより、両手に爆弾だろぅ。

みさおさんは国勢に絡む話だととことん熱くなって話すから、本日はとにかく国勢好きな常連は勘弁だ。
しまいに暴れ出すしな。日本酒飲み出したら危険信号だから気をつけないと。

かずはは主婦独特の下ネタトークで毒はないんだが、アグリ(愛犬)と旦那自慢が始まるともう止まらねえし。
とりあえずおばさんパーマは直ったようだが。


「ところでお前らほんと暇そうだな。まぁだ信で覚醒狩りとかやってんのか」

私は憎々しげに皮肉っぽく聞いてみる。

「やってるよ!だって信を愛してるもんっ!まだまだ新婚気分♡」

「ま……ほどほどにな」

「にぃには復帰しないのかえ?」

「だりー、めんどくせー、やる時間がねー」


実際、やる時間はないのだ。とは言え、ここを営業しているのはやはり信に繋がっていたいという願望はあるから、引退する気はさらさらない。サラサラサーテ、お前サーファーガールおいらロックンローラー。そうさ私がロックンロラ男。呼ばれて飛び出てちゃんちゃんこ。

いまいちだ。
みさお&かずはのコンビが来るとどうも調子が狂う。

舌の滑りはどちらも快調。今時の政治家に見せてやりたいぐらい能弁だ。
女の井戸端会議はとにかく際限なくどーでもいい話が続く。

合間に舌が乾くと飲み物のおかわりを要求してくる信女ツインズ。


「おいっ!軍楽のおっさん、わたす、ヒャダルコテキーラ!」

と、みさおさん。ねーよんなもん。
どこのドラクエだ。

かずははと言うと

「にぃに~~。わっちは乳輪ソーダぁ~~」

死ねよまったく…。

いかん。こいつらもう相当出来上がってるな。


「かずは、そういや源はどうしてる」

「源たん?あ~、そういえば…」

「池田さんなら元気に一門では活動してるけど」

「源たんねえ、真珠いれたらしいよ!」

「真珠?って…まさか」

「うみゅ。あそこに真珠を埋込んだって。彼女がほら、今度はタンザニアのダルエスサラーム出身だから今までのサイズじゃもたないっていってたよん♡」

「遂に池田真珠朗になっちまったか…。まあどうでもいいけど」

「池田さんはおさかんだねぇ。うぷぷぷ」

「アフリカ系が好きだなあいつは」


色んな人生がある。女に命をかけて真珠をいれて身体を貼る奴。
必死にゲームに興じる奴。ニートな奴。仕事命な奴。

しかしそれも人生だ。真珠はねーけど。


「そうだ。源の真珠入魂に乾杯しようか」

「なんで真珠に…w」

「よくわからないけど乾杯するする!かずはもする!」


「じゃ、これで乾杯すっか」


私は源のためにブラック・パールをつくってやることにした。
源はここにはいねーけど。

バカルディ・ラム(ホワイト) --- 30ml
ココナッツ・ミルク --- 30ml
コーヒー・リキュール --- 45ml
パイナップル・ジュース --- 180ml
パイナップル・スライス --- 適量

ppper

「じゃ真珠に乾杯!」

「乾杯ぃ~!」


奴はこれからパール君と呼ばれることだろうな。
思い出したら吹き出しそうだ。

ま、それもまた人生。キャラがたってくるのはいいことだ。
あいつは別のものをいつもおったててるんだろうけど。

今日は藤井さんからの電話はなかったな。
まあまたわけわからんギャグを考えてるんだろう。

かずは&みさおコンビはほうっておこう。
それじゃ真珠でまた明日。

グッドラック!

シェケナ

戦国レシピ#13

bar06

私は甲府でBAR「SENGOKU」を営業している地獄突という軍学侍。
というわけで本日もヌルッと行ってみよう。


春うらら。

ようやく暖かい日差しに身体も喜ぶ。
そろそろパステルカラーの春物のファッションも巷で見られることだろう。

春の風 ハゲの蟹など いるのカニ

なんていう詩も詠みたくなってしまう。
ふふ、私は詩人だな。
おろろんおろろん。


しかし──だ。

開店と同時にそのうららかな日和気分を一蹴する状況に陥ってる。


ヤクザだ。

この店にヤクザが来ている。
いや身なりは普通だ。
一見はカブキものに見える。

カブキものの装備はまぁ旧タイプなので、おそらく鳳凰プチ復帰したのかと思われる。

うちは、当然暴力団はお断りだ。
しかし、見かけだけで断ることはできない。そのような行為─いわゆる、地回りなどのみかじめやらで難癖をつける威嚇行為。そのような人種をお断りしている。

まぁ、いまどきの幹部クラスなどは企業の重役クラスのようなビジネスマンにしか見えないのだが。
しかし目の前にいるのはまぎれもないヤクザだ。
全身から発するオーラ。沈黙で威圧するプレッシャー。私にはわかる。
こいつはほんまもんやで。

ぬいだら、くりからの毘沙門天の悪戯が背中に貼り付いているはずだ。


しかし私はそれを顔に出さずに対応する。

やーさんなら育ちが富士宮の私は慣れている。
といっても別に深いつきあいがあるわけではないが、相応の対応は心得ているつもりである。
あくまで、分別を超えない程度には。


そのヤクザとおぼしき男は、ビターを垂らしたジンを頼むと自ら名乗った。

「わし、きりきり言うんや」

「はぁ…」

私は気のない相づちを打って興味なさげに目をそらす。


「マスター。あんたぁ、わしが極道おもてるやろ」

「は?なんでまた」

「目ぇ見ればわかるわい。嫌な客が来よったっちゅう目やで」

「……。そう見えたなら謝ります。失礼しました」


するどいな。普通にしてたつもりだがこの男にはわかるのかそれが。


「わしはの。そういう目ぇを向けてきた奴を何人もいわしてきたよ。ヤクザっちゅうもんはそーいうもんや。泣こうがわめこうが土下座しとる奴の頭を靴で踏む…」

「ヤクザ談義ならご勘弁願いますよ。ここは酒を楽しむところですからね」

「…ふっ。ほうか悪かったの。わしも悪い酒飲んどるようや」


寂しい酒だ。
酒を飲む形も色々ある。

寂しく苦い酒。
アルコールの水面にこの男の人生を投影しているようだった。

男の顔に刻まれた年輪が、長年の苛烈な極道家業を渡ってきたと思われる。
おそらく…この男の恫喝で引退に追い込まれたプレイヤーは数知れないだろう。

看破をいれてない忍者、陣形を抜いている侍、回復しない僧、巻き込まれ戦闘などで無言の旗折れ…
多分そのような奴らはこの男の追い込みによって、マギノビかルーセントハートに逃げ込んだかもしれない。

まあどうでもいいんですけどね。


そんなことをつらつら考えていると、客がもう一人入って来た。

一見さんか。
丸い鼻眼鏡をかけて着流しを着ている。
なんか妖しいな。

「いらっしゃいー」

でもまあ、この重苦しい空気をいくぶんか軽減してくれるとありがたい。
密教だったりしてなこの人。


鼻眼鏡の男は、ヤクザ風の男からひとつ席を空けて座った。

「初めてですか」

「あい。最近ここらに顔ださせてもらっとります。徳川所属の林檎言います。よろしゅうに」

林檎と名乗る男はペコンと頭を下げ、ニッと笑った。
横のきりきりと名乗る男が剛の気なら、この鼻眼鏡の男は静の気だ。
しかし何かどうも異様な感じがある。

林檎はギネスを頼むと、きりきりをチラッと見て軽く会釈した。
きりきりは、気にもかけず正面を向いてタバコを吸っている。


「マスター、ここは長いんでっか?」

林檎が聞いて来た。

「いやいや半年ほど前にね。脱サラって奴ですよ」

「さいでっか。手前も娑婆に出て来たばかりでやんして。甲府もとんと様変わりしたかと思えば、武田と敵対とか…。いやさ時代も変わっちまったんですねぇ」

「ほぅ?というとあなたもこっち系?」

私は頬を指でなぞって下におろした。すじものか?と聞いているのである。

「えぇまぁ。しかしまぁ極道は割にあいやせん」


そういって林檎は乾いた笑いをぶつけてくる。

…怖いなこいつ。きりきりみたいなのはわかりやすからまだいいが、こーいう人間は怖い。
一般的に機嫌がいい悪いで人の感情は判断できる。しかしこいつは…機嫌がないのだ。

まったく類は友をなんとかだな。
こりゃ他に客は来ても、この二人がいたらすぐに逃げ帰っちまうだろう。
商売上がったりだ。


「よぅ…」


きりきりが、急に林檎に向き直って声をかけてきた。

「あい。なんでやしょう」

「おどれ、徳川っちゅうてるが…みねぇツラだがや。昔の合戦でもな」

「ある人を追い込んで垢バンくらって討たれておりやした」

「何年くろうたんや」

「3年と6ケ月で」

「誰を殺ったんや」

「死人使いの密教 泰山さんで」

淡々と語る林檎の口調によどみや感情は一切ない。
殺し屋だ。それも相当手練の。


きりきりはそれを聞いた瞬間、ギョッとした顔を林檎に向けた。

「……!?あの死人使いの泰山をおどれが…」



けたたましい大声を張上げてきりきりが笑い出した。


「おい!マスター!!酒や、とびっきりの酒を出してくれや!1本やで」

愉快そうにきりきりが笑う。
へぇ、こんな顔もできるんじゃないか。

何やら泰山を追い込んだ話はきりきりの琴線に触れたようだ。
すこぶるご機嫌だ。

ふむ。
ではシングルモルトのラフロイグ15年ものをだしてやろう。伝説のモルトだ。

cbhykyrdkj

ボトルを傾けてロック・グラスになみなみと注ぎいれる。

きりきりは林檎にそれを無造作に勧めた。

「さ、やんない。この店で一番の酒だそうやで」


一番かどうかは知らんが…まぁいい酒には変わりがない。


「すいやせん。酒はビールしか。あとはタバコもやらねぇんで」

「ほうか。まぁええわしが飲む」

残念そうに言いつつ、きりきりは、伝説のウイスキーモルトをがぶりと飲み干した。


瞬間に携帯が鳴った。


「なんじゃおら!ええところで無粋なやっちゃの」

きりきりは携帯をポケットから取り出して不機嫌そうに通話ボタンを押した。


「もしもし?あ~~○○さぁん?えらいすんまへんなぁ。工期は材料がないんでまだちいとばかしかかりますんよ。え?契約切る?そんな殺生な~~:;勘弁してつかあさい。ほんまわややで」

何やら仕事先とのトラブルのようだが…。あれこの男堅気なのか?

一通り話しが終わり、平身低頭でひたすら見えない得意先に頭をさげていた。

携帯をぷちっと切ると


「あんだらぁ!がすたれがボケぇ!しまいにはいてまうど!!!」

さっきの低姿勢とはうってかわった強気の姿勢。
状況によってコロコロ態度が変わるな。アメーバかこいつは。

その様子を見ていて私は思った。
こいつはパチではまってるときの大崎一万発だなと。

「マスター勘定。あんちゃん、ほしたらまた今度な」

きりきりはそう言うと、林檎の肩に手を置いて悪びれずに挨拶をして出て行った。
なんだったんだあいつは。しかも支払いは信用金庫のクレカかよ。


極道きどりのパンピーか。やれやれ。

しばらく林檎と二人で他愛もない世間話をした。

林檎は、自分の身の上話を少しだけした。
垢バンをくらい一緒にプレイしていた恋人と距離を置いてつきあうも疎遠になってしまい別れたそうだ。

よくある話だ。林檎は極道ではなく、ただの正義感の強い1プレイヤーだった。
死人を駆使する当時今川だった泰山のやり方に辟易して対話で恫喝を繰り返していたらしい。

確かに初期の泰山の死人使い、装備削りの粉投げはひどかった。
私もやったけど。反省はしている。
アキヤマンと一緒に徒党を組んでた時なんざ、アキヤマンが粉粘着しすぎて2chで晒されてたっけ。
コナヤマンとかな。あれは盛大に吹いたな。


「愛情を裏切ったからといって神様にどうこういわれるすじあいはありやせんやね。そうでやしょう?」

「神様は何も言わんでしょう」

私は仏教徒なので神様はどうでもいいし、そもそも神は何もしてくれない。


「言わなくなって何年にもなる」


そう答えると林檎はクスリと笑った。素顔が一瞬だけ見えた気がした。

「またよらせてもらいやす」
そう言って林檎も帰ってしまい、またお茶ひきだ。
つーか、こんな経営状態で大丈夫かここ。

結局…勘違いの連続だったようで妙な邪推をいれたぶんだけ精神的に疲弊した。
アホらしい。

とにかくこれじゃ蕎麦屋でもやったほうがましかもしれん。
そう思いながらためいきをついてグラスを磨いていると、ようやく客がやってきた。
本日3人目だ。

「おはよう!マスター!サンキューロックンロール!!」

昔馴染みのあいす(とおる)だった。とは言ってもこいつももう信はやってないはずだが。
武芸の格好で様子見に復帰したってとこか。
馴染みの顔を見てほっとした私はちょっと気が抜けた。

なんだか無性に誰かと飲みたくなった。


「なぁ、とおる(あいす)」

「なんだいとっつあん」

「お前、ダイヤモンドユカイに似てるな」


あいすは笑いながら、「そりゃ俺はアーティストだから」と朗らかに笑った。
やっぱ似てねーよな。そう思いつつ私も笑った。

もう冬は終わっていたな。



さて暖かくなってきたね皆の衆。花見でもやってぱーっと気分をかえたいとこだな。
では、またのご来店をお待ちしております。

陰我消滅

戦国レシピ#12

bar05


私は甲府でBAR「SENGOKU」を営業している地獄突という軍学侍。
読まないと風穴開けるわよっ!



<先週からの続き>


黄金騎士と名乗る男が現れ、ふぇいをホラーだと言う。
ホラーを狩るのが黄金騎士の仕事らしい。
ふぇいは3年前にホラーの血を浴びて、ホラー化したという。

まさかそんな…。特攻一番槍で毒を吐きまくり人を晒して傷つけて。
濁世に綽成す業の花。いっぺん、死んでみる?でもちょっと晒されたい蹴られたい。

って、感じのF様はホラー化した以降のふぇいだったのか。
となるとそれ以前のふぇいが本物ということになる。

まぁそれはどうでもいい。とにかくこの場を何とかしないと。

ふぇい絶体絶命のピンチに私はどうする?
どうすればいい?

ここまで28杪かかって考えた。


私はとにかくふぇいに問いただしてみる。

「ふぇい、この男の話は本当か?お前はほんとにホラーか?」

「じょ、冗談じゃないよ!ネラーってんならわかるけどホラーなんて知らないよ。そもそもこいつは3年前に私が晒した忍者の弟さ。いまだに根に持って私をつけ回してるのさ!」

「兄の悪口を言うなぁ!!兄はお前に晒された後、傷心のあまりモンハンにいっちまったんだぞ!今では毎日モンスターの肉を回してるだけの廃人だ」

「はっ!!んなこと知らないね!なんだい、忍者のくせに晒されたぐらいでそのへたれな末路は。それに武将で看破も痺れもしないで、延々と吹き矢しているようなぽっぽは晒されて当然さね」

「くっ……。おのれそれ以上の愚弄は許さん。ゆるさんぞぉーーーーー!!!」


だめだこりゃ。
お互いヒートアップしすぎて私が仲裁に入る隙間がない。


水でもぶっかけて頭を冷やさせるか。
そう思ってたところいきなり黄金騎士の右手から妙な電子音にも似た声が発せられた。

「鋼牙、どうやら本物のホラーが現れたようだぜ」

あ、ザルバか。
こいつはザルバ(友)と言われている奴で黄金騎士のパートナーでホラーを指輪に閉じ込めた妙な生命体だ。
牙狼を見ている人なら知ってるだろう。

まぁ骸骨の形をした指輪の化物だと思えばいい。魔導輪とも呼ばれている。
黄金騎士は、右手の指に嵌められたザルバに頷いた。

「わかった。しかしこいつを斬ってからだ」

「人間同士の付き合いってのは面倒なんだな」

化物のくせにわかった風な口を聞いてやがる。生意気だな。

とにかく、ふぇいを斬らないと気が済まないらしい。
さっきのふぇいの言葉を信じるなら、ただの怨恨の復讐か。

兄貴が晒されて廃人になったのを恨んでつけ狙っていたというわけだな。
しょぼい話だ。
これ以上この腐ったシナリオに付き合わされるのはごめんだ。

「あ~~~、わかったわかった。ちょっと待て待て」

「邪魔するならアンタも斬る!」

「ちょっとぉ!かよわい丸腰の女をたたっきるつもり?それでもあんた黄金騎士?正義の味方?まったく…あの兄貴にしてこの弟ありだね!」

「戯言はもう聞き飽きた。ふぇい!お前の陰我、 俺が解き放つ!

そう叫ぶと男はふぇいに斬り掛かっていった。

その刹那、私はキレた。

だ~~~~!!!!!!!やめろ!!


ありったけの大声で私は吼えた。
もう限界だ。

私は黄金騎士にひとつの提案をした。
その提案を受けないと、今後一切、牙狼のパチは打たないし映画も観に行かないぞと脅した。

初めは渋っていたが、さすがに視聴率とメディアミックスに影響がでるのは困るようだ。
黄金騎士も霞を食っていきてるわけではないからな。
共産主義者も結局は人間だ。泣きいれてけつまくりゃ同じってことだ。

「ふぇい、それでいいよな?」

「しつこくつけまわされるぐらいなら、それでいいよ」

ふぇいはあきらめたように頷いた。
よし交渉成立だ。


ま、何はともあれ水に流して酒をふるまうことにする。
和解の酒か…。ふむ。

ここは日本酒だな。宮城の酒、伯楽星を出してやろう。
sake



アルコール度 16%
日本酒度 +4
蔵の華 55%精米

日本酒好きなら喉を鳴らすほどの逸品だ。

choko



復讐の旅は終わった。
もう名前で呼んでもいいだろう。

鋼牙は猪口をぐいっと傾け、何とも言えない清々しい顔をした。

「美味い…。爽やかでいて豊潤な味わいだ。なんだか憑き物がおちたような気分だ」

「ホラーは心の闇につけこんで憑依する」

「ザルバ…。お前も酒が飲めたらな」

「運命とは皮肉なものだな」


そんなやりとりを聞きながら、ふぇいは手酌でチビリと猪口のフチを舐めている。
ほおづえをつくような仕草で独り言のようにぼやいた。

「文字や言葉って恐ろしいもんだねぇ。あらぬ誤解が誤解を生み、妄想の怪物を脳内で育てちまう奴もいるんだから…」

「だな。しかしこれからの世界はもっとそんなトラブルが生じてくるだろうな。しかし…結局は方法や手段が変わろうと人間の本質はかわらんさ。

「なんだい、その人間の本質って」

「そりゃあお前…」


いい台詞は間が大事だ。


「愛だろ。愛」


「…………っ」


ふぇいが一瞬、下を向いて堪えきれず大爆笑をした。それこそ腹がよじれんばかりに。

おっかしいな。この台詞はかなりかっこよかったはずなんだが、どうやらはずしたようだ。
鋼牙はふぇいの馬鹿笑いをポカーンとして眺めている。

ま、私のリハビリにはちょうどよかったのかもしれん。今週からは通常営業だ。

ふぇいが馬鹿笑いをしてる間に藤井さんから恒例の電話がかかってきた。

「こんばんわん!僕アキヤマン!!」

ガチャリ!!と電話を即座に切る。こんばんわんじゃねえ。

ふぇいの奴はまぁだ笑ってやがる。


ふぇいの笑い声は、しばらくBGMをかきけすくらいに響き渡っていた。
本当に楽しそうに何度も何度も身をよじりながら。


後日、私の提案したものをふぇいが持って来た。
柄にもなく照れくさそうに「よろしく」とだけ言って帰っていった。
それを鋼牙に送ってやることになっている

ぶっちゃけ提案とは謝罪文を書けというだけのものだった。
といっても、ふぇいにとっては十分な屈辱であることは間違いない。

どれ……どんな謝罪文を書いたんだあいつは。
そう思って封筒から手紙を出してみる。

MOUSHIMASEN

っぱねぇ…。
これであいつの陰我が消滅するのだろうか。
ま、いっか。いいよな。


私は甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。
やっと通常業務にもどりまちた。つかれまちた。念のため。

黄金騎士

戦国レシピ#11

bar03


私は甲府でBAR「SENGOKU」を営業している地獄突という侍。
世は戦国時代。未知なるリア美を求めて探求する時代。


ふぅ……。


ようやく娑婆に戻って来た。
店をほっぽらかしてどこへ行ってたのかというと…。

イギリス・オランダ・ブルガリア氷の海もなんのその。って感じなところに行ってたような。
とにかくようやく開店できるこの喜びを今日もどこかでデビルマン。


さて。
掃除をひととおりして開店準備OKだ。

まぁ、1週間も閉店してたんだ。そうは早く客はこないだろう。
ゆっくりと待とう。スコッチでも飲んで。

しかし、最近の激務からかスコッチを流し込むと、強烈な睡魔が押しよせてきた。

どれくらい時間が経ったのか。

気がつくと一人の男が店内にいた。

「わっ!」と声を出して私は飛び起きた。

客が来ているのも気づかず寝こいてしまったようだ。
なんたる失態。


その男は大分前からいたのだろうか。カウンターに座って私をじっを見ていた。


「し、失礼しました」

あわてて謝罪をして背筋を伸ばす。プロ失格だなこれではと、自身に対する呪いの言葉を反芻した。



「……。お疲れのようだな」


その男は、寝起きでとっちらかってる私を見て、静かにそう言った。
白いコートをはおり、黒い甲冑を身に付けている。
背中にはかなり大きい剣を背負っている。

侍か?いやしかし…こんな装備は見た事は無い。

よくよく見るとまだ若い。何より目が涼やかでキリッとしたイケメンである。
BARなどで一人で飲んでいたらさぞやもてるだろう。
まぁ私はホモではないから、いい男だろうが不細工だろうが、金さえ払って飲んでくれるならどうでもいいのだが。


私が注文をとろうとすると、その男は懐から1枚の写真を出してカウンターに置いた。
男は私をじっと見て、写真を指差して言う。

「この女を探している。見た事はないか?」

「女…?」


その写真を拾い上げて見てみる。
見た事はある顔だ。

「失礼ですか…この女性とはどういったご関係で?」

込み入った話に立ち入るのは主義ではない。
が、それを制して好奇心のほうが前衛に立ってしまった。


男は下を向いて両拳を固く握りながら、絞るような声で

「この世でたった一人の家族…。俺のすべてだ」

そう言った。

なるほど…。愛しているのかこの女性を。
しかし、


MIKU


これ初音ミクじゃねぇか。

私はできるだけ冷静に答えてやった。
この男の目はそれだけ真剣だったからだ。愛にテンプレートやガイドラインはない。
ましてや、次元を超えた愛も今風でいいじゃないか。

「この娘ならヨウツベ居酒屋にいけば、いくらでもいるんじゃないですか」

そう言って男に写真を返した。

男は私の答えに怪訝な顔をして写真を受け取ると、
写真を見て氷のように固まった。


「………」


「………」


私も押し黙ったまま。コースターを出して男のリアクションを待つ。

「…すまん間違えた。それは秋葉イベントの時のブロマイドだ」

そう言って私をキッと睨むと力強い声で

「俺の趣味だ」

そうハッキリ言った。なんかカッコいい。
けど情けない。
何がしたいんだこの男は。

酒場に来て酒を飲まない奴は客ではない。

前に藤井さんが連れてきた奴は、名前が「隣の客はよく柿食う客太」とかいう奴だったかな。
BARに来て、ウーロン茶くださいとか言うものだから、思いっきり濃いウーロンハイにしてやったな。
飲んだら一発できりきりまいしてたっけ。

BARに来たら、まずとにかく酒を一杯頼め。鉄則だ。


「で、何か飲みますか」

「あ、ああ…すまん。では、ウイスキーをロックで」

WYSKY

グレンリベット 12年 をだしてやる。定番だが飲みやすく口当たりも軽い。
何か込み入った事情がありそうだ。
今夜はリハビリがてらにこの男につきあってやるとしよう。

男は、ウイスキーをガブリと一気に流し込んだ。
グラスを持ち上げて、ゆらしながらおかわりを催促している。

早いなペースが。すぐ潰れるぞこれは。
私は何も言わずにグラスを受取り、お代わりを作って差し出す。

男は、大きなため息をひとつ吐き出して、とつとつと語り出した。


「俺は黄金騎士だ」
GARO2


男は真面目な顔でそう言った。

私はこの時点で叩き出そうと考えてしまった。

お前はGAROか 私が平常時ならそうつっこんでやれたかもしれない。
しかも昨日最終回だったろうが。


しかし、疲れていたとしてもカウンターに立っている以上は、私はマスターで彼は客だ。
客をあきらめない。それがモットーである。

「へぇ。それは大変なお仕事ですね」

「ホラーを狩るのが俺の仕事だ」

「ああ。あの匿名掲示板に貼り付いてる奴らですか。それはまた難儀な」

「……違う。それはネラーだ」


真面目に会話しているのがアホらしくなってきた。
リハビリにはなりそうにないな。

まったく…。こっちは忙しくて鳳凰どころか家にも帰れなかったというのに。
開始早々これかよと。


「とにかくマスター。この写真を見てくれ」

男はまた写真を出して私に見せた。
今度は若い女性だ。2次元ではないリアルの女性だ。

これは…巫女のコスプレか?
顔の部分は、何故か黒く塗られていてわからない。

「この人は恋人ですか」

「いいや…。妹だ」

「妹さんですか…」

ふぇいふぇいって言うんだ。もう何年も探している」

「……!?」


ちょっと待て。
いま何かおかしなことを言ったぞこの男。

「あの…ふぇいふぇいって…」

「知ってるのか?」

「あ、いや…。まぁ、同一人物とか限りませんがね…。名前が同じ女性なら…」

「歳や背格好を教えてくれ」

「ええと…」


私はできるだけ正確にふぇいのパーソナルデータを男に伝えた。
もちろん貧乳であることもだ。

「!?間違いない。妹だ…。ようやく…ようやく見つけた」

…ふぇいに黄金戦士の兄貴がいるとは聞いてなかったが…。
人にはいろいろ言えない事情もあるか。


「待ってれば…今日あたり来るかもしれませんがね…」

「待つさ。待たしてもらおう」

そう言ってもう一杯お代わりを要求してきた。
それにしても、ふぇいにこんなイケメン兄貴がいるとはねえ…。


しばらく彼は無言でグラスを傾けていた。
私も言葉はかけずにそっとしておくことにした。

兄弟の感動のご対面に水をさすほど野暮じゃない。


1時間ほど経ったが客は来なかった。
さすがに1週間安んでいると今日も休みだろうと思われるのは当然か。


電話は一回鳴ったが、相手はやはり藤井さんだった。

「凸さんおひさ。今度【これは藤井ですか】ってタイトルでお話作って!」

「ねーーーよ」

藤井さんは相変わらずだった。


今日はもう誰もこないかなと思いはじめた頃カランとドア鈴がなる。

「やっほー!おひさ~」

闊達な声を張上げて入って女性が入って来た。

ふぇいふぇいだ。
いいタイミングだな。

「待ち人がきたようですよ」

私の言葉が届く前に彼は振り向いてふぇいを見つめた。

感動の兄弟の再会か。俺にも妹がいたっけ。
もう9年も会ってはいないが。いいものだな。兄弟は。

ふぇいは、カウンターに座っているその男を見ると目を丸くして驚いた。
震えている。いつものふぇいではない。

男はスツールから腰を浮かしてふぇいのもとに歩いていく。
そして、背中に背負った大剣を抜いた。

え?何する気だ。おい、何をする気だ!?


「お、黄金騎士…!?」

ふぇいは震えながらあとずさった。

男は剣を頭上に構えてふぇいに斬り掛かろうとしている

私は大声で叫んだ。

「おい!妹なんだろ!?何する気だお前」

「妹というのは嘘だ。3年前にホラーの血を浴びてから、ホラー化して人々を晒しまくるようになったプレイヤーがいるという噂を聞いてな」


「ホラーだとぉ?んじゃ、そこにいるふぇいは…」

「こいつは、あんたの知ってるふぇいふぇいじゃない。本人は既にホラーに精神を食われたのだろう」


…いや。それ俺が知ってるふぇいのまんまなんだけど。


えーと……



後半来週に続く。と思う。



私は甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。
やっと通常業務にもどりまちた。つかれまちた。念のため。





ブレイン・スクラッチ

戦国レシピ#10

bar01


私は甲府でBAR「SENGOKU」を営業しているマスター凸。
決して何者にもなれないノブラー達に今宵も乾坤一擲の生存戦略をお届けしよう。



雨が降っている。
なんとなく重い嫌な雨だ。

鳳凰が導入されてから10日ほど経つ。
ノブンズ達の会話は、どれも家臣の育成と城友の話ばかり。

何やら一層作業感が強くなった気もするが…、
そもそも土台がシミュレーションなのだから作業感が半端ない。
信も本来の姿に近づいてるのかも知れない。

笑って城友。
もう仕様自体がよくわからんが、時代の趨勢とともに楽しみ方もまた相応に変化していくのは必定か。
対応と柔軟が現代(いま〕を楽しむ一番のカンフル剤なのだろう。

私は、ここ最近の客のやりとりを聞きながらそんな僭越な解釈をしていたりする。

目の前では、甲府のパー子と呼ばれるナミナミ改がマシンガンのような語りべで、
現状の信事情を説明してくれている。
言葉の弾薬の供給だけはフルスキルだが、何言ってるのか半分以上わからない。
トム・コリンズを飲みながら猛烈な勢いで喋っている。
ま、いつもの如く客はいないので暇つぶしにはいい。


「つか、っぱねぇんすよーまじでまじで。ありえねーって、ちょーうけるし城とも申請。で、家臣育たねーし、ねー、もーゲロムカっすよねー、マスター。わかるっしょー?っぱねぇんすよ」

「ああ…よーくわかったよ。お前の頭の中身がな。」

「なんすかそれ」

「お前、現国いつも赤点だったろ」

「っぱねぇ。よくわかるっすね!」

「何語しゃべってんだお前は」

「まるっ!」


という感じでいまだ課金停止状態の私には、何が何やらまったくわからん。
軍学の新技能は、みさおさんの報告ではスポットライトが当たってカッコいいとのことだが。

藤井さんは、ブログを見るとそれなりに楽しんでいるらしい。
ふぇいは城友申請で妙なことになっているようだが、それもまたRPGの醍醐味だろう。

そう言えば、この前…織田の御堂筋さんが飲みに来た時、妙な事を言ってたな。

「モンゴルは燃えている」

そう一言言い残して帰っていった。

はて…。言葉の意味はよくわからんがとにかくすごい自信だった。
もしやモンゴル=織田の揶揄なのか?いやそれとも聞き間違えて「みんゴル」だったのか。

まぁ、課金もしてない私が国勢をかんがえてもせんないことだ。
ナミナミが喋り疲れて寝てしまったが、いつものことなので放っておく。
そのうち気がついたら、するっと帰っていくだろう。

今日は雨だ。客足もさらに鈍るだろうな。
来るとしたら雨宿り程度の一見くらいしか…。

そう思っていると、ドア鈴がカランカランと鳴った。

入ってきたのは馴染みの顔である池田の源だった。
傘をたたんで、コートの水滴を落としながら、寒い挨拶をかましやがる。


「こんばんわんっ♡シバイヌ子ですっ」

「け・え・れ!もう看板だ」


まったくろくな客がこない。よだれたらして寝こいてるナミナミを見ながら
心底、今日のツキの悪さをいまいましく思った。

源は私の罵声など気にもせず、ナミが寝ている横に座った。
私はしぶしぶコースターを出して注文を聞く。

金にならない顔馴染みばかりくるのも困ったものだ。

源はそんな私の苦渋などどこ拭く風で、ナミナミを見ながらビールを頼んだ。

「あれ?ナミさんじゃん。また寝てるのか」

「まったくろくな客がこない日だな。雨だからタツヲとかが来るかと思ったんだがな」

「タッちゃんなら、家臣育成で手が回らないとぼやいていたぜ」

「課金すらしてない俺には意味不明だな」


またこの手の話かとうんざりした顔でグラスビールを出してやると、
源はチビりと飲んで口を泡で汚す。

「っつ!」

源がいきなり左の頬をおさえて短く呻いた。


「ん?」

よく見ると源の左頬が赤く腫れている。誰かに殴られたようだが、また女絡みか。
歩くチンポと言われる源は、この手のことでよくもめ事を起こしていた。

源はバツが悪そうに、寝ているナミを伺いながら、小声で話しかけてきた。


「そんなことよりさぁ…ちょっと聞いてくれよ」

「また、女の話か。それでそのツラってわけだな」

「これさぁ…、つきあってる黒人女にやられたんだけどさ。あの最中に…バックでやらしてくれと言ったらグーで殴られたぜorz」

「アホか」

「いやまじで。トラウマになりそうだわ。念のこもったパンチだったなぁ…」

「武士でも作って夜も一所懸命侍にでもなれ。少なくとも防御はあがるぜ」

「ちぇっ」


しばらく私と源は男性には理解できない女性心理について談義をした。
ナミナミはあいも変わらず、ぐーすか寝ている。

今夜はこれで看板だな。
ふむ。ナミナミを帰したら源でも連れてはどこかへ飲みにでもいくか。

そう考えていると、具合の悪い事にまた客が来た。
まったく…。神様のタイミングなのかどうなのか。
終わろうとするとこれだ。

源は入ってきた客を一瞥して「んじゃ帰るわ」とあっさり帰っていった。
今度は黒人の彼女に夜のデンプシーロールをお見舞いしてやるんだなとアドバイスをしてやった。

ふぅ。今日は飲みはあきらめるか。

そう思って仕事の顔に戻ると、そこには意外な珍客の姿があった。


「おやぁ?」

そう声を出してしまうほど珍しい客だ。
陰陽だ。しかも徳川紋である。

真紅の武田色の濃いこのバーには、なかなか徳川紋の人は寄り付かない。
私自身は国は気にもしないのだが、RPGをまっとうにやろうとする人は敵国のPCとは馴れ合わずという人もいる。

それはそれぞれスタンスの違いなのでどうということもない。
しかし武田を憎む人は多いだろうな。敵国を憎む。それもまた、戦国の世に生きるひとつの有り様だろう。


その陰陽は、それほど親密度が高いわけでもないが、
会ったら挨拶をかわしたり、クエを手伝ってもらったりしたことのある。

葉隠という鯖内でも名うての一門に所属する陰陽だ。
昔よく凶術を一緒にした記憶が蘇ってきた。

彼は涼やかに笑って挨拶をしてきた。

私はいまだ達成されていない彼と飲みの約束を詫びた。

「ひさしぶり。いやぁすまんね、なかなか時間とれなくて」

「まぁお互い様でしょう」

葉隠君はそう言って笑った。

徳川と武田の確執は修復不能なところまで決定的なものになっていた。
なんでそうなったのかはよくわからんが、まだ私が戦場に出ていた頃は、武田と同盟でもあった国である。

昔は国が違えど、大きく見れば鯖もひとつのギルドだった。
東西では色んな家紋が入り乱れて百花繚乱の様を成していたのが記憶に深い。

しかし新仕様では戦は全鯖入り乱れての合戦になると聞いた。
他鯖の同じ国同士で共に戦うことになるらしい。

となると─
ますます国同士の確執は高まりそうだ。
国に対しての帰属意識が高い人にはだろうが。


葉隠君は雨っぷりだというのに濡れた風もなく涼しい顔している。
そろそろ寝ているナミナミを起こそうかと思い、肩を揺すったが石のように身体を固くして動かない。

彼は気にもせずナミナミと一つ席を空けスツールに腰掛けた。

「何飲む?」

「ブラックレインを」

松田優作か。いいね。私もファンだ。

オーストラリアのホテルで生まれたスパークリング・ワインベースのカクテルだ。
フルート型シャンパン・グラスにブラック・サンブーカを注ぎ、
冷やしたスパークリング・ワインで満たしてごく軽くステアする。

BLACK


私もちょっと飲んでみるか。
外は雨。命日はとっくに過ぎているが、タフな俳優には命日など関係ない。
思い出した時、その時が命日だろう。


私と彼の2人分を作って「ブラックレイン」で乾杯する。
悪くない。

漆黒の色をした液体を半分ほど飲むと、彼の顔色に少し赤みがさしたように見えた。


「しかし…甲府に来るとはめずらしいね。何か用事でも?」

「凸さん、悪いんだけど実は頼みがあるんだ」

「頼み?」

「ある店に一緒に行って欲しいんだ」

「これから?」

「うん」


私は寝ているナミナミを見ながら、ちょっと迷った。
彼は何やらせせっぱつまった表情をしているし、断るのもなんだかすまない気持ちになる。
が、ナミナミをこのまま置いていくのもさすがにまずい。


「詳しく話を聞かせてくれるかい」

私がそう聞くと、彼はうなずいて「ブラックレイン」の残った半分を一息に飲み干して語りはじめた。


「ブレイン・スクラッチさ」

「なんだいそれ」

「甲府にあるBARだよ。最近新しくオープンした。いや、前からあったのかもしれない」

「ブレイン・スクラッチなんざ聞いたことないな」

「正確には、存在はしているんだけど公には存在しない、してはならない店らしい」

「ますます意味がわからんな…。ただの都市伝説じゃないのそれ」


私がばかばかしげにそう言うと、彼は両手を顔の前で組み合わせながら震えていた。
さきほどの涼やかな顔が一変して、鬼の形相になっている。

「武田…。恨み重なる四つ割菱。この血で濡らす恨み菱…」

そう言いながら、私を睨む。
いきなり豹変した態度に私はうろたえた。

「おい、おい;どうした。葉隠君。もう酔ったのかい」

「あるんだ…」

「む?」

「あるんだよ本当に…。ブレイン・スクラッチは本当に存在するんだ」

「……」


取り憑かれている。狂気にか。
いやこれは……凄まじい恐怖と憎悪にだ。


彼はひきつった笑いを浮かべながらなおも続ける。

「信のメインプログラムを担当していた奴がいたんだ…。友人だった。そいつは希代の天才PGと呼ばれていた」

私は黙って聞いた。とりあえず吐き出させよう。まずはそれからだ。


「しかし…奴はあることをきっかけにプロジェクトから外された。奴はプログラムで意図的なバグを仕込んだのさ」

「意図的なバグ…」

「そう。そのバグは裏コードに巧妙に隠され、それを知った担当のプログラマーは、上申しようとして謎の死を遂げた…。そのコードは高度なアナグラムによって格納され、組み合わせるとある呪詛の言語になるらしい」

「おいおい…おっかねえ話だな」

「そのバグを仕込んだPGは失踪し誰も行方はわからない…」

「やばいな…。オカルト話になってきた。便所いけなくなりそうだな」

私の茶化しも華麗にスルーされた。これはきつい。

「初期に信内で妙なバグの噂が流れるようになったことを覚えているかい?」

「ああ…。確か3倍の早さで駆け抜けていくPCとか、空を飛んでいる奴とかかな」

「え!まじで?空飛ぶバグなんてあったんだ。あ、いや…ともかくそれ以外に雑賀と甲府のある場所で牢屋みたいな穴に落ちて動けなくなるバグもあったろう」

「ああ…。確か俺も雑賀の畑であったっけなあ」

そう言えば昔、雑賀でふぇいの尻をなぜようと思って雑賀郷へ行って畑のところで穴に落ちたんだよな。
あんときは、ふぇいの呪いかと思ったっけ。

まったくいらん記憶が蘇ってきてっしまった。


「でもね。そのバグが出現したあたりで不思議な店をみたというPCが数名いたんだよ」

「店って…?それがさっき言ってたその…」

「そう。ブレイン・スクラッチさ」


しかし…、仮にそんな店があったところでなんだというんだ。
バグで出来た店なら中に入っても、せいぜい外観のテクスチャーがよじれているだけのことじゃないのか。

さらに聞くと、ブレイン・スクラッチには出現する条件があるらしい。
まず侍と陰陽の組み合わせ。甲府の神社で6時6分6杪。
階段部分の一歩斜め後ろで重なるように。
そこで、取引窓を開いて文字を同時に打つと3秒間だけそこに出現する。

キーワードは「ワロス」。これをまったく同時にやる。

アホかと。できるわけねーだろJK
緊迫した空気が一気に廚二臭くなった。
私はいささか疲れた風な声で聞いてみる。

「で…。仮にその店に行けたとしてどうだっていうんだい」

「…力さ。そこに入れば全てのステータスの数値が物理上限で満たされる。身に付けている装備も。そしてボスすら消し去る技能を身に纏う事ができるそうだ。俺は信において最強の神となれる」

チートだなそりゃ。私は呆れて聞き返した。

「…ご大層なことだが、ここでそこまで強くなってどうすんだい」

「もちろん…武田を叩く。徹底的に」

私は思わず吹き出しそうになった。
銀魂のザビエルじゃあるまいし。

「徒党を一人で殲滅しまくる一騎当千PCってわけかい。それもいいが…呪いのバグみてーなのに自分も呪われるんじゃねーのかい」

私がそう言うと、葉隠君は急におだやかな顔になってニヤリと笑う。

「ブレイン・スクラッチの力を手に入れた瞬間に、そのキャラでデータは不可侵。開発者でもデリートできない絶対領域の完全無欠データになると言われているのさ」

「まさか…」

荒唐無稽すぎて意味不明だ。
私は話題を変えようと何か別のネタを探したが、どうやらこの空気では不可能のようだ。

葉隠君はうんざりした口調で、語気を荒げる。

「…御託はもういいだろう凸さん。ここまで話したんだ。もう逃げられないよ、嫌でも最後までつきあってもらう」

そういって、彼は懐から一枚の紙片を取り出した。
スクラッチ・カードのようだ。銀色に隠されたこすって取るあの部分が表示されている。

「実は出現条件を満たしても更に入店条件がある。そのパスポートがこれってわけさ」

「なんでそんなものを君が持ってんだよ」

「拾ったのさ。たまたまね」

「ねーよ」

「あるんだよ。世の中はだからストレンジで満ちているのさ。それにね…」

「む…」

「その失踪したPGの精神は信内の中でまだ生きている…」


だめだこいつは。追い出そう。つきあってられん。
そう思ってお帰り願おうと言いかけた瞬間、身体が動かない。

「ぎっ…;」

彼の目を見た瞬間私は硬直した。
これは仙論の絶だ。それも凄まじく強力な…。

「逃がさんよ。ようやく見つけた適合者だしね」

「適合者?な、なにを一体…」

い、いかん。頭が朦朧としてきた。



「呪詛コードの番号にはある数字が埋込まれている。そのコードの適合者をずっと探していたのさ。コードナンバーは36-O(オー)3。わかるかいこの意味が」

私はくらくらする頭で考えた。ファイブレインのカイトのように考えた。


「36…ハッ、そうか。さんむ…さむ オー3 おさん…」

「そう!侍のおっさんが必要だったのさ。それもお人好しのね!はーっはっはははは」

葉隠の口調どころか、顔つきまで変わってしまっている。いや、そもそもこいつは葉隠じゃない。

まさか…。


「気がついたようだな。そう。俺はそのバグを仕込んだ天才PGだった男さ。どいつもこいつも能無し野郎どもめ。なーんで、顎を認めて俺を認めねーんだヒャハー!」

おそらく葉隠君はたまたまスクラッチアイテムをどこかで拾ったのだろう。
そして憑依していたこの男に精神を乗っ取られたのか。
おそらく武田を憎む心につけこまれたのだろう。

「つきあってもらうぜおっさん。全てを統べるドグマ、ブレイン・スクラッチにな」

ナミナミはまだ寝ている。普通起きるだろうこの状況。
しかし起きない奴がいる。

渾身の声を振り絞って私はナミナミを呼んだ。

「ナミナミ…起きろ…逃げろ…」

「無駄だね。まずこの女は殺しておこう。起きて騒がれてもめんどうだしな」

「ナミッ!おい!起きろ!ナミっぺ!」

ナミが寝ている後ろから、するどい懐剣で喉を切り裂く気だ。
やめてくれ…。店内を血で汚さないでくれ。
掃除が大変なんだー!

私はありたっけの声で叫んだ!

「おきろぉぉぉ!
ナミ!ビッチ!!!貧乳!!腐れピー!△△○□×△○□×○△△○△!!」


ブン!と風が唸った。

「ルンバ!!!」

ナミは跳ね上がるようにカウンタから起き上がり、意味不明な気合いとともにすさまじい裏拳を放った。

「だれが前田敦子だコラァ!」

「ごっふつ!」

私の鼻先をかすめて背後にいた、PGの亡霊の顎にメガヒットした。

鋼鉄の塊のようなナミの拳は下顎に見事にヒットしてPG亡霊はふっとんだ。
葉隠君は気の毒に…。顎が砕けたかもしれんぞ。
ナミの相方は喧嘩になったら絶対入院するなこれは。
というか3人ぐらい殺してるのかもしれん。くわばらくわばら。

ようやく呪縛が解けて身動きが取れるようなった瞬間、ナミに締め上げられた。
こっちのほうが生命の危険を感じる。

「前田敦子ディスってんのかオラァ!!」

そう言いながらナミナミは私の襟を掴んで締め上げる。
く、くるちい……。死ぬ;

「い、いや、誰も言ってねーし!そもそも怒るとこソコかよ」

私はあわてて事情を説明した。

「ふ~~ん、よくわからんけど…とにかくっぱねえ展開だったみたいねぇ。ゴミンゴミン。テヘ」

テヘじゃねえよ…まったく。
黒人女の話じゃねえが、女は怖いわ。

と…そうだ、彼はどうしたと思ってみると、壁のほうまですっとばされている。


「ぐぅぅうぅ…」

こりゃ全治一か月以上だな…。あ~あ、歯も折れてるし。
息も絶え絶えに転がって呻いている葉隠君の全身から黒いモヤが出ていった。

世に認められず恨みツラ見を信オン内ではらそうとしていたのか。
人間って奴はなんて矮小でちっぽけなんだろう。

鯨やシャチがうらやましくなった。いや、なんとなくだけど。

そうして、この事件は幕を閉じた。

あとから葉隠君にあの時のことを聞いて見ると、
評定をやっていて、アイテムを拾った瞬間から何にも覚えておらず、
いきなり病院にいたので驚いたと言っていた。
災難だったのは彼だったな。

退院したら気が向いたら寄ってくれよと言い残し病院を後にした。


数日経ってまだ源がやってきた。

「マスタ~聞いてくれよ~今度はエチオピアの女なんだけどさ~」

いつもの光景、いつもの日常だ。
軽く流して聞いてると、テーブル席で新規らしい若いPCの声が聞こえてくる。


「覚醒のばしてクエの石っしょ。あとは金がないとなぁ~」

「金稼ぐよりもさ。なんかすげぇチート技みつけられないかな。無敵作戦できるような」

「チートねぇ。むかーし古参の先輩からきいたことあんだけどよ…実は…」



それ以降は、彼らの声は小さくなり私もきき耳をたてるのをやめた。

人は弱いからこそ努力する。目標がみつけられるからこそ意義があるのだ。

苦労もしないでいきなり無敵の力を手に入れたところで、一人ぼっちになってしまうだけだ。


「あれ?マスター、何そのスクラッチカード」

源はめざとく、棚に置きっぱなしのスクラッチカードに目をつけた。


「ああ、商店街でもらったスクラッチだ。もう期限はきれてるがな」

「へぇ。俺のこの傷もスクラッチ「ひっかき傷」だぜ」

そう言って源は、新しい彼女にもらった肩についたおみやげを自慢げにみせた。


「一回しね」


スクラッチの銀の部分をこすると、「ハズレ」と出てきた。

「ブレイン・スクラッチか…」


馬鹿馬鹿しい。
それを丸めてゴミ箱に投げ入れる。




いろいろ手順を間違えた。


…そういうことにしておこう。








私は甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。
また来週だが毎日は更新できんぞ。念のため。

炎のようなKISSを

戦国レシピ #9

master


私は甲府でBAR「SENGOKU」を営業しているマスター凸。
今宵もノブラー達は素敵なサムシングを求めて争乱の世を疾駆する。


その日、私は気分がよかった。
前日、閉店間際に現れた一人の客によってもたらされた幸運を喜んでいたのだ。

どうせ女だろうとここを読んでいる方々は思うだろう。
当然だろう。私はホモじゃないのでね(キリッ。

所詮この世は男と女。地獄の沙汰も金次第。なくて七癖ちはやふると言ったところだ。

その女性は、白い束帯を身に纏った何とも美しい人だった。
歳の頃は二十歳いくらか過ぎた頃のように見えるが、私よりも歳を重ねているようにも感じる。
不思議な女性だった。
顔はなんというか…美人としか形容できない。ほっそりした身だが、束帯の上からでもたおやかな肢体が想像できる。長く滑るような黒髪。コーンフラワーブルーのような青く澄んだ瞳。真紅に輝く艶のある形のよい唇。

完璧だ。完璧すぎて厭味なぐらいの美女だった。
彼女をみた瞬間、私の胸にここ数年感じたことのない鼓動が蘇ってきた。

海賊女帝ボア・ハンコックに石にされた男達。今ならその気持ちはよくわかる。
綺麗な花には刺(とげ)がある。しかし刺で傷ついてもいい。いやむしろ傷つきたい。


私が痴呆のようにみとれていると、彼女はすこしかすれたハスキーな声で聞いてきた。


「もう終わり…ですか?」


そう言われて私は我に返った。
時を忘れてみとれていた私の顔はどんなに間抜けた顔だったろうか。

あわてて返答するもしどろもどろになる。


「あ、いや…まだ…」

緊張してうろたえているおっさんがいる。
おっさんがあわてて取り乱すことぐらい見苦しいものはない。
いまの私だ…。

しくったぁ…。こんないい女の前で格好が悪すぎる。

彼女は、「じゃ…すみません」と言いながら私の正面に座った。

とてつもない魅力的な笑顔を浮かべ、両手で頬をおさえる仕草をした。
可愛すぎる。やばいなこれはやばすぎる。


コースターを出して注文を聞いた。ドキドキする。
まったくもってキュートなハートにズキドキだ。

彼女はにっこりと微笑みながら、両手を組んで注文する。


「Kiss of Fireを…」


ほぉ…。ここでこれを頼むのか。
Kiss of Fireは日本人が創作したカクテルだ。

男なら誰でも彼女の唇を見れば、まさに炎のようなKISSをとねだりたくなる。
それほどいい女なのだ。


「かしこまりました」

本当にかしこまって注文を受ける。
私の今まで培ってきた技術のすべてを使って作ってやる。
名誉挽回の一撃をこのカクテルに賭けるしかない。

まず、カクテルグラスを砂糖でスノースタイルにする。

材料は

ウォッカ2oz
スロー・ジン2oz
ドライ・ベルモット2oz
レモン・スクイーズ1oz
レモン・ジュース = 2dash

氷の入ったシェーカーに材料をいれてシェイクのあと、カクテルグラスに注いで完成だ。

kiss


「どうぞ…。Kiss of Fire 鳳凰篇です」

「綺麗…」

そう言いながら彼女はその燃えるような唇で、グラスの縁の甘い雪にKISSをした。
白く細い指がしなやかにグラスの角度を変えて、琥珀色の液体は彼女の喉を潤す。

こくっと喉が鳴る柔らかい音が聞こえた。

「美味しい…。こんな美味しいKiss of Fireは初めて…」

うっとりとグラスを見つめながら、彼女は私の手にそっと触れた。


彼女はそう言うと席を立って出口へ向かった。

「また明日きます。今日のお勘定はその時に…」

私は金のことなんかどうでもよくなるほど舞い上がっていた。

それが昨晩のことだ。



そしてまた閉店スレスレに彼女は約束とおりに来た。

「いいかしら?」

「もちろん。お待ちしていました」

いやっほほぉおおおおおおう!(心の声)



今日は決めるぜ!俺のペガサス流星拳!!

い、いかん。落ち着け俺。
まずはちょっと落ち着け(ブレイクブレイク)。
ここで洒落た台詞(左ジャブ)でまずは、彼女の名前を聞き出そう。

彼女はまたKiss of Fireを注文した。

シェーカーを振りながら駆け出していく鼓動。この高鳴り別次元。マッハGO!GO!GO!

私は精一杯キリッとした顔を作った。それこそ渾身の力を混めて。

すっと出来上がったKiss of Fireを差し出す。
彼女は私を見て天使の微笑みをくれた。

私は彼女の瞳を見つめて…ここだ!と思った。

最高の台詞で決めよう。
自分の分のKiss of Fireを持ちながら…

「あなたの瞳に…カンパ」



ブぅ!


「………………」

「………………」


屁が出た。




ボクシングで言えばマイクタイソンをしのぐ強烈なストレートだ。


いやぁああああぁぁああああああああああああああああああああああ~~~~~~~~


し、しまったぁ~~~~~~~~~~~~~~;

下腹に力を込めすぎて放屁してしまった…;;


もうやだオラやだ!!

もう許してくれよ;神様、仏様、藤井様;;


いいじゃん;いいじゃん俺もたまには幸せにしてくれよぅ;;


私は泣きたくなった。

放屁してからの数十杪、私と彼女は固まったままだ…。

終わったな…。
昼にニラレバ炒めなんざ食うんじゃなかった…。


あきらめて、私が放屁の非礼を詫びようとすると彼女は下を向いて顔を手で覆った。

肩が震えている。

こらえきれない様子でぷっと吹き出しながら、げらげらと笑い出した。


「あ、あの…」


「くっせぇええ~~~;;普段なに食ってんだよおっさんw」

そういって身体を二つに折って笑い転げている。

なんだ…何が起こっている…。
私は咄嗟に状況を把握できなかった。

私が混乱していると、カラン!と大きくドア鈴が鳴った。


男が立っていた。侍だ。しかもキリッとしたかなりのイケメンである。
ぺこりと頭を下げて店内に入ってきた。礼儀も正しい。

イケメン侍は笑い転げている彼女の後ろに立って、肩に手をかけた。

なんだ…。彼氏か。結局おっさん一人で舞い上がっていただけか…。


彼女は侍を見てはっとした表情になり笑うのをやめた。
肩におかれた手を肘で振り払う。

イケメン侍はうんざりした顔をした。


「まさお。まぁだお前そんな格好してんのか」

「そんなの俺の勝手だろ」

彼女はぷいっと、そっぽを向いて髪をかきあげる。その仕草も美しい。

しかし…えーと……。

何だいまの会話…。



イケメン侍は私に向き直り、すまなそうに頭を下げた。

「すみません。弟がご迷惑をおかけしまして…」


「……………………お と う と?」


「はい…。身内ながらお恥ずかしい。こいつは昔から女装が趣味でして…」

「そこらの女より綺麗だろ!女装なめんな」

彼女…いや女装趣味の弟が吼えてかみつく。


「ぐれた弟がいて後始末が大変です…」


ぐれすぎだろ常識的に考えて

兄貴のほうは、もっと飲むんだとごねるまさおを押さえつけて帰っていった。
何度何度も頭を下げて謝っていた。

綺麗な花には刺(とげ)がある。
とげじゃなくて、竿だったわけだ。

あっはっはっはっはっ

寝よ。


私は甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。
忙しすぎるわけだが。念のため。

複垢パッション

戦国レシピ #8

BAR0008


私は甲府でバー「SENGOKU」を営業しているマスター凸。
今日も今日とて、信onに取り憑かれたノブラー達は咲いて咲かれて艶やかに。


本日はそこそこの客入りだ。
3月も半ばになり、暖かくなってきたことも多少影響しているかもしれない。

カウンターは、ほとんど常連で埋まっていた。
おひさしぶりの顔もいる。

カウンター右に陣取ってる薬師の佐渡さんと話している巫女はみかけたことはなかった。
そういえばスルッと入ってきていつのまにか常連達と馴染んでいる。
誰かの複垢だろうか。

私はちょいと興味をそそられて、佐渡さん達の会話に少しよせてもらおうと思った。


「佐渡さん。ひさしいね。元気そうだ」

「マスターこそ元気そうで。最近はなかなか時間がとれなくてインもそこそこだけど」

「俺は貧乏暇無しってとこだな(苦笑)。ところで…そっちの人はここはお初だと思うけど、佐渡さんの知り合い?」

「え?ああ、いやいあ。ここで知り合ったばっかりでね」

そう言うと、申し訳程度に残ったギネスを飲み干して、ブラッディー・シーザーを注文した。
とりあえずビールの後の佐渡さんの定番である。
ブラッディー・シーザーはブラディ・マリーのトマトジュースをクラマトジュースに変えたもので、
見た目はトマトジュースと変わりがない。
トマト嫌いのふぇいふぇいが見たら卒倒ものだ。だからあいつはヒンニュ…ああ、いやなんでもない。

brds


とにかく悪戯心でちょっとからかってやろう。


「佐渡さんも隅におけないな~。こんなピンナップガールと速攻でねんごろになるとはね(笑)」

「ねんごろっていつの時代なんだ(笑)。それにね、マスターこの人は…」

佐渡さんをさえぎって、そのピンナップガールが答えた。

「俺、男っすよ」

野太い声が小さな口元から出た瞬間にゲンナリした。巫女グラで俺はないだろう。
それなら神主にしとけと言いたい。男とわかっていても違和感MAXだ。

しかし、私もプロ。平静を装って挨拶をする。

「そうですか。私はここのマスターで凸と言います。以後よろしく」

「よろぴく~」

「ところでお名前はなんと呼べばよろしいですかね」

「え?俺の名前!?えと…俺の名前は…俺は」

そんな人に言うのがためらわれるほどの名前なのだろうか。
それにしても、何かこの巫女…誰かに似ているような…。

「俺の名前は…」

その巫女は立ち上がって、てへぺろ(・ω<)のポーズを決めながらこう言った。

「ぬんちゃく」

「………」

「よろぴく(*≧ω≦)」


「いやわかんねーって」


間髪いれずに思わずつっこんでしまったが、佐渡さんもすぐにつっこむ。

「え?さっきは毘沙門天って言ってなかったか」


名前をコロコロ変えてるのかこいつは。
とことんとぼけた奴だ。格好は小柄な巫女で可愛らしいが中身はご覧のありさまだ。

巫女は悪びれずに「ジュ・・ジュウシマツさんの姿が!?」とかちゃらけている。
こいつ…どうにも誰かに似ているゾ。


ハッ!!

DEEDEEE

こいつだった…。

そういえば巫女を持ってたなこいつ。

私のハートは急激に冷えていった。
モモとおぼしき巫女をねめつけて怒気を浴びせる。

「おい、モモ!いい加減にしろ。もう正体は割れてるんだよ!!」

こいつは悪のりさせると歯止めがきかないから困る。

私が恫喝すると、萎縮もせず


usausaw


おふざけAAで答えてやがる。この野郎…。

すると、モモの巫女は両手を頭の上にのせてウサギの真似をして、首をかしげてこう言った。

「ゆいゆい♡」

YUIYUI




ブチン!!

私の中で何かがキレた。


  | | | |
  _∥_∥_∥ ∥
 (__/  `ー――
(__/ r   俺の手
 (_レノ)\  ___
  (__/__/
   ___
  /⌒ ⌒\
 /(●) (●)\  草摩モモ
γ::⌒(_人_)⌒::ヽ
|   |r-|   |
ヽ   `ー′   ノ


  | | | |
  _∥_∥_∥ ∥
 (__/  `ー―――
(__/ r
 (_レノ)\  ___
 ●\_/__/●
γ \_\三/_/ヽ
| ⌒(_人_)∴・ |
ヽ:・∵|r-|  ノ
      ぐぇあ !



私は甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。

昼飯はうどんにするか。念のため。

最終兵器 顔

戦国レシピ #7

BAR07


その陰陽師はマッカランの30年ものを、水のようにスルッと飲み干して出て行った。

「…じゃまた」

ニコリともせず去っていくその姿がなんとも憎々しい。


makkaran


私はその背中を眺めながら、怒りと己の不甲斐なさに打ち震えた。
そして奴が飲み干したばかりのショットグラスを私は床に叩きつけた。

バリン!

おそらく今の私の顔は真っ赤だろう。
2chでの自演をソッコーで看破されたときのような恥辱に満ちていた。


「あの野郎…まさかとは思ったがやっぱりプロだったか…」


その陰陽師が現れたのは1週間前だった。

例によってその日は暇だった。8時頃まで客はまったくこない。

電話が1件あったが、例によって藤井さんからだった。
「心頭滅却すれば屁もまた藤井」とかわけのわからないこと言っていたので、
「またおまえか」と言って切った。
最近は一日一回藤井さんだ。まったく。


ため息をついてタバコをふかしていると、ドア鈴が鳴った。
やっと本日の第一号がやってきたと安堵して「いらっしゃいませ」と挨拶をした。
その客は二人連れだった。カップルではない。
何やらいでたちが不気味な二人組である。

一人はスラッとした男の陰陽師だ。

もう一人は…

なにやら四角い紙袋を頭にかぶせて、片目の部分だけ穴が開いている。
エレファントマンかこいつは。妖しすぎるだろJK。

陰陽師は音もなく近づいてきてカウンターテーブルに名刺をスッと置いた。

「武田の仙論の木乃と申します。以後、お見知りおきを…」

新手の宗教勧誘か?と私は思わず構えた。

陰陽師は口元に笑みを作っているが笑ってはいないのがわかる。
丁寧で慇懃な挨拶だが胡散臭い。
目は切れ長で秀麗な顔立ちをしているが氷のような冷たい目をしていた。

紙袋を被った男は木乃と同じぐらいの身長だったが、厚みのある体躯をして無言で立っている。
いよいよ不気味である。

私も簡単な挨拶を返してとりあえず注文を聞く。

しかし木乃と名乗る男はそれには答えずに横の紙袋の男を見ながら、意味不明な事を言い出した。


「マスター。勝負をしませんか?」

「勝負─?」

「はい。勝負をしましょう」

「勝負って…博打をしたいなら賭場にいったらどうだい。うちは飲み屋だよ」

たまにいるのだ、こんな手合いが。
意味のわからない詐欺まがいの勝負を仕掛けて飲み代を踏み倒していく奴が。


私がそう言うと木乃はククッと笑って首を左右に振って答えた。


「マスター…。これは博打ではありません。ゲームですよゲーム。それも単純な」

「ゲーム?一体なんのゲームなんだね」

「そうですねぇ…。一言で言えば自制心と忍耐力を試すゲームですよ」

「自制心?しかし…自制心は弱体されたし装備も中途半端だしなぁ。忍耐力もあまり自信が…」

「まぁ受けずとも構いませんけどね。見た所、マスターは軍学侍のようですが、最近は徒党枠も厳しくくたびれているでしょうし」


木乃はそう言ってあからさまに私を挑発している。

さすがにそこまで言われて引き下がるようなら侍をやってはいない。
私は地獄の黙示録のカーツ大佐のようにカーッとなった。

「いいだろう。その挑戦うけてやる」

「さすがに軍学様ですね。ではルールを簡単に説明します」


木乃は紙袋の男をちらっと見ながら説明をし始めた。

「ルールはさっきも言ったように単純です。まず水を口に含んでもらいます。私の横にいるの顔を見て、1分こらえきれたらマスターの勝ち。笑って水を吐き出したら負け。マスターが勝てば飲み代は倍額。私が勝てば幾ら飲もうがチャラってことでどうです」

「ちょっと待て。それならあんたが負けても何も注文しなけりゃ倍額払う必要もないだろう」

「はは。ご心配なく。そんな野暮な真似はしませんよ。ちゃんと3杯以上注文します」

「…それならいい。要は1分間笑わなければいいんだな?」

「そうです」

「よし、バッチこい」

「では始めましょう」


水を口に含んで勝負スタートだ。

舐めるなよ小僧。こう見えてもにらめっこは得意なんだ私は。
私は勝利を確信して余裕の笑みを浮かべた。

木乃はすっと紙袋を取ってその男の顔を晒した。

watanabett


ふっ…この程度か。
大したことはない。
たかだか眉毛が一本繋がっているだけので渡辺謙似の渋見がきいた入道じゃあないか。

無表情でその男の顔を見ていると、木乃は入道の左頬を指差した。

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ん?と思ってよく見ると、なんと、ほくろから毛が一本飛び出している。
木乃は私を見て「実は眉毛は油性で描きました」と言った。

その瞬間、私は口から水を吐き出して思いっきり吹き出していた。


「~~~~~~~~~~~~~~w;;」

木乃は入道の肩を軽く叩いてうなずいた。

「僕の勝ちですね」

満面の笑みでそう言ったが私は納得できない。

「き、きさま汚いぞ!あんなことやられりゃ誰だって吹き出すわ」

「おや?僕はただ指をさして独り言を言っただけですよ?そもそもしゃべってはいけないとは一言も言ってませんし」

「くっ;」

「では、本日はご挨拶程度ということで、マッカランの30年をダブルで頂きましょうか」

「なっ…あれは一杯7,000で出してるんだぞっ!」

「勝負は勝負ですからねぇ。それとも武士に二言があるのですか?」

「む…ぅ;」


木乃と入道は遠慮もせずにマッカランをそれぞれつるっと3杯飲み干した。
途中で入道は描かれた眉毛が油性マジックで落ちないので、ハロワの面接に行けないと嘆いていた。
アホだろこいつ。


そしてまた今日だ。
まったく同じ勝負をやってまた負けた。
今回はこっちも奴と同じようにを用意した。

鍛冶屋ゴメスというやはり昔馴染みである。
しかしゴメスは顔が面白いのではなく行動とセクハラまがいの言動が面白いのであって、
顔そのもので笑わせる力はなかった。

1分間たって水を吐き出すと、しらっとした顔で木乃は言った。

「あ~あ、僕もなめられたものですねぇ。こんな顔程度で僕に勝とうなんて。僕は毎日5時に起きて探しているんですよ。いいを」

そして木乃のターンだ。木乃が連れてきたのは、
今度は女性でパーマが失敗しておばさんパーマになった、不動かずはだった。
これは卑怯すぎる。

私は思いっきり吹き出して涙を流しながら笑い転げた。
多分、かずはでなかったらここまでツボらなかっただろうが…。
事前に俺とかずはが知人であることも、木乃は調査済みだったってことか。

しかも今日は二人でフルーツの盛り合わせまでただ食いしていきやがった;。


奴はプロだ。それも一流の。
ハンター×ハンターでいうところの旅団クラスの使い手だ。
具現化系と放出系の能力をバランスよく操っている。

このままやりあっていては店は潰れてしまう。
奴に勝つにはこっちも相応の顔面ウェポンを用意する必要がある。
生半可な顔じゃ無理だ。

しかし、それほどのいい顔が簡単にみつけられるのだろうか…。


私は、ひさびさに顔を見せた立花亜沙美という古参の鎧鍛冶に相談してみることにした。

「う~~~ん。面白い顔の人かぁ」

「誰かいないかな。インパクトがあって思わず吹き出してしまうような人って」

「悪いけど心当たりないねえ…。化粧をしてるキモイ顔ならたまに見るけど(笑)…」

「亜沙美さんはよく野良にも出てるからもしかしたらとは思ったんだがなぁ」

「面白い名前の人はよく見るけど、割と真面目だしねえそーいう人」

「ま、名前で思わず吹いちゃうとかもありなんだがな…」


そうなのだ。要は笑わせれば勝ちである。何かないか…何か…。

どうしたものかなと思案していると、カウンターの端で盛り上がっている忍者と侍の話が聞こえてきた。

「やっぱ犬より猫だよな~」

「猫だな。犬もいいけどやっぱり猫のグラは可愛い」


屋敷のペットか…。そういやペットなんざ飼ってなかったな。
そう思った瞬間、パッと何かがひらめいた。

私は亜沙美さんに相談のお礼だと言ってブルー・サファイヤ極改を一杯奢った。

bbbssesb


ピーチブランデー・・・・・1oz
ブルーキュラソー・・・・・1oz
ココナッツラム・・・・・・0.5oz
ライムスクイーズ・・・・・0.25oz

コリンズミキサーでグラスを満たしてレモンスライスを添えて出来上がり。
日頃クールな亜沙美さんにはぴったりなカクテルだろう。

「美味しいね」と亜沙美さんが言ってくれたので「ナイスチャッキー」と答えた。


「意味がわからない;」

「実は俺もだ(笑)」

亜沙美さんも明日は新クエの手伝いがあるからと、奢りの一杯を飲み干して帰って行った。
私は店を閉めたあとにゲイと噂のある三浦和貴に連絡をとった。

明日は奴が来る日だ。
3度目の決戦である。
これで負けたらもう身延山に入って若き日の大山マスタツのように修行に篭って眉毛を剃るしかない。

数回携帯を鳴らすと三浦が出た。

「三浦、折り入って頼みがあるんだ」

「ケツは貸さねえぞ」



次の日、開店前に三浦に頼んでおいた例のものを持ってきてもらった。


「負けるなよ」

そう言って三浦は中指を突き出して去っていった。

…それファックユーって合図なんだが。相変わらず三浦はアホだった。


そろそろ来るな。時計をみるともうすぐPM:5:00だ。

ドア鈴が軽くリンとなる。

時間とおりに木乃と奴のウェポンがやってきた。

「こんにちは。おや、今日はお一人で?」

「一人じゃないさ。とにかく早速はじめようぜ」

「ん?…ま、いいでしょう。どっちにしろ僕が勝つわけですからね」


まず奴の先行だ。

私は水を口に含んで戦闘態勢をとった。


木乃が連れてきたウェポンの紙袋をとる。

MUSUKA

ムスカじゃねえか。
そう思ってみると頭のてっぺんが妖怪人間ベムのベロのように尖っている。

するとムスカ野郎は「毛がぁ~;毛がぁ~:」とかいって頭を押さえ出した。
抑えてもピコンと元に戻ってアンテナのようだ。

「ぐっ;;」と口を抑えてかがみこんだ。

こ、こいつは強烈だ;
なまじ、真面目な顔をしているだけに相当なインパクトがある。
ムスカだけに耐えるのはムスカしいと寒いオヤジギャグまで浮かんできた。


「どうです?こんな人と真面目にお話ができますか?」

木乃が追い打ちをかける。ムスカ野郎は唄まで唄い出しやがった。
しかも唄ってるのは「トトロ」だった。こ、これはまずい;

私は手元にあったアイスピックで手の甲をつついて、何とか耐えた。


「はぁ;はぁ;…」

何とか1分耐えきった。これで私の勝ちは決まったのだが、まだだまだ終わらんよ。
こいつは完膚なきまでに倒さないと気が済まない。

木乃は肩をすくめて悔しそうに負け惜しみを言う。

「…やりましたね。僕の負けですよ」

そう言いながらムスカ野郎に「このカスが!」と罵声を浴びせている。

「でもまぁ、元は十分とってますし問題はありませんがね」

青く冷たく見えた顔が紅葉してきている。相当悔しいのだろう。
ざまぁああああwwwwww

私はひそかに心の中で叫んだ。
ここは一気に攻めるしかない。

「まだだぜ。今度はこっちの最終兵器を見てもらおうか。もし、笑ったらむこう一ヶ月ここでただ働きをしてもらう」

私がそう言い終わると木乃は急に口調をかえ、秀麗だった面立ちは醜くひきつった。

「…舐めるなよおっさん!俺はディフェンスも一流だ!!そっちが負けたら今日の飲み代はタダ&一週間は飲み放題にしてもらうぜ」

口調がそこらのチンピラになっている。これがこいつの本性か。

勝負だ。

木乃は水を含んで能面のように表情を変えない。

私は紙袋の中にいるそれを木乃の前に突き出した。

NYAAAAAAA

三浦から借りてきた屋敷の猫 凸だった。

無表情だった木乃の顔が歪む。
これは効いている。
それに顔という決まりはあっても人間限定というルールはない。

私は猫を抱えて

「コンドー君、ほら挨拶して」と言った。

猫は短く
「ニャア♪」
と鳴いた。

その瞬間、木乃の高らかな笑い声は甲府の夜に響き渡った。

その後【SENGOKU】で一ヶ月ほど皿洗いをする木乃の姿があったという。


私は甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。

軍学の新技能が気になるぞ。念のため。







永遠の謎

戦国レシピ #6

bar06


私は甲府でバー「SENGOKU」を営業しているマスター凸。
今日も今日とて、信onに取り憑かれたノブラー達は抱いて抱かれて蝶となる


AM:1:00

客は全員引けて店内には私一人だ。
カットグラスに砕いた氷を放りこんでバーボンを流し込む。

ボトルからドクッドクッとコクのある音が染み込むように響くと、ようやく落ち着いた気分になった。

berbon


ふう…。今日は疲れた日だった。


この商売をやっていると当然色んなトラブルが起こる。

中でも一番困るのは暴力沙汰だが、幸いなことにお上の手を煩わせるような大事になるようなことはまだない。

2番目に困るのは、お決まりの男女間の問題、痴話喧嘩である。
第三者として傍観するぶんには関係ないのだが、店内でやられるとさすがにきつい。

その痴話喧嘩が本日この場であったのだ。
絵に書いたような三角関係で、一昔前のトレンディードラマをヘタクソな役者が演じているような。
そんな三文芝居を見せられた間抜けな視聴者が私である。

今夜は悪い夢を見てしまいそうだ。

女絡みになると本当にめんどくさいことが多い。
これを読んでいる貴兄らも十分注意されたし。


そのカップルは7時頃に入ってきた。
客足は遅く客はまだいなかった。
男女ともここいらでは馴染みのない顔だ。

カップルはカウンタの左端─入口に近いほうに座った。
この時点で彼らがバーテンとおしゃべりを楽しむ気はないとわかる。

男は大柄な侍で装備をみるところ武士のようだ。遊び慣れている風もあり鎧をきくずしている。
女はというと、男には不釣り合いな清楚なイメージの小柄な巫女である。

武士の男はカウンタに肘をつきながら、指を鳴らして私を呼んだ。

なんだこいつ…。
いまどき指を鳴らして人を呼ぶ馬鹿がまだいたのか。
顔馴染みならいざ知らず、一見のBARでこんな舐めた真似をする小僧とか親はどんな育て方をしたのか。

客とは言え、こんな礼儀知らずの小僧に愛想よくできるほど私は人間はできてはいない。
少なからず店主と客は、お互いが敬意を払える立ち位置であるべきだ。

私は大人げなくもそれを無視した。

そうすると、その武士はむきになって指をぱちんぱちんと慣らしはじめて
終いには両手の指を使って私を呼んでいる。武士は顔を真っ赤にして訴えている。
女の手前ひっこみがつかなくなっているのだろう。
アホや。


私はさすがに吹いた。
お前はダンディ坂野かよとつっこみたくなった。

私のささくれた気分も、この必死なパーフォーマンスでいくらか緩んだ。
真剣な馬鹿はユーモラスで憎めないこともある。


しかし武士は私が注文をとりに行くと、すかさず「ゲッツ!」と両手を親指をつきだしておどけている。
前言撤回。やはり馬鹿は死ななきゃ直らない。自分でやって自分で受けてやがる。
装備の魅力付与は相当なものだが、知力付与もやっとけと言いたくなる。
常連の客がやったらひっぱたいてるところだ。

それを見て、横の巫女がクスッと笑った。
口に手をあてて控えめに笑う横顔はどこかのお嬢様のように見える。

世の中わからんものだ。
なんでこんな男にという組み合わせが多すぎる。
世の中はまったくもって不条理だ。
まぁ、これ以上はおっさんのやっかみと言われるのでやめておこう。

武士はグレイハウンド、巫女のほうはジン・トニックを注文した。

グレイハウンドはソルティードッグの塩無しである。
スノースタイルがないソルティードッグというわけだ。
かっこいい名前がついているが、ようはウォッカのジュース割りだ。

ウォッカ - 20 ml
グレープフルーツ・ジュース - 40 ml
TTTTT


ジン・トニックは、とりあえずビールというくらいポピュラーなドリンクで女性にも人気がある。
アンゴラビターを垂らすとヘミングウェイ・バージョンになると言う。
ジントニック
ドライ・ジン - 適量
トニックウォーター - 適量
ライムカット又はスライス

二人は互いのグラスあわせて乾杯をした。

しかし巫女のほうは身体を固くして下を向いたままだ。


「そろそろ返事をきかせてよ。桜子ちゃん」

「……」

「俺、真剣なんだ。本気で君だけの一所懸命・改をやりたいんだ」

「江頭さん……」



このやりとりは私の腹筋をかなり鍛えた。
腹いてぇ。まさにこの言葉しか出て来ない。

真剣な故のユーモラス。これは究極の漫才だろう。

巫女の手を握りながら、尚も江頭と呼ばれた武士の熱弁は続く。

「桜子ちゃんが嫌っていうなら、城友なんて全部きるよ!親密度500以上の奴もみんな絶好いれる。頼むよ!俺に桜子ちゃんだけの要人守護侍にしてくれよ」

「で、でも……、一門の人達がなんて言うか…」

「そんなの気にするなよ。いまは二人の気持ちが大事だろう」

「それに……江頭さんには、セイラさんって言う婚約者が…」

「そんなことは問題じゃない!」


大問題だよ。バカヤロウ


この江頭と言う武士は、早い話が二股野郎だということか。
うらやまけしからん奴だ。

「わたし…江頭さんが好きです。でも一門の人達もみんな優しくて楽しくて…。この場所を侍の生産する篭手のように簡単に壊したくないんです!」

「桜子ちゃん…」



こいつら絶対自分に酔ってるだろこれ。
さすがに辟易してきたところに、カランとドア鈴がなり客が入ってきた。

すらっとした女陰陽だ。顔はきついがなかなかの美人だ。
しかし目には憎悪の焔が燃え盛っている。

女陰陽は入ってくるなりカップルのほうへ向かった。
熱っぽく語りかけている武士が、背後からのただならぬ威容を感じて振り向いた瞬間─


「わ、わぁっ!!セ、セ、セイラ!」

「へぇ……。私の関クエの誘いを断っておいて、桜子ちゃんとこんなところでデート?なるほどねぇ…」

「あ…、い、いやこれはその…、勘違いだよ、うん、勘違い」

「どう勘違いでもいいわ。どいてちょうだい、私は桜子ちゃんに話があるのよ」

「えっ…。お、おいちょっと!セイラ…」



三角関係の修羅場か…。ま、自業自得だ。
そういや昔さよなら三角って漫画があったっけな。

ま、とにかくあまりエスカレートするようなら追い出そう。
店内でのもめ事はお断りだ。

セイラと呼ばれた陰陽は、武士を振り払って巫女の桜子ちゃんに詰め寄っていった。
武士はおろおろしているだけで何もできずだ。圧倒的無力。
江頭なさけねー。つかえねー。それでも武士かよお前はと胸ぐらをつかんでやりたくなる。

この結末はどうあれ二度とこいつの来店はお断りだな。


「桜子ちゃん…、あなたどーいうつもり?彼が私の婚約者だってことは知ってるはずよね?」

「はい…」


桜子ちゃんは小柄な身体を千早ごと震わせている。

「いい加減に彼に銀蝿のようにまとわりつかないでちょうだい。不愉快だわ」

「わ、わたしは銀蝿じゃありませんっ!何故なら江頭さんはウンコじゃないからです」



パシィイイィィン!

「屁理屈を言うんじゃないわよっ!」

セイラの平手打ちが桜子ちゃんの頬を叩いた。
短く乾いた音が店内に響く。

今の桜子ちゃんの台詞に誰もつっこまないのが、逆に可笑しかった。


桜子ちゃんは頬を抑えながら、セイラを見据えている。

「…好きになった人に…たまたま婚約者がいただけのこと…。そうでしょう。そう思ってました…」

下を向きながら涙声で言葉をこぼす。

「聞いた風なことを…」

セイラそう言いかけると桜子ちゃんは更に続けた。

「でもっ!…ダメッ;やっぱりわたしそんなに強くない…」
「ごめんなさいっ;江頭さんさようなら」

そう言うと桜子ちゃんは涙も拭かずに駆け出して出て行ってしまった。

「ちょっとぉ…何よあれ。これじゃわたしが悪者みたいじゃない…」

「は…ははは…。ま、まぁ落ち着いて一杯どうだいセイラ。驕るよ」

「結構よ!このチンポ侍」


すごい捨て台詞を投げつけてセイラも出て行った。

呆然として一人残された江頭は、自嘲気味に笑顔を私に向けてこう言った。

「だめだこりゃ(笑)」


お前だよ



江頭もそそくさと逃げ帰るように店を出て行った。

彼らがその後どうなろうが知った事ではないが…、トラブルの千客万来は勘弁願いたい。

その後は3~4名客が来たくらいで比較的暇だったが、
この質の悪い3文ドラマの毒気にあてられたのか気が乗らなかった。

そして客もいなくなり、一人カウンターでバーボンをやっていると言うわけだ。
さて…そろそろ看板にするか。

そう思っていると、ドア鈴が申し訳程度に小さく鳴った。


「凸さん、まだやってる?」

ドアの隙間から顔を覗かせたのは、馴染みの雅という薬師だった。
私は彼をミヤビンと呼んでいる。

「ああ…。もうしばらくしたら看板はしまうけどね」

「それじゃ一杯だけ頼むよ。たまたまそこで会ってさ」

ミヤビンの後ろから現れたのは、これまた昔馴染みの霧島清音という女武芸だった。

「なんだ清音か。ひさしぶりだな」

「凸さん、はろぅ~~!」

「なんだよ。相変わらず武芸やってるのか」

「武芸じゃないよ双剣士だょ!」


ミヤビンはバドワイザーで、清音はスクリュー・ドライバーを注文した。

俺は二人に最後の来店サービスとして今日の事件と顛末を話してやった。
あまり趣味がいいとは言えないが、このくらいのささやかな仕返しぐらいお目こぼしを頂けるはずだ。


「うらやまけしからんなぁ。俺も二股とかやってみたいぜ」とミヤビン。

「女はわからんね。まったく」

私もそう答えてためいきをつく。
男より女がわからん。あんな男のどこに惚れたのか。
ま、男女のことは当人同士しかわからんものか。

理屈じゃないよな。恋愛ってのは。


「男ってバカでうぬぼれ屋さんとばっちゃんが言ってたょ!」

抱え込むようにしてスクリュードライバーを啜っていた清音が思いついたように言った。
こいつは普段とぼけているくせにたまに絶妙に核心をつく。

私は苦笑しながら、本当にそうだと思った。


男は馬鹿で自惚れ屋。

そして女は…

永遠に謎 か。



BGM : ダイナー・ショア:バイバイブルース



私は甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。

今日も仕事なわけだが。念のため。

ジョジョ立ち

戦国レシピ #5

bar05


私は甲府でバー「SENGOKU」を営業しているマスター凸。
今日も今日とて、信onに取り憑かれたノブラー達は浮世を忘れて戦国の世を謳歌する。

私は朝からある予感がしていた。
今日はいい女が来る。それもとびっきりの美女だ。

朝の直感というものは大事だ。私はそれを信じて行動する。
それによって今日という一日が、宝石になるのか、それとも泥になるのかが別れる。

私は火をつけたばかりのフィリップス・モリスをくわえて、ブラインドの隙間から漏れる朝の光をのぞく。

今日も雨か…。

春の暖かい雨は嫌いではないが、こう雨が続くと太陽の光が懐かしくなる。

今日は何かが起こりそうだ。
私はそんな予感がしていた。



私は軽くなった空気を感じながら、めずらしく朝から店に向かった。

私はすこし胸が騒いでいた。
朝の直感を信じるなら素晴らしい出会いがあるはずだ。
あるだろう。あるんじゃないかな。なければ困るぞ。

とにかく客ならば出会いを求めて、目についた店の扉を叩けばいいのだが、哀しいかな店のマスターは待つしかない。
それがもどかしく感じるときも当然ある。
しかし私はプロだ。プロは己の仕事に矮小な貴賎や疑問を感じたりしない。
ただ、きた客に美味い酒を出す。それだけだ。しかしマスターとは言え一人の男だ。
たまには美女との出会いに心をときめかせても罰は当たらないだろう。

店内のチリを掃き、丁寧にグラスを磨き、テーブルを隅々まで拭く。
素敵な出会いに一点の曇りがあってはならない。
特にいい女との出会いはシチュエーションを完璧にするのがマナーだ。

BGMは…そうだな。マーヴィン・ゲイのWhat's Going Onにしよう。
レイパーカー.Jrでもいいが、春の暖かい雨の日にはマーヴィンの優しくソウルフルな声が合う。

そして美女にすすめるのは、マンハッタンかマルガリータがいいな。
私は妄想の中で来るとも知れぬ美女との逢瀬を楽しんでいた。


AM:11:30


まだ午前中だというのに柄にもなくワクワクしている自分に驚く。


電話がなる。

もしや?と思って受話器をとってみる。

私は年甲斐もなくまじかよヒャッハー!的な展開を期待した。

KURO


「…はい。バーSENGOKUです」


「すみません~。天ぷらうどん2人前お願いします」


「……。ここは蕎麦屋じゃありません」



チン!!

もはや、骨董品となった黒電話の受話器を荒々しく下ろした。


私はカウンターの客席のスツールに腰掛けてラム・ショットを流しこんだ。
胃に流れ込む強烈なアルコールが気分を高揚させていく。

RUM



今日は何かが起こりそうだ。




また電話がなった。

今度こそと思い受話器をとる。



「…もしもし」

「あ、玉乃屋さん?盛り蕎麦4人前出前よろしく~」

「……どこにかけている」

「え?おたく玉乃屋さんじゃないの」


私はモデルガンのM9ドルフィンを受話器に近づけて20連フルでファイヤした。

M9


「うわっつ!!!」


受話器の向こうで豚の鳴き声が聞こえた。

バカが。私をなめるんじゃない。

硝煙臭くなった店内を見渡して悦に入っていた私はふと我に返った。

何をやっているんだ私は。

何かがおかしい。

どこかで歯車が噛み合わせが狂っているような…。
時計仕掛けのオレンジならぬ、時計仕掛けの俺んちだ。



AM:12:00

またまた電話がなった。

さすがに今度は恐る恐る受話器をとった。



「…もしもし」

「凸さん,お昼だよ!ペペロンチンコ!!」


ガチャン!!


私は返答もせず電話を切った。

相手は藤井さんだった。


額に嫌な汗が浮いていた。
これは誰かの罠か?まさか…。


私は隣の喫茶店に出向いて昼食をとることにした。

昼時だけあってそこそこ混んでいる。
可愛いらしい女薬師の新人バイトがはいっている。

バイトの娘を呼んで注文を取る。

「お待たせしましたぁ」

「ランチBで頼む」

「はぁーい。ランチBひとつ~」


舌足らずの声が可愛らしいし愛想もいい。
黒髪のポニーテールもよく似合っている。
うちにも忙しい時にバイトにきてくれないだろうか。

そんなことを考えながら置いてある新聞を取って広げた。


「お待ちどうさまでしたぁ」

おっと早いな。
ここのBランチは安くて絶品だ。今日のメニューはヒレカツだったな。

私は新聞をたたみ早速昼飯にありつこうとすると、目の前に置かれているモノに目を疑った。


「えっ?」


PEPERON



目の前にあるのはペペロンチーノだった。

私はバイトの彼女にすかさず問いただした。


「君これ…間違ってるよ。私が頼んだのはランチBなんだが…」

「ええ。ランチBは本日のパスタでペペロンチーノですよwてへぺろ(・ω<)」


屈託のない笑いでメニューを見せられると、

表にはBランチ→ヒレカツ定食

裏にはランチB→ペペロンチーノ
とあった。
その後の()書きで小さく 美味しいよ!てへぺろ(・ω<)と書いてある。


「……」

私は赤面した。何という失態だ。
いや、それ以前にランチが前と後ろでメニューが違うなんてありえないだろう。
つーか意味わかんねえ。てへぺろ(・ω<)とか舐めているのか。


「い、いや私の勘違いだったようだ。すまないね」

「いえいえ。ではごゆっくり~」



何者かが私を陥れようとしている…。

この店のパスタはお世辞にもほめられたものではない。
ペペロンチーノはやはり糞まずかった。


店に戻ると、また電話が鳴っている。


どこかの一門が私を消しにきているのか?
まさか…。

あきらめたように受話器を取る。


「もしもし…」

「あ、長寿庵さん?忍者の桜こももですけど、さっき注文した出前まだですか?もう30分も待ってるんですけど…」


私はもう怒りで全身が震えてヤケクソになった。

「こぅこはぁぼばやじゃあびまべん。ふぉぉーっつっふぉふぉーふぉぉーっつっふぉふぉ」

受話器に口を近づけてバルタン星人の真似で答えてやる。

こももと名乗った相手は「うわぁっ!何か変だぞこの電話;」と狼狽していた。
ざまあみろ。こっちだってやられっぱなしじゃないんだ。



PM:6:00

開店時間だ。

何かが…起こりそうだ…。


いきなりドアがばぁ~~んと開いた。

入ってくるなり、何やら変なポーズ立っている巫女がいる。

巫女は妙なポーズをつけて「バァ~~~~ン」と自分で効果音を叫んでいた。

これは…確か…。

JOJODACHI


伝説のジョジョ立ちだーーー!(どーーーん!;効果音)

巫女は葵雪月花という、これまた馴染みの古神巫女だった。コロッケの愛称で呼ばれている不思議ちゃんだ。
しかもこいつはかなりの「ジョジョの奇妙な冒険のフリーク」である。

一時期はマクロスFのシェリル・ノームの熱烈なファンでもあった。


しかし…美女…ジョジョ…とびっきりの…。
朝から感じていたのはこれか…;


コロッケは、半ば放心状態の私を見てこう言った。


「凸さん、ダイアモンド クレバス/射手座☆午後九時 Don't be lateランカ風のカクテル作って!」


私はニッコリと微笑んで、M9ドルフィンを手に取り、静かにコロッケに照準を合わせて引金を引いた。

その後、コロッケを甲府で見かけたものはいない。

私はというと蕎麦屋に転職しようかと3日間真剣に考えていた。



私は甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。

ネタ考えるのも疲れてきたぞ。念のため。

ワラビー

戦国レシピ #4

bar03


私は甲府でバー「SENGOKU」を営業しているマスター凸。
今日も今日とて、信onに取り憑かれたノブラー達は思い思いに新世界に旅立っていく。


いよいよ信長の野望online鳳凰の章が導入されたそうだ。
その影響もあって今日は客の回転が早い。
町がいつも以上に人が多く、ログがよく流れていた。
甲府だけではなく他の城下も同じ具合だろう。

店も今日は立ち飲みをしている常連もいるくらいで、めずらしく盛況だ。
ビールがよく出たが、とにかく一人でやっていると手が回らなくなる。
こうなるとバイトの一人でも臨時で雇いたいくらいだが、いい看板娘はそうはなかなかみつからない。

既に技能を皆伝させた話題や、登用する家臣の話で盛り上がる若いプレイヤー達。
どこかの一門だろう。武芸、能楽、鉄鍛冶の3名が入口に近い円卓のテーブルで賑やかに
ビールで何度も乾杯しながらこれから始まる新章に胸を踊らせている。

ふむ、私にもあったな。あんな頃が。
しかし今日はそう感慨に耽る間も許されない。


「ねぇ、マスタ~。これおかわり!」

私の正面に座っている女性がグラスを持ち上げておかわりを要求している。

浅井所属の召喚陰陽のふぇいだ。彼女は開店からの常連でこの店の一番の古株でお局様的存在だ。


「今日はさわがしいねぇ。いつもはガランとしている店が大繁盛じゃない」

相変わらずズケズケとまぁ…。
ぞんざいな物言いと、ふてぶてしい態度。
傲岸不遜な性格に見えるが、彼女は常連にはふぇい姉と慕われている。見た目によらず人情家だ。
客同士のトラブルも諌めてくれたりと、店にとってはありがたい重鎮といってもいい。

私は苦笑いをしながらグラスを受け取って答える。

「ガランとしていないとタバコも吸えないな、まったく」

「鳳凰が導入されたばっかりだしねぇ。若い子達はお祭り気分ではしゃぎまくってるし」

「何にせよ鯖内が賑やかなのはいいことだな」

「とかくメダカはむれたがる…か」

「おいおい、お前も俺も数年前はそのメダカだったろう(苦笑)」


そんな私の言葉にかぶりを振って、ふぇいは後ろの若いプレイヤー達をチラ見をする。
彼女も在りし日の自分を彼らに重ねているのだろう。
眩しそうな目で見つめる視線の先は、数年前の初々しい自分の姿が見えるのか。


「元気ねぇ…あの子達。私にもあったねぇあんな頃」

「歳とともに元気が増すのかお前は(笑)」


会話の機微をとらえるのもプロである。
美味しいつっこみも会話の調味料だ。


ブホッ!

横でやりとりを聞いていた北斗の斬くんが、飲んでいたモスコミュールを吹き出した。
ゲホゲホ言って口を抑えている。
笑いを堪えるのに必死らしく、ふぇいと目を合わせないように、
全身を震わせて顔をカウンターすれすれに沈めていた。

斬君はカニちゃんの愛称で呼ばれている雑賀の鎧鍛冶だ。
ふぇいは斬君を弟のように可愛がっている。

ふぇいは斬君をきっと睨むと、お決まりの悪態で反撃を開始した。


「うるさいよ。この水涸れオタク中年。早くおかわり!!」

「はいはい」


想定内の反撃を受け流しながら、棚からウォッカを取り出す。


ふぇいが飲んでいたのは、ブラッディ・マリー百鬼夜行編である。

ウォッカ - 1oz
ウースターソース 2dashes
ホットソース 2dashes
コショウ 1ティースプーン
食塩1ティースプーン

氷を入れたロングドリンクグラスに材料を入れ、トマトジュースでグラスを満たしてから掻き混ぜる。
レモンスライスを添えて出来上がりだ。
ちなみにベースをジンにすると「ブラッディ・サム」になり、ウォッカを抜くとヴァージン・メアリー」になる。

bdm


「ほい、おかわりの百鬼夜行だ。ところでお前は鳳凰はまだやらんのかね」

「昨日さぁ…。酔っぱらってインしちゃって、家臣名を間違えちゃったんだよねえ。修正きかないから萎えちゃったよ」

「名前間違ったって、そんなひどい名前なのか」

「まぁ…、私的にはね」


斬君がいきなり叫ぶ。

「わかったカニ!ふぇい姉さんがつける名前はこれしかないカニね!」

「いきなりなによカニちゃん」


「ぽこてぃん!」でしょカニッ!」

すかさず、ふぇいは
「死んで来い!」と罵倒した。


斬君はうなだれて、ふぇいの剣幕に怯えている。

「うう…。ぽこたんを間違ってぽこてぃんにしたのかと…カニッ」

「わけねーだろ!だいたいぽこたんインしたお!なんざめんどくせーよ」

「インしたおまでは言ってないカニッ;」

「うざっ!」


いつものトークショウが始まったか。

とにかく、ふぇいは酔っぱらうとS度がエスカレートする。
斬君は気性が優しいのでふぇいの格好のおもちゃになるんだろう。
もっとも、彼もそんなやりとりを楽しんでる風もあるのだが。
私は二人の愉快なトークショウを聞きながら、たまった洗いものを片付けた。

しかしもう11時か。
ようやく、客も引けて、カウンター以外の客は片付いた。
カウンターはふぇいと斬君をいれて4名だ。

左の奥から2番目には、常連の武芸の女性。
右の一番奥には、カブキっぽい男性が座っていた。


ふいにカブキ風の男性に呼ばれた。
一見の客でここいらでは見かけたことはなかった。

細面の顔に薄い唇。生気のない幽鬼のような青い顔色。
目はまるで爬虫類のようだ。
正直言ってこの手合いは苦手である。

その男は私を見るとこう言った。


「マスター…少し聞きたい事があるんだが…」

「なんでしょう?」

すると男は絞り出すような東北なまりの声でこう言った。


「あ、あのぉ…ワ、ワラビーはぁ…5人同時プレイってできるんですか?」
warabi


私は即座にこう切り返したかった。

PCエンジン時代のメサイヤの糞ゲーの仕様なんざ知るわけねーだろ!このタゴサク!


しかし客に対してそんな暴言を吐けるわけもなく。
私は静かにその問いに答えた。


「さぁ…。マルチタップには対応していたかもしれませんね」

そう答えた私を見て、男は驚いた様子だった。
フッと笑って立ち上がると、1枚の名刺を出しながらこう言った。


「今夜は…楽しかった。また来るよマスター」

そう言うと飲んでいたズブロッカの代金と名刺をカウンターテーブルに置いて帰っていった。

一体何者だったのだろう。
私は裏返された名刺を手に取ってみた。


・マソのケツの穴を狙う男
三浦和貴

<追伸>また凸に餌をあげるのを忘れたお




よく見るとカウンターに置いてある金はガバスだった。



dfdewbgew

「み、みうらぁ~~~!!!」



私の怒りは天まで届いた。
しかし何の影響もなかったのは言うまでも無い。


私は甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。

ふぇいのチクビの色は知らないぞ。念のため。




たっちゃむすめ

戦国レシピ #3

bar02

私は甲府でバー「SENGOKU」を営業しているマスター凸。
今日も今日とて、信onに取り憑かれたノブラー達は刹那の憩いを求めて夜に舞う。


PM:8:00

本日の客は現在2名だ。

8名ほどで満席になるカウンターの中央に一人。
私から見て右の一番奥に一人。

中央に座っているのは、最近よく顔をみせるタッチャマソという忍者だった。
私は彼をきやすく「マソ」と呼んでいる。

死語を使うのが許されるのであれば、彼はプレイボールという奴だ。
プレイボーイではなくプレイボールだ。
すかした格好と、とっぽい口説き文句を連発して軟派しても空振り三振が多いという意味である。

本日も早速どこぞで女に肘鉄をくらってきたらしい。


「マスタ~~。この前教えてもらった口説き文句全然使えないよ…。しゅっしゅっしゅっ~;」

「俺のフルコースに加わってみない?はダメだったか(笑)。まぁそう気を落とすなマソ」

「えっ!!今ハンサムって言った!?」

「言ってねーよ」


こう見えてもマソは、真紅本願寺のちょっとした顔役である。
先の天下統一戦においても何やら一悶着を起こして話題になっていた。

敵も多いが味方も多い。
本願寺でも存在感のあるキャラなのだろう。

恋愛スキルの覚醒ポイントはまだまだのようだが。


「ところでマスタ~」

「ん?おかわりか」

そう言って氷の融けきったグラスを下げようとした。
マソが飲んでいたのは、ラスティ・ネール(Rusty Nail) 全体看破Verだ。
頑固者という意味合いを持つこのカクテルをマソは気に入って飲んでいる。

ウイスキー 1oz
ドランブイ 0.5oz

オールド・ファッションド・グラスに丸くカットした氷を入れてレモンピースで完成。
ピッチが早くもう3杯目になっている。

rusty





「ちゃうちゃう。ほら、奥のあの娘よあの娘。だれ?常連さん?」

「あー。あの娘は…」


マソが気になっているのは、カウンターの奥で静かに本を読んでいる尼僧兵の娘だった。
もちろん、彼女は常連なのだが…彼女はできればそっとしておくのがベストだ。

BARで一人静かに本を読む女性が、男同士の下世話な会話に加わってくれるとは思えない。
しかも彼女は週1ペースの客で、客が自分一人だけの時でも多くを語らず素性は詳しくは知らない。

私は彼女の水のような静かさに好印象を持っている。
あえて、泥水を投げ込むような真似はナンセンスだろう。


「マスター…。心の声を言葉に出さないでよぉう。それじゃ俺が泥水じゃないの!」

「ああ…、いやすまん(苦笑)。しかしさ、彼女のような文系タイプはお前には合わないだろ?」


私は小声でそう言うと、マソは声のボリュームをあげて言う。

「俺、こう見えても小学生の頃は詩人になろうと思ってたのよ!ゲーテとかランボーとか好きだったのよん。しゅわああびゃあしゅしゅしゅ~~」

「詩人?お前が読んでたのはエロトピアか冒険王じゃないのか」

「俺生まれてません。わあたたったったたあばあば~」


やれやれだが、妙に憎めない奴だ。
しょうがない。紹介ぐらいはしてやるか。

そう思って、彼女のほうを見ると…なんと!口を抑えて笑いをこらえている。

まさか…今の会話が受けたのか?
それともマソの意味不明な語尾がツボだったのか。

まぁ、どっちにしろ、これで紹介はしやすくなったわけだが…。


「むらむすめさん、ちょっといいかい?」

よかったらちょっとこっちで話さないかと提案をした。

話が弾んできたら、私はさりげなく会話からフェードアウトすればいい。


彼女は快諾してくれたようで、私はまだ残っているカルーア・ミルクのグラスを中央に運んだ。


「紹介しよう。こちら、常連のむらむすめさんだ。こっちは最近馴染みになったタッチャマソ君」

「よろしくお願いします^^」

「よ、よろしゅくぅ~!ぶいいいいいーーーーーん」


マソはいつもの調子で挨拶をしたが、これが彼女のツボだったらしい。


「あはは^^タッチャマソさんって面白いですね~」

「まぁ…こんな奴だけどよろしくしてやってくれ」


私はそう言うと、空になったマソのグラスを取り上げておかわりを作ってやることにした。

マソは心無しか緊張しているようだ。なるほど、文学に造形が深い女性なんぞはマソには未知のゾーンか。
まさに若きウェルテルの悩みだな。ここはひとつおじさんが助け舟をだしてやるとしよう。


「熱心に何の本を読んでいたんだい?」

私はまずむらむすめに振ってみた。

「あ、これゲーテの『親和力』って小説なんです。さっきマソさんがゲーテとか言ったのが聞こえてしまって…。ごめんなさい、それでツボっちゃったんです(笑)」

「へぇえ。高尚なものを読むんだな」

「これって恋愛小説ですから難しくはないんですよ~」

「ほほう」


私は相づちを打ちながらマソを見た。

タバコを吸いながら宙を見つめている。
どうやって自分の話題に相手を引き込むかを思案している最中のようだ。

ゲーテという共通ワードを出されてもピクリとも反応をしない。まぁそりゃそうだろう。
ゲーテというより、銀魂という感じだもの。

私はマソに目配せしながら、てぶりで「何か高尚な話題を振れ」と合図した。

マソは首を傾げて考え込んでいたが、意味が通じると親指を突き出して目を輝かせた。
行けマソ。お前の文学考察力を魅せてやれ。そして知的でセンス溢れるウィットでユモーアでペーソス溢れるシニカルでヴィヴィッドなネタで彼女の♡をがっちりキャッチだ!


マソは顎に手を当て肩ひじをついたポーズをつけて、むらむすめに話しかけた。


「なぁ…。ジブリって知ってる?」


ちがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーう!!!
それちっがぁーーーーうーーーーーん!


何お前かっこつけてパヤオのアニメ話に引きずり込もうとしてんだーーー!
しかも全然かっこよくなーい!!

ほれ、むらむすめさんも困惑してんだろうが…。やっちまったなぁマソ…。
これで終わりだな。

すると、むらむすめはにっこり笑って答えた。

「もちろん知ってますよ。私も好きですよジブリアニメ^^」


NANDATTE


その後、マソとむらむすめのジブリ談義は、カリオストロの城の大塚康夫が軍用車両に造詣が深いというマニアックな話題にまで発展した。


私はというとジブリはやはりラピュタが一番だと思う。

「ジブリのヒロインと言ったらやっぱシータだよね」

二人の話に強引に割って入ると、二人は顔を見合わせてハモりながらこう言った。

warawara



馬鹿馬鹿しい。まぁ、二人でよろしくやってくれ。
見ろ。俺が涙目のようだ。

今日はこいつらの勘定を倍にしてぼったくろう。そうしよう。
私はそう心に決めた。



ご同輩。今夜もいい夢はみれそうにないな。


私は甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。

鳳凰はまだDLしてないぞ。念のため。



アクマイザー3

戦国レシピ #2

bar01


私は甲府でバー「SENGOKU」を営業しているマスター凸。
今日も今日とて、信onに取り憑かれたノブラー達は宵闇に紛れて戸を叩く。

薄暮になずむ午後の5時。
私は開店前のこの時間が好きだ。

お気に入りの焙煎コーヒーを炒れながら、本日の第1号が男性なのか女性なのかを思索する。
見事当たった時には、自分に褒美をあげることに決めている。

褒美が何なのかはここでは秘密にしておこう。
自分への褒美なんざ人に語るもんじゃない。

さて…今日はどんな一日になるのやら。


午後6時30分。

客は一見の若いカップルが入ってきた。
見事にハズレだ。この場合どっちが先に入って来ようが、カップルなら×である。
今日はツキはないようだ。

私は軽いタメイキをついて、このカップルを迎え入れた。
彼らはどこかで友人達と待ちあわせらしく、時間までここで時間を潰す算段らしい。

二人とも頼んだものはギネスだった。

忍者と陰陽の若いカップルで忍者の彼氏は陰陽の彼女に熱心に語りかけている。
時折、関ヶ原の強武将を倒した話を自慢をするが、陰陽の彼女はあまり関心はないらしい。

「でさぁ…、そんとき俺の裏看破が炸裂したわけさ。あれが決めてだったね」

「ふ~~ん…」

「なぁ、今度さ。関の幸村に連れてってやんよ。俺がいりゃ楽勝で石もゲットできるぜ」

「別に…」


なんか噛み合わないカップルだ。
大方、忍者の彼氏君は、この陰陽ちゃんを口説いている最中なのかもしれない。
忍者君はチャラ男という感じだし、陰陽ちゃんはまるで沢尻エリカ様だ。
興味なさそうに携帯をいじくりまわしている。

私は客を選ぶことができるほど、裕福でもないし気取って営業もしていない。
しかし、酒とおしゃべりをほどよく楽しんでもらえる客に来てもらいたいとは思う。
この子達は、うちに来るよりそこらの茶店に行ったほうがいいだろう。

しばらくして彼らは帰った。
陰陽ちゃんは帰り際、小さな声でこう言った。

「愛想のない店」

おい、お前に言われたくねえよ(苦笑)
お前絶対野良徒党でも挨拶しかしねえ無言廚だろ!
と、言いたかったが大人げないのでやめておく。
あんなエリカ様に愛想がいいと言われてもそれはそれで微妙である。

でも、悔しい。糞っ。合戦で対峙したら沈黙地獄を味あわせてやろう。

どうやら今日は本当にツイてない日だなとため息がでる。

「会う」という言葉があるだろう。「会う」というのは会って話して感じることだ。
ただ、目の前にいるだけなら椅子や机も一緒である。

よく「芸能人」に会ったとかを聞くのだが、
よく聞いてみると「見かけた」とか「声をかけた」だけというのが多い。それは会ったことにはならない。
ただ、その人がいる場所にいただけである。憧れの有名人やアイドルであるならば、それでも満足という人もいるだろうが、何かさみしいものを感じる。
距離感だけの問題ではないのだ。

人に会うということは、縁を作るということである。
私はその縁にドキドキする。だからこの商売を始めたのである。

さっきのカップルには縁を感じなかった。つまりは会ってもいないのである。

おっと、いかん。
こうやってすぐ理屈をこねくりまわすのは年寄りの悪いくせだな。

ともかく、今日はあまりいい出会いには期待できないようだ。
9時頃までお茶を引くようなら早終いも考えるか…。

私はフィリップ・モリスを1本取り出して火をつけた。
吐き出した白煙の蛇影は空調によって掻き消えたが、出だしにつまづいたモヤモヤは消える事はない。


すると、カランとドア鈴がなり、一人の巫女が入ってきた。


私は巫女の顔を見て、思わず「おぅ!」と声をあげた。

巫女のほうも釣られて「おぉぉ!!」と同じく声をあげる。


巫女は目を丸くしてこう言った。

「誰だっけ?」


私はドリフのようにずっこけた。

「誰だっけじゃねえよ!てめぇ!」

声を荒げたが、お互い阿吽の呼吸でのノリツッコミだ。


「凸さん。すっかりオッサンになって…(笑)」

「自分だけ歳取らねえと思っても、お互い変わんねえんだよ(笑)」

この巫女は、昔馴染みのお汀と言う神典巫女だ。会うのはもう15年ぶりにもなる。
藤井さんとも親交があり、僧兵タツヲを師と仰いでいる変わった巫女だ。


私の言葉使いも、懐かしさのあまりついつい伝法調になってしまう。

「ひさしいな。よくわかったなここで営業しているってこと」

「師匠にきいたんでやんすよ。鳳凰に入る前にソロで4神を倒せたんでその報告もかねてね」

「タツヲはどうしてる」

「ガンダムAGEにはまってるでやんす」

「相変わらずガンダムか。しょうがねえな(苦笑)」

コースターを滑らせて他愛もない会話を一旦切る。
馴染みとは言え客は客だ。けじめはつけないとプロとは言えない。

「さぁ、何を飲むかね?」

「そうでやんすねぇ…。とりあえずおまかせするでやんすよ」

「了解した」

私はおまかせと言われた時は、インスピレーションで酒を創る。
バーテンダーの創造力まで飲み干してもらうには絶好のチャンスなのだ。


スティンガーだな。なんとなくそう思った。
針、 風刺、皮肉を言う。まさにお汀さんにぴったりだな。
烈風今川のアイロニー巫女と呼ばれていたっけ。

材料は単純だ。

ブランデー 45oz
クレーム・ド・ミントホワイト1.5 oz

シェーカーでよく振ってカクテルグラスにそそぐ。
ぴりりとした大人の味わいがあるカクテルだ。

「スティンガー、弓鳴り風、お待ちどうさま」

stinger


琥珀色に輝く美しい液体は、飲むだけでなく見る味わいも楽しめる。
カクテルとはそういうものだ。


「ほほう。お洒落なもんでやんすねえ」

「こいつは俺の奢りさ。ぐっとやりな」

「では…」


お汀さんは、グラスを持ち上げてスティンガーを一気に流し込む。

そして興奮した口調で叫んだ。


「おかわりでやんす!」

私はまたずっこけた。



「…はぇぇよ!せめてもっと味わって飲め」

「あっしは古風でやんすからねぇ(苦笑)」

この野郎…奢りだからって調子に乗るんじゃない!一杯だけだぞ驕るのは。

もう一杯作ってやる。半分ほど飲み干すと


「鳴ってるでやんす、鳴ってるでやんす!あまりの美味さにあっしのこの流星輪弓が…」

お汀さんは興奮した口調でそう叫んだ。



ここでお約束だが…

ねーーーーーよwwwと無粋な言葉は言わない。
感じてくれればいいのだ。俺はそれで満足だ。

今日の最初のつまづきが雲散霧消して浄化されていく。
気分がいいものだ。こうでなくてはな。


「そういえばこの店の常連に織田の藤川みさおって人がいてな」

「ほほう?みさおさんですか」

「お汀さんに会いたがっていたっけな」

「へぇ。そりゃあっしも一度会ってみたいもんでやんすねえ」

「俺はやめとけと制したよ(苦笑)」

「え~~!あんまりでやんす;男の道はど根性でやんす!!」

お汀さんは心底がっかりして、グラスを舐めている。

店内に流れる一昔前のアシッドジャズが、妙に懐かしく聴こえる。
ジャミロかこれは。あの頃は何をやっていたっけ…。


と、物思いに耽っていたら、ガチャリとドアノブが開く音がした。。

「おはこんばん!」

扉の鈴がなるのと同時に元気のいい太い声が店内に響く。

常連の藤井さんの登場か。
紺碧からわざわざ来てくれるとは。しかもお汀さんもいるとはね。
間のいい事だな。
今夜は烈風時代の今川談義で夜が更けるだろう。
私は武田だが、この3人揃うとアクマイザー3と呼ばれたあの頃が懐かしい。
今の若い奴らにはわからないだろうが。

「お汀さんもいるの!おひさし!」

「藤井さん!ポロロッカ!!」


意味のわからない挨拶だが今川流か。
相変わらず元気まるだしだな藤井さん。
私は苦笑しながらコースターを差し出す。

藤井さんに注文を聞くが、藤井さんはそれを制して、あかんべーをしながらこう言った。


「凸さん」

「なんだい?」

男祭り始まりだよ!」


「か・え・れ」




私は甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。

AV男優ではないぞ。念のため。




信長の野望online外伝 BAR 【SENGOKU】にようこそ

戦国レシピ #1


master

私は甲府でバー「SENGOKU」を営業しているマスター凸。
今日も今日とて、信onに取り憑かれたノブラー達にひとときのくつろぎを与えてやっている。

グラスを磨きながら、開店までの静寂を楽しんでいると、けたたましくドアが開いた。

やれやれ…。
まだ開店には1時間ほどあるというのにせっかちな客だ。

「んもぅ!」

本日のお客様第一号は女性か…。
入ってくるなり、悪態をついてカウンターの中央に座る。

このような不遜な態度を私が許すのは、常連か身内かだけである。

「めずらしいね。こんな早い時間に」

そう言ってその“常連”に私は声をかけた。

女性の名は藤川みさお。
織田を愛してやまないノブラーである。
どうせ天下統一後の武田の旗を見て、キリキリしているのだろう。

信onでは9年目にようやく天下統一の大願がなされた。
真紅鯖では武田がそれを達成したわけだが、滅亡した他勢力は内心は忸怩たる思いでもあろう。

私も武田に所属してはいるが、国勢どころか最近の仕様にすらついていけない。
完全に老いて枯れたロートルだ。
ましてや武田が天下を取ったからといって、その感慨も薄い。
統合される前の必死だった自分を思い出すと失笑すら起きてくる。

いまだ頑張っている方々には、いささかデリカシーのない発言だろうが、それが本音だ。

しかし、いま目の前にいる常連さんにこんなことを言おうものなら、
持っているバッグでひっぱたかれかねない。

人が大事に思うものはそれぞれ違うのだ。


「旗が武田になってるのをみると涙が出そう…」


…始まった。毎回これだ。

とにかくこの人は織田をもう恋人以上に愛してやまないノブラー&オダラーである。
スチャダラパーどころか、パッパラ織田子と名付けたくなる。


「天下統一で武田になったんでしょう。でも、それが上杉の旗でも同じことを思うんじゃないかな」

「そりゃそーよ!だって私は織田っ子だもん。織田の旗の元に生きてるんだもん」


だもんってアンタ…。私は思わず「だもん豊作」とオヤジな駄洒落をぶつけたくなったが、
さすがにそれを放つ勇気はなく口を結んだ。

「鳳凰になったらどうなるのかしらねえ…。新技能も気になるし」

「新パッケを鳳凰と名付けたのはどんな意図でしょうね。不死鳥の如く信onは永遠にということでしょうか」

「知らないそんなの」


私は肩をすくめて、だだっ子の常連にコースタを出した。
彼女のペースに流されていたら話にならない。

「さて…ご注文は?」

まだ表の営業看板は出さなくてもいいだろう。
もちろん、このようなサービスも常連にしかしない。

もっとも、入ってきたのがラクウェル・ウェルチのような美女ならちょっと考えるが。


「ん~~~、どうしようかなぁ。今の気分はちょっとアンニュイなの」


「ぷっ…クッ」


私は思わず吹き出しそうなるのをあわてて抑えた。
実際に使う人がこの時代にいるとは…。
しかも真剣に使っている。
やめろ、やめてくれ。私に腹筋を鍛えさせないでくれ!

私は背を向けてとりあえず急場をしのいだが、肩が震えているのを気づかれないだろうかと心配になった。

みさおさんは、更に追い打ちをかける。


「よし!今日の気分はね。【神威光臨】なの♡。だから【コスモポリタン】よろしくっ!」


【神威光臨】なの♡じゃねえだろ。で、なんで【コスモポリタン】なんだよ。
このカクテルの意味は「全世界共通」 や「国際人」なのだが、グローバルスタンダードと、古神の神威光臨が何の関連があるんだよまったく。

つっこみどころが満載、野村萬斎陰陽師だ。
いかん、これ以上真面目に聞いてるとさすがに、私もみさおワールドに引き込まれてしまう。

とにかく仕事だ。

気を取り直して、ウォッカとコアントローを棚から取り出し、
冷蔵庫からグランベリージュースとライムを取り出す。
氷が入ったシェーカーに材料を放り込んでシェーカーを上下に振る。
BGMで流しているコルトレーンの乾いたサックスとのコラボが耳に心地いい。

シェイクが終わると、透き通ったカクテルグラスにシェーカーから赤い液体を流し込む。
仕上げにライムスライスを添えで出来上がり。

コスモ


カクテルは音をたてずに滑らかに差し出す。それが私の流儀である。
客に差し出すまでがカクテルのレシピであると私は思っている。


「お待たせしました。コスモポリタン、神威光臨風です」

「マスター、わかってるなぁ。神威光臨風、美味しそう♡」

ねーーーーーーーーーよwwwと思いつつも、
とっさのアドリブで客に“合わせる”という柔軟性もプロの条件である。

「美味しい~~!!さすがね」

「ありがとうございます。オダモアゼル」


さて、そろそろ開店時間か。
表の営業看板をひっくり返して今日も一踏ん張りといこう。



信onで疲れたら試しにBAR 【SENGOKU】覗いてみてくれ。

客が誰もいなかったら、ふぇいふぇいの更新されないブログでもネタに
自慢のカクテルを一杯驕ろう。

紺碧鯖のルイージと呼ばれた藤井さんもたまに顔をみせる常連さ。


私は甲府でBAR【SENGOKU】を営むマスター凸。

マスターベション凸ではないぞ。念のため。





53億7千万回目の憂鬱

sdwa

数字に意味なし色気なし。

信onの話はまったくないので興味ない人は読まないほうがよろし。
今回は主に仕事の愚痴なので。

さて3月にも入ったというのに相変わらず寒い。
たまにそよぐ風に春の気配を感じてみたり駿河湾。
しかしまだまだ寒い。

土日には決してブログを書くまいと思っていたのだが、実は今会社で休憩中。
そうなのだ。いそがぴょんなのだ。それも相当。

しかも会社全体が忙しい。ボスさえ徹夜をしている状況。
俺は徹夜とまではいかないが、とにかく業務に縛られて忙しい。

ここを見てる良い子のみんな。
今の会社は好きか?仕事は好きか?

俺はどちらも好きと言えるが、ぶっちゃけ仕事をくれているほうが気に入らない。
アホが多いからだ。仕事ができない以前の問題で、人に指示を正確に伝えられない、できないのが多すぎる。

そんなわけで疲れている。疲れているのに金曜日にはボスに「月曜日はすみませんが、ちとこっちの業務を手伝ってください。ふひひ」と言われ、さすがに「えー!?なんすか~」なんて言えない。ぶっちゃけこれは一緒に徹夜してくれと言うわけだ。

2月は年度末とは言え制作業務は結構暇なのだが忙しい。
暇よりゃいいんだが、それにしても歴史教材の読本2冊とかだるすぎる。
とはいえ、これやらんと全国の高校生達に教材が行き渡らんという。
もう電子化にしろよなこんなん。紙の意味ねえだろ。

そう思うのだが、それはそれで飯の種が会社として無くなるのはちと厳しいのよねん。

一番の問題は指示を出している担当の無能さが近年になく劣悪になってきていることが腹立たしい。

クライアントから正確なデータや情報ももらわずに、丸投げしてあとはよろしく。
エスパーでもなけりゃさすがに何がなんだかわからんメールで指示がくる。

たまにキレて意味わかんねーよ!と連絡すると
「あ、じゃあわかりやすいようにサムネで指示しますね」とか。
最初っからやれよタコ!とまぁこれが日常である。
というか俺は「最初からいってくださいよそれは」と普通に言うのでボスはいつもハラハラしている。
俺たちは身に付けた技術を売って生きているし、それを買う客も当然指示はなるべく正確にしてもらわんと困る。
当たり前だな。

俺が直接聞いてるならまだしも、そやつらはボスにメールを送ってそれがそのまま俺に回覧されてくるのだから、たまったものではない。適当な指示のままやれば、これは違うあれは違うと言い出す奴らである。
曖昧な指示によって振り回され時間がなくなり、非効率な業務体制によるミスも多くなる。
悪循環だ。あくまで会社全体の業務としてであるけども。俺の業務に関してはそれはあまりないのでまだまし。

最近とみに官公庁関連の仕事が増えてきているが、担当の奴らがほんと使えないのが多すぎて萎える。

・データをいまどきフロッピーで渡すんじゃねーよ!ニフティ廚かお前は
・写真を送りますねとか言って一太郎ファイルに写真を貼付けて送るんじゃねー
・アイコンとかぱぱっと作ってくださいとか金出してから言えタコ
・何回も修正させといて今さら構成変更とか舐めてんのか
・PDFはなるべく軽く、でも写真の品質は落とさずとか勝手なこといってんじゃねー(俺は簡単にできるけどそれも技術のうちだ)
・写真で家屋の前の電柱を消せとか!!お前その消したスペースを埋めるのにどれほど労力と技術がいるのかわかってるのか!金だせ金



…………はぁはぁはぁ;

す、すまん。
さすがに最近ストレスが溜まってるようで一気に吐き出してしまいたくなった。
予算も時間もねーくせに、求めるものはイッチョマエ。話にならんでしょまったく。

まあ列挙すればキリがなく、ここを閲覧して下さっている中には
自分と同業種をなされている方などもいらっしゃることだろう。
多分に気持ちは少しわかって頂けると感謝の極みである。

そんな劣悪な仕事をうまくコントロールされている優秀な人もいるだろうが、
こちら優秀でもなんでもないので、なかなかそうは問屋が卸さない。
泥を這いずり回ってこなしているような状況だ。

昔の写植製版時代はクライアント担当はしっかり考えてから指示を出す人多かったんだがなぁ
写植は一回打つとそれだけで1500円以上かかった時代だったしな。紙焼きで対応するのも限界あったし

まーなんだ。
仕事ってえのはとかく時間がなくイライラしている時ほどトラブルが重なるもの。
配送の遅配、納品時の不良品混入、ファイルサーバへの接続エラー、電話回線の故障、プリンターのドラム消耗による紙の巻き込みエラー、さらにクライアントからのクレームetc.

うちは印刷会社ではないが、校正対応型の大型プリンターC1があるのでこれだけは他の会社よりは楽である。
しかし毎日SR3版のA3ノビで1000枚以上もアウトプットを横でされるとそれだけで疲れる。

帰りつくとクタクタになりそんなわけでネトゲどころではなくなっている。
こりゃ4月までは無理かもしれん。しくしく。

印刷会社には勤めた事はないが、紙の仕事とかやってるとだるい。
でもWebにしてもだるさは一緒か。開発も加わるとどうにもならんことあるしな。
ちゅうわけで私の春はまだまだ遠いのであった。

しかし、ま、人間関係だけはある程度円滑なのが救いかな。


あなた、いまの会社は好きですか?



こんな会社はいやだ!

2 :氏名トルツメ:2008/11/02(日) 15:13:29
パチンコのイベントの日にみんな休む会社

19 :氏名トルツメ:2008/05/16(金) 00:38:54
夜中に紙幣偽造している

54 :氏名トルツメ:2008/08/10(日) 15:57:09
会社のトイレが汲み取り式だ



あるわけねーだろこんな会社はよ



プロフィール

凸

Author:凸
カテゴリー:おっさん
生息地:都内在住
生業:印刷・ウェブ制作全般
血液型:B

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